トニカクカワイイ+レッドサンブラッククロス(RSBC)   作:宇宙とまと

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 こんにちは、畑先生の20周年イベント行きました。うっかり隣のローゼンメイデンのイベントに誤って並び笑われましたw 

 元々些細な疑問、「時子さんが天才でも、真珠湾の恨みや有色人種への差別が強かった時代に、アポロ計画の重要部門に起用されるのは困難では」何となくw考えたのが始まり。

 そして17巻の告別式での司ちゃんの台詞から、第二次世界大戦に関わっていた可能性が出て来ました。
だが、皆さん良く考えて下さい。カワイイ司ちゃんが悪の大日本帝国(史実版)の侵略に加担したり、ましてや悪逆非道の第三帝国に協力していた筈もありません。
 しかし、史実世界大戦だとアメリカも司ちゃんを警戒はしても、信用したりしないんじゃないかと。
まあいなくても問題なく日独に勝てるし、(ちなみにヤンキーは日系移民300万人だけ、財産を没収して乾燥地帯の強制収容所送りにした)アメリカに多数のご友人がいる(時子さんの台詞)状況には、史実では困難じゃね?

1 アメリカ合衆国と大日本帝国は戦っていない。
2 アメリカ合衆国が極めて危機的な状況にある。
3 ナチは敵

で、こんな厳しい3条件揃った世界線の架空戦記無い……あったあ!!
それが故佐藤大輔氏が、執筆されていた架空戦記「レッドサンブラッククロス」です。

 レッドサンブラッククロスは、まあ原作は読まなくて良いです。何せ絶版で入手はほぼ無……
と思っていたら去年、復刻本が出たので興味がある人は大きめの図書館で借りるか、図書館でリクエスト出せば読めると思います。年表載ってるファンサイトもありますので。

 概要

1 日米英VS第三帝国(43年に大ドイツ帝国に改名)日英同盟は廃止されず継続
2 日本は日露戦争終盤で逆転負けを喰らって、大陸への進出を断念し、貿易で国を豊かにしようと言う方針に大転換。 1940年代で、史実の1960年代の生活水準に到達。世界でも第2位の経済・技術大国(1位は大ドイツ)
3 陸軍も史実の様な戦車では無く、強力な戦車を開発。
4 イタリア海軍は役に立たない(史実通り)w

大まかな世界情勢(大日本帝国以外は絶望w)

 アメリカ合衆国  正しいアメリカ合衆国は西側3分の1だけ(含むアラスカとハワイ)、残りは大ドイ  
帝国の直轄地と属州、米海軍の大型艦は大半が海の底もしくは、反応弾頭ミサイルで壊滅。 

 もう武器の生産も、軍艦の修理すら極めて困難。南北戦争+WW1+WW2(史実)+新型コロナの3から5倍以上の犠牲者が出ている。 海軍の再建の為に、日本から戦時急増型駆逐艦を大量に無償供与。もう日本の衛星国やな。
 
大英帝国    本土陥落、チャーチル首相とジョージ6世陛下はカナダにとんずら 海軍艦艇は多くがドイツに沈められるか、建造中に没収された。
ソ連      滅んだ。(もしくはシベリア辺りに逃走し、極東共和国(1)でも再結成し日本帝国の保護国)
フランス    もうドイツの同盟国ですw(大体大英帝国の暴挙のせい)


ピクシブでは、事前に考察も出してます(チコちゃん風w)なるべく読んでおいてください。

注意分

この小説はライトスタッフルール2015を遵守します。(レッドサンブラッククロスの権利元が、中央公論新社なので)

1 司ちゃんが悪のナチ野郎に天罰を加えますw 
2 それほど残虐なシーンは無いかなあ?
3 架空戦記原作なので、現実の地名や、史実の人物が登場します。
4 別に戦わないが、兵器類も出ます。1 史実の兵器 2 レッドサンブラッククロスに登場する兵器 3 こんな兵器があったのでは、と適当にW考えた兵器
5 過去のシーンではナサ君は出ませんw
6 おまけでキョエちゃんは出ません(公式で旅に出たのでw)ずん吉君が出ます。
7 シリアス多め




#1 第一話「漫画や、ゲーム買うのに往復6時間もかかるんだったら、あんな山の中に住まない」BY司

 

 

京丸屋敷から戻った数日後、近所で司ちゃんに会いに来た帰りだろうと思われる、千歳ちゃんと遭遇した。

 

「姉様を連れ戻した事は改めて誉めてあげるわ」

「どういたしまして」

「でも、私が姉様に助けられた回数にはまだ負けているわ」

(助けられた回数勝負?)

負けず嫌いだなあと思うナサ。

「崖から落ちそうになった時、……76年前に司ちゃんが時子さんを助けなかったら、千歳ちゃんは生まれなかっただろうから2回かな」

 

 もし、二人が出会わなかったらその後の歴史は大きく変わり、僕と司ちゃんが出会った可能性はほぼ0だろう。時子さんもそのまま餓死していたかもしれない。別の善良な人に拾われ、善良な夫婦が養子として引き取り、平凡だけど幸福な人生を送った可能性もある。

(いや時子さんは凄い人だから、やっぱり大きな会社を立ち上げて大富豪になったり、科学者になってノーベル賞取ってたりしてたかも)

しかし、時子さんの結婚相手は、

(ええと、アメリカ人の同僚の男性だっけ、ロケット技術者の……)

 

 日本語の某辞典サイトには記事が無いが、英語版には記事が存在したからそこそこ有名な人の筈だ。その人と出会う事は無かっただろう。当然娘の栞さんも、孫の千歳ちゃんも生まれなかっただろう。その代わり別の幸福な一つの家族が生まれていただろう。いや、もし仮に学者の道に進んで居たら、留学とかでアメリカの大学で出会って後に国際結婚した可能性もあるかも。

 

 

この間0.5秒出来る男ナサは違うのだ。

 

 

「何自己陶酔してるのよ。私が助けられた回数は3回よ」ドヤァ

無駄などや顔で自慢する千歳。

「また崖から落ちそうになったんだ」

「違う。もっと根本的な事よ」

「?」

「姉様は、いろんな事件に巻き込まれたりした事があるけど、その時にね」

「千歳ちゃんも知っているの?」

「姉様は、過去の特に血なまぐさい事は話してはくれないわ。私達も聞こうとはしないけど、この話は母様も聞いているの」

「もしかして戦時中の話?」

「今から75年前、1950年(昭和25年)12月の事ね。そう第二次世界大戦が、終戦に向かう大きな転機となったあの数か月の……」

 

「千歳ちゃん、第二次世界大戦はドイツ軍がポーランドに侵攻を開始した、1939年9月1日から、ケベック州が……確か、ラインハルト・ハイドリヒという人の陰謀で占領された、

1945年5月15日までの6年8カ月の間で、第3次世界大戦は、1948年5月13日から、講和条約成立の1951年7月1日までの3年2カ月の……」

「何を言ってるの! 45年から48年の間は講和条約どころか、休戦条約すら締結されていないのだから、第二次世界大戦は法的にも続いていたのよ」

「あ、うん確かにそうかも」

 

ナサは思わずたじろぐ。確かに千歳の意見にも一理ある。両方の世界大戦の間は、講和も休戦協定も無い。日独英の三カ国が互いに自重していただけに過ぎない。(2)

 

 

(確かに第三次世界大戦なのか、第二次世界大戦なのかは常に議論になっているなあ)

 

解説

ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ 1904年3月7日 ザクセン州ハレ出身 ヒトラーの3倍やべえ奴

 

 ナチス親衛隊大将および警察大将。ゲシュタポ長官および親衛隊諜報部(SD)長官。

海軍や空軍に所属していた事も。親衛隊では、ハインリヒ・ヒムラーに次ぐ実力者。

様々な暗殺事件やテロ事件に関与している。RSBCではヒムラーは、病気で療養しているので、

ハイドリヒが実質的指導者。

 

 1941年9月に、旧チェコスロバキアのベーメン・メーレン保護領副総督に任命された。ストライキやパルチザンは容赦なく処刑したが、従順な市民には、給料を増やして雇用保険を創設し、リゾートホテルを保養所として開放するなど「アメと鞭」を巧みに使い統治を行う。英国軍は暗殺計画「エンスラポイド作戦」作戦を計画。暗殺部隊を41年12月に、『ハリファックス』重爆撃機(終末のイゼッタに登場)から、

パラシュート降下させる。

 

 42年5月27日に、プラハをオープンカーで巡回していたハイドリヒに、手投げ弾を投げつけ致命傷を負わせる。(8日後に死亡)しかし、この世界では爆弾は不発で爆発せず、暗殺部隊はハイドリヒが自らモーゼル拳銃で射殺。

 

ニコニコ架空戦記では、ヒトラー死後に総統に就任し狂気の独裁者として最終戦争を仕掛ける事も。

 

「姉様に聞いたら話してもらえるんじゃないかしら」

 

 

 

12月24日、時子さんの遺言の約束の日まで後数日

 

「で、姉様に聞いてみたの?」

「司ちゃんから、話してくれるまで待つつもりだよ」

「ふうん、話を聞きたいって事は伝えたのね?」

「それも未だだけど」

「あほかぁー!!」(怒った時の三千院ナギみたいな表示w)

宝くじを買わない限り、一等は絶対に当たらないんだがとあきれ果てる千歳w

 

「ちょっと待ってるのよ」

と、何処かに電話を(多分司ちゃん)している千歳。

「姉様が、OKだって」

「ありがとう」

お礼を言って帰ろうとするが……

「後ケーキ取りに行ってねだって。じゃあ姉様によろしく」

 

2時間後

「うんいいよ。じゃ食べながら又長い話を聞いてくれる?」

「喜んで、司ちゃん。でも本当に良いの。戦争の事とかは、時子さんとかにあまり話していないそうだけど?」

「そうなんだけど、この話は時子たちにはしているから、だんな様にだけ秘密にするのも不公平だし、ちょっとだけだんな様にも関わって来る話だから」

「えっ、そうなの?」

「それは最後に判るからね、あれはもう76年も昔の事になるのか。そうちょうど1950年の12月……」

 

 

 

「おっと、その前にいくつか話していなかった秘密を話しておくわね」

「ど、どうぞ」

「司ちゃんは、ワープできます」ドャア

「あっ、やっぱり」

「あれっ、驚かない」

「前に、マリー・アントワネットの家庭教師やっていた話とか、コロンブスが来る前のアメリカに行ってたとか聞いたけど、当時ワープでもできないと、アメリカやフランスに行く事ができるとは思えないし」

(最初はダー〇ィンが来たで見た、『水上を走るトカゲ』みたいに海を渡ったんじゃないかと思った)

ちなみに「アメリカと呼ばれる前」とは、

 

1 コロンブスが新大陸に到達する前のアメリカ大陸 ちなみに、アメリカの語源はフィレンツェ生まれの探検家アメリゴ・ヴェスブッチ(1454-1515セビリャで死去)から。彼も南米などを探検している。ちなみにコロンブスは死ぬまで、新大陸をインドと勘違い。コロンビア国などは彼が語源。

2 大英帝国から独立する以前のアメリカ。

 

のどちらなのかは不明ですね。

 

「今、だんな様が凄く失礼な事を考えた気がするわ」キラーン

(あれ、レンタカーで京丸屋敷に向かう必要なかったのかな)

と、ナサはそう思ったのだがどうやら僅かに表情に出たのだろう。

「だって、だんな様と一緒にドライブや山歩きしたかったし」

その表情を見た、ナサは一瞬で落ちてしまったw

 

「じゃあ、保存食以外の食べ物も入手してるんだね」

「そりゃそうよ。飽きるしその上塩分が多いから、不老不死でも体に悪いわよ」

「織田信長は、高血圧(塩分の多い食事が好み)だったから、本能寺の変が

無かったとしても、数年以内に病死した可能性が高いらしいよ」

「やっぱりそうなんだ。確かに今にして思えばそんな気もしたわね。信長君は濃い味付けの食事が

好みだったから、お公家さんの中には、信長は所詮三流の田舎者ってバカにしてた人もいたのね」

 

信長が上洛した後、三好家に仕えていた料理人が、(三好家=信長上楽前近畿から

四国東部まで、広大な力を誇っていた)信長に料理を出した。

 

「味が薄すぎる!」

と大激怒

「お助けを、作りなおしてきます」

2回目は、濃い味付けだったので大満足。信長は褒美を与えた。

実は京都では、薄い味付けが上品とされ濃い味付けは、野暮とされた。

かなり昔の『信長の野望』よりw

 

「保存食を作ったのは、色々試行錯誤して作るのが楽しくなったからね」

「司ちゃんは、日本一の保存食マスターだね」

どや顔をする司。

「でも保存食にはもう一つ大事な意味があるの」

「?」

「時々山の中で、ヘリが墜落したり遭難者が数日ぶりに救助されたっていう、ニュースがあるじゃない」

「確かに、気流の影響とか、送電線と接触して墜落とかの事故が起きるね」

「遭難者が迷い込んだり、ヘリが近くに不時着して助けを求めに来るって可能性もあるから、そうなったらマスコミや、警官にいかにも山の中で完璧な(東〇の様な)自給自足生活を送ってますって見せる為ね」

(司ちゃんは、『正体が露見しそうになった時』の緊急対応マニュアルを作成しているんじゃ)多分3千ページはありそうw

 

 大げさに過ぎると思ったのだけど、先日遭遇した女子高生たちの目を欺くのに役に立ったじゃないか。

「第一漫画やゲームを買うのに、往復半日とか想像しただけで体に震えが」

今の震えている司ちゃんの状況を、最も適切に示している例えはどれか?

 

1  田舎爺だと思っていた老人が、実は先の副将軍中納言徳川光圀だと知った、悪代官

2  ヤン・ウェンリー提督を罠に嵌めたと思っていたら、実は自分の方が罠に嵌っていた事に気付いた、      銀河帝国軍の提督

3  殺人現場に置き忘れた証拠品を無事回収し、「やったこれでもう犯行を証明する事が出来ない」と喜ぶ。が、次の瞬間部屋の明かりが点灯し、「君の探していたのはこれですか?」と杉下右京に言われた殺人犯。(本物の証拠品は右京さんが持っている)

4  1から3まで全部w

 

 

「えっと、いつ頃瞬間移動出来る事に気付いたの?」

「不老不死になって、150年ほど経過した頃かしら。ちょうど平城京に都が移った頃ね」

パシン 余りの次元の違いにお箸を取り落とすナサw

「じゃあ、どういうタイミングでワープ可能な事に気付いたのかな? 司ちゃんを狙う悪いやつに襲われそうになった時?」

「襲われたのは確かだけど、人間じゃ無く狼よ。山の中で薬草を採集している時に、突然目の前に現れて、気が付いたらワープしていたのね。で、半日ほどかけて、能力などを把握したの」

ナサが司ちゃんはやっぱりすごいなあと思っていると。

「戻ってきたら狼さんが死んでいたの」

「猟師に射殺……鉄砲伝来は千年後だから弓矢で射殺かな?」

「崖の下に落ちて死んでいたの。他の狼に襲われたのかしら?」

(それ多分、目の前の司ちゃんがいきなり消えたから、驚いて走り出して墜落したんじゃ)

「狼だけど……」

「埋葬を……」

「残らず利用してあげたわ」

古代人は逞しいなあと思うナサw

 

「えっとどんな感じで瞬間移動を?」

「まずワープしたいと念じるの」

「ふむふむ」

「そうすると、詳細な地図が浮かぶの」

「詳細な地図」

「ゼ○リンの住宅地図より遥かに詳細な感じ。目標地点の住宅や人の動きに、防犯カメラの位置までバッチリと」

(流石凄いチート級の宇宙技術だ)

6世紀の頃に、月と地球を移動できる宇宙船(もしくは某宇宙戦艦アニメの、恒星もしくは銀河系移動可能な宇宙船)を持っているんだから、まあ当然だろう。

「でも、目視は可能だから気を付けないと、最近はカメラも小型化しているし、相棒の青○の様な盗撮マニアが居るかもしれないわ」

 

 

よく知らない人の為に説明w

相棒の青○は盗撮マニアw

 

青○が最初に登場した時、青○は

「自宅向かい側のマンションで、若い女性が絞殺されました」

と110番通報するのだが、何故判明したかというと日常的にこの女性を盗撮していた模様。詳しく証言すると、自分も盗撮で捕まると気付く青○。頑として証言を拒否する。そこで杉下と冠城は、容疑者特定の為に青○を罠にかける。「汚い罠にかけやがって、だから警察は嫌いだ!」

「もう二度と会う事が無い事を祈ります。それがお互いの為でしょう」by杉下

まさか、会社員退職して警察学校に入り、次のシーズンから準レギュラーになって戻って来るとはwいつ右京さんに汚い罠を仕掛け、返り討ちにされ警察をクビにされるかと思っていたら栄転かよw

政府機関ハッキングとか日常的にやっていたから、解雇か政府上層部か、社課長辺りに(仲間由紀恵)辺りにチャンネル銀〇の「オスマン宮廷ドラマ式(キョセム様がよろしくと)」の最後で終わる

と思ってたんだけどw(3)

 

目撃を避ける為に、使用するのは日没になって、周囲が暗くなってきてからにしてるの」

「じゃあ7月頃は大変じゃない?」

「午後7時過ぎにならないと暗くならないからね。その分冬は午後4時過ぎにはもう薄暗くなるから助かるわ」

 

ちなみに、ワープにもいくつか制限があり、

1 一回のワープで移動できる距離は200キロ

2 再チャージに10分必要

3 大きな海は越えられない(狭い海峡や運河は可能)

4 建物の中に、外から直接入る事は不可能

 

「じゃ、そろそろ本題に入るわね」

 

 

1950年(昭和25年)12月15日午後10時過ぎ(現地時間)旧アメリカ合衆国(現ノイエス・ドイッチェラント大管区 カンザス州州都トピーカ(4)

 

 

「メイリンちゃん、終わったら上がっていいよー」

「陳さんお疲れ様です」

この店「チャイナレストラン・チョーウン」は、トピーカ市内中心部にあるかなり大きな中華レストランだ。店主の陳さんは、30年前に辛亥革命の後の混乱していた中国から、合衆国へ移民してから色々あって20年後にこの店を開いた。店名は三国志大好きな陳さんが、一番のお気に入り趙雲将軍の名前から取っている。

 

 トピーカでも人気の店で、中国系移民やアメリカ人に大人気だったが、昨年以降はアメリカ東部の支配者になった、大ドイツ帝国の軍人や出張に来たドイツ人ビジネスマン等が新たに客層に加わった。郊外に大ドイツ帝国空軍の大きな基地があるので、割と空軍関係者の利用が多い。

 

   メイリンと店主の次男などの発案で、ドイツ人向けに調味料や具材(春巻きやシュウマイの中身みたいな)を考え、ドイツ人の客にも好評だ。まあ「本場の味付けを試したい」と希望する、チャレンジャーなドイツ人客も少なくないが。

「メイリンちゃん、すっかりドイツ語が上達したねえ」

「ありがとうございます」

「ドイツ人のお客さんも増えて大助かりだ。本当に良い子に働きに来てもらったなあ」

店主とその妻は、メイリンに大いに感謝していた。

 

ただ店主達は、彼女を中国系移民の2世と思っているが、実は違う。無論台湾人でも無い。彼女は純然たる日本人だ。

 

更に、「ドイツ語の上達が上手い」(接客に問題ない範囲で)というのも実は擬態だ。

ドイツ語は最初からできる上に、ほぼ完ぺきに会話を理解できる。最初からそうしなかったのは、それだと

逆に疑惑を招く危険があるからだ。中国語や英語ならともかく、ドイツ移民でも無いアジア人が、最初からドイツ語が完璧に出来たら、秘密警察ゲシュタポや、大ドイツ帝国軍諜報部にマークされてしまうだろう。(5)

 

ドイツ語が完璧に理解できるのは、ドイツに何度も滞在した経験があるからだ。

彼女は世界中を旅した事があり、その年数は大旅行家として知られる、ヴェネチア人のマルコ・ポーロ(6)と、モロッコ人のイブン・バットゥータが旅をしていた時間を合計して、20倍してもまだ足りない。

 

 

 メイリンは、床の隅に落ち葉が落ちているのを拾った。客の誰かに付着していたのだろう。

その後東側の窓を開けて落ち葉を捨てた。ふと見ると、ちょうど雲の合間から満月が見えた。

(外は夜だから寒いが、奈良の山の中より遥かに暖かいな。雪もほとんど降らないし)

メイリンこと司の故郷は奈良県の山間部だ。山地なので夜は非常に寒く、冬は雪で埋まっていた記憶がある。むしろトピカで一番危険なのは竜巻だそうだ。そんな訳でこの店にも地下シェルターがある。

 

(自分から志願したとはいえ、まさかアメリカ大陸のど真ん中で満月を眺める

事になるとは)

 

 遣唐使で渡海して、生涯帰って来れなかった阿倍仲麻呂もこんな気持ちだったのかなと司は思った。

(司ちゃんが、こんなところで月を見ている原因は、ボヘミアの伍長上がりのちょび髭野郎のせいかな?

いや、そのちょび髭の罠にはまったウィルキー前大統領か? いや日露戦争終盤にやらかして、戦線を崩壊させたあの乃木何某とか言う陸軍軍人のせいだな。どうもあれ以降日本の歴史は大きく変わった気がする。

福田っていう若い新聞記者が、日露戦争の本を将来出したいって言ってたな。多分乃木何某は恐らく作中でフルボッコね。多分日本人の誰もその将軍を擁護しはしないだろう)(7)

 

 

その時、南東の方向からピリッとした空気を感じた。司は1330年の長い時の中で、何度も戦に巻き込まれたり、目撃していたのでそういった戦いの気配を感じる事が出来た。

 

「メイリン、何かあったの」

 声を掛けて来たのは陳さんの次男だ。まじめな好青年だけど、陳さんと妻はどうも2人をくっつけようと考え始めている様だ。が、次男には好きな子がいるのを知っている。司は面倒事回避の為に、二人をくっつけようと次男君に協力している。

「ドイツ兵があっちでけんかを始めたみたい」

「うちの店のお客さんじゃなさそうだね。酔っているんじゃないかなあ」

次男は窓を閉める。数分後司は店を出て近くにある下宿に向かった。

 

同時刻 キュ―バ 南東の軍港都市グアンタナモ (トピーカから南東に2880キロほど)

 

 

 キューバは、1511年以降390年以上に渡りスペイン帝国の植民地だったが、この半世紀主は何度も変わっている。

1898年の米西戦争の結果、パリ条約によりフィリピンや、プエルトリコ島と同時にアメリカ領となった。1902年に独立したが、以後もアメリカの属国でしか無かった。半世紀後1948年8月にドイツ軍の上陸を受けて陥落した。が、翌年にパナマ運河を奪還した、日英米の同盟軍が侵攻して来て、一年ほどの激闘の末に占領された。

 

 グアンタナモには、多数の……50隻以上の輸送船やタンカーが集結している。恐らく昨年晩秋に奇襲で占領したアイスランドへの、恐らく年内最後の輸送船団だろう。空母機動部隊がパナマより進出して来たので、軍艦も多い。

 

 軍艦や輸送船の艦尾には、星条旗、ホワイトエンサイン(英海軍旗)、ライジングサン(旭日旗)のどれかが掲揚されているが、一番多いのは最後の旗だ。

軍港内には、輸送船団護衛艦隊の旗艦、重巡洋艦『利根』(主砲が、艦の前部に集中配備されているので目立つ)停泊している。更に、『阿賀野型軽巡』の『矢矧』『大淀』に、帝国海軍の新鋭大型空母2隻と、アメリカ合衆国海軍の、大型空母で唯一残存している『レキシントン』も、数日後の出港に備え燃料と食料の積み込みを行っている。

 

 戦艦も、最古参の『長門』と英本土陥落直前に完成したので、工員や技師をのせたまま辛うじて英本土を脱出した英戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』も停泊している。

 

 

 

「日本海軍の援軍が到着か、予定より数時間遅れているみたいだが……」

「どうも近くに、ドイツの潜水艦が居たみたいなので迂回したんでしょう」

 

 丁度夜のシフトに入った英海軍の警備兵が、入港してきた日本海軍の増援部隊を見物していた。

「うん、聞いていた情報と違うな」

「どうしたんですか大尉?」

「戦艦3隻と聞いたが、戦艦1と重巡2隻しかいないぞ」

「確かに変ですね。……大尉殿! 2番目と3番目の船も戦艦です」

「本当か?」

「3番目の船を見て下さい。あの船だけ艦の後部に主砲がありません」

大尉が確認すると、確かに1番艦、2番艦は艦の前後に主砲があるが、3番目の船だけ後部に主砲が無い。

「確かインド洋で、ドイツ戦艦の砲弾で後部主砲に酷い損害を受けて、修理に年単位でかかるって事で、

後部主砲を廃棄して、代わりに多数の対空砲を装備したって話です」

「ほお、あれが防空戦艦か。日本帝国海軍も面白い事を考えるなあ」

大尉は、何故2番目と3番目の船を重巡と勘違いしたのか気付いた。戦闘の大型戦艦が巨大過ぎるからだ。

(2番目と3番目は、排水量8万トン全長280メートル、主砲は恐らく51センチ砲6門の巨大戦艦だ。

それを巡洋艦と勘違いさせるとは、先頭の戦艦は、排水量は20万トン、全長は380メートル……

主砲は恐らく56もしくは60センチ砲……)

それと比べると38000トン、全長227メートル、主砲357ミリ砲10門の『プリンス・オブ・ウェールズ』は小型巡洋艦に見える。

「大尉殿、彼らが同盟国で幸いでしたね」

「その通りだ」

(案外戦争の終わりは近いのかもしれない)

と大尉は感じた。

 

1 ソ連成立直後の、シベリア出兵の頃に2年ほど極東ロシアに存在した国家。

2 休戦協定しかない朝鮮戦争は、法的にまだ継続中。

3 新オスマン帝国外伝で、主人公のキョセム様の敵や裏切り者が、粛清される際に、刺客が「キョセム様がよろしくと」と言ってから攻撃する。

4 大管区 第三帝国が占領地に設置した行政区画。一番上の人は「大管区指導者」(ガウライター)

5 マリーと会話する為には、ドイツ語が喋れないと。彼女の母国オーストリアはドイツ語圏内。

6 マルコは少年の頃に、父親と叔父と共に東方への旅に出る。大元帝国皇帝フビライにも信頼された。

  「東方見聞録」の作者

 

  イブン・バットゥータ(1304-1369)モロッコ生れ。21歳の時に、メッカ巡礼に向け旅にでる。エジプト、アラブ、中央アジア、インド、東南アジアを経て、中国まで到達。24年後に帰還。

7 福田定一 若い新聞記者。というより作家司馬遼太郎氏の本名。「坂の上の雲」で、乃木某をフルボッコにした。史実では乃木某を擁護する人も多かったが、レッドサンブラッククロス世界では誰もいない。

 

 






後作者のメンタルはナチスの1号戦車ほどしかありません。(ぺらぺら)
現在第3話を作成中。
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