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存在の問い:1/12の真理そこに坂はなかった
おなかいっぱい。
くらい。
こわい。
でもあなたがいる。
チェシャ。ねえ、チェシャ。
おやではないあなた。
わたしをみるあなた。
わからない。
きっと君はすぐに大きくなるんだろうね。
君の目の前にはどんな苦難があるのかな。君を憎む人がいて、だけど愛してくれる人もいるといいね。
チェシャ?
あなたがかんがえていること。
そう。君はチェシャだよ。
すごいな。ひょっとしたらチェシャは私の言葉がわかるのかな? だとしたら君は天才だ。
眠れないのは前からなんだ。チェシャのせいじゃないんだよ。これは私の問題だから、チェシャが悩む必要はないんだ。
あなたのこえをたくさんきいてる。
君にはたくさんの未来があるよ。いくらでも選べるんだ。
あなたのかおをたくさんみてる。
君はなんにでもなれる。
愛されて。生まれてほしいって祈られて。
だからここにいる――でもね。
あなたのはなしはむずかしい。
だとしても、今息をしているのは、チェシャなんだよ。誰に許しを得たわけでもないんだ。君が、君だから、それだけなんだ。
君をいつまで支えられるか、どれだけ側にいられるか、自信はないけど。
君がいずれ自分の足で立って、行く先を自分で決められるようになったら……。
わかることはひとつだけ。
そこから先は君だけの世界だよ。
あなたがいたから。
わたしはいきてる。
それだけ。
それだけでいい。
その日、私の世界が始まった。
これが愛だと知ったのは5年後のことだ。
〈終〉