第三層の舞台は森林と樹木がいっぱい。そんな地帯のモンスターには木の化け物が多いという。
「カムカムトレント!」
では俺の為すべき事は何か? モチロン殴る。
いつも通り。だってうじゃうじゃいるし、気に食わないし。
「カムカムトレント!!」
掴む。ひしゃぐ。握って殴る。
「何でテメエらが『トレント』なんて大層な名前してやがるんだ? 俺の愛馬がああああ!!!?テメエら雑魚なわけねえだろうがッ!!!」
かつての相棒と駆け抜けたあの狭間、あの混沌。
そんな幻視によるテンションの高揚が収まりきらない今日この頃。森林に包まれているこの層(ステージ)は、俺に懐かしさと怒りを抱かせていた。
「樹の形したモンスター共に打撃はあまり効かねえなあ・・・!しかも心なしか俺の拳弱くなってねえか?・・・・ンなわけ有ってたまるか!!!!
では、脳内会議開催ィ!!!」
なので戦いながら俺は叫んでいた。
◆
『第三層の敵に対し、打撃の祖たる我が拳が効きづらくなっている。
となれば武器(得物)という選択肢を早急に手に入れるべきだと思うが、どう思う?皆』
『大斧以外ありえないwww父祖よ!!!』ゴドリック
『槌を手に入れるべきかと思われます父上』モーゴット
『だげきがききづらいならざんげきこうげきをしやにいれるべきかもー』ミケラ
『アイアムマレニアブレイドオブミケラ』
『ミケラぁ』モーグ
『しかしねぇ、選択肢の多さは思考の散漫に繋がる。諸刃の剣なのだから・・・』
『つまりは打撃であって打撃でない物。様々な用途を使い分けられる得物が要る。そういうわけではないか?義父上』ラニ
『例えばポールウェポン。斧槍か?』ラダーン
『左様。兄上』
『それがなくとも殴打できる長物、正しく鉄塊があればよいではないか。義父上』ライカード
『ふむぅ・・・。確かに』
『必要な物は特大武器。という選択肢もある筈だ、あなた。我が王よ』マリカ
『む?特大・・・?』
『剣でも槍でも斧でも斧槍でも何でも。大きく、そして様々な意味で鋭利であれば後はあなたの戦い方次第だろう。我が王よ』
『なるほど?確かに得物はでかくても良く、そして使い方次第か。よし分かった!第五回会議はこれにて解散!皆ありがとう!!』
◆
「好い武器があればそれを手に入れる。今はその方針で行こう!」
さて樹の化け物を殴り飽きた俺は森の中を探索中である。
原作ではたしか森エルフと黒エルフの抗争があるとかないとか。そういえばあの人ら、ていうかNPCって殺すと武器落とすのかな?あれば頂戴したいけれども。
「この層からヒト型の敵出てくるんだっけ。しかしNPCとはいえ・・・」
対人・対ヒト型は苦手である。
「・・・・ん?」
―――秘鍵はあちらの集落にあるのですね?
―――そうだ。
―――確かですか?
―――我らの諜報能力は森エルフ随一だ。聖大樹に誓って。
―――なぁるほど。それはそれは頼もしく、そして心強い。真実であればね?
―――貴様。
・・・・・。
「チィ~ス、お疲れすー。通りすがりのえるでの王でーす。この辺にぃ、好い武器あるって聞いたんですけどありませんかー?」
吶喊。クエストと得物の匂い。行ってみよう!えるでの王はこういった嗅覚に優れているのである。
「・・・・はあ?何だコイツは」
「ほう、人族ですか。こんな所にまで」
果たしてそこには森エルフと思しき連中が屯していた。糸眼で軽装の男に、正しく騎士ですといった甲冑姿の男。あとその他諸々。
「?丸腰ではないか。人族よ、去れ。それとも死にたいか」
「我々は忙しいのでさっさとお家に帰って下さいね?人族サン?」
普通であればバトル発生かもだが、俺は今武器を持っていない。だからだろうか? このようにクエスト発生のアイコンがピコンピコン。
・・・なになに?森エルフへの助太刀?
「やあやあどうもどうも。俺の名はゴドフリー。貴方達気高き森エルフ様の末席にどうか加えて頂きたく、ここに参上致しました」
「いらん、消えろ」
「へぇ?その心は?」
取り付く島なしと思いきや、糸眼の男は興味を示してくれていた。油断ならんな。
「我が家に伝わる伝説に、黄金樹の獣(えるでんびーすと☆)というのがありましてな。何でも古い時代、世界がまだ分かたれていなかった頃、朽ちる事無き永遠の命を持つ獣が在ったそうで」
「なに?黄金の・・・樹だと?」
「!」
「その伝説に現れる二つのエルフ。森と黒でしたっけ、特に森エルフの方々の強さ。いや~控えめに言って格好いいですよね」
「・・・」
「・・・」
NPCに聞く耳があるのか? それはさておき、これも実験だよ実験。
「今一度伏してお願い申し上げます。俺にもちょっと薫陶を授けて下さいよ~。強くなりたいんで」
―――貴方はクエストを受領しました。
「成る程。つまりは我らに憧れているのだな?人族よ」
「はい!」
大嘘。
「ではついて参れ。丁度これから我らは下賤な黒エルフ共を討伐する所なのだ」
「はい!お供させて頂きます!」
へ~そうなんだあ趣味ワル。
「こいつはお前に任せる。いいな?鷹使い(ファルコナー)」
「いいですよ~。邪魔だけはしないで下さいね?人族サン」
「はい!!」
え、鷹?ディーネでもいんのここ?
「キュイキュイ?(ディーネ?それは、貴公のつがい?)」
「・・・うん?」
違うけども。強いて言えば親友だけども。
って、おお!すんごいデカイ鷹だ!思わず殺意と一緒に身構えちゃった。鷹には良い思い出がないからね。ディーネ以外は。
「こらこら。人族サンにあまり近付くんじゃありません。迷惑でしょう?」
「キューイキュイ…(はい…ご主人)」
「すみませんねえ。いやこの子、人族を見ると狩りたくなるタチでして」
「いえいえそんな。むしろ意気軒昂で安心しますよ~。鷹は俺の仲間にもいましたし、そうこなくてはね」
「・・・へぇ?いたんですか?」
「ええ、まあ」
我が親友ディーネよ。今も、君は狭間を飛んでいるだろうか。
「ま、兎にも角にもとりあえず今回の作戦を確認しますよお?
――私達はこれから黒エルフ共の集落を襲撃。秘鍵を奪取致します」
「・・・秘鍵?」
「我々森エルフの秘宝です。それを奴らは盗み出しちゃってくれましてねぇ。生かして等おけません。 ですよね?騎士様?」
「無論だ」
「成る程」
なるほど?
「動く者は全て殺す。奴らに与する狼も女子供も全てだ。例外も論も無い。分かったな?人族」
「皆殺し了解です。一狩り行きましょう」
「ハイハーイ。では皆サン心を一つにぃ?いっきましょー」
ま、適当にやっていこう。俺は腕の骨を鳴らして己を鼓舞した。