トニカクカワイイ+レッドサンブラッククロス(RSBC) 作:宇宙とまと
日本代表チームの皆さん、一次リーグ突破おめでとうございます。
ドイツ海軍軽巡洋艦『ケーニヒスベルク級』
1926から28年に建造が開始され、大恐慌が世界を襲った1930年から31年にかけて、3隻が建造された。
1 『ケーニヒスベルク』1930年4月17日完成
2 『カールスルーエ』 1930年11月6日完成
3 『ケルン』 1931年1月15日完成
頭文字が3隻全てKで始まるので、K級軽巡とも呼ばれる。建造開始前に、船体の強度にかなり無理のある設計が問題視され、修正に時間がかかり、史実より1年遅れで完成した。
3隻は、1940年のノルウェー侵攻作戦や、英本土上陸作戦を生き残り、欧州から敵がいなくなった43年5月から翌年に掛けて、機関を新型に交換すると同時に、新型の対空・対水上レーダーを搭載と、対空砲の増設の改造工事を受けた。
艦これにはまだ出て無い。
Old soldiers never die; they just fade away.
老兵は死なず、ただ消え去るのみ
ダグラス・マッカーサー(退役後アメリカ連邦議会での演説)
ずん吉君(カラス)
「ここで、佐藤大輔氏の長編を紹介するぜ」
カネオ君
「ほほうどんなのがあるんや?」
ずん
「まずは、投稿中の原作の一方レッドサンブラッククロス。元は1980年代に発売されたボードゲーム。WW2の勝者になった日独がインドを舞台に戦う」
か
「昔の戦略ゲームで、そういうIF戦闘マップあったなあ」
ず
「歴史を大幅に改変して、小説として発売された。アメリカがここまで亡国の危機になっている架空戦記は珍しい。一方日本は、40年早く昭和戦後の貿易立国に。1948年時点でドイツやアメリカと並ぶ超大国に。本編は開戦半年後の所までで止まり、その後2017年に佐藤氏が急死して、永遠に未完に」
か
「それは残念やなあ」
ず
「しかし、戦争終盤や戦後や宇宙世紀と、かなりの外伝が出ていて、年表などもあるからかなり戦争の流れは補完できる」
か
「この司ちゃんシリーズは、レッドサンブラッククロス外伝1(1950年12月から、翌年3月)の頃の設定なんやと」
侵攻作戦パシフィックストーム
ず
「この小説日本を強化するじゃなく、アメリカが弱体化されているという珍しいパターン」
か
「映画みたいに、大西洋に隕石でも落ちて来るんか?」
ず
「そうじゃなく、南北戦争最大のヤマ場、ゲティスバーグの戦いで史実とは逆に南軍(アメリカ連合国)が大勝利。それを見た英仏が連合国を国家承認。止む無くリンカーンは講和に応じる」
か
「つまりアメリカは分断されたままなんやな」(アラスカは英国がロシアから購入、スペインとの戦争は起きずフィリピンは、スペイン王国領のままで、スペイン東洋艦隊が存在するなど、微妙に影響が)
ず
「第二次世界大戦は普通に発生して、日英同盟が継続していたので日本は英国と共にドイツと戦い、ヒトラー総統が暗殺されて終戦」
か
「ならもう平和になった?」
ず
「アメリカ大統領ジョセフ・ケネディが日本の国力に大打撃を与える為に、戦争を起こす」
か
「あのケネディさんのお父さんやな。確か世界恐慌直前に靴磨きの少年の言動から、バブル崩壊は近いと感じ手持ちの株券を全部売り払って、ぼろ儲けしたって、映像の世紀バタフライエフェクトで言ってたな」
ず
「真珠湾奇襲ならぬ横須賀奇襲爆撃で、戦いが始まる」
か
「そこから日本がどう反撃するかって事やな」
ず
「3巻と外伝1巻が出て、面白くなって来た所で未完」
か
「また未完か」
ず
「タイトルは、日本語で太平洋の嵐。これは湾岸戦争でのクウェート解放作戦『デザートストーム』つまり砂漠の嵐作戦をもじったんだぜ」
か
「検索したら、太平洋の嵐って戦略ゲームが出たけど」
ず
「それ無関係」
信長伝
か
「戦国物も出してるんか」
ず
「織田信長が、本能寺の変から生還し、世界征服に乗り出したっていう架空戦記」
か
「信長が生きていたらやりかねんな」
ず
「信長の国は、1巻の冒頭によると史実の大英帝国みたいな世界帝国に発展。新大陸も白人より先に日本の植民地になるんだぜ」
か
「それは夢があるなあ」
ず
「小説内で柴田勝家や徳川家康が叛乱を起こす」
か
「家康は判るけど、勝家は謀反とかやる様に見えんけどな」
ず
「関ケ原での決戦、その最中に未完」
か
「また未完か!」
遥かなる星
ず
「キューバ危機で、ケネディ大統領がキューバを爆撃して、全面核戦争が起きてアメリカが崩壊する」
か
「日本も滅ぶがな」ガクガク
ず
「日本は核攻撃を免れ、その後地球から脱出する為に宇宙開発に狂奔する」
か
「何や近未来的な内容やな」
ず
「3巻目で未完」
か
「未完しかないんか!」
皇国の守護者
ず
「これは架空の世界が舞台だぜ。著者は未だ見ていないのでこの機会に読もうと図書館サイトで検索したら、現在貸し出し中。予約待ちらしい」
か
「何処かで聞いた気が」
ず
「漫画になって、ウルトラジャンプに連載された事も」
か
「主役の新城直衛ってどこかで見た記憶が」
ず
「やる夫スレでかなりの頻度で登場してる。武将役や軍人役に、教師役が多い。原作は知らなくても新城さんは知っているっている人もいるんでは? あっちなみに未完だぜ」
か
「また未完か! 『みかん』は、『蜜柑』だけでええんや!」
征途(せいと)上中下
ず
「レイテ作戦が大成功し、米軍輸送船団と護衛の旧式戦艦と、上陸軍とマッカーサ―が消し飛ぶ」
か
「大戦果やな」
ず
「でもそれが原因で、戦争が長引き北海道北部はソ連に占領され、ソ連の属国になってしまう(北海道北部と、サハリン島南部が領土)」
か
「それは悲惨やな」
ず
「分断国家になって、主人公の家族が引き裂かれたりと悲劇が起きる」
か
「どうせこれも未完なんやろ」
ず
「タイトル見ろよ」
か
「下巻……完結したんか!」
ず
「佐藤氏の長編で唯一完結した」
か
「むしろそっちが驚きや!」
タイタニアや創竜伝やアルスラーン戦記は完結してよかったなあ。(ハヤテのごとくの連載が始まった頃は、ファンは諦めてたw)
規律は勝利の母である。
アレクサンデル・スヴォーロフ(1729-1800)
帝政ロシア軍人 大元帥
WW3(第三次世界大戦)開始時の所在地
『ケーニヒスベルク』・『カールスルーエ』 北米沿岸(輸送船護衛)
『ケルン』 対日陽動作戦に参加 インド洋
5月17日
『ケーニヒスベルク』・『カールスルーエ』は当初、『ファンディ湾海戦』に参加していなかったが、
旗艦『ケーニヒスベルク』に座乗していた、戦隊司令トゥルナイゼン少将は、
「無線を傍受した所、味方は苦戦している様なので援護に向かう」
として、『カールスルーエ』と駆逐艦6隻を率いて援軍にむかうが、戦場に着く前にドイツ北米艦隊は、何とか体制を立て直して、合衆国大西洋艦隊残存部隊を壊滅させてしまった。
が、
「敵艦数隻が逃走したので、追撃に加わる様に」
との命令を受けたので、トゥルナイゼン少将は逃走する、敵艦を待ち伏せる為に湾の入り口に戦隊を向かわせた。
午前7時30分
『ケーニヒスベルク』の対水上レーダーが、距離3万で南下する艦船を探知した。
午前8時
「敵重巡洋艦らしきもの確認。距離1万5千! 針路南西、護衛艦は発見できず。敵速力15ノット」
「米艦は、『ニューオリンズ級重巡洋艦』です」
双眼鏡で観察していた、艦長ゾンバルト中佐が海軍年鑑を見て確認している。
「敵はかなりの損害を受けている様だな?」
トゥルナイゼン小将の言う通り、米巡洋艦はのろのろとした速度で動いている。艦の前部は火災が発生しており、艦後部の第三砲塔は明らかに破壊されていた。
「艦名は判るか?」
少将の質問に対し、艦長は見張り員に確認を促す。
「CA-42『ヴィンセンス』です」
米艦は側面に、艦番号が書かれているが全て通し番号なので、番号が読めれば個艦名が判る。
「敵に止めを刺してやれ」
「了解! 主砲戦用意」
距離を取って、駆逐艦の魚雷で止めを刺すと言う選択肢もあったが、ゾンバルド中佐は敵艦は、主砲は全て破壊されていると見て、雷撃は不要と考えた。魚雷は1本が、現在の価格で巡航ミサイル1本分ほどかかるので節約の必要も有った。
「距離1万!」
「フォイ……」
「敵艦主砲発砲!」
「何だと!」
確かに、1番と3番主砲は既に砲撃不能だったが、実は未だ2番砲は砲撃だけならまだ可能だった。
まず『ケーニヒスベルク』の1番主砲に命中し、被害報告が入る前に2発目が、艦橋を直撃。ゾンバルド中佐は、油断の代償を生命で支払う事になった。トゥルナイゼン少将は一命は取り留めたが、重症の為、程なく海軍を退役した。更に、唯一無事だった5インチ対空砲弾が、魚雷管を直撃し水雷員を殺傷した。
202X
「魚雷も搭載していなかったなんて、この艦長は油断のし過ぎね」
「違うよ司ちゃん。魚雷を装填していなかったらから水雷員の死亡だけで、済んだんだ。魚雷が装填済みだったら、魚雷が誘爆して一巻の終わりだったよ」(1)
「確かにだんな様の言うとおりね。司令達は油断で生命は失ったけど、艦自体は救う事になったのね。こういうドラマがあるから、歴史好きは滅ぶ事は無いわね」
「父もその一人だね」
「だんな様は、歴史学者になろうと考えた事もあるの?」
「何度かあるよ。歴史は好きだし、架空戦記はよく読むし(国会図書館でw)、IT関連と迷っているけど、司ちゃんの真実を知ってから、前よりも歴史に興味が出て来た」
「もしその時は全力で応援するね」
「それに司ちゃんが、不老不死で亡くなっても司ちゃんの安全の為には、僕が歴史学者になった方が良いかもしれないんだ」
「どゆこと、どゆこと?」
「将来、何処かの蔵や旧家から司ちゃんの身が危うくなる文書(もんじょ)とか、日記が見つかるかも。それを防いだりするのに、僕が考古学会の上にいないと阻止できません」キラーン
「だんな様が黒い方向に」
砲弾が着弾すると同時に、ファンディ湾の方角……北の方角から、巡洋艦の主砲弾とは比較にならない巨弾が飛来した。戦艦『ビスマルク』と、『バルバロッサ』級巡洋戦艦(史実のO級巡洋戦艦)『フォン・ビューロ―』の38センチ砲弾が着水し、『ヴィンセンス』の姿が見えなくなった。
「水柱の中で、爆炎と炎が見えた気がする」
戦後 『ケーニヒスベルク』の乗員の手記
水柱(中の人が大不祥事を起こしたあの人じゃないよw)が消えた時、『ヴィンセンス』の痕跡は何も残って無かった。
『ケーニヒスベルク』は、戦死46名負傷58名の死傷者が出たが、機関は無事だったので応急修理を受け、本国に引き上げる事になった。
6月上旬に、ドイツ北部のキールで本格的な修理に入り、8月10日に完了した。15日に新艦長ハインリヒ・ルーファス中佐の指揮の元練習航海(北海や、英本土周辺)に出た。名目は「補充で配属された乗員が船に慣れる為」で、まあそれ時代は何らおかしくは無かった。2週間後、キールに戻り数日間の休養と、整備を受け今度こそ、北米沿岸か、パナマ運河もしくはインド洋に増援に赴く事になるだろうと、艦長以下全員がそう思っていた。が、再び練習航海の命令を受けた。流石に今度は艦長も疑問に感じ、帝国海軍総司令部に問い合わせるも、再度同じ命令が再送付されて来ただけだった。
(命令には逆らえない。まあ訓練をする事は悪い事では無い)
9月10日に戻って来ると、再度のドック入りを命じられた。今度は帝都ゲルマニアに赴き、海軍総司令部を訪問するも、何のための工事なのか一切説明は無かった。ゲルマニアとは、史実でも計画されていたベルリンを改造した、親帝都だ。構想はヒトラー総統自らが行った。史実でも一部の完成してなおかつ戦争を生き延びた建造物は、現在でも使用されている。
工事の内容は、船内倉庫の拡張と、艦首に新型の対潜ソナーを搭載し、新開発された長射程対潜ロケット砲を船の前後に装備した。倉庫の拡張で、副艦長室が潰され哀れにも当面の間航海長と相部屋になった。工事は12日より開始されたが、その翌日『カールスルーエ』も引き上げてきて、隣のドックで同様の工事が開始された。
一方3番艦『ケルン』は、インド洋で対日英陽動作戦『イエロー2』作戦に参加していた。『ケルン』は西インドのゴアの海軍「アーリア支隊」(巡洋戦艦2、重巡2、軽巡2、駆逐艦6)に所属していた。
ゴアはヴァスコ・ダ・ガマがインドに来航した後、16世紀から420年以上に渡り、ポルトガルの領土だった。かつてはインドネシアの広大な島々が、ポルトガルの領土だったが、後から来たイギリス・オランダに奪われ、東ティモ―ルとマカオを除けば貴重な植民地だった。が、1943年にポルトガルが第三帝国の軍事同盟に加盟した時、軍事援助と交換で統治権をドイツに譲っていた。
『ケルン』は開戦2週間後の5月27日、駆逐艦2隻と共にインド西岸沖で哨戒任務中だったが、日本帝国海軍の中型潜水艦の魚雷攻撃を受けた。艦首至近で、1発目が爆発し浸水で速力が20ノットにまで落ちた。さらに2発目が艦中央部に向かって来るのが見え、乗員達は、「神様お助けを!」
と奇跡を祈った。そういう願いは大抵かなわないのだが、乗員の願いが通じたのか、後20メートルで命中と言う時、魚雷が突然爆発した。
2026
「だんな様、日本のサンソギョラーイは勝手に爆発する不具合があるって聞いたけど、改善とかしなかったの?」
日本のサンソギョラーイ(命名艦これのオイゲンちゃん)は、長射程、高速、高威力の上に、航跡がほとんど見えないが、(全く見えないと言う事は無い)突然、高い波が当たった時などに起爆信管が誤作動し、爆発する不具合があった。
「そんな事は無いよ、1940年頃から……」
ナサはスマホの画面を司に見せた。戦前のテストや、40年から42年の大西洋や、東地中海、アラビア海での英海軍撤退支援の際に、不具合が判明し1年ほどを掛けて改善を行った。
「その結果、暴発はかなり減ったけど、それでも稀に命中前の暴発事故は起こったみたいだね」
日潜水艦が魚雷の再装填をしている間に、熱帯性豪雨……つまりスコールの下に逃げ込み難を逃れた。仮に2発目がどてっぱらに命中・爆発していたら間違いなく「第三次世界大戦で最初に喪失した、独大型艦(巡洋艦以上)」という不名誉な記録を残していた事だろう。
ゴアに引き返して、負傷者を下船させてドックで応急修理を受けるが、
「一本目の魚雷も、魚雷が船体に命中する直前で良かったですね。後方で一か月半ほど本格的に修理の必要がありますが」
『ケルン』は6月5日に、ゴアを出港しアラビア海を西に向かい、紅海とスエズ運河を経由して、一週間後にエジプトのアレキサンドリア港に到着し、本格的な修理に入った。
エジプトは、1520年から380年以上オスマン帝国の支配下にあったが、19世紀の初頭に、ギリシャ出身の軍人ムハンマド・アリーが独立を勝ち取り、ムハンマド・アリー王朝を開いた。
歴代の王たちは、欧州を手本に近代化を進め、スエズ運河を建設するがその為に莫大な資金が必要で借金漬けになってしまい、大英帝国の属国に転落していた(運河の利権も英国)
1942年に、英軍がエジプトから脱出した後に、ロンメル軍に占領されその後イタリア王国の属国になった。
6年前まで英地中海艦隊総司令部が置かれていた大邸宅は、現在は大ドイツ帝国地中海艦隊司令部が置かれている。軍艦の整備の為の工廠も増設され、町には独伊の将兵を対象に、ドイツやイタリア料理を出す店や、「お酒が飲める店」(イスラム教の国なので原則禁酒)も増えてきていた。
『ケルン』の修理は8月1日に完了した。給油後速やかに元のゴアへ戻るものと考え、乗員達は最後の休息だと町で飲みまくった。が、
「『ケルン』は当面の間、イタリア海軍の駆逐艦と共に東地中海で、対潜哨戒任務に当たれ」
という命令が届いた。
「今の東地中海で対潜哨戒なんかする必要無いんじゃ?(しばらく前線に行かずに済む)」
これは油断では無く、事実だ。今や地中海の周囲は全て、独伊の同盟国だ(もしくはギリシャの様に占領されたか)。
フランスとスペインは40年12月に相次いで、同盟に加入。(フランス=戦艦を理不尽に英国艦隊に撃沈され、世論がブチ切れた。スペイン=今まではスペイン内戦の被害が大きく、参戦は無理とごねていたが、英国が沈没しごね続けるのも無理になったw)
トルコは、ソ連崩壊後の43年11月に独伊同盟に加入している。
まさかスエズ運河を敵潜水艦が、浮上航行して入って来れる筈も無く、ジブラルタル海峡をしっかり警備していれば、全く問題は無かった。
「副長、42年の秋以降地中海で潜水艦の秋以降地中海で、潜水艦による撃沈は起きているのか?」
「皆無の筈です。味方同士の衝突事故や、弾薬の暴発で沈没は数例ありますが」
しかし「命令は命令」だ。乗員は疑問を感じながらもイタリア駆逐艦と共同で、対潜哨戒に従事した。
9月7日
何度目かの対潜哨戒任務から戻って来た、『ケルン』はアレキサンドリアに入港。その後交代で上陸許可が出る。何処に遊びに行くかと乗員が浮かれていると、「速やかにイタリア北部のジェノアに向かえ」
との命令が来た。そこで上陸許可は取り消され、慌ただしく給油だけを終えると2時間後に出港し、48時間後にジェノアに到着し、姉妹艦と同様の改造工事に入った。
鉄と血が、命運を決定する
オットー・フォン・ビスマルク(ドイツ帝国議会での演説)
ケーニヒスベルク』の工事は、10月末には完了しその後また北海での試験航海やら、なんやらやったりした後11月18日に入港した。その後、船の整備と補給それと交代で乗員には交代で上陸許可が出た。
その後11月24日の夜、午後11時ごろになると急に港が騒がしくなり、港に隣接する貨物駅に、貨物列車が入線して来た。
その日の午後初めから、港には装甲車やキューベルワーゲン(小型軍用車両)が並び、続々と兵士が港の桟橋に集まって警戒を開始した。
「今日はやたらと警備が厳重だな」
「陸軍兵だけじゃないぞ、あいつらの制服はSSだ」
投光器に浮かぶ警備兵の中には、国防軍と違う軍服を纏った悪名高いナチ親衛隊
SSの連中も混じっていた。
その後貨物列車からもさらに、多数のSSが降りて来た様だ。
その後港から、小型ボートが接岸しSSの関係者10名と、科学者らしい民間人2名が『ケーニヒスベルク』に乗艦した。代表者はシュタイナー大佐と名乗り、民間人は乗員の予想通り科学者の様だ。
シュタイナー大佐は、ハインツ艦長に命令書を手渡した。内容は荷積み完了後速やかに出港し、28ノットの高速で途中アゾレフ諸島を経由して、アメリカ南東部旧サウスカロライナ州のチャールストン港に向かえとある。ちなみに護衛艦は無い。
「航海科と機関科以外の乗員には、出港後4時間を経過するまでは
通知してはならない」
と釘を刺された。艦長は急ぎ航海長を呼び目的地までの航路計画を作成した。
程なくクレーンが動き出し、重そうな木箱(おそらく1個1トンはありそうな)が、『ケーニヒスベルク』に積み込まれた。作業は午前3時半には完了し、作業員等は退船した。シュタイナー大佐によると、『ケルン』は今より48時間後に北イタリアのジェノアを同じく出港し、ジブラルタル海峡を通り、アゾレフを経由して同じくチャールストンを目指し、その2日後に『カールスルーエ』も、『ケーニヒスベルク』と同じ航路で後を追うらしい。
午前4時
「機関始動! 両舷微速前進」
「了解!」
『ケーニヒスベルク』は未だ真っ暗なキール港を出港し、北海を西に向かい正午ごろには英仏海峡を通過した。
11月26日
午前2時に、ブルターニュ半島沖に到達したが、低気圧の接近により風雨が急激に強まって、波も高くなった。艦長は一時北西フランスのブレスト港への一時寄港を提案したが、当初シュタイナー大佐は拒絶した。しかし、海は更に荒れて親衛隊の連中は直ぐにダウンしてしまい、大佐も程なく一時退避を許可した。
乗員はSSの連中には「ざまあみろ」と内心バカにしたが、2名の科学者には心から同情し、酔い止め薬を飲ませたり、背中をさすってあげたりした。
正午過ぎには天候も回復したので、午後2時に出港し大西洋を南西へ向かった。
28日午後0時に、アゾレス諸島の中心地サン・ミゲル島に入港した。アゾレス諸島は、リスボンの西1500キロ、米東岸から東に3900キロの洋上交通の要地にあり、特に新大陸から帰る交易船にとって重要な港だった。風光明美で冬でも温暖だったので、第二次世界大戦開戦前は欧州諸国からの観光客も多かった。43年以降、大ドイツ帝国が借り上げ航空基地と、港を使用している。
ワインで有名な島だったので乗員達は楽しみにしていたのだが、待機していた給油艦から給油だけを行い午後3時には再度出港した。
その後バミューダ諸島の北を迂回して、12月1日の午後3時に予定より半日遅れて、サウスカロライナ州チャールストン港に到着した。17世紀ごろは、所謂三角貿易で、アフリカから連行した黒人奴隷が売られ、この港からはラム酒やタバコなどが欧州に運ばれた。
チャールストン港も、厳重な警戒態勢でアメリカ人の港湾作業員等は、どうしても必要な人員以外はどうも自宅待機でも指示されているようで、港にいるのはドイツ軍の部隊と、やはりSSの連中が大半だった。
直ぐにクレーンで、4つの木箱が運び出され午後7時に作業は終了した。その後科学者2名と、SS10名も下船した。科学者は、乗員に対し丁寧な感謝を述べて下船したが、SSは最後まで無愛想だったので、
(パルチザンにでもやられてしまえ)
と思った乗員もいた。
その直後貨物列車が入線して来たのだが
「あれが装甲貨物列車か」
貨物列車には貨物運搬の車両の他に、戦車砲や対空機関砲が装備された車両や、SS隊員が乗る客車も見えた。直ぐに木箱の搭載作業が始まった。一方『ケーニヒスベルク』では上陸前の清掃が開始された。
「僕らは何を運んだのだろう」
「ろくなものではないだろう」
「今後3隻とも、北米艦隊配属になるんかな?」
「艦長の訓辞通りだとすると、そうなるだろう。『カールスルーエ』が到着し、乗員の休養が終了してからになると思うが」
インドのゴアは、10月半ばに日本海軍の空母艦載機の空襲を受け、港湾施設は大きな損害受け、在泊していた巡洋戦艦や重巡も相当な被害を受けて、東インド艦隊は退却した。その後11月上旬に、ラッカジブ諸島沖でイタリア東洋艦隊と、日英艦隊の艦隊決戦があった。
戦艦の数ではイタリア東洋艦隊の方が多かったが、日英艦隊に敗れイタリア海軍は40センチ砲搭載戦艦『レパント』と、『リットリオ』を失い、司令官イアッチーノ大将も戦死した。ちなみに、『ケーニヒスベルク』乗員の中に戦闘結果の噂を聞いて驚いた人は、皆無だったw
多くの艦で、日伊どちらが勝つか博打が行われたが、ほとんど不成立になったらしい。イタリア海軍の勝利に掛けた乗員はほぼ0だったからだw
その後11月22日に一大拠点だった、ソコトラ島が陥落した為に、大ドイツはインド洋から完全に撤退した。
「今後は戦争の中心は北米やカリブになるだろうなあ」
その後アデン→フランス領ジブチ→イタリア領東アフリカ(エチオピアとエリトリア)→旧英領スーダン→エジプトとスエズ運河の順で奪還されている。
その後乗員達には、交代で上陸許可が出て先発組は、発射する装甲貨物列車を横目で見ながら盛り場へ消えて行った。
翌々日には『ケルン』が無事到着し、互いに歓迎の汽笛を鳴らした。
12月7日
予定より半日遅れても『カールスルーエ』は到着しなかった。が、この時点では騒ぎにはならなかった。『ケーニヒスベルク』も悪天候で半日遅れたので、
「悪天候で、少し遅れているんだろう」
位に考えていた。夕方になっても到着したかったので、夕食時には乗員達もおかしいなと思い、仲間同士や上官と部下でざわざわし始めた。
8日の朝になっても到着せず、騒ぎが大きくなっていると、ノーフォークの大ドイツ帝国北米艦隊総司令部(ノルト・アメリカ・フロッテ)より、『カールスルーエ』は12月5日午前0時の定時報告以来、通信が途絶している事を知らされ艦長は絶句した。
位置は北米東岸より東へ1800キロだ。既に大捜索が始まっており、『ケーニヒスベルク』と『ケルン』にも捜索への参加が命じられた。両艦は8時に出港し、数日前の航路を東へ向かった。
「英国か、日本人の潜水艦と不運にも遭遇したのかな?」
「暗号を破られたとは考えたくないですが、不運な遭遇では」
艦長と副長の言う様に、潜水艦と不意に遭遇し、魚雷が弾薬庫辺りを直撃し、無電を討つ暇も無く轟沈した。と言った辺りだろうか?
「しかし、護衛艦は付きませんでしたが上層部は我々の為に、対潜哨戒機を多数飛ばして針路前方の対潜哨戒かなり厳重に……」
「確かに、航海中何度か対潜哨戒機を見たな」
「後方上空より、味方対潜哨戒機接近」
見張り員から報告があったので、二人は会話を中断し双眼鏡を上に向ける。
数分後 大きな4発機が『ケーニヒスベルク』の頭上を通過し、数秒間機体の影が艦を覆う。
「でかいな。あの哨戒機『FW‐215』は元のベースは米軍機らしいじゃないか。一歩歴史の針がずれていたら、あの機隊は我が軍の潜水艦の脅威になっただろう」
「ルーズベルトが8年前再選したら、そうなっていたでしょう」
1941年に、不可侵協定を締結したウィルキー大統領は、間抜けにも史実の太平洋戦争後半に大活躍した、空母や戦艦をほとんど計画中止にしてしまった。
(何度めかになるが、ドイツを不用意に刺激しないと言うよりも、不景気で金が無い)
陸軍機も、『B-29』と『B-24リベレーター』は開発中止になった。
それを知った独軍上層部は、『B-24』は対潜哨戒機として非常に有用と考え工作を開始。政府の決定に不満を抱いていたコンソリーデット社の幹部社員を買収し、設計図を入手し、技師数名をドイツに招いた。
長距離長時間の飛行に優れ、低空でも安定して飛行可能だったので、750機が製造され、大西洋で少なくない日英潜水艦を沈めた。
その後10日間にわたり大捜索を行ったが、痕跡は発見できず、大規模な捜索は打ち切られた。
12月18日の午前6時に、
「『ケーニヒスベルク』及び『ケルン』はノーフォークへ回航し、ノルト・アメリカ・フロッテ(大ドイツ帝国北米艦隊)の指揮下に入れ」
と命令された。ノーフォークに向け航行を開始した直後、重大なニュースが艦内放送で流された。
帝都ゲルマニア(ベルリン)国防軍総司令部の発表で、「大ドイツ帝国軍は新兵器でサンディエゴ、サンフランシスコ、ロスアンジェルスの3都市を壊滅せしめ、更に停泊していたアメリカ合衆国艦隊の大半を轟沈させた」
乗員達は、自分達が何を運んでいたかようやく気付いた。
「勝利万歳」(ジークハイル)を叫ぶ乗員も多かったが、内心「とんでもない事に加担してしまった」
と思った乗員も少なくなかった。
その後の2艦の命運は大きく分かれる。『ケルン』は8か月後に、カリブ海の戦闘で喪失してしまい、乗員の大半が死亡した。『ケーニヒスベルクは』49年2月のパナマ運河撤退戦や、一年に及んだカリブ血戦更には、第三次世界大戦最後の大規模戦闘『北の暴風作戦』等の多くの戦いに参加するも、必ず無事に生還する事から「大ドイツ一の幸運艦」と呼ばれる事になる。更にはカリブ海の夜戦で、慌てて発射した魚雷が『大和』艦尾の舵を破壊してしまい、身動きが取れなくなった『大和』は撃沈されてしまう。(大金星)
日潜水艦が発射した誘導魚雷の誘導装置が故障したり、『北の暴風作戦』では、日本の空母機が『ケーニヒスベルク』に誘導爆弾を投下しようとしたら、いきなり爆発して機体ごと四散したりと、とんでもない幸運だったので、
「あいつら黒魔術でもやってんじゃね?」
とか言われたw 無事終戦まで生き延び、キールで記念艦として公開されている。
「体制に対する民衆の信頼をえるには、ふたつのものがあればよい。公平な裁判と、同じく公平な税制度。ただそれだけだ」
ラインハルト・フォン・ローエングラム(銀英伝)今後の政治体制を質問されての答え
202X
「というのが軽巡『カールスルーエ』不明事件の概要だね」
「原因は何なのかしら?」
「昔から何個かの説はあるんだけど……」
多くの専門家が、本を出したりドキュメンタリー番組を制作している。
まず日英米のいずれかの潜水艦の魚雷攻撃が疑われたが、戦後の調査で『カールスルーエ』が遭難した付近には、一隻もいなかった事が明らかに。次は、乗員の自爆テロ説が浮上した、1950年代末に、核弾頭輸送任務の直前に他の船に配転した、乗員がパワハラがあった事を証言した。他の元乗員などへの聞き取りからパワハラは有ったが、テロを起こすほどの酷いパワハラでも無かった事が判明した。
ちなみに1943年6月に発生した、史実の戦艦『陸奥』爆沈事件の原因の説の一つにも、乗員の報復自爆テロ説がある。
次は、潜水艦による撃沈説だが日英ではなく、
「事情を知らなかった、Uボートが誤って敵艦と勘違いして撃沈した。情けない話なので大ドイツ帝国が隠蔽した。誤沈やらかした潜水艦乗員は抹殺か、故意に戦死させて口封じ」
だ。最後の説は支持者もそこそこいて、この説を基にした映画も作成されたそうな。
(探すなよw)
それともう一個説もある。それは、
「隕石が、運悪く弾薬庫を直撃して轟沈した」
("゚д゚)ポカーンとしそうな説だが、根拠は一応ある。『カールスルーエ』が通信途絶したと思われる時間に、北米東岸の広い範囲で、西から東つまり大西洋に向かって火球が目撃された。
更に大西洋で、北米の戦場で負傷した将兵を満載した病院船(ドイツに戻る途中)が、大西洋で火球が爆発するのを目撃した。他にも浮上中の独潜水艦数隻も目撃している。衝撃波も有り、病院船や潜水艦で見張りをしていた乗員に、負傷者も出ている。
しかし、
「いくら何でも話しウマ杉」
「君〇名は。の見過ぎじゃね」
と珍説扱いだったのだが、2年前の冬に船体が発見され、サルベージと調査が行われた結果(核弾頭は解体して廃棄)ガチで隕石が原因の可能性がある事が明らかに。
「でも僕は、原因はどうでもいいんだ」
「?」
「仮に、『カールスルーエ』が無事に到着して、サクラメントにも核攻撃があったと想像すると……」
「大丈夫よ、直撃されても復活……確かに100%断言はできないかな」
「司ちゃん、そういえば最終的な結論は今夜発表されるんじゃないかな」
少し重い雰囲気になったので、ナサはわざと明るい声を出した。
「そうね、N〇Kのニュースを見ましょ」
9時
「トップニュースじゃないんだ」
「今日は当然だよ。あと三時間何だし」
画面には喜び溢れる人々が映し出される。
「クリスマスケーキでも食べながら待ちましょ」
漸く20分後に別のニュースになるが、首都高の多重衝突事故が入り次は、鉄道トラブルニュースだ。ラッシュアワーだったのでかなりの影響が出た様だ。
「明日放映かしら?」
「ドイツ連邦共和国(民主化しました)に、アメリカに日本も参加してるからそれは無いんじゃないかな?」
「東米合衆国の最後の記者会見になりそうね」
25分になってようやく会見が始まった。やはり本当に隕石が主砲弾薬庫を直撃しての、誘爆だった様だ。
「この船私達と宿縁で結ばれているわね。だんな様」
「確かに」
実はこの船が発見された日時は、ナサツカの二人が出会った正にその時刻だったのだ。
「でもこの船艦〇れだと、運が1なのね」(史実ではまだ出て無い)
「ケーニヒスベルクは60あるけどね」
「マイナスでも良さそうな」
「1以上に設定しないと、不具合が出るんじゃないかな」
ちなみに史実版w艦これで『運』が一番低いのは、気化した航空機用ガソリンが爆発して沈没した、『大鳳』が2で、次が『陸奥』の3となっている。一番高いのは『雪風』だ。
「だんな様の、おじいさんはどんな人だったのかよく判らなかったけど、母方のおじいさんは戦時中はご無事だったのかしら? 戦後生物学者として、かなりご活躍された事は知っているけど」
ナサによると1925年生まれで、昨年100歳で大往生を迎えた。(サンデーに出ているのは、父方の祖父)
(時期的に大学生かしら)
史実では、昭和18年に「文系学生の徴兵免除が廃止」されて多くの学生が特攻隊等に散って行ったが、無論この世界では徴兵免除は廃止されなかった。まあ、志願する事は可能なので文系の学生の一部は志願して、戦地に赴いたり学力を生かして暗号解読班に加わって、活躍した学生もいた。
「海軍兵学校に確か、5位くらいの成績で合格したんだ」
「さらっと流そうとしているけど、兵学校とか東大に合格するより何倍も難しいのよ。やはりだんな様の家系は天才の家系なのね」
「そうかな」
「でもどうして海軍兵学校に? 一般の大学でも良かったのでは」
「実はかなり複雑な事情が」
ナサによると、母方のひいおじいちゃんと、ひいばあちゃんが結婚する時かなり揉めたそうだ。
ひいばあちゃんの実家は、江戸時代以来の軍人の家系で花嫁の父親も優秀な軍人で、本人も日清日露の戦いで大いに活躍し勲章も貰っている。特に日露戦争末期のクロパトキン大将の大攻勢と、乃木何とかの暴挙で戦線が総崩れになった時、花嫁の父親は戦死した上官の代わりに、部下を率いて困難な撤退戦をやり遂げで生還した。
「俺の娘は、軍人以外と結婚はさせん!」
「それは大変ね」
「ひいおじいさんは、花嫁の父親と5回の口論と3回のケンカの末に、条件付きで認めて貰ったんだ」
「何それ怖い。で、条件というのは」
「男児が生まれたら、一人は必ず軍人にするっていう事。でも三人目までは女子で義父は病死してしまったんだ。その翌年におじいさんが生まれたんだ。本人も、軍人に興味ないけど、仕方ないなあという感じで兵学校を受けて合格したみたい」
「何かそれとそっくりな話を、和製宇宙物のアニメで見たわ」(2)
母方の祖父は優秀な成績で兵学校を卒業。更に航空兵として高い適性があったので、1946年に初飛行した、『超重爆富岳』の航法士に配属された。1948年10月の『富岳』の初陣(ゴア空襲)にも参加した。
「司ちゃんは、富岳を目撃した事は?」
「何度もあるよ。通常の爆撃機タイプの他に、爆弾庫等を廃止した高高度偵察機型……確か名前は『九式陸上偵察機』……だったかな? ドイツの新型戦闘機ですら、ほとんど撃墜できなかったはず」
ナサの母方の祖父は、49年の10月にセイロン島から、北米に異動になった。
以前提出した、効率的な偵察機の運用理論の案が高く評価されたので、今度は高高度偵察機の搭乗員に配置換えとなった。
「じゃあ『富岳』の偵察型のやつ?」
「あ、それとは別の機だよ。海軍の高高度高速偵察機で、プロペラじゃ無く……昔風に言えば、噴進式ってやつ」
半年後、上官の機長が不慮の事故で……
「交通事故か何かで?」
「いや興奮した、バッファローに突撃されて」
「アメリカ的な……」
命は助かったが全治半年と診断され、機長は日本に帰還して治療する事になり、急遽ナサの祖父が機長に昇格した。少尉のままというのもまずい為に、数日後に中尉に昇進したらしい。ちなみに終戦後慰留する声も多かったが退役し、大学へ入学して生物学者になったとの事。
「何処かで、偶然おじいさんと遭遇した事があったかもね」
「司ちゃんは、第三次世界大戦が始まった時何処にいたの?」
「直前までニューヨークに旅行してた」
「ええっ!」
「大丈夫よ、いざとなったらワープして逃げれるから」
司は、あと数日間ニューヨークを観光するつもりだったが、
1948年5月12日の朝(開戦24時間前)
「何か悪い夢を見た気がしたのね」
「それも蓬莱の薬の影響なのかな?」
「あ、そうじゃないと思うわ。まだ人だったころから変な夢を見た事がある様な」
「ええとどんな感じの?」
「どどーんで、ばばーんって感じ」
えらく抽象的なと思うナサ。
司は、旅行を切り上げ帰る事にした。アメリカの司ちゃんハウスは、イチ〇ー選手の所属していた、マリナーズの本拠地シアトルだ。大陸横断鉄道という選択肢もあったが、飛行機を選択した。鉄道では数日はかかるからね。
5月は暑くも無く寒くも無いので、観光客は多いが何とか空席を確保できた。
ラガーディア空港を(JFK空港は未だ無い。そもそもJFK空港の名前になる事も無い)離陸した国内線は、ほぼ満席だった。
「ワープして帰らなかったの」
「頭をよぎったんだけど、何となくアメリカの景色を見ておきたかったの」
デトロイトとシカゴを経由して、6割の客は降りた。その後夜になってワシントン州に入るが、
「シアトルの空港で、民間機が胴体着陸を行い滑走路が閉鎖されたので、スポケーン空港に着陸します」
と機長の放送があった。
スポケーンは、ワシントン州南東部の都市でシアトルとは450キロ離れている。州内では人口第2位で、鉱山業が盛んだ。近くには風光明美な滝なども有り、観光客も多い。
観光客も多くホテルは満杯だった。仕方なく司は夜遅く出る夜行列車で、シアトルに帰る事にした。
が、観光シーズンなので寝台車は全て満杯だった。座席車はまだ空席があった。が、近くの席にいた大柄な男性のいびきが大きく、一睡もできないまま早朝のシアトルに到着した。
(よく考えたら、スポケーンからワープして帰ればよかったじゃない! 司ちゃんのバカバカ)
未だこの時点では平時だ。司が鉄道より早く帰って来ていても、まあ不審に思われる危険は少なかっただろう。(未だこの時点では一民間人)
その時
(おおっ、かわいい子発見)
軟派な、アメリカ人が司をナンパしようとしたが……
「そこの可愛い子、よけ……」
「……」(聖徳太子に、最初に声を掛けられた時のような表情)
「あ、いや人違いでした」
勝った指揮官は名将で、負けた指揮官は愚将だというのは、ジャーナリズムの評価にすぎない。指揮官の持つ価値は、彼の持つ可能性にある。敗将と言えども、彼に可能性が認められる限り、名将である。
チェスター・ニミッツ(大戦中のアメリカ太平洋艦隊総司令官)レッドサンブラッククロスでは、ご先祖がドイツからアメリカに移民せず、ドイツ海軍の提督として登場w
その後アパートに戻り、シャワーを浴びて歯を磨いてから、ベットに飛び込む司。あっという間に熟睡し、『地下鉄で言えば2駅分ほど』熟睡できた。
独軍大侵攻開始の一報がラジオで流れ、アパート内は大騒ぎになった。寝ている人に危険を知らせようと、隣人を叩き起こした人や、大家さんが、寝ている家の玄関を大声で叩いて回った。無論悪意は全く無いw
「こうして私の安眠を何度も妨げたヒトラー総統は、最大の敵になったの」
(告 笑顔の中に凄まじいエネルギーを探知しました)←ナサ君の脳内AIw(3)
(最後以外はヒトラー総統に責任無いんじゃ)
とナサは思ったが口に出す勇気は無かった。
寝たいけどニュースが気になって眠れなくなった司。不老不死とはいえ彼女の精神は、銀英伝のワルター・フォン・シェーンコップみたいに、鋼鉄のワイヤーで出来ている訳では無い。が、午前10時なると眠気が勝ってしまい遂に寝てしまった。
次の日の朝まで熟睡した司
(アメリカがそう簡単に負ける事は無いだろうけど、食料の買い占めとか置きそうね)
と思いスーパーに行った。が、戦場は大陸の反対側だったので、まだそこまでの混乱は起こっていなかった。
食事をしながらニュースを聞く司
ピンポーン
「司無事だったの?」
隣の住人が夜勤から帰って来た様だ。
「数日早く帰ったんだ。ラジオで不謹慎な番組をやってるな」
「不謹慎な番組?」
「ホワイトハウスと連邦議会と、ノーフォークの大西洋艦隊主力が、敵の新兵器で壊滅したとか」
「それドッキリ番組じゃ無く真実よ」
「えっ?」
5月17日
「ファンディ湾で、大西洋艦隊残存艦は壊滅しました」(ラジオ)
「はわわ」←司ちゃん
5月下旬
「東部の合衆国軍は総崩れです。ここで臨時ニュースです。南部のジョージア州とアラバマ州が、合衆国からの離脱を表明しました。同様の発表を行った州は10個目です」
「はわわ」
6月10日
「パナマ運河とキューバ島が、ドイツ軍に占領されました」
「はわわ」
6月13日
「ワシントンが陥落しました。現在のアメリカ大統領は……誰なんでしょう判りません」
「お姉ちゃん事件です。一か月でアメリカ合衆国が崩壊しました」(お姉ちゃんて誰だよw)
こんにちは、読者の皆さんありがとうございます。急に寒くなってきました。体調に気を付けましょう。
今回のタイトルは、小学生の頃放映していたホテルマンが奮闘するドラマで、必ず冒頭に「姉さん事件です」と入ります。(モノローグ)
果たして司ちゃんに姉はいたのかw? 16巻の巻末のおまけで、流行病で家族は父親以外は皆死亡したとありますが、その影絵に、祖母(右から2番目)弟(一番右)母親(左から2番目)に加え、姉と思しき人物(一番左)も描かれています。中の人が同じ某鬼を滅するマンガの某家族と違い、司ちゃんは次女だった可能性。
レッドサンブラッククロス本編では、反応弾頭をどうやってドイツ本国から合衆国まで運んだのかは不明です。外伝マニアの佐藤氏ですので、そこらは外伝で補完するつもりだったのかも。運んだ方法は史実の原爆輸送を参考にしました。重巡『インディアナポリス』で、サンフランシスコから真珠湾を経由(3時間のみ滞在)して、テニアン島に7日間で輸送。護衛艦無しも史実準拠。次回から司ちゃんが独軍占領下のカンザス州に潜入し、活躍します。司ちゃん危機一髪的なシーンもあるかも?
1 架空戦記では割とあるパターン
2 銀河英雄伝説のアッテンボロー提督のエピソード
3 「転生したらスライムだった件」のアニメ2期で、主人公のリムル達が、美人のエルフさんのお店に行った後、シュナにばれた時の彼女の反応に対する『大賢者』の回答。罰として飯マズのシオンの朝ごはん一週間と言う地獄を見る事になったw
はわわ=恋姫シリーズで朱里(孔明)が慌てた時の反応w
第1話の辞書は明日中に追記します。一度しか出ないモブのキャラは書かないです。(史実人物除く)
ずん吉
「ちなみに佐藤大輔氏はファンに、『三冠王』ならぬ「三巻王」と呼ばれているんだぜ」
カネオ君
「どういう意味や?」
ず
「大体3巻で未完になるから」
か
「なるほどー……って、誰が上手いこと言えと!」
ずん
「グッバーイ」