ナーヴギアで焼き芋作ったら日本を救えたらしい   作:エヴォルヴ

14 / 38
キリトとトーマスの秘密

実は料理上手。動画企画で外来種を美味しく食べるために練習した。

最初の頃は保存食になるか、死ぬほどスパイシーな料理になってた。
最初期の頃ならそれでもよかったのだが、動画にするとなると、美味しそうな方が映えるため、死ぬほど練習することに。

近くの定食屋やレストランなどにわざわざアポを取り、美味い料理の仕方を教えてもらったり、家族に頭を下げて家庭料理を教えてもらった。

その結果、料理上手に。噂では二人の外来種料理動画や山こもり動画、無人島動画がどこかの番組の出演者に観られているとか、なんとか。


14.傭兵、銃の世界へ

 なんだっけ……BoB? 《バレット・オブ・バレッツ》なる大会に参加するには、総督府と呼ばれる場所に行かなくてはいけないらしい。全プレイヤーのリスポーンエリアそこにしろよ、面倒な。

 

「で、皆武器はどうするん?」

 

 硝煙の臭いが漂う街の中で、異様な姿をした幾人かに問いかける。

 

「レーザーライフルとヒートマシンガンね。LMGでもいいわ」

 

「ブルパップ、グレネードランチャー。高威力ライフルでも可」

 

「ブレードアサルトライフル」

 

「レールキャノン」

 

「チェンソー」

 

 ダメだこいつら。この世界で真面目に戦うつもりが全くない。……まぁ、俺も真面目に戦うつもりは全くないんだけどさ。喰い応えのあるやつがいるなら話は別になるけど。

 

「そういう君はどうなんだい、トーマス?」

 

「え? リボルバーとアサルトライフル。あとあればブレード」

 

「その心は?」

 

「リボルバーで敵の心臓に早撃ち決める時が一番生を実感するから」

 

 コックピットに至近距離からリボルバーを撃ち込んだ時、あれほど心が踊る瞬間はない。あのコックピットをぶち抜く瞬間、敵から罵られた時なんて、ゾクゾク来るよね。褒め言葉だァ……

 

「本当に君、面白いやつだよ」

 

「ハングドマンには負ける」

 

「年上の女性にどもる癖は直ったかい?」

 

「コフッ……」

 

 この野郎、人が一番気にしてることを……! 

 

「専務?」

 

「おっとっと……キャロリン、その銃降ろしてくれるかい?」

 

 助かった……キャロリンさんが助け船を出してくれていなかったら今頃、物言わぬ屍となっていただろう。

 

「トーマス、彼の言葉を真に受けると痛い目を見ますよ」

 

「モウアッテマス」

 

「……これは重症ですね」

 

「ミ゜ってなってないだけマシだと思う」

 

 スーツが似合う女性ランキング第一位に輝いているプレイヤー、キャロリンさんに至近距離から忠告を受けて片言になってしまった。

 

「にしても……あれだな。受験終わりのゲームは楽しい」

 

「俺達推薦枠だもんな」

 

「へぇ、なら二人は相当優秀なのか?」

 

 優秀……まぁ多分優秀な部類だと思う。俺とキリトがボランティア活動をガンガンやってたし、動画投稿を続けたいなら成績を一定水準突破しろって言われていたから成績はいいのだ。やる時はやる。やらない時は全くやらない。メリハリ大事。

 

「そういうRGさんは? あんた大学受験だろ?」

 

「今のところは問題ない。ナインさんに教えられてるし」

 

 茶髪の頼りなさを感じさせるRGの言葉に、赤い髪を靡かせた背高の青年が小さく笑った。

 

「教え甲斐がある生徒だ」

 

 ナインさんの授業スパルタなんだよなぁ。俺とキリトがテストまでの時間がヤバい時助けてもらうのだが、屍になりかける。

 

「ナインさんってリアルで何やってるの? 教え方上手いけど」

 

「一応塾長だ。塾生は少ないがな」

 

 ほへぇ……駆け込み寺みたいなことをしても普通に対応してくれるナインさんだが、まさか塾長だったとは……今度から授業料払うことにしよう。

 

 心の中でそう決め、この世界の空を見上げる。……煙っぽいが、あの世界よりかは綺麗な空だ。

 

 そういえば、GGO世界の中央都市、《SBCグロッケン》はALOのファンタジックな街並みとは違う。全体的にメタリックな高層建築物が天高く聳え、それらを空中回廊が網の目のように繋いでいる。サイバーパンクな東京……と表現すれば分かりやすいのだろうか? 

 

「にしても……トーマスとキリト。どうしてそんな見た目なんだ?」

 

「「コレガワカラナイ」」

 

「殿下おんぞ」

 

 俺達の容姿はまさかの女顔。……まぁ、リアルでもまぁまぁ女顔なんだけどね? 

 

 背丈はお互いに低くて細いし、髪も凄く艶々している。顔は手と同じく透き通るような白、唇は鮮やかな紅。

 瞳の色はカラコン外した時と同じヴァイオレット。レアアルビノってやつだ。長い睫も相まって女性アバターだと勘違いされてもおかしくはない。

 

「まぁ、サイバーパンクな感じに見た目改造したんですけどね、初見さん」

 

「サイボーグかよ。……というか二人の姿はAC世界に近いな」

 

「そう? …………あんまり気にしてなかったけど、そうかも?」

 

「俺、こんなに女顔だったか……? いや、女顔じゃなかった」

 

「「「女顔だった」」」

 

 キリトが逝ったァ!? こいつら、俺達の気にしてることをピンポイントに抉ってきやがる! 

 

「トーマス……俺はもうダメだ……」

 

「キリト、しっかりしろ! 傷は浅いぞ! 女顔だからってなんだ! お前は男だろう!?」

 

「ガフッ……!」

 

 うわぁああああ!? 俺の発言でキリトがさらにダメージを!? 

 

「……まぁ、キリトは最近イケメンボーイになってきてるし、気にしなくていいんじゃないかな」

 

「あだっ!?」

 

「聞いてよRG。キリト最近彼女できたんだよ」

 

「へぇ。お前は?」

 

「できてないよ! ははは!」

 

 はぁ……彼女欲しいなぁ……でも癖直さない限り無理だろうなぁ……うん、この話はこれで終わりにしよう。悲しくなってくるだけだ。

 

「お前にも必ず出会いがあるはずだ。気を落とすな」

 

「うん、ありがとうナインさん」

 

「それはもしかしたら今日かもしれないぞ?」

 

 はは、まっさかぁ。冗談はよしてくれ。

 

「トーマスの彼女ができない問題は置いておいて、全員、今回の目的は忘れてないわよね?」

 

「ん、それはもちろん」

 

 今回の目的はBoBに参加し、死銃に接触すること。もしくは死銃と思われるプレイヤーを発見することだ。優先されるのは生存のため、接触はしなくてもいい。……そもそも、死銃はゲームを使って殺しているわけではないはずだ。だって蒸かし芋作れなかったし。

 

 今いる皆で話し合った結果、死銃は何らかの方法でリアルの人物を殺害している複数犯という結論が出ている。ネットの書き込みやちょっと違法なネットの海の情報を見るに、傷跡がないことから、多分薬品。

 

「オーバードーズの形跡もないってなると、限られてくるよなぁ」

 

「問題は……どこでそんなものを仕入れたのかです」

 

「ふむ……どこかの医者の関係者……という可能性も捨てきれんな」

 

「結局、あれだよね。調べなきゃ分っかんねぇ」

 

 結局そこに行き着く。どこかのセラピストも言ってたじゃん? 行き着く先はなんとやら。なんだっけ、花京院? 

 

「考察はさておき、そろそろ装備を買いに行こうか。金は……どうする?」

 

「カジノでいいんじゃない? あれやりたい! 動画で見たやつ!」

 

「動画……ああ、キルorデッドか」

 

 そうそう、それ。殺るか殺られるか、なんて物騒で魅力的な響き。死んでもいいゲームだからこその楽しみ、衰えることのない愉悦……! 命中精度が高いNPCとのタイマンとプレイヤーの早打ち対決。楽しそうじゃあないか。

 

「金稼ぎするにもそれが手っ取り早いか」

 

「キリトもやりたいやつあったよね? それも合わせたら結構な額に届くんじゃない?」

 

 決まってしまえば話は早い。カジノへ行って、買い物。そのために俺達は一歩足を踏み出した。

 

 

 ──────────────────────────────────

 

 

「「……つまらん」」

 

 結論から言うと、カジノは全く面白くなかった。

 何だよあれ! 遅いし、なんか赤いの見えるの邪魔だしさぁ! あれ設定で消せないの? 

 

「本来ならあれがあるだけで違うんだが……」

 

「「エペ、BF、COD、ファークラ、ヴァロ、ACその他諸々で培った技術を舐めるな」」

 

 着弾位置の予測なんぞ、簡単にできらぁ! VRでも虹六は虹六だったよ……

 

「とりあえずクレジットも貯まったし、買い物開始!」

 

「予算は……一人二十万か。中々いいやつ買えるんじゃないか?」

 

「カスタム代も考えると頭が痛いけど……うん、まあまあじゃないかしら」

 

 お金を均等に配分した俺達は、カジノコーナーの近くにあった武器コーナーで散開。二十分後に集合することになっているが……さて、何を買おうかな……

 

「リボルバー……どれがいいのかなぁ」

 

 トーラスレイジングブルなるリボルバーがカッコいいから使ってみたいんだけど……そもそも売っているのだろうか? 骨董品売り場とかに売っている可能性が高いような気がする。

 

「何か探し物?」

 

「ああ、いや……トーラスレイジングブルってリボルバーを……」

 

「それなら向こうの棚にあるわよ」

 

「あら、それは助かる……って、おお? どなたか存じ上げないけどご丁寧に────」

 

 いつの間にか、知らない人と会話をしていた俺は、お礼をするべく声が聞こえてきた方向を振り向いた。それが、俺にとってログアウトしかけるレベルのエンカウントとなることを知らずに。

 

「どういたしまして。ルーキーを助けるのも、先達の役目だから」

 

「……ヒョエ……」

 

 銀色と、白い肌色が目についた。……水着みたいな装備をした銀色の女性は、俺のことを見て小さく笑っている。

 

「それにしても君、中々マニアックな武器を探してるね? ルーキーだけど、コレクターだったりするのかな?」

 

「いや、使いたいからです」

 

「へぇ? レイジングブルって反動がエグいんだけど、使えるの?」

 

 マギさんとキャロリンさんと話しておいてよかった。まだ耐えられる。耐えられている。いつ限界が来てもおかしくはないけどネ! 

 

 くだらない余談になるが、俺は相手が年上か否かを判断できる。もちろん年下であっても敬意を払うに値する人や、初見の人には敬語を使う。ゲーム内じゃそんなこと面倒でやってられないが。

 

「反動が強い武器は何個か使ってたし、大丈夫です」

 

「あ、もしかして別ゲーからコンバートしてきたの? どこから?」

 

「ACBONW」

 

「プロしかいないって噂のゲームから!? ねぇ、あそこってどんな感じ?」

 

 ちょっ……この人ぐいぐい来るじゃん……ヤバいよこの人……俺の心が折れそうだよ。絶対、アミュスフィアが警告出しそうになってるよ。やめて、これ以上近付かないで、俺の霊圧が消えちゃう! 

 

「おーい、トーマスー、お前が好きそうな銃……が……?」

 

「あ、キリト、いいところに。助けて」

 

 キリトが来たのは、天啓だと見た。

 しばらく銀髪の女性と俺を交互に見ていたキリトは、何か納得した表情で頷く。

 

「ハングドマン! ナインさん! トーマスに春が来たかもしれない!」

 

「おいコラキリトてめぇ! 俺は出会い厨じゃねぇぞ!」

 

 確かに目の前の人は年上の女性だけどさ!? 

 

「冗談だよ。……お姉さん、悪いんだけどそいつから離れてくれるか? 年上と話すと極度に緊張するからさ」

 

「ふーん……変わってるわね、君」

 

「酷くないです? 年上の女性と話すとどもる人、結構いると思いますよ?」

 

「凄い離れてる!? 今の一瞬で!?」

 

 さすがにドヒャドヒャすることはないが、このくらいなら余裕でできる。この世界にはいないが、フラジールのやべー人とか乙女とかならもっと動きが気持ち悪い。────あ、レイジングブル見つけた。

 

 トーラスレイジングブル────ブラジルで生まれた大型リボルバー。怒れる牡牛の意味を持っている暴れん坊である。ネットや銃の歴史が確かなら、454カスール弾を比較的低反動で射撃可能……なんだそう。

 

 材質はステンレス製で、マグナム弾に耐えるためにシリンダーは前後のラッチ二点でロックする仕組み。放熱冷却用のものもあるらしいが、俺にはよく分からない。

 

 装弾数は六発……俺が向こうで使ってたのとは二発ほど違うが、まぁいい感じなんじゃないかな? 

 

「んじゃ、お姉さん、そういうことなので……」

 

 購入手続きを踏み、クルクルと銃を回して付属してきたホルスターにセット。向こうでもこういうパフォーマンスは喜ばれた。

 

「あ、待って。最後に一つだけいいかな?」

 

 満足感を得た俺に、銀髪の女性が口を開く。適切な距離を保ってください。死人が出ますよ。

 

「……どうぞ」

 

「君……いや、君達、死神部隊って、知ってる?」

 

「「ジョット、カズー、ドナルド、ナーリヤ!?」」

 

 え、あの人達最近見てなかったけど、こっちに来てたの? マジで? ……もしかしてミスター蜂の巣氏とミセス蜂の巣氏もこっちに来てる? 

 

 嫌だぞ、あいつらと戦うの……強いんだよなぁ、皆。【人類種の天敵】、なんて肩書きを得る前に戦ったことがあるが、蜂の巣になるわ、狙撃されるわ、蹴られるわ、コジマに焼かれるわで散々な目に遭わされた。

 

「知ってるんだ?」

 

「知ってるも何も……なぁ?」

 

「あれを知らないならモグリ」

 

 うわー……絶対いるよBoBに。こんなところで会いたくないです……止めてください、死んでしまいます。……ぶっ殺すぞ死神共。殺虫剤ばら蒔いてやろうか。(豹変)

 

「知ってるなら話は早いや。気をつけて」

 

「何でです?」

 

「あの四人、何かを探してるって噂がある。……死銃(デス・ガン)とも繋がりがあるって話もあるから────」

 

「「面白い冗談ですね?」」

 

「────ッッ!?」

 

 おっと、つい殺気が。二人同時の全力殺気に、銀髪の女性が臨戦態勢へと移行する。あっはっはっはっ、本当に面白い冗談だよ、それ。

 

「まずあり得ないんで。死神共がリアルで殺人とか」

 

「死神部隊は確かに狂った集団だけどな。けど、死神部隊って肩書きが穢れるようなことは絶対にしないんだ」

 

「俺達ならこれくらい、なんですけど、他の人なら……うん、殴られるかも。気をつけてくださいな」

 

「……凄い信頼ね」

 

 それだけの信頼を彼らは積み上げてきたのだ。

 

「ま、あんまり話さなければ、分からないかもですけどね。あの人達は本当に善良だよ。……滅茶苦茶怖いけど」

 

「うん、マジで怖いよな、あの人達」

 

 そこだけは同意できる。得体の知れなさも、まぁまぁ理解できるが、あの人達の積み上げてきた信用と信頼に比べれば大した問題ではない。

 

「文句があるってんなら、どうせBoBでぶつかるでしょうし、その時にでも聞きますよ」

 

「BoB? 君ルーキーだよね? この世界は君のいた世界と同じくらい厳しい世界だよ」

 

「そんなのどの世界でも同じなんですよ」

 

 さっき感情が昂ったからか、銀髪の女性と話していてもどもらない。……あれ、もしかして俺って感情昂らせてないとこうなるの? マジで? これ疲れるんだけど? 気を張り続けないと俺は彼女も作れないということか…………諦めようかな。

 

 うん、独身でもまぁまぁ楽しいでしょ。ナインさんとか見てるとそう思える。

 

「さて、キリトや、俺の予算が想定以上に減ったんだがどうする? 残り十万なんやが」

 

「お前、忘れたか? この日のために課金用の予算を積み立てていたことを」

 

「そうか……! その手があったか……! でも、いいのか? あれって俺達の動画撮影予算でもあるんだけど……」

 

「馬鹿お前、そこはまた貯めるんだよ」

 

「それもそうか」

 

 ならば早速買い物だ。

 

「で、その武器とやらは?」

 

「エネルギーブレード。なお、鉈」

 

「購入」

 

 アサルトライフルのコーナーへと向かいながら、キリトに言われた言葉で購入を決定する。鉈なんてあったのか、この世界。まぁ、多分軽いやつだと思うけど。

 

「そう言うだろうと思って買っておいたぞ」

 

「天才か?」

 

 ……おお、軽くてリーチが短い鉈がエネルギーブレードに……これはもはやACじゃないか。やはり全てはACに至るのだ。

 

「使い心地は……まぁまぁいいな」

 

「ほうほう、中々様になってるわね?」

 

「……あの、なんでついてきてるんですか?」

 

 さっき別れたはずの銀髪の女性がついてきている。しかも距離が近いのはなんで? ヒエッ、近付くんじゃあねぇ、死人が出るだろうが! 俺が死ぬぞ! 

 

「君、BoBに出るって言ってたけどここ来たの初めてでしょ? 案内してあげようと思って」

 

「よかったなトーマス。本当にワンチャンあるかもしれないぞ」

 

「あるわけねぇだろいい加減にしろ」

 

 キリトがニヤリと笑っているのを見て、青筋を立てる。親友よ、俺が出会い厨だとでも思ってるのか? 思っているなら一度雌雄を決することになりそうだな……

 

「あ、私銃士X(マスケティアイクス)。よろしくね」

 

「……トーマスです」

 

「キリトだ。よろしく、Xさん」

 

 …………なんかよく分からないけど、案内役を手に入れた。

 

 

 

 




トーラスレイジングブルの説明はWikipedia及び『世界の銃』などから抜粋しています。

おかしな部分があるかもしれませんが、ご了承ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。