トニカクカワイイ+レッドサンブラッククロス(RSBC) 作:宇宙とまと
こんばんわ
大寒波襲来中だけど、去年よりは積雪は少ない。去年はもっと積雪が会った記憶があります。
偽りの愛国心で人を欺く行為に用心しなさい。
アメリカ合衆国初代大統領 ジョージ・ワシントン
某国大統領の事か?
12月24日
コロラド州デュランゴ市
デュランゴは、コロラド州南西部の鉱山都市でロッキー山脈の一部、サンファン山脈の谷間に位置している。人口は鉱山の発展で5万人を超えた事もあるが、産出量の減少に加え、第三次世界大戦の勃発で一万人まで減少していた。標高が2千メートルあるので、個人にもよるが外部の人間は高山病を発症する場合もある。
48年の秋に飛行場が開港する予定だったが、開戦の影響で中止とされた。大ドイツ軍は飛行場を拡張しようとしたが、最前線に近過ぎ米空軍初のジェット戦闘攻撃機『F-80シューティングスター』や、増援の大日本帝国空軍のジェット戦闘爆撃機による妨害で、工事は進まず放置されている。鉄道は無いので町へ入るには、徒歩と司ちゃんだけが使えるワープを除くとw、バス以外の手段はない。一応最前線へのドイツ軍へ物資を運ぶ拠点になるので、少数の警備部隊が街に駐留していた。
「これがお前の取り分だ」
「あ、ありがとうございます」
ニューメキシコ州に住むスペイン系アメリカ人サンティアゴ ・ バリドは、卑屈な笑顔を浮かべ金を受け取る。
男が封筒の中身を確認していると、
チャッキ
特別行動隊に所属する、クレイマン・ゴルツ中佐はバリドに銃口を向けた。
「ヒッ、旦那何の真似ですかい」
「まあお約束というやつだ。観念しろ」
バアーンという乾いた銃声が……、クレイマンの口から発せられた。
「冗談だ。その金を持ってここを立ち去れ」
バリドはそそくさと、金を持って走り去った。程なく近くでジープのエンジン音が聞こえて、やがて消えた。どうやら、ニューメキシコ州に抜ける秘密の山路が有るらしい。
「始末しても良かったんでは?」
とクレイマンに、話しかけたのは部下のヤムザ大尉だ。昨年よりクレイマン中佐の副官的立場になって、同行している。
「始末すれば、しばらくはスカッとした気分になるだろう。が、それだけだ。被占領国において、反逆者の摘発や監視に密告、それらの汚れ仕事は、占領軍より被占領国の協力的な市民の方が遥かに、勤勉で有能なのだよ」(1)
「確かにそうですねえ。英国でもフランスでも……過酷な統治が行われているソ連……今は、モスコヴィエーン国家弁務官区といくつかの傀儡国家になってますが」(2)
クレイマンは頷く。民族的に近いオーストリアやドイツ人も多い、チェコはともかく、フランスや英本土やソ連等の非占領国やアメリカでも、ゲシュタポに協力したり、同胞を監視・密告する手合いには事欠かない。
「裏切者や内通者を、理由も無く粛清すれば裏切り予備軍のアメリカ人も、武器を手に取り戦おうとするだろう。
ところで、近くの歩兵師団に頼んだ2人か3人程度の手伝いは未だ来ないのか?」
「何かあったんですかね? 敵襲は……そんな騒ぎにもなっていないですし」
もし、世界の終わりが明日だとしても、私は今日、林檎の種を蒔くだろう。
ソ連軍人ゲオルギー・ジューコフ
史実では名将だけど、『レッドサンブラッククロス』ではノモンハンで日本軍に大敗して、処刑されています。
その時東の方角から、車のヘッドライトが近付いて来た。大型の軍用車両が停車し、若い中尉が降りて来た。
「一人だけか? 二人は欲しいと頼んだはずだが? 貴官の名前は?」
「警備部隊所属のミンツ中尉です。上巻のアッシュビー中佐の命令で来ました。もう一人来る筈だったんですが、食中毒で病院に搬送したので遅れました」
「まあいい、一人でもまあ何とかなるか。デンバー市の治安部隊に数人出させれば良い。ああ、私は特別行動隊所属のクレイマン・ゴルツ中佐だ」
特別行動隊と聞いて、ミンツ中尉は物凄く嫌な予感がした。特別行動隊と聞いてピンと来ないのは、徴兵されて日が浅い二等兵くらいだろう。
「脱走兵でも捕えたんですか?」
が、中尉は質問の途中でそれはあり得ないと気付いた。脱走兵なら、引っ立てて軍法会議にかけ、良くて重営巣(豚箱)悪くすれば銃殺だろう。夜中にこっそりと処理する必要は全く無い。
「レジスタンスでも捕まえたんですか?」
がそれも違う気がした。レジスタンスやパルチザンは、テロリストには違いないので殺されても文句は言えない。
「そうではない、まあ広い意味ではパルチザンの親戚と言えるが」
クレイマンは、近くの空き別荘らしい建物を指さした。どうやらあそこの空家に軟禁か、薬で眠らされているのだろう。
「中尉は、現在東から西の自称『アメリカ合衆国』へ、亡命や逃亡を図る輩が少なからずいる事は知っているな?」
確かにそういう人や家族はが少なくない。脱走した独軍兵士が亡命した事もある。西から独軍支配地域への逃亡や亡命(スパイや発覚した裏切り者などが逃亡)に比べ、圧倒的に多く反比例して成功率は低い。
独軍はゲシュタポや、治安維持部隊等を投入し、亡命や逃走を取り締まって来た。
「科学者の〇氏一家だ」
その名前だけはミンツ中尉も知っていた。
「一家を護送するのですか?」
が今度も質問しながらそれは無いと思った。逮捕して護送するのなら、特別行動隊が出る幕では無い。通常の治安部隊で十分だ。
「見せしめに抹〇する。家族全員をだ」
「何とか妻子は助けてあげられませんか?」
「ダメだ」
「子供だけでも助けられませんか? 施設に預けるとか、ドイツ人の夫婦……子供がいない夫婦に里子として出すとか」
「ダメだ。まあ一歳未満の、物心ついていない幼児なら貴官が今言ったような対応をしたかもしれないが、今回は上の子はもう6歳、下の子も3歳だから、
里子に出しても、いずれは反帝国運動に参加するだろう。第一これは総統大本営からの命令……」
その時
「バカな事は止めろ!」
と一人の女性が走り込んで来た。バーン
ヤムザ大尉が躊躇わずに発砲し、10代後半と思われる女性は倒れた。
「何という事をするんですか!」
「この女は我々を止めようとしたんだ。レジスタンスかも知れん」
「大尉、背後関係を吐かせてからにすべきだったな」
「もうしわけありません」
「まあこぼれたミルクを嘆いてもどうにもならん。彼女が不老不死でもない限りは」
「この人、見覚えがあります」
「何だと! どこの誰だ」
「ヤムザ……落ち着け。ミンツ中尉が喋れんぞ」
「カンザス州トピーカの、中華料理店で働いている筈です」
「筈?」
「職務質問の際に、そう言っておりました。店に行った事は無いのですが、一度店の前で開店準備をしている姿を見た事はあります」
「名前は?」
「名前と身分証を確認しようとした瞬間、市内でドイツ兵が殺害される事件が起きて、無線で応援に来るように言われたので、身分証は見ないで返しました。同一人物かどうか、咄嗟の事なので自身はありません。確かに外見は似てますが」
「距離があり過ぎる。他人の空似かもしくは……」
「遠い州に住む親戚か。まあ後日調べれば判る事だ」
クレイマンとヤムザは、同一人物では無いと考えた。まあ隣の州と言えども、日本とは広さが段違いなので……
「さて、中尉には我々の仕事を手伝って貰いたい」
「直接粛〇に手を貸せとは言わない。それは、俺と中佐の仕事だ。〇〇を我々と、中尉が乗って来た車両積むのを手伝って欲しい」
「後は、その後あの空家の別荘の後始末ですね。それに加わって下さい。その後運転してデンバー市内に向かいます」
車には、鋼鉄製の容器が積まれている中身はガソリンだろう。火を放って空き別荘を焼いて隠滅するのだろう。
中尉の上司には後で説明する。ああ、無論報酬は弾む」
「できません」
「何だと?」
「こんなことは間違っています。関係のない家族まで巻き込むべきではありません」
「中佐、こいつは反逆者の様です」
「どうやらその様だな」
温和だったクレイマンの表情が、恐ろしいものに変わる。
「この命令は、恐れ多くも総統大本営からの命令だ。(まあ恐らく、ボルマン総統秘書官長兼副総統辺りの命令だろうが。9年前の春に、ヘス副総統が病死したおかげで繰り上がったあの小物の……)中尉これが最後の機会だ」
「できません」
「そうかでは貴官を即決裁判で銃殺に処す」
「俺がやります」
「いや、勇気に免じて私が手を下す。中尉私は士官学校の時、射撃大会で優勝した。無駄な抵抗はするなよ」
「じゃあお任せします」
ヤムザは銃を降ろし、数歩後退し女性の方を軽く、見る。
「しかし、この女も、妙な義侠心を起こさなければ長生き出来たでしょうに」
「まあ確かにその通りだ。ヤムザよ、日本には『美人薄命』という言葉があるそうだ」
「言い得て妙ですな」
ヤムザは倒れている女の方を見る。
(確かに美しいな。こんな夜に外を出歩かなければ幸運な人生を送ったかもしれないな。まあレジスタンスの一員かもしれないが。レジスタンスの一員だとすると、奴らは美人過ぎる女性はレジスタンスのような組織では逆に目立って、危険が大きいという鉄則を知らんのか?この傷一つない美少女は、どんな人生を送って来た……ん、傷一つ無い……)
次の瞬間、ミンツ中尉は美しい舞を見た。付き合いでバレエのショーを見た事もあるが、全く比較にならなかった。いやもしかすると、この瞬間既にクレイマンに銃撃され、意識を失う寸前に美しい幻覚を見ているのではとも、一瞬だけ思った。
「ギャア」
「バ、バケモ……グハッ!」
手下の運転手(え、いたの?)と、ヤムザは一刀で〇られた。
「う、後ろからだまし討ちとか、卑怯だ、ぞ」
と言いながら、クレイマンも倒れた。
司はクレイマンの反応は予想外だったのか、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたが、
「褒められたと思っておくよ」
「遅れてきた原始人のミンチメーカー」(銀英伝のオフレッサー上級大将の事)を、落とし穴に落として捕縛した「かっこいい若本」の様な反応を示した。(3)
「我に余剰戦力なし。そこで戦死せよ。言いたいことがあれば、いずれヴァルハラで聞く」
ラインハルト・フォン・ローエングラム(銀英伝)
バーミリオン星域会戦で、テンパってるローエングラム元帥の台詞w
ずん吉
「チコちゃん、こいつ自分がヴァルハラに行けるとか思ってるよ」
チコ
「何を寝ぼけた事を言ってるのかしら。チコはこう言います。『ヴェスターラントを忘れたのか』と」
ミンツ中尉は、呆然としながらも護身用の銃を取り出し発砲するも、銃弾は大きく外れて闇の中に消えた。数秒後、地響きが聞こえ二人は一瞬そっちに意識を向けた。砲弾の着弾音かと思ったが、それとは違う様だ。
「何だ? 銃の腕は下手糞か」ニヤニヤ
「貴女は、もしかして神様……というやつですか」
「別に神様じゃないんだけど、まあお前の好きに想像すると良いよ。では、お前が本当に善人かどうか確かめるぞ」
いつの間にか、ミンツ中尉の至近に司は移動していた。司は右手をミンツ中尉の方に伸ばす。中尉はまるで酔っているような表情で、身動きできない。
「……そうか、お前はやはり戦争犯罪は犯していないな。ニューメキシコ州で重傷を負ったのは、避難の途中に戦場に迷い込んだ女の子を助けたからか。……そうか、その子は無事だったのかそれは良かった。……お前はまっとうなドイツ軍人だから、命は助けてあげるよ」
「あ、ありがとうございます」
中尉はそう答えるのが限度だった。司は素早くクレイマン中佐が持っていた、別荘のカギを抜き取ると人間とは思えない速度で、別荘の玄関に走った。鍵を開けて中に入る司。1分ほどして玄関から出て来る。
「亡命希望の家族は、薬で眠っているだけだった。命に別状は無さそうだし」
「貴女はいったいどうするんですか?」
「彼らは貰って行くよ。……ふむふむ東の方から数台の軍用車両が接近中。もしかすると不安になったお前の上官が、様子を見に来たのかも。上官はこのろくでもない連中の正体は知らないのかもな。じゃあお別れだ。お前がまっとうな人生を送る事を祈るよ。トウッ」
司は、何処から取り出したのか『司ちゃん特性煙玉』を放り投げて、周囲には白い煙が立ち込めた。
「げほっ、げほっ」
煙は1分ほどで収まり、咳とくしゃみも止まった。気付くと謎の美少女とクレイマンや、ヤムザ及び運転手は消え失せていた。奴らが乗って来た軍用車両の姿も無い。土の上にタイヤの跡があるので、直前までそこに車が止まっていた痕跡は残っていた。
(血の匂いが急に無くなった)
ミンツ中尉は、煙玉が炸裂するまで漂っていた血の匂いが、ほとんど感じなくなっている事に気付く。完全に消えたのではなく、気を張ると空気中に未だ僅かに残る血の匂いに気付いた。数歩歩いてみると、3人+一人分(クレイマン達ドイツ人+司)の血が完全に消えていた。慌てて空き別荘を覗いてみたが、中には誰一人としていなかった。
その時、東の方から数台の軍用車両の走行音が聞こえて来て、ヘッドライトが中尉の体を照らした。程なく10人ほどの士官や兵士が降りて来た。
「中尉無事だったか。妙な事にならなくて幸いだった。他に誰もいないのか?」
「私一人ですが。誰もいませんよ」
クレイマン達のタイヤ痕は、アッシュビー中佐たちの車両のタイヤ痕に上書きされて、消えてしまった。素早く数人の兵士が空き別荘を確認すべく、自動小銃やマシンガンを持って向かった。
「誰もいません」
数名が道路の奥(西)に向かって走って行き、姿が見えなくなって10秒ほど経過した時……
「何だこれは! 中佐、直ぐに来てください!」
と兵士の叫び声が聞こえた。
「何事だ? 中尉も来るんだ」
(恐らくクレイマン中佐達の遺体だろう。あの謎の神様かも知れない美少女が、人とは思えない速度で運んだのだろう。こうなれば正直に話すしかないな。信じてはもらえないかもしれないが……」
覚悟を決めて、アッシュビー中佐と共に西の方へ向かった。
「なに、死ねだと!? よし、死んでやる。先に死ねばヴァルハラではこちらが先達だ。便所掃除にこき使ってやるから見ておれよラインハルト・フォン・ローエングラムめ!」
前出の、暴言を聞いたカルナップ中将の反応w この後念願叶い戦死
確かにそこに遺体は有った。が、それは中尉が全く想像していなかった展開だった。
「でかい熊だ。恐らく300キロはあるだろう」
そこには巨大な熊が倒れていた。懐中電灯で照らされた熊の右目の部位に、銃弾が命中した跡が有った。
(さっきの地響きは、この熊が倒れた音だったのか)
「中尉がこの熊を?」
「先ほど妙な気配を感じ、誰何(お前は誰だ?)に返答も無いので威嚇と牽制の為に、1発撃ちました」
「そうか、その弾が偶然右目に命中し、そのまま奇跡的に脳に到達したのだろう」
中尉はアッシュビー中佐に対し、数時間前の増員に行くように言われた事を再確認したら、どうやら中佐は、相手の名前は知ら無かった様だ。クレイマン中佐から無線で連絡を受けた時、偶然俄雨が有り雷雨になった。そういえば州の南東部では数日間かなりの雨が降り、洪水の危険もあるとニュースで言っていた事を中尉は思い出した。その影響かも知れない。
「ちょうど相手が所属と、名前を言った時偶然落雷があって、雷鳴と衝撃音でよく聞き取れなかった。聞き返した時には、既に無線は切られていた」
強い口調で緊急の要件と言われたので、無視する事も憚られたのだろう。
「では、小官を呼び出したのは何者なのですか?」
中尉は『仮に中尉が完全に無実だった場合、質問しなければおかしい事』を聞いてみた。(まあ特別行動隊3名を〇ったのは司で、中尉は無実ともいえるが)
サスペンスで犯人が、刑事に聞かなくてはならない事を聞かなかったり、犯人でなければありえない行動をしてしまい、逮捕される場合もある。
昔相棒もしくは古畑任三郎で、バイオリン奏者が殺されて、コンサートが中止になったのだが、その時の犯人が調律師で、彼は現場に器具を持って来なかったのだ。
「何故あなたは、コンサート会場に調律の機材を持って来なかったのか、それは貴方だけはコンサートは中止になると、確実に解っていたからですよ」(犯人だからね)
アッシュビー中佐は少し考えてからこう答えた。
「もしかすると、レジスタンスがドイツ兵を偽って呼び出し、抹〇しようとしていたのかも」
「私をですか?」
「中尉はアメリカ人の女の子にも、かなりもてるようですからね」
付け加えたのはシュミット一等兵で、その口調には若干の嫉妬も混じっている様だ。
「中尉がカンザスから転属して来たことは、もう街で噂になっていたから、レジスタンスの耳に入っていてもおかしくは無い」
「敵国の美青年仕官に現(うつつ)を抜かす、愚かなアメリカ人の少女たちに対する、見せしめと警告しようとしたんでは。中尉はアメリカ人からのラブレターは、読んじゃ駄目だって言われているそうですが?」
「その通りだよ。本国か、同盟国からの手紙は読んだり、返事を書いても良いと言われたけど、敵国人からの手紙は読んでいない。別の人が内容を確認して、その後廃棄している」
「レジスタンスとしては、中尉が引っ掛かったら上々。他のドイツ兵でも見せしめにはなるからなあ」
現にレジスタンスが女性を利用しての諜報活動や、中佐が言った様な罠にかけての暗〇も行われている様だ。
「仮にそうだとすると、レジスタンスの連中はなぜ来なかったのでしょうか? 偶然討伐隊と遭遇したとか?」
「それはありえるな」
「ドイツ兵を待ち伏せしていたら、偶然この熊を目撃したんで慌てて逃げたのでは」
「それも可能性あるなあ。もう一つの可能性もあり得るが」
「何ですか?」
「この巨大熊の、最後の晩餐になってしまったのかも」
「オエッ」
その瞬間、唸り声と共に熊が起き上がった。まだ絶命していなかったのだ。が、最前線では無いが近くの町にいる兵士達は、迅速に動き、熊にライフル弾と共にマシンガンの玉をぶち込んだ。今度こそ絶命した巨大熊は倒れた。
熊の近くにいたシュミット一等兵は、ひっかき攻撃を受けたが幸いそれは、軍服を少し破っただけで済んだ。が、第二激を避ける事は出来なかった。300キロの巨体が倒れ、小石が跳ね飛んだ。
その小石は絶妙な角度で、地面に跳ね返り絶妙なコースで、シュミットの下顎に命中した。
「気絶しているだけの様です」
「こちらアッシュビー中佐、ミンツ中尉は無事。レジスタンスの陰謀の可能性あり、非常線を張ってくれ。それと現場で、中尉が偶然巨大熊を射殺。例の人食い熊の可能性大。クマの遺体回収の為に戦車回収車の派遣を求める。それと救急車の派遣も求める」
「熊にやられたんですか?」
「そうだ。(嘘じゃないよw)意識不明だ」
40分後、損傷した戦車を回収し、後方に送り修理する特殊車両が到着した。ミンツ中尉も手伝い巨大熊は
クレーンで、回収された。解剖後は剥製にでもされるのだろう。
人食い熊の被害報告は、その後ピタリと止まり一週間後に、『安全宣言』が出た。非常線には当然レジスタンスはかからなかったが、不運な逃亡中の詐欺師と、偶然近くの家に侵入した空き巣が逮捕された。
12月末、ミンツ中尉はアッシュビー中佐に呼び出された。
「転属ですか?」
来年1月1日付で、デンバー市駐留部隊の司令部付という内容だった。
「中尉はまた英雄になってしまったじゃないか」
「人食い熊の件ですか?」
「ドイツ兵やアメリカ人の仇を撃ったんだからな。デンバーでは公報の仕事をする事になるそうだ」
「広報ですか」
「宣伝放送に最適の人材だからだそうだ。それと熊の犠牲者の中に、レジスタンスの大物がいたな」
「この辺りのレジスタンスの実質的まとめ役の人ですね」
「その幹部の仇を、皮肉にも敵国人に撃って貰った事になる。連中は大恥だろう。その腹いせに君を狙う危険が出て来たんだ」
「はあ」
「まあその危険性は4・6だな」
「4割は、実際にそういう事件を計画する可能性」
「残りの6割は、後釜争いや内ゲバに繋がり君を狙うどころではなくなる可能性だ」
2026
「で結局レジスタンスはどうなったの?」
「そのまとめ役の影響はでかすぎて、後継者争いになりコロラド近辺のレジスタンスは、内部分裂し終戦までに、再びまとまる事は無かったらしいわ」
で、ミンツ中尉は慌ただしくデュランゴを離任し、デンバーに着任した。その後大ドイツ帝国の息がかかった、新聞や週刊誌の取材に対応するなどしていたら、1月20日に再度運命はは大きく変わる事になった。
直属の上司に呼び出されたのだが……
「中尉の祖父は実の祖父では無いそうだね?」
「はい、祖母は若い頃エリート軍人の卵と交際して、妊娠していたのですがエリート軍人の家族などの猛反対で、結局結婚できずその後別の男性と結婚しました」
「子供は認知はされたのだね?」
「はい、父が成人するまで毎年養育費は受け取っています」
「ではお入りください」
合図で、男性が入室して来て握手を求められる。その人は弁護士らしいのだが……
「私の祖父は、〇元帥なのですか!」
何と彼の真の祖父は、軍の長老的人物でヒトラー総統も一目置く人物だ。ちなみに男爵位を所持している。(4)
「どうやら元帥の後を継ぐ男子が、全て戦争で失われたらしい。他に親族もいなく、君しかもう爵位を継げる人はいないそうだ」
代理人によると、長男は40年10月のロンドン攻防戦で、次男は43年夏のモスクワで戦死した。
「三男の〇大尉は、海軍に入り潜水艦勤務でしたが、先月中旬に潜水艦が、ウィンドワード海峡付近で通信途絶しました」
「最近、潜水艦の犠牲が著しく増えた事は効いていますが……」
第二次世界大戦の頃、日本帝国海軍が英国の撤退支援をしていた頃は、日本も対潜水艦戦闘に不慣れで、少なくない犠牲を出していたのだがその後、
「海軍の本分は、自国の海上交通網を敵国から守る事」
を思い出したのか、対策を立て護衛駆逐艦や、護衛空母・護衛駆逐艦の増産と優れた対潜兵器の開発に血道を上げ、犠牲は大きく減り、戦果は反比例して右肩上がりに増えている。
「今月だけで19隻もUボートが沈められたそうだ」
「毎日1隻ずつ沈められているんですか、そこまで悪化していたとは」
「そこで元帥は止む無く、四男……彼はニューメキシコ州の戦車師団に配属されていたんですが、急ぎ本国勤務になり3日に、ニューヨーク経由で帰国する筈でした」
その頃ミンツ中尉は、転属した直後でごたごたしていたのだが……
「そういえば、ラジオのニュースで……」
四男の乗った飛行機はニューヨークの飛行場に着陸しようとした時、風雨による事故で死亡してしまった。
(ここまでお膳立てが進んでいると、おそらくこの話は断れないだろうなあ)
その後手続きやら、公報の仕事をしながらで忙しい内に1月は終わった。代理人と軍交渉で月内一杯までは広報の仕事をする事になったらしい。2月1日に、ドイツ南部のミュンヘンに駐留する予備戦車師団勤務を命じられ、同時に大尉への昇進が内示された。そこで新兵の訓練に従事するらしい。
デンバーでの勤務は僅か一か月に過ぎなかった。(デュランゴでの10日よりは長いが)
3日に代理人と共に、帰国の途に付いた。某元帥より四南の事故の件があるので、飛行機は使わずと言う事になった。
長距離夜行列車で、トピーカまで来た時カンザス州東部で脱線事故が起こり、運休となった。24時間後には復旧すると言う事なので、夕食は駅の外で食べようと言う話になった。
「店は貴方が選んでくださってよいですよ」
と代理人が言うので、
「中華料理でも良いですか?」
「構いませんよ。本国でも最近少しブームになってまして」
大ドイツ帝国と大日本帝国は、絶賛内戦中の中国に旧式の武器などを輸出している。その影響か中国ブームが起きていて、中国料理の店の開店が増えている。程なく二人は、『チャイナレストランチョーウン』の前に到着する。ミンツ中尉がドアを開けてみると、2か月半前に職務質問しようとしたあの少女が、客の注文を取っている。(司だぞw)
(やはり彼女とあの美女は無関係だろう。もしかすると神があの少女の姿を借りて、我が国に天罰の一つでも下したのかもしれない)
「どうしました?」
「今日はかなり混んでいますね。別の店にしましょう。近くにドイツ系移民の店があります。ドイツ料理にカンザス料理、南部料理もありますよ」
「それは楽しめそうですね」
(どこかで感じた気配だ)
司が店の外に出るが、既に見えたのは二人の後ろ姿だけだった。
翌日夕方には復旧工事が完了し、運行は再会されミンツ中尉と代理人は夜行列車に戻った。翌朝ニューヨークに到着し、夕方ハンブルク行の高速客船に乗船し本国に向け出港した。
(また再びこの国に来ることはあるだろうか)
徐々に小さくなるニューヨークの市街地や、自由の女神像を眺めていたが、やがて船内に戻って行った。それが中尉が直接アメリカを見た最後となった。
司ちゃんは、相手の記憶とか考えている事を読めるのか?
ナサ君と再会した後、
(結婚したら手を握り放題だなあ)
を読んでいるので、そういう能力も有ると見たw
(ナサ君の台詞は小さく口に出ていた説も)
マルチン・ボルマン 1900-1945 ヒトラーの側近 ヘス副総統の病死後、昇格した。史実では戦後長らく生存説が噂されていて、ゴルゴ13に登場した事もある。後にDNA鑑定でベルリン陥落時に死亡していた事が確定した。
ルドルフ・ヘス 1894-1987
第三帝国初代副総統。史実では1941年5月10日に、自ら操縦する重戦闘機で英国へ逃亡した。戦後終身刑とされ、87年に自殺した。
クレイマン・ゴルツ中佐 悪名高い特別行動隊所属。由来は『転スラ』のカマセ魔王クレイマン。ヤムザもクレイマンの部下が由来。あっけなく司ちゃんに始〇された。
ずん吉
「なあカネオ、元ネタのクレイマンは『提供死』で死んだらしいぜ」
カネオ
「有働アナ(真田丸)や、長沢まさみさんのナレ死(鎌倉殿の13人)は有名やけど、それは知らんな」
ずん吉
「アニメの冒頭で魔王リムルに始末されて、遺品の映像に提供が重なったかららしいぜ」
カネオ
「ちなみに何か最近クレイマンが逆行し、リムルに報復を計画するマンガがあるらしい」
ずん吉
「やられたらやり返す、倍返しが私のモットーでして」
カネオ
「それは別局の実写ドラマや!」
1 「銀河英雄伝説」のヤン提督の台詞の一つ。実際フランス等でも、ナチへの協力者は多かった。(戦後かなり処刑された) 他にもソ連兵の捕虜を洗脳して、義勇軍等を編成しようともしていた。(戦後ほとんどスターリンの命令で処刑。尤もドイツに協力しなかった捕虜も、『国家への叛逆』とされ大半が死んだ)
2 モスクワのドイツ語読み
3 穴子さんの様なひょうきんな役も多い若本氏だが、銀河英雄伝説では重厚な演技を見られるので(ロイエンタール元帥)、そう呼ばれている。又悪人では無い役なので『きれいな若本』と呼ばれる事も。
4 ドイツ周辺国では、土地を持つ貴族をユンカーと呼ぶ。マンシュタイン、グデーリアン、ルントシュテット等の上層部は、ほとんど貴族階級の出身。例外はロンメルで彼は一般家庭の出身。
ついでに、『水星の魔女2期』で、スレッタとミオリネの関係が元に戻るか、キョエちゃんが占います。
キョエちゃん
「むーりー」(無理)
まあ、無理だと思いますね。『銀英伝』と違い信頼できる大人がだーれもいないからなあ。