「第四層の隠村を廃村にしたのはキミだろう?面白いことをする」
「あ、どーも。俺はゴドフリーってもんですが、第四層の村?なんのことです?」
「とぼける必要も構える事もない。加えて、もっとフランクに話してくれていい。私はキミを買っているのだからな」
「へえ?」
◆
『第十回脳内会議開催ー!!!!!』
『はい』モーゴット
『はい』モーグ
『はい』ゴッドウィン
『はい』マレニア
『はい』ミケラ
『はい』ライカード
『はい』ラニ
『はい』ラダーン
『はい』ゴドリック
『はい』マリカ
『見て解る強者の雰囲気。恐らくコイツがフォールンエルフの将、ノルツァーだろうな』
『殺しましょう義父上』
『時期尚早と思われまする父上』
『あなたたちのたたかいはずっとうたわれるー』
『アイアムマレニアブレイドオブミケラ』
『ミケラぁ』
『うーむ。ディーネもいるし、やり合って良いものか』
『ここは待つべきです義父上。そして蓄えましょう、王の故を』
『左様!加えてこのエルフ・クエストは第九層で終わりを迎えまする。父祖は独自のルートを開拓しておられるのだからして、その終わりは未だここではありますまい。故にここぞという時に発揮すべきと愚行致しまする。存分に!!其の故を!!!王の故を!!!』
『あなた。フォールンエルフの事を、もっと良く知ってよい頃合いでしょう。戦いにおいて重要なのは狭間でも何処でも、敵を知ること。いつもそうやってきた筈。我が王よ』
『そうだな、よし分かった!とりあえず話半分に聞いておいてタイミングを見計らってぶっ倒す方向で!そんな感じで第十回会議は解散!皆ありがとう!』
◆
――というわけで、レベルの差は一目瞭然であった。
「カイサラにはキミの腕を確かめさせていた。そして私は、このノルツァーはキミを気に入った。―――どうかな、共に目指さないか?」
「何をだい?」
「朽ちることなき黄金を」
剣士カイサラと同じ肌の色。フォールンエルフの将軍・ノルツァーはそう言った。
「・・・黄金?」
「大地が切断される前。まだこの地が空の下にあった頃、朽ちることのない生命があったという。だが何故か彼らはいなくなり、2つの聖大樹はそれを受け継いだ。らしい」
「ふーん」
「黒と森のエルフたちはそれに至ることを止めた。――嘆かわしいと思わないか?目指すものが身近にありながら、手を伸ばせば叶う夢がありながら、それをしないなどと。
こういうのをなんていうか知っているかね、同胞よ」
「怠慢かなあ」
「その通りだ。そして君も、そう思うだろう?」
「俺?どうでもいい」
「ほほう?」
「朽ちることなきなんて俺の知るかぎりないし」
黄金樹はいつも燃えるし。
「いくら戦っても終わりはくるし」
全ボスぶっ倒しちゃった後の狭間の地なんてつまんないし。
「でも」
「でも?」
「面白そうだ。その夢、のった」
「共にゆこう。我が同胞・ゴドフリーよ」
ノルツァーと俺は仲良く握手をした。
お?クエスト発生だ。『堕ちたエルフと竜狩り』
え?竜なのかい?
「キミにはまず、この階層の守護者を倒してもらいたい。奴は幾年もの時を生きたドラゴンで、奴が生きているかぎり我ら黄金を求めるエルフには少々デバフがかかるのだ」
「ドラゴンか・・・!」
「そう、古より生きる竜だ」
「竜とやり合うのは久しぶりだ。下の階層には一匹たりといなかったからなあ」
「・・・、かつて竜狩りが趣味の者がいたのだ。当然だろうな」
「友達になれそうだあ。そいつ、今どこに居るか訊いていい?」
「もう亡びた。残念だったな」
「そっかあ・・・」
戦ってみたかったなあ。
「とにかくこの階層・天柱の守護者は、名を火竜アギエラという。竜を見れば片端から殺した竜狩り・ファルハリですら見逃した、恐ろしい竜だ」
「ほおう」
「きゅうー(ほほーう)」
ディーネと俺は気分が良くなった。
「愉快そうで何よりだが。・・・貴公、竜と見えたことがあるのか?」
「ああ、何度もある」
「・・・・何度も?」
「ああ。こっちの話だが、岩のウロコをもつ巌の壁共さ。赤き雷を振るう、正に難敵だった」
「・・・」
「しかも奴らの王はそれはそれは俊敏に動く怪物でね。ヤツが吐きだす滅びゆく断末魔を避けることは至難。正に竜王と呼ぶに相応しかった」
「竜の・・・王」
!いかん。浸ってしまった。
「・・・ごほん。それはともかく、具体的には俺にこれからどう動いてほしいんだい?将軍ノルツァー」
「ん?別に何も。ただ力量を上げてほしい。アギエラの眼光は『威圧の視線』。生半可の人族では身動き一つとれぬだろう。
このまま向かい風の道を往くと、山岳地帯に入る。そこにいる低級だが歯ごたえのあるモンスター共と存分に戦い、力をつけたまえよ。赤竜はその先にいる」
「分かった。いつも通りぶっ倒してレベルを上げろってことだな。そしてさっさとその古竜を狩れと」
ノルツァーは満足げに頷いた。
「期待している。ああ、そうそう、この階層の中央部にはハリンの樹宮といって黒エルフたちの拠点がある。努々近づかぬことだ」
「了解ー」
そんな感じで、俺達の悪企みは一旦終了することとなった。
◇
「キキュ(いいのかい?安請け合いしちゃって。どうせあの堕ちたエルフも倒すんだろう?)」
「もちろん。俺は『えるで』の王だからね。だがまだ早え」
「キュウ?(はやい?)」
「今の俺らじゃまだ勝てない。見てわかる、アイツ強すぎる」
「きゅー…(…まあたしかに)」
「ケイリッドの神肌の使徒にガチンコ物理オンリーかつ低レベで挑むみてえなもんだ。一回死んだらゲームオーバーなこの世界じゃ分が悪い。せめてここが狭間であったなら」
なので今は力をつけるべきだ。
「今は超特急でレベルを上げに上げるぜ。向かい風上等だ。行くぞディーネ!」
「キューウ!(楽しくなってきたねえ!)」
楽しい楽しいモンスターハントという名の道中が始まったのであった。
「うらあ!!! この向かい風の道は一方の追い風の道と違ってモンスターがめちゃ湧いて出るからいいなあ!あっちのカジノも悪くないけど、俺はこっちの方がいいぜ最高だ!!」
良い獲物がたくさん。これぞ幸せである。
―――体術スキル・クイックを獲得しました。
「?なんだこのスキル」
移動系のスキルのようだ。試しに使ってみると、
「うお」
「?キュ~(急に反復横跳びを始めてどうしたんだい?)」
「分からない。体が勝手に動き出して」
俺の意思に関係なく足が動く。めちゃくちゃ速く。
「瞬間移動ってわけでもないし・・・。敵に囲まれた時の脱出手段として覚えておこう」
「キュキュ(こういうスキルが実は強かったりするんだよね)」
そうかなあ・・・?
「よし。とにかくレベル上げは順調だな。欲を言えばもっとスピードがほしいところだが―――。どうやら大丈夫みたいだな」
それは何故か。獲物がいたからである。
「きゅーひ(山岳の橋上に陣取っているね。数は2人。何をしているんだろう)」
「おおかたフォールン・エルフ共への対策ってとこかな」
今の俺は普通のエルフ全部に敵対している。人畜無害な人族ですって感じで進んだら即エンカウントだろうな。
「ディーネ。ちょっと奴らの気を反らしてくれないか」
「きゅ~(りょうかーい)」
獲物ごと橋を落とそうと思ったが出来なさそうなので、ここは皆大好き落下死作戦といこう。
まずは翼持つディーネが奴らにちょっかいをだし、
「――ん?なんだこの鷹は」
「森エルフが近くにいるのか?」
上を向いたな。さらに言えば背中も向けた。今がチャンス!
「ん?」
「よいしょお」
体術スキル・三日月を発動。素早く接近し、俺は黒エルフの顎を右足で蹴り上げた。崖下に向かって。
「貴様は、!!」
「恨みは無い。だが、俺のレベル上げの為には滅すも已むなし」
片足立ち。今度はそのまま閃打。黒エルフ二人は仲良く強制落下の時間が到来した。『えるで』のしろがね坂よろしく。
「ありがとディーネ。ナイスだったよ」
無言のディーネが先を促す。どうしたんだろう、気分悪くなったのかな?落下死なんてたしかに気分良くはならないが。
「きゅ(あれはどうする?)」
「・・・・」
眼を輝かせて、ディーネの瞳の先には黒エルフの戦士たちが俺たちを待ち構えていた。そして俺は思った。
なんてことだ、素敵じゃないか。