脳内ゴドフリー   作:ブロx

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第三層→第四層

 

 

 

狭間において、この武器は『Pickaxe』と呼ばれていた。

 

「つるはしだよ」

 

岩盤を掘り砕くもの。石堀りの得物。

 

「つるはしだよ」

 

しかるに鋭利な先端で貫けぬものなど(あんまり)無いと。

 

「つるはしだよお!!!!!オラアアアアアッッ!!!!!」

 

 敵の剣ごと肉体をぶち壊す俺の得物が風切り音を発生させ、ブルドーザーさながらに耕す『つるはし』は森エルフ共に多大な被害を与えていた。

 

「ぐぬ・・・ッ!!」

 

「お前はいった・・・い・・・な・・・にもの・・・ウボァー」

 

 刺突カウンターという補正が『えるで』には有った。敵の態勢の如何によって、或いはこちらの攻撃タイミングによってダメージが上がるそれはこのアインクラッドにも有るのか、俺は断末魔の声をそこかしこに生み出していた。徐々に確実に敵の数が少なくなっていく。

 

 ・・・いや、それにしても強くない?

武器強化なんてしてないのにさっきから敵の防御ごと打ち砕いているような気がするが。

 

「消え失せろ人族!!!」

 

「ヌ!?!」

 

 油断。しまった、この武器の特性を戦闘そっちのけで吟味しすぎた!

・・・何とか肩で受け止めようと刹那、俺の脳内がそう判断すると、

 

「キュキュイ(助太刀。失礼)」

 

 ? 衝撃なし。疑問マークの発生源を探すと共に、眼を動かす。すると俺は一羽の鳥に助けられていた。

 

「――君は」

 

「貴様・・・・。鷹使い、何のマネだっ!!」

 

 問われるエルフの鷹使いはヘドロを見る表情で空を、自身のモノである筈の鷹を見上げていた。憎悪と嫌悪でもって、

 

「クズが。空気にもなれませんか、鳥のくせに」

 

糸目を開いて。

 

「キュイキュー。キュオ(黙れ糸目。ようやっとその目を見れて嬉しいけど、キミとのバディは退屈過ぎた。キミが画く風景は鬱陶しいし手狭に過ぎてね、ボクの戦の場としては物足りないんだよ)」

 

「あァそうですかそうですか。つまりそれってェ、今ここでさっさと死にたいって事ですよねえ?」

 

「キュオオギュ!!(生き死に行き交う戦いこそ我が戦場!狩りなど以ての外!キミとじゃ笑って赴けないのさ!!)」

 

 決裂、いや壮烈なる爪と嘴の攻撃が乱舞のように繰り出され森エルフ達を攪乱する。殺す気満々覇気万端。

 するとヘイトを稼いでくれているのか俺に対する敵の攻撃が弱まる。ありがたいがこれでは助太刀してくれた鷹くんの方が危ない。

 

「鷹くん!」

 

「キュイ!!(名を!!)」

 

「え!?」

 

え。

 

「キュイキュキューオ、キュイ!!(貴公の風、とても楽しい。ボクはそう判断した。だからどうか共に世界を、貴公の戦いと風景を見せてほしい。

 これはその誓いだ。その為の名をボクに!!)」

 

 名付け親になれ。森エルフ達を切り裂く鷹がそう語る。まるで嵐のように襲撃するその様は不思議と、100度戦場を共にした親友に似ていた。

 

ふっと、脳内に現れる。言葉は同じようにするりと出てきた。

 

「いいだろう。では君はディーネだ!猛き鷹、嵐の中で輝く我が親友のように君の世界を!自由に飛び続けるといい!!」

 

「キュオオオオオオオオオ!!!!!(ゥオオラオアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!)」

 

鷹(ディーネ)が叫ぶ。そして俺も叫ぶ。戦いは佳境に向かっていた。

 

「フン!!」

 

 今は片手持ちしか出来ないが振りやすい形状のつるはし。その一撃はハロウドナイトを僅かに俯かせた。クリーンヒットだ。

 

「ぐ、!貴様ァ・・・!!!」

 

 こちらを見る。あちらを見る。

生涯最後のアイコンタクトは勝者と敗者を分け隔てていた。

 

「さらば。白大樹の騎士長殿ォ!!!!」

 

 ――ヌガっ。 口元からそんな音が聞こえるのを無視して、俺は全力で得物の先端を森エルフの脳天にブチかまし続け、ついには地面を抉っていた。

 破壊エフェクトと同時に引き算を行うと、残りの敵は鷹使い只一人となった。

 

「一応言っておくが、降伏はムダだ。抵抗しろ」

 

「おやおやあ?人族でもジョークが言えるとは思いませんでした・・・ねぇッ!!!」

 

 この期に及んで攻撃を止める事なき戦士=鷹使いは素早く全身を動かし続けていた。疾風のような烈火のような、スタミナ無限ですか?繰り出される攻撃の数々は手練れのそれだ。

 

 身体の移動は重心と刀刃の操作。まるでモーゴットのような全身のうねりと連続攻撃は俺に楽しさを思い起こさせている。・・・期せずして彼ら森エルフと敵対してしまったが、それはそれとしてこの戦いすげえ良いなあ。

 

「キュイッ(手出しはッ?)」

 

「無用!!!」

 

―――やっぱりコイツ、良い獲物だった。

 

「楽しかったぜ。フォレストエルブンファルコナー!」

 

「・・・・ぁあああああア!!!!」

 

 跳躍。そして激突。 敵を防御ごと首ごと撃滅させた俺はこの修羅場の中で只一人、勝ち得たこの武器を天に掲げた。

 

「しゃあッ!!最高だぜこのつるはし! どうだ?メチャ強いだろ?」

 

「キュキュキュイ(その道具をそんな使い方するの初めて見たよ。控えめに言って人族の埒外だね)」

 

「褒めるなよ。黒エルフが見てる」

 

「キュ??(褒めてないけど残りはどうする?やるの?)」

 

「逃げる」

 

「キュ~イ!(りょうか~い!)」

 

 あっけに取られている黒エルフの生き残りを尻目に、嬉しそうなディーネと片腕の俺はこのバトルフィールドを後にした。

 

 

 

 

 

 

 そろそろこの層のフロアボスと攻略組が戦うだろう。そんな俺の勘は見事に的中していた。

 

「うおらアアアアアア!!!!!」

 

 さてやって来ましたここは三層ボス戦。

でっかい木のモンスターであるボスは当初我が拳ではダメージがイマイチだったが、部位欠損が治った今、俺のつるはしはクリティカルヒット連発で敵にダメージを与え続けていた。ディーネと共に戦場を駆ける、いや跋扈する。やっぱり全てを耕す形をしてる武器とダチは違うな。

 

「キキュー(そんな形、ボクは御免こうむるけどね)」

 

「しゃおら!シャイア!ッッシャイアオラアアアア!!!!!」

 

 攻略組のメンバーと共に得物をブンブン振るう。

するといつの間にかボスはぶっ倒れていた。これで第三層突破、証拠の勝鬨がボス部屋に木霊する。勿論俺も声高に。

 

「やったな、ゴドフリー。しかしその武器と鳥は・・・?」

 

「え?これ?スレッジハンマーと俺の友達」

 

「ハン、マー・・・?」

 

「え?それ只のつるはしじゃ、」

 

「さあ第四層に乗り込むぞオラア!!―――は?」

 

 装備の質が上がったのだろうディアベル達と、今日は祝杯だと騒ぐ攻略組を尻目に俺は次層へ続く大扉を開けようと眼を移した。

 だがその扉は既にぽっかりと口を開けて俺を待っていたのだった。

 

・・・先を越された?この俺が?

 

「キュウーー!(先に行かせてもらうよ友達ィ!)」

 

「あ、テメ待ておいてくな!!」

 

 ディーネの後ろを走り続けると第四層の空気が流れてきた。軽く吸うと、川だろうか?水の匂いが俺の嗅覚を刺激する。

 うろ覚えな記憶によればたしか・・・・ベータテストの時と違って第四層のテーマは、

 

「水か」

 

「水か?」

 

次層に到達。そして、声が重なる。それに釣られると二人組が立っていた。

 

「あ、どうも。ゴドフリーさん」

 

「ナイスファイトでした、ゴドフリーさん」

 

 初めましてと挨拶するブラッキーな片手剣士さんと細剣使いさん。

これが身目麗しくカッコいい原作ヒーロー及びヒロインとの初会話(ファーストコンタクト)だった。

 

 

 

 

 

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