未来、目に見えない謎のガス生命体「エアリオ」の出現によって地球の環境は激変した。エアリオに破壊された文明の残骸や化学物質、放射性物質等が大地や水、大気を汚染し、人類はシェルター都市に退避することを余儀なくされた。

だがある時、僻地のシェルターの廃屋から、謎のコンピューター回路が多数発見される。それは戦闘用アンドロイドの設計データが保存された、中枢ユニットであった。そのテクノロジーはあまりに高度で、多数の物理学者や技術者による苦闘のすえ、最初の少女型戦闘アンドロイド「シルバーストン」がようやく完成を見る。

シルバーストンの特殊なセンサーは、通常では視覚化できないエアリオの姿を捉え、そのボディから発する空力エネルギーは、エアリオの生命活動を停止させられる事が判明する。これをきっかけとして多数のアンドロイドがロールアウトされ、人類は初めてエアリオと対等の戦いを開始できるようになった。胸に不思議な回路の文様を浮かべるそのアンドロイド少女たちを、人は「サーキットロイド」と呼んだ。

だが、完成したうちのただ一体だけ、なぜか一向に起動しない個体があった。

形式番号、J-1962。

完成し、システム上の異常は認められないにもかかわらず、起動プロセスを経てもなぜか起動する気配がない。
開発者たちも匙を投げ、彼女は格納庫の奥で眠り続けていた。

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◆レーシングサーキットの擬人化(正確にはアンドロイド)という、既出なのかどうかわからないモチーフの近未来SFです。試験的な、いわばパイロット版なので、ひとまず主人公登場の4話までを載せます。続きはあるのですが、執筆は未定です。
  プラクティス
  風の生命体2022年11月06日(日) 12:18()
  呼び声2022年11月06日(日) 17:32()
  その名は鈴鹿()
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