ナーヴギアで焼き芋作ったら日本を救えたらしい   作:エヴォルヴ

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トーマスを見たキャラクター反応集

キリト:待てトーマス、話せば分かる。だからアミュスフィアを解体してオーブントースターの基盤を作ろうとするな! え? IHならいいのかって? なんで作れるんだよ!?

アスナ:彼、どんな頭の構造してるのかしら……キリト君、トーマス君といるといつも楽しそうだし、私とミトみたいな関係なのかな?

ミト:退屈はしなさそうだけど、彼女になった人は大変そうね。トーマスに振り回されてばかりになりそう。

リーファ:お兄ちゃんの友達かぁ……似てるかも? リアルで何回か顔合わせはしたけど、ちょっと雰囲気が似てる、かな?

クライン:あんま無茶苦茶しすぎんなよ。親御さんに迷惑かかんねぇようにな!

エギル:いつでも来いよ。歓迎するぜ。

ユナ:いくつになっても可愛い弟。今度のライブはデュエットだからね!

ノーチラス:ユナの歌唱アルバムだと……!? そんなものをいつの間に!? さすがはファンクラブ創設者といったところか……

鍛冶師:ぶっ飛んだ子ね……キリトそっくりよ。暴走ぶりは随一だけど!

テイマー:えーと……なんだかちょっと怖いです。ごめんなさい!

水色の山猫:あなたはどうしてそこまで強いの?……待ちなさい、その手に持ってるクリームパイを置きなさい。


9.踊ろうぜ

 サラマンダーのプレイヤーの何人かを殺したトーマスは、キリトに目配せした後、笑みを浮かべて口を開いた。

 

「気を取り直して、やあ、サラマンダーの皆さん。こんな晴れ模様に完全武装とは、随分と物騒だ」

 

 バリバリの警戒態勢になっているサラマンダー達におちょくるような口調で語りかけるトーマス。

 今にも飛び出してきそうなサラマンダー達だが、指揮官から攻撃命令を出されていないからか、押さえている。その様子を見ていたリーファ達は、そっとシルフと思わしき集団の傍らに着陸した。

 

「ああ、連れは気にしないで。あの人達はうちの依頼主が雇った用心棒みたいなものだか、……おや、見覚えのある顔だ。やあ、サクヤさん」

 

「君は確か……ユナの……」

 

 現シルフの領主の姿を見て、トーマスは小さく笑った。

 女性シルフのプレイヤーとしては中々に背丈があり、ダークグリーンの長く艶やかな直毛。白い肌、切れ長の眼、高い鼻筋、薄く小さな唇はまさに磨き上げられた刃のような美貌だ。

 武装はトーマスが使いたくても使えない大太刀。前合わせの和風長衣と深紅の高下駄を見て、トーマスは天狗を連想する。

 

「おっと、無駄話はあとにしましょう。サラマンダーさん達、指揮官は? 話はできる? それとも……」

 

 間を置いて、先程までの笑みとは違う邪悪な笑みで語りかけた。

 

「後ろにいないと怖くて動けない腰抜けか、言葉の通じないゴリラ? ……ああ、ゴリラは手話もできるしゴリラには失礼だね」

 

「貴様ァッ!!」

 

 激情に駆られて、一人のサラマンダーが襲いかかる。隻腕のプーカなど、重装備の自分を倒せるわけがない。恐れる必要はないのだと判断したのだろうが、認識が甘い。

 

「単調な突撃……」

 

「ッ……!?」

 

 誰もが目を見張る。隻腕のプーカがシルフと辻デュエルをしたという情報は出回っているが、直に見た者は少ない。だからこその動揺だった。

 右腕の像が歪んだ瞬間、突撃してきたサラマンダーの手足が落ちたのだ。

 

「重さに任せた一撃。そこまではいい。しかし……フェイントがないとは舐められたものだ」

 

 その声と共に放たれた一撃。たった一撃で、重装備サラマンダーの半分以上残っていたHPバーを消し去る。

 

「さて、部下を殺られても出てこないような腰抜けじゃあないだろ?」

 

 サラマンダーの襲撃部隊に動揺が広がる中、奥から大柄なサラマンダーのプレイヤーが現れた。

 レアアイテムであろう赤銅色のアーマーに身を包み、背には妙な気配を放っている巨剣を装備している。

 

 深紅の双眸は見る者全てを威圧するほどのプレッシャーを放っており、見ているだけで寒気を感じるほどだ。

 

「────スプリガンとプーカが何をしている。混成ともなればレネゲイドだろうが……」

 

 ガシャッと音をさせてトーマス達の前に降り立った戦士は、無表情のまま踊り子じみた服装の少年を睥睨した。

 

「まぁいい。どちらにせよ殺すが、先程までの技量と度胸に免じて話だけは聞いてやる」

 

「ちょっとした売り込みだよ。プーカとスプリガン、同盟組んでいるから。噂になってたシルフとケットシーとも是非、と」

 

 この場にいる誰もが絶句する。ブラフ、ハッタリ、ネゴシエーション、欺瞞、大嘘にも程があると。

 

 ────だが、プーカの領主は歌姫ユナ。ユナこと重村悠那はトーマスをプーカの大使に任命している。護衛であるノーチラスこと後沢鋭二の立会の下、それはプーカとスプリガンにとって周知の事実となっていた。大変遺憾ながら、トーマスは事実しか話していない。

 

「スプリガンとプーカが同盟だと……?」

 

「ああ……公表されていたはずだけど、知らない? あなたは情報弱者のようだ」

 

「……貧相な装備の貴様が大使とは、にわかに信じるわけにはいかん」

 

「おやおや、大使ともなれば、カモフラージュも必要だよ。敵を欺くには味方すらも欺かねばね。そもそもこれが初仕事ですから。俺も、彼もね」

 

 無駄にいい声で、挑発しまくる口調のトーマス。これで顔を仮面で隠していれば間違いなく【煽動卿】、煽り散らかすトーマス。

 挑発し続けるトーマスと沈黙するサラマンダー。ひりつくような沈黙が世界を覆い、やがて、サラマンダーが背に手を回して巨大な両刃直剣を抜き放った。暗い赤に輝く刀身に、絡み合う二匹の龍の象嵌が見て取れる剣である。

 

「────そこのスプリガンと共に、オレの攻撃を三十秒耐え切ったら、貴様らを大使と認めてやろう」

 

 その時トーマスとキリトが見せた笑みを、この場にいる誰もが忘れることはないだろう。純粋で、不純で、邪悪で、善良で、高潔で、悪辣な、矛盾を孕んだ笑顔を。

 

「「随分と気前がいい」」

 

 一瞬だけ、サラマンダーが後退りしたように見えたのはきっと錯覚だろう。

 キリトはモンスタードロップの青い宝玉が埋め込まれた黒い魔剣《ローズ・フラグメント》を、トーマスは《ソル・レムナント》を手に取り、空へ浮上する。

 

 たかが三十秒、されど三十秒。だが、キリトとトーマスのコンビならば余裕な条件とも言える。

 緊迫した空気の中、リーファの隣に立っているサクヤが低く囁いた。

 

「不味いな……」

 

「サクヤ?」

 

「あのサラマンダーの両手剣、レジェンダリーウェポンの紹介サイトで見たことがある。《魔剣グラム》……その持ち主は────」

 

「ユージーン将軍……!」

 

 驚きを隠せないミトが呟く。

 

「サラマンダー領主モーティマーの弟……知の兄と武の弟。サラマンダー最強の男だ。つまり……」

 

「全プレイヤー最強……?」

 

 その声が聞こえていたのか定かではないが、クライン達の目に映ったキリトとトーマスが楽しそうに笑っているように見えた。

 

「気配は……ナインさんより二回り下……かな」

 

「あの人を基準にしてはいけない(戒め)」

 

「じゃあ乙女」

 

「あれも例外」

 

「だったらパラダイス────」

 

「おっと、イレギュラーさんはNG」

 

 一見ふざけているようにしか見えないが、ふざけてはいない。むしろ大真面目。真面目に楽しんでいるだけだ。

 

「さぁ、踊ろうぜ、サラマンダー」

 

「俺達じゃあ不足かもだが……なっ!!」

 

 予備動作なく突撃した二人に反応したユージーンは、頭上に両手剣を掲げ、迎撃する。軽々と受け止めたユージーンが反撃の姿勢を見せた瞬間、スプリガンとプーカの目が光る。

 

「……躱したか」

 

「ガードは甘え」

 

「当てたきゃARAGANE mdl.2くらいは持ってこい」

 

 この二人の反応速度は後にとあるスナイパーが「なんで対物ライフルの弾丸を至近距離で躱せるのよ!?」と発狂し、とある辻デュエリストが「なんで一発も当たらないのさぁ!?」と叫ぶことになる程だ。

 ちなみに、これの下位互換になってはしまうが、硝煙とコジマ吹き荒れる世界に住む者達の反応速度は異常に発達している。

 

「その剣、グラムだろ? サイトで見たことがある」

 

「ほう、知っているのか」

 

「キリト、グラムってシグルズの剣でいいの? だったら能力になんとなく心当たりあるんだけど」

 

「ふむ……いいだろう、言ってみろプーカの戦士」

 

 興が乗ったと言わんばかりに問いかけるユージーンに、トーマスは最近父の部屋で読んだ知識を披露する。

 

「シグルズの剣、グラム。石、鉄を軽々と切り裂く竜殺しの剣。最後には持ち主を殺すことにもなったそれは……恐ろしい竜の鱗を容易く貫いた。なら、答えは簡単」

 

 武器を器用に回しながら、トーマスは答えを弾き出した。

 

「武器や盾への破壊効果ボーナス────はあんまり特別感ないから、武器や盾による防御のすり抜け、かな」

 

 その答えにユージーンは小さく笑う。

 

「正解だ。冥土の土産としてこの刃、受けるがいい!」

 

「「え、そんな遅い攻撃が当たると思ってるんですか!?」」

 

「貴様ら、後悔するなよ!」

 

 さすがのユージーン将軍であっても、挑発され続ければ叫びたくもなるし、三十秒経過した後だとしても斬りたくもなる。

 

 だが、キリトとトーマスに攻撃が当たることはない。未来でも見ているのかと思うくらい動きを先読みされて、当たると思えば横槍が入る。守りの姿勢を見せれば、前後左右から縦横無尽に動き回られて、集中力を削られてしまう。

 

 本来の世界線ならば、ユージーンとキリトによる真っ向からの戦いになっただろうが、この世界線のユージーンは何を血迷ったのか二人との同時戦闘を許してしまった。

 トーマスに気を取られていると、キリトが斬りかかってくる。キリトに気を取られていると、一度下がったトーマスの魔法によるバフが入ってキリトが強化される。そのループを崩そうにも、攻撃が当たらない。当たらない攻撃に何の価値があるだろうか。

 

「ヘイヘイ、攻撃が当たらないんだけど?」

 

「チィッ!? なぜ当たらん!」

 

「両手剣の動きは見易くていいな!」

 

「ぐおおお!?」

 

 誰もが絶句した。あのユージーン将軍が、あのALO最強のプレイヤーと謳われたプレイヤーが、なす術もなく蹂躙されている。片や隻腕のプーカ、片やプーカと並び最弱とも揶揄されることすらあるスプリガンの二人に、ユージーンが押され続けている。

 余裕なく剣を振り回すユージーンと、苛烈ながらも丁寧に攻撃するキリトとトーマス。その姿を見て、誰かがポツリと呟く。

 

「黒い……鳥……」

 

 翼を大きく拡げ、獲物に襲いかかる黒い鳥を連想した。

 

 ある者はその呟きを聞いて、少し前に見たゲームの記事を思い出す。何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥。

 

 片方は檻を喰い破る狼のエンブレムの機体を操る【人類種の天敵】。

 片方は二人の騎士が剣を交差させているエンブレムの機体を操る【山猫の英雄】。

 

 その二人の伝説は、取材された側が「頭おかしい」、「弾幕をすり抜ける変態」、「また戦おう。君達にはその権利と義務がある」などと言われた化け物のことを、なぜか思い出した。

 

「さて……そろそろ終わりにしようか、サラマンダー」

 

 その言葉を放ったトーマスの顔を見て、ユージーンは何を思ったのか。怒ったかもしれないし、自尊心を傷つけられたと思ったかもしれないし、戦慄したのかもしれない。

 次の瞬間、エンジンが最高に温まったトーマスとキリトの動きが変わった。まるで戦闘機の高速機動のような動きで、黒い燐光と白い燐光が瞬く。

 

 蹂躙だ。絡み合う二本の軌跡が稲妻のように空を駆け巡る。時折エフェクトが光塵を散らし、その度にユージーンのHPが削られる。

 

「なん、て……もんを見てるんだ、俺達は……」

 

 ケットシーの一人が呆然と呟く中、リーファ達は彼らが太陽へ向けて高く飛び上がるのを見た。

 

「「フィナーレだ、受け取れよ将軍!!」」

 

 太陽の光がユージーンの顔をしかめさせる中、トーマスとキリトの最後の攻撃が始まった。

 

「ドアアアアアァァァッ!!」

 

「ウルォオオオオオオアアッッ!!」

 

「ゼリヤァアアアアアアアッッ!!」

 

 三人の戦士の叫びが天地を震わせる。トーマスも、キリトも、ユージーンも、この戦いを、純粋な生存闘争として認識し、闘争本能を剥き出しにしていた。

 

 ユージーンは将軍としての威信とプライドを賭けて。

 

 キリトはリーファを助けたいと願った自身の心に賭けて。

 

 トーマスは楽しみ続けるために。旅を皆で終えるために。

 

 三人の心がぶつかり合い、ユージーンの刃が、執念がキリトの首を狙い────。

 ガリャアンッ! と凄まじい金属音と共に、魔剣グラムは弾かれた。弾いたのは、《マニ・レムナント》を噛み付くようにして持っていたトーマスだった。

 

 二人の間に躊躇なく入り込み、針の穴を通すような完璧なタイミングで弾き飛ばされたそれを見て、ユージーンは驚愕の気配を漏らす。

 

「一発目ぇ!」

 

 キリトの剣が切り裂く。

 

「二発!」

 

 トーマスの刃がユージーンの腕を切り飛ばし、口に咥えていた刃をキリトが掴んで三、四、五と高速で連続攻撃を繰り出す。

 そして最後には逆手に持った炎の刃と、キリトが握った氷の刃がユージーンの体を刺し貫いたことで、ユージーンの体がエンドフレイムに包み込まれて消え去った。

 

「悪いな。こっちにも守りたいものがあったんだ」

 

「【黒い鳥】の名に偽りなし、だね」

 

 武器を背に戻し、ハイタッチを交わすと、勝負の行方を見守っていた一人であるサクヤが沈黙を破った。

 

「見事、見事!!」

 

 張りのある声で言い、両手を打ち鳴らす。

 

「すごーい! ナイスファイトだヨ!」

 

 アリシャ・ルーがそれに続き、多くのプレイヤーがそれに続いた。二対一であったとしても、ユージーンは最強のプレイヤーだったのだ。それを打ち破ったスプリガンとプーカ。最弱の種族と揶揄されることすらある種族が、最強のプレイヤーを打ち破ったという事実が、多くのプレイヤーの心を震わせたのである。

 

 アスナも、ミトも、リーファも、クラインも等しく笑いながら拍手を送る中、キリトとトーマスは飄々とした笑みを浮かべてフワリと地面に着地した。

 

「や、どーもどーも!」

 

「凄い歓声。楽しんでいただけたようで幸い。で、誰か蘇生魔法使える?」

 

「ああ、私がやろう」

 

 サクヤが頷くと、着流しの裾をはためかせながら、ユージーンのリメインライトの傍らまで上昇して詠唱を開始する。

 やがてサクヤの両手から青い光が現れ、複雑な魔法陣が展開されて残り火が人の形を取り戻す。

 

 最後に閃光を発すると、魔法陣は消滅。キリトとトーマスの近くにユージーンが着地すると、再び沈黙が訪れた。

 

「────見事だ。俺が見た中で最強のコンビだ、貴様らは」

 

「そりゃどうも」

 

「最後の攻撃、あれはちょっとビビったよ」

 

 ユージーンの言葉に、短く応じた二人。

 

「世界は広いな。貴様らのようなスプリガンとプーカがいるとは」

 

「そりゃ、大使に任命されるくらいだしね」

 

「新人だけど」

 

「……」

 

 トーマスの見せた大使任命書を見て、事実を理解してはいるが、脳が理解を拒んでいた。

 その時、台地を取り囲むサラマンダー部隊の中から一人のプレイヤーがユージーンの前に歩み寄る。

 

「ジンさん、ちょっといいか」

 

「カゲムネか、なんだ?」

 

「エスの情報でメイジ隊が追ってたのはこの二人だ。……リスポーンした連中がガタガタ震えてたが、何をしたんだか」

 

「食い散らかしただけ」

 

(((食い散らかしただけ……?)))

 

 この瞬間、首をかしげる一同と、「おかしなこと言ったか……?」、「ねー?」と顔を見合わせるキリトとトーマスがあったという。

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル武器

ローズ・フラグメント

一見するとただの黒い剣だが、柄の部分に青い宝玉が埋め込まれている。武器ステータスも高水準で、本来の世界線ならエリュシデータとして登場していたはず。イエーイ、エリュシデータ君見てるー? 君の相棒、NTRちゃったねぇ!!

キリトの愛剣枠はさァ! こいつのもんになっちゃったよ!! これからはアインクラッド実装まで咥える指もなく、ただただ眺めて生きていけ!! 頑張ろうな!!
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