トニカクカワイイ+レッドサンブラッククロス(RSBC) 作:宇宙とまと
こんばんわ。今年の大雪の危険は終わったみたいな感じですよ。(2月後半は気温が高め傾向らしいです)
国家に友人はいない。
あるのは国益だけだ。
シャルル・ド・ゴール フランス大統領
レッドサンブラッククロス世界では、多分フランス大統領にはなれないw
12月25日未明 ユタ州東部(アメリカ合衆国軍駐留)
司は無事、合衆国陸軍の探索部隊と合流。亡命者の家族は程なく意識を回復した。軍医によると後遺症も無い可能性が高いとの事。
「お疲れ様でした」
「裏切者の仲介野郎は、残念ながらもう現場にいなかったよ」
「一足違いで、金を受け取って現場を去ったのかも」
「近くに大きな熊の気配がしたから、そいつに食べられた可能性も。ふふふ」
「顔が怖いですよ。まあ無事ならいずれ始末してやりますよ」
話しているのは、司の事を知っている数少ない一人のブルー中尉だ。(多分イケメンw CVは梶さんか宮野さんだなw)
「おっ、もう大丈夫なのか?」
「もしかしてお姉ちゃんが助けにくれたの?」
亡命科学者の長男(6歳)は、もう普通に歩けるまでに回復していた。
「もしかして意識あった?」
「ぼんやりと覚えているんだ。もしかして神様?」
(クレイマン中佐が、費用をけちって効果の低い薬を使ったな)
「まあ似てるような物なのかな?」
「ふーん、戦争が始まるまでは宇宙飛行士になりたかったのか」
「雑誌に、想像で月に有人飛行するマンガが連載されていたから」
「何故諦めたんだよ」
「戦争が始まる少し前に、近所の空家が気になって探検に行ったら、雨になって近くに落雷があって、衝撃で扉が開かなくなって、
一晩閉じ込められて閉所恐怖症になって……」
「閉所恐怖症は、宇宙飛行士になるには拙いかもなあ」
「でも、ロケットの設計とかなら関係ないでしょ」
「親の仕事を継ぐのか、それもまた良しだ」
「間もなくトラックが到着します。ご家族の方は準備をしてください」
「あっ、お姉ちゃんの名前は?」
「それは秘密」
「ええー教えてよ」
「A secret makes a woman woman.(女は秘密を着飾って美しくなるのよ)
と、ベルモットの名台詞を言ってかっこよく去る司。
それを見ていた少年は、
(お姉ちゃんは、とても美しくかっこいい人だと思った。
そして、どや顔で歩いていた司はびたーんと転んだ。
「ふっ、ドイツ軍の陰謀だな」
少年は思ったw
お姉ちゃんはかなり残念でポンコツな人だと……w
一家を乗せた軍用車両が見えなくなるまで見送る司。
「ブルー中尉、アメリカ合衆国は月に行けるだろうかな?」
「合衆国単独では無理だと思います。貴女の祖国と亡命英国人科学者の協力は不可欠でしょう」
合衆国は戦争が終わっても、自国で戦闘機の開発が可能になるのに、最低5年はかかると予測されている。
5年の間に、日独両大国とはかなりの技術格差が出来てしまうかもしれない。
「せめて月面有人飛行は、ドイツより先にやりたいですねえ」
「それは同感だよ」
(もし仮に本当に輝夜達が月に居たら、大ドイツ帝国が先に行った場合輝夜達に酷い事をする可能性が高い。いや返り討ちにされるかも)
「あっ、戦後帰国したら、日本で凄い天才を見つけて来るってのはどうです?」
「そう上手く行ったら苦労はしないよ」
「ですよねえ」
だが、この日より一年も経過しない内に、実現してしまうとは二人とも想像していなかった。
「スコップ用意しておきました」
「ありがとう。ナチ野郎のお土産はそこに置いておくよ……それと、メリークリスマス」
2026
「司ちゃん、助けた家族と僕が何か関係があるって、さっき言ってたけど。でも、親戚に国際結婚した人とかいないし……」
「だんな様、この前その娘さんとお茶飲んだじゃないの」
「ええーっ!って事は!」
「そう後の、時子の結婚相手さ」
黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ
鄧小平
実際は白い猫では無く、黄色い猫らしい。
12月25日 午前5時 カナダマニトバ州西部
「……ん……」
クレイマン・ゴルツ中佐はゆっくりと目を開く……
「おおっ、生きていたか」
「お前は……! ヤムザと運転兵はどこだ?」
「二人は、一足先にお前を待っているってさ」
と、渡辺小五郎必殺仕事人みたいな台詞を言う司。
「私を〇したら、報復で周囲の村が焼かれるぞ。止めるんだ」
「旧ソ連とかはともかく、英本国や合衆国やカナダ東部ではそういう過激な報復は、『総統命令』で禁止されてるんだろ。知ってるよ」
「グヌヌ」
「それに、もしかして手柄を独占する為に、上官や周囲に全く報告せずに、あの一家を捕えたんじゃないかと思う」
「げえっ」
「ほう・れん・そうは大切だと、士官学校で学ばなかったのか」ニヤニヤ
報告・連絡・相談を指す所謂ビジネス用語だが、ドイツ人のクレイマンには意味は判らない。が、バカにされた事は判る。
「一応お前の記憶を見てやるよ」
素早くクレイマンの近くに移動した司。
「………お前はダメだ。特にソ連戦線で罪のない一般人を大量に……お前は〇して良いドイツ軍人だ」
と、「すげえよミ〇」で有名な、三日〇・オーガスみたいに厳かに宣言する。(1)
「私を〇するのか?」
「それ以外に聞こえたのなら、言い方が悪かったか?」
「お前は何者だ?」
「特別行動隊に名乗る名前は無いよ」
「もしかして、神話上の女神なのか」
クレイマンは、何名のかの日本神話に登場する女神の名前を口に出した。
「何だ日本神話の知識があるのか? 意外だな」
「私では無く、ある人の受け売りだ」
司は大ドイツ上層部に、日本にかなり詳しい高官が居るのかと思った。
9月30日
ニューヨークのとあるビル
「ハ……(書いたら垢BANになる挨拶)」
「まあかけたまえ」
「ハイドリヒ閣下もお元気そうで」
部屋の主は、半年ぶりに視察に訪れたラインハルト・ハイドリヒだ。
「君に個人的に依頼したいのは、とある情報の真偽を確かめる事だ。通常のレジスタンス狩りをしながらで良い」
「どのような内容でしょうか」
「不老不死で、不死身の女工作員が敵方に存在する?」
「悪いがこれ以上の情報は無い。ガードが固すぎて諜報部や国防軍情報部の総力を挙げても、今言った事しか判らない。名前も外見も不明だ」
「その様なおとぎ話のような存在が、本当に実在するのですか? 偽情報では」
「確かに君の言う通りだ。だが偽情報を流すのなら、もう少し現実性のあるネタを使うのではないかな。こんな誰が考えても、ありえないと思う情報では意味が無い。もしかすると意外に実在する可能性も」
「いや、逆にハイドリヒ閣下や高官の方々がそう考えると考え、偽情報を流している可能性もあるのでは」
クレイマンは、少し言い過ぎたかと思ったが……
「いや、君の言った様に『裏の裏』という事で、我々を混乱させる陰謀という可能性もあると思う。
まあそもそも100%信じてはいない」
「半信半疑という事でしょうか」
「信が49%で、疑が51%だな。まあその数値も時折変化する」
と冠城時代の右京さんの発言をするクレイマンw 確か偽未来人の時(2)
「仮に実在するとして、そ奴はアメリカ人でしょうかそれともアジア人?」
「日本人やもしれん。実は日本には八百比丘尼という伝承が……」(3)
ハイドリヒはかなりの日本マニアなのだと言う事を思い出した。何処から入手したのか、仏像や日本画、陶磁器、刀剣、甲冑、瀬戸物など博物館を開けるほどのお宝が有るらしい。
「もし捕縛出来たら何をされたいのですかな?」
「言っておくが人体実験や、拷問をするつもりは無いぞ」
「まあ不老不死なら、攻撃も毒薬も効果は無いでしょう」
「歴史的な事実を聞いてみたい。関ケ原やワーテルロー等も見ているかもしれない。まあ一番聞いてみたいのは、ハーメルンの笛吹男の話だ」
ハーメルンの笛吹男の伝承とは、1284年6月(北条義時死後60年位)に中部ドイツのハーメルンの町で起きたとされる事件だ。
1 町で多数の鼠が大発生。
2 困ったので旅の笛吹男に、多額の報酬と引き換えネズミ退治を依頼。
3 笛吹男は、笛を吹き鼠を川に誘導して溺死させる。
4 町の住人は約束を破り、報酬を払わず男を追い出す。
5 笛吹男「やられたら、やり返す倍返しだw……皆さんの大切なものを奪いに参上します」と言ってその日は退散する。
6 数日後の朝、住民が教会に礼拝に行っている間に、笛を吹く。すると130名ほどの子供が付いていく。山の洞窟に入り、道が塞がれて子供と笛吹男は、二度と戻っては来なかった(怪我をしていたり、耳が聞こえ辛い障害のある子ども数名は助かる)
何が起きたのかは諸説あり
1 疫病や自然災害での死亡を暗示。
2 東方への植民の為に町を離れた。(親兄弟を捨てて参加)
3 悲劇的な最期で知られる、『少年十字軍』に参加した。が少年十字軍は、時期的に半世紀ほど前の話らしい。
「とまあいろんな説があるのだが、どの説が正しいのか、もしくは他の可能性なのか知っていたら、ぜひ聞いてみたいのだ」
「そのような伝説は、後世の捏造だと言う可能性もあるのでは?」
「君は解って無いな。事実では無かったと判明する事もまた発見だ」
回想終わり
クレイマンがハイドリヒとの会話を思い出している間に、やや周囲が白んで来た。周囲の木々の他に遠くの山の稜線がぼんやりと判別できる。
「周囲の景色がさっきとは全く違う! 何だこの寒さは」
「そりゃそうだ。ここはカナダ中部のマニトバ州だから。周囲の景色は、未だ暗いから直ぐには気付けないにしても、この寒さに気付かないとか……馬鹿だろお前w」
「何だと!」
「さては、士官学校の成績が悪すぎて、特別行動隊に配属させられたか?」ニヤニヤ
「いやかなり上だぞ」
「ふーん、じゃあ上官の奥方か愛人に手を出したとか?」
「この野郎!(誰が野郎だw)」
(クソッ! まさか瞬間移動が使えるのか? それではSSやゲシュタポに捕まえられる訳が無い。さては『移動式無線傍受車両』が時々空電を拾うのは、その何割かは、この女がワープして逃げた痕跡だろう。ハイドリヒ閣下、閣下の想像以上の危険人物でした)
「私を〇すのか?」
「お前を許す気は無いよ。捕虜になっても裁判で死刑だろ……でも、お前根性だけはありそうだから、私が直接手を下したら、化けて出て枕元に立ちそうな気がする。それに、私の様な美少女に〇されるとか、ご褒美上げているみたいで不快だ」
暴れん坊将軍で、松平健演じる徳川吉宗が、最後に悪党の首魁を配下の忍びに、「成敗!」と言って止めを刺させるのは、自ら処刑すると、悪人に「将軍様に止めを刺された」、と言う名誉を与える事になるかららしい。
「さて、これはなんでしょうか?」
司は、防寒具から何かを取り出したがまだ周囲がやや暗い為に、あまりよく見えない
「何かの……動物の体毛か?」
「この辺りに生息している、リスと狐の体毛だよ」
「それがなんだと言うんだ?」
「この辺りに、戦争の前は落ちていただろうが、現在は熊などの大型獣の体毛やフンは落ちていない」
「だからそれが何の関係があるんだ?」
「リスやキツネの様な、小型獣はここに居ても作動する事は無いよ。だけど熊はアウトだ作動してしまう。だから近づかないんだ、熊は鼻が利くから」
「ま、まさか!」
「そう、ここは日独英が互いに設置した地雷原さ。下手に動けばドカーン。まあお前の傷から動かなくても数日も持たないだろう。せいぜい反省するんだよ」
「せめて最後の質問をさせてくれ。お前はいったい何年生きているんだ? 5千年とかか?」
「そんな訳無いだろ! その半分以下だ」
「2千年位か?」
「ドイツでは確か、クロタール1世がフランク王国を統合した頃だよ」
フランク王国は、5世紀後半から300年ほど西ヨーロッパを支配した国で、後のフランス・ドイツ・イタリアの母体となっている。
「すると、1350歳ほどになるのか?」
「1350歳じゃない! 16歳を1350回だ」ドヤァ
(な、なにを言っているんだ? 1歳を1350回なら解るが、16歳を1350回だと、2万1600年生きている計算になる。計算間違いに気付いていないのか? いやあの無駄などや顔w これまで秘密を共有する人物に、年齢の事を聞かれた場合いつも同じように答えているのでは? この女実はポンコツなのではないか? ああ、アイゼンハワーが彼女に破壊工作や、暗殺等をさせない訳だ。私がアメリカ人でもそう判断するだろう。ついでにワープにも制限があるのでは?……『無線傍受車両』の空振りは、その多くがアメリカ国内だ。もしやワープでは川や湖は越えられるが、海水の上は不可能なのでは? それに屋外でしか使用できないかもしれない。建物へ外から瞬間移動で入る事は不可能なのかも。逆は判らないが……)
この間0.5秒。司は偏見を持っているが、実はクレイマンは士官学校で『10年に一度の逸材』と、呼ばれたほどの秀才だったのだ。
「おい、今私の事バカにしただろう!……ここで成敗してもいいんだよ。ふん、ドイツ軍の最前線まで35キロはある。その傷ではどのみち持たないだろうし、地雷でドカンだ。せいぜい幸運を祈るよ」シュパッ(ワープして消えた音w)
2026
「で、それがクレイマンを見た最期だったわ」
「まあそりゃそうだろうね。あっ、クレイマンからのお土産って何の事?」
「奴さんが乗っていた、軍用車両とマシンガンとかだよ。総司令部に引き渡した」
「ええっ? 民間人虐殺犯の車だよ」
「兵器に罪は無いわと言うより、もう当時の合衆国軍は物資が掃いて捨てるほどある、超大国じゃ無くせいぜい中の上位よ。陸軍はドイツ軍が置き捨てたり、回収できなかった損傷兵器とかは可能な限り改修して再利用してるわ。(戦車、野砲、迫撃砲、小銃、対戦車砲など色々)」
「じゃあクレイマン中佐の軍用車両も、アメリカ軍で使用されたんだね」
「アメリカ陸軍の識別マークを上書きしてね」
「まあドイツ軍も、ソ連やアメリカの鹵獲兵器を、再利用しているからお相子かな」
ワープした司は、デンバーに戻りこっそりとホテルに戻って、部屋の中で一晩寝ていた振りをした。
その後レスランで朝からブラックコーヒーをがぶ飲みして、眠気を抑え込んだ司は、ホテルを出て今度はサクラメントへとワープで向かった。
今回の件を報告すると、アイゼンハワーは司に大変感謝し、夜行が出る27日まで
「こちらで休養してはどうか」
と勧めてくれたが、
「向こうで宿を手配しているから、戻らないと怪しまれる」
と司は丁重に断った。
27日までデンバーで時間を潰し、再度ワープでサクラメントに移動した。
司は、夕方まで仮眠しそれからワープでデンバーに戻ろうと考え、仮眠室に向かおうと廊下を歩いていると、無事例の一家を移送した、ブルー中尉と再会した。
「あの一家は無事到着しました。現在病院で健康状態を確認していますが、問題は今の所無さそうですよ」
「そうかそれは良かったよ」
「それと、今妙な情報が」
「どうかしたのか?」
中尉は、深呼吸をしてから……
「貴女の祖国……大日本帝国の、広島と長崎が反応弾頭爆弾による攻撃を受けたとか」
「はぁ?」
司は眠くて不機嫌だったのではない。単純にあり得ない話だと思ったらからだ。
「ドイツ空軍は、『富岳』の様な超重爆は未だ無いんだろ。どうやって爆撃するんだ?」
ドイツ軍も超重爆を開発しているが、どうやらエンジンの開発にかなり時間がかかり、完成までまだ相当時間がかかる事が判明している。4発爆撃機では、大ドイツ軍支配地域の最東端の東部ウラルからは到底到達できない。
「何かの間違いだとは思いますよ」
司はそういえば、総司令部で何人かがひそひそと話していたのを主出したが、この怪情報が広まったのだろう。
「両方の都市で、弾薬庫か港に停泊していた、船が爆発事故を起こしたんではないかな」
と、通りかかったパットンが二人を見かけて、話しかけて来た。彼も怪情報を聞いた様だ。
「そんな偶然あるでしょうか?」
ブルー中尉は、そう偶然は起きないと疑問を述べた。
「いや戦時中ならどうだろうか?」
同じく通りかかったペデル・スミスが再反論をした。
「平時ならともかく、今は戦時だ。平時の何倍もの船が前線への物資輸送や、戦闘の為に港を出入りするから、偶然の爆発事故が二都市で起きても、おかしくは無いと思う」
「司、そういえば何年も前に、横浜港で大きな爆発事故が起きたんじゃ」
確かに、パットンの言う通り大きな爆発事故が起きていた。
(確か8年前の……昭和17年の晩秋だったっけ)
司はシアトルでその事故のニュースをラジオで聞いた事を思い出した。英本国から脱出した補給艦を帝国海軍がチャーターして、インドネシアからの航空機用ガソリンの輸入に使用していた。
11月24日に入港して、6日後の30日午後1時40分に突如大爆発を起こし、隣にいた同じく英国の貨物船と、日本の民間貨物船2隻が巻き込まれ爆沈した。港湾設備なども大きな被害を受け、300名以上が死傷する大惨事となった。
10日後には写真がシアトルの新聞にも掲載されて、
(大変な事件が起きてしまったな)
と司はそう思った。(4)
「諸君、我らの夏は今日で終わった! しかし、秋と冬はまだ始まってもいない。堪え忍び、打ち勝たねばならない未来が諸君の前に待っている。さあ『ヒンデンブルグ』が君達を助けてあげられる間に、撤退してくれ。未来に向かって脱出するのだ。幸運を祈る。さようなら、以上」
戦艦『フォン・ヒンデンブルグ』号艦長レヴィンスキー大佐 最後の命令
『レッドサンブラッククロス外伝1」67ページより。
午後6時
その日は、小規模な食事会が行われ司も強引に参加させられた。と言っても司の事を知っている10名ほどで、戦時中なので飲み物も、アルコールは無かった。
ペデル・スミスによるとアイゼンハワーは所用で、来られないとの事。スミス合図で乾杯が行われた直後、アイゼンハワーの副官が、入室して来た。
「どうしたんだ? 何か緊急の報告か?」
「はい、良いニュースと悪いニュースがありますが」
「良いニュースから聞こうじゃないか」
「本日払暁、大西洋で日独両海軍が交戦し、超大型戦艦『播磨』(七号艦)が、ノルト・アメリカ・フロッテ(大ドイツ北米艦隊旗艦)『フォン・ヒンデンブルグ』を見事撃沈しました」
「米日同盟万歳!」
「両国の友好に乾杯だ」
「やったぞ」
司に向け満面の笑みを向けている、パットンを見ていると
(ああいうところが、兵士に好かれる原因なのだろうか)
と思う司。祖国の集大成と言える最終戦艦が、見事初陣を勝利で飾った事は満更でも無かった。
本来なら制空権を味方が持っている以上、敵艦隊に輸送船団が先制攻撃を受ける事は無い筈だが、これは大西洋中央部から勢力の強い低気圧が張り出して来て、風雨により、カリブ海の諸島に配備された、長距離偵察機も船団の護衛に付けた空母の艦載機も、発進不能になったのだから、これは止むを得ない事態だ。
船団の直接護衛に付けた、『長門』・『プリンス・オブ・ウェールズ』が防戦している間に、颯爽と『播磨』が救援に駆けつけ、やがて速力差から遅れていた51センチを砲6門搭載した、『紀伊』『尾張』が増援に来ると、戦闘は日本側有利に転換した。
もっとも基準排水量21万トン。全長370メートル、主砲56センチ3連装4基12門という、超怪物戦艦と言えども無傷では済まず、15発ほどの敵主砲弾を喰らって、主砲は無傷だったが修理には3か月程度はかかるそうだ。
『長門』と、『プリンス・オブ・ウェールズ』は大破に近い被害を受けたが、両艦とも自力航行可能で、喪失の危機は無いとの事。他に駆逐艦1隻を喪失、1隻が大破の被害を受けた様だ。
戦果は、『ヒンデンブルグ』の他に、高速戦艦『バルバロッサ』轟沈、他の戦艦も命中弾を受けたが逃走に成功したらしい。
「意外に敵艦隊の被害が少ないと思うのだが」
とペデル・スミスが疑問を口にした。
「『ヒンデンブルグ』が、殿を務め決死の戦闘を行ったからです」
『フォン・ヒンデンブルグ』は、味方艦を逃がす為に長篠の戦で、主君武田勝頼を逃がすべく奮戦して戦死した、馬場美濃守信春の如く最後まで戦った。4基の主砲がすべて破壊されても、体当たりしてでも阻止すべく突進を開始した。
最後は『プリンス・オブ・ウェールズ』の35.6センチ砲弾で止めを刺され爆沈した。
角田大将は、駆逐艦に敵兵の救助を命じるも『ヒンデンブルグ』の乗員は、残念ながら一名の生存者も発見できなかった。
「正に武人の鏡と言うべきか。俺も万一の時はかくありたいものだ」
いつもは、パットンが『英雄信仰』的な話をしていた時は、司は聞き流したりジト目を向けたりしていたが、
(ドイツ海軍の将校には、ナチスに反感を持っている人が多いとも聞くが、尊敬に値する人物もいるのだなあ)
と司も感心していた。
が、
「この海戦の名称ですが、『ニューヨーク沖海戦』と呼称される事が決定したそうです」
士官の説明を聞いた司は、
(戦場はバミューダ諸島沖だろ? ニューヨークとは全然関係無いじゃないか? ニューヨークの名前は要らないよ。安っぽいクイズ番組じゃあるまいに)
と余計な突っ込みを入れるのも忘れない司ちゃん。
「で、凶報と言うのはまさか……?」
一呼吸置いた士官は、ゆっくりと口を開く。
「広島長崎の両市に対して、ドイツ軍の反応弾攻撃が行われたのは事実と判明しました。それと小倉にも同様の攻撃が行われたと言う情報が。こちらは未確認ですが」
「何だと!」
「本当か? いつの話だ?」
「現地時間の26日の朝です。広島市が午前7時……長崎市は午前8時頃との事です。アイゼンハワー大将は現在駐米日本大使と、緊急会談を行っておられます」(アメリカ西部は、マイナス17時間なので25日午後2時くらい)
「被害は……?」
「?」
「被害規模は判明しているのか?」
ペデル・スミスの問いかけを聞いて、士官はメモ書きを一瞥し答える。
「確定的な犠牲者数はまだ不明ですが、被害は西海岸三都市と比較して、かなり少ない模様です」
「こ、おい止せっ!」
「パットン閣下? どうされまし……ヒッ」
2年と10日前、西海岸三都市に反応弾頭ミサイル攻撃が行われ時にも、その士官はサクラメントの総司令部に居たのだが、ニュースを聞いて、トニカワ16巻の激怒司ちゃん状態……それどころか、ブチ切れた状態の某鬼にされた妹(声が酷似している)の司を見たその士官は、無様に転んでしまった。
豪勇で知られるパットンですら、思わず数歩後退った程だ。だが、今回の司は怒りでは無く、ぼーっとしている。
「司どうしたんだ? 何か心配事でも……広島市に知り合いでもいるのかい?」
「パットン、そうなんだ。広島市では無く西隣の町なんだが」
「本当に被害が少ないのなら、無事なのでは? まあまだかなり朝早い時間だから家にいたのではないか?」
(広島と言う地名に何か惹かれるものを感じた。なぜだろう?)
「どうしたのかい?」
「それよりも、どうやって日本本土を攻撃したんだろう? いつの間にかドイツ空軍が6発エンジンの超重爆でも、完成させたのだろうか?」
司の発言を聞いた他の全員が、はっとなって士官の方を見る。
「超重爆撃機の目撃情報は皆無との報告です。攻撃はミサイルの様です」
「何っ! では奴らが支援している中華ソビエト政権の支配地域、……華北地方にミサイルを持ち込んだか」
「そうではありません。潜水艦からの攻撃です。訓練飛行中の日本人搭乗員が、九州南西洋上500キロの洋上で、浮上した大型潜水艦からミサイルの様な兵器が発射され、北東の方角に飛んで行ったのを目撃したそうです」
数日後更に詳細が入り、近くで操業していた漁船の乗組員や、航行中輸送船の乗員などが多数
「海から突然流星が空に駆け上がって行った」
のを目撃した。
反対に、
長崎の近くにある町の住民や、広島市付近や、愛媛県や岡山県の住民は、
「流星が広島の方に向かって落ちて行き、その直後閃光と共にきのこ雲が立ち昇った」
との光景を目撃していた事が判明した。
「私は昔潜水艦の中を見学した事があります」
「パットンそれがどうしたんだ」
「参謀長、潜水艦は洋上艦に比べてとても狭いんですよ。それはドイツの大型潜水艦でもそれほど違いは無い筈です」
「そうか、だからロスに打ち込んだような大破壊力のミサイルは、潜水艦には搭載出来ずかなり威力が落ちる、ミサイルしか搭載出来なかったのだろう」
更に長崎市に着弾したミサイルは、最終段階で誘導装置が不調を起こしたのか、市中心地への着弾は免れ、数キロ離れた郊外に着弾した。それにより、ドイツ側が想定したのより遥かに被害は少なかった。
司は、予定通りワープしてデンバーに戻り予約していた夜行列車に乗り込んだ。が、さすがにその日は一睡もできなかった。28日朝司は、トピーカに到着しまだ店は営業していないので、下宿に戻ったがその直後睡魔に襲われ寝てしまった。
が、その頃北の大地では……
「見事だ」
と、角田は言った。
寺内が、心底羨ましそうに言った。
「どうせ海で死ぬなら、ああいう風に死にたいですな」
『フォン・ヒンデンブルグ』の最後を見た、角田大将と寺内少将。(『播磨』艦長)
小説の同じページより引用。
通信担当の畑少佐は、通信室に詰めているので昼戦艦橋にはいないw
同日早朝7時 カナダマニトバ州
大ドイツ帝国軍北米方面軍北方軍 第4方面軍第126師団第6大隊第26連隊第80大隊に所属する歩兵中隊は、寒さと睡魔に耐えながら、早朝の見張り任務に従事していた。
彼らの前方には地雷原が有り、その手前には誤進入を防ぐ為に有刺鉄線が置かれていた。
「曹長殿、誰かが地雷原をこちらに歩いて来ます!」
アクセル・ ハンナワルド上等兵が、上官のアルマント・ゼークト曹長に報告した。
「おいおい、寝ぼけているのか? この地雷原を歩くバカが居るはずなないだろう」
「確かです、確認してください」
ゼークトは双眼鏡で、一応確認する事にした。
「マジじゃねえか、航空機が不時着でもしたのかな?」
曹長の眠気も一瞬で消えてしまった。
「あの軍服は……特別行動隊かも知れません」
「ちっ、忌々しい連中だ」
他の兵士達も、一様に謎の男に対し怒りの視線が向けられる。
彼らの残虐性は知られており、多くの国防軍兵士は彼らを軽蔑していた。
連中へのテロ事件に、一般兵が巻き込まれる事件もかなり発生していた。
「俺の知人は、特別行動隊のある指揮官と、偶然顔が似ていてレジスタンスに殺された」
「そういう話はちらほら聞こえてきますね」
アクセルがそう言った時別の兵士が、
「あいつは負傷しているんじゃ?」
アルマントが双眼鏡で確認すると、確かにその人影は負傷しているのか、ふらふらとしながらゆっくりと歩いて来る。軍曹はベテランなのでかなりの負傷である事に即座に気付いた。
(あいつはなぜ負傷を? 飛行機が不時着でもしたのだろうか?……)
「奴は何か、重要な情報を俺達に重要な情報を伝えようとしているのでは? だからあの様な重傷の身を押して、ここまで歩いて来たのでは」
「判るんですか?」
「まあ、俺の直感だがな」
勘と聞いて、部下達は嫌な顔をした奴は皆無だった。直感でウラル方面での、ソ連軍の残党やカナダ戦線での、日英軍との戦闘で何度となく小隊を危機から救って来たからだ。
「特別行動隊の野郎にしては、根性がありますね」
「特別行動隊にしておくには惜しい野郎だ、とは思うな。何か重大な任務の為に、止むを得ず特別行動隊に、一時的に配属されただけ……かもしれん」
「安全地帯まで残り30メートルです」
男は、地雷原の出口まで残り40メートルまで来ているが、手前10メートルは地雷は設置されていない。
「おーい、後30メートルで安全地帯だぞ。気をしっかり持って歩け」
曹長の発言に古参の部下達は、一応に驚く。曹長が特別行動隊を恨んでいる事を知っていたからだ。
「奴が殺戮者なのか、一時的に所属しているだけなのかは判らん。だが、本当に重大な情報を運んでいた場合、内容次第では、大ドイツ帝国の命運を左右する事になるかもしれん」
「がんばれー、後僅かだぞ」
「左右にふらつくと、地雷を踏む可能性が高まるぞ! 直線を維持しろ!」
それを聞いた部下達も、大声で呼び掛ける。謎の男は一度足を止めて、「聞こえた」と言う事を伝え様としたのか、軽く左手を上げ再び歩き出した。
25メートル、20メートル……距離が近くなると同時に日の出が近付き、男がかなりの負傷を負っている事が確認された。騒ぎを聞いて跳び起きた小隊長(中尉)は、衛生兵を叩き起こすように命じ、万一救助しても後方に運ぶ前に死亡する可能性もあるので、意識があるうちに事情を聞く必要があるので、メモと筆談などの用意をさせた。
「後5メートルで、地雷原を抜けるぞ!」
残り3メートル 男が生存を確信したのか、笑顔を浮かべる。独軍兵士達も誰もがそう思った。
が、男が動き出した瞬間、その体が揺れ……いや独軍兵士達も足元が揺れるのを感じた。それは地震大国日本と違い、大半の独軍兵士にとって未経験だった。
日本人なら驚くにも値しないだろうが、独軍兵士の中には、転んだり尻もちをついた兵士が続出した。通常の兵士でもそうなのだから、重傷の身で、長時間地雷原を歩き疲労の極限にある男が、転倒を免れる事は不可能だった。
兵士の中には、男がスローモーション映像みたいに倒れて行くのが見えたと、後に語った人もいた。
「いかん! 伏せろっ!」
歴戦の下士官や兵士が叫ぶと同時に、地面に伏せそれを見た新兵や経験の浅い兵士達もそれに続いて、地面や塹壕に伏せた。
その直後、最初の閃光と爆発音が鳴り響き、一瞬後再度閃光と轟音が陣地を揺らしたが、一度目より何倍も激しかった。無論陣地と地雷原は、安全距離を考慮して敷設されているので、破片などで負傷した兵士はいなかったが、破片等が地面に落ちた時の音、「パラパラ」とか、「ゴン」と言う衝撃音は、多くの兵士の聴覚に届いた。
衝撃音が収まり、兵士達がゆっくりと立ち上がると『不運な謎の男』の姿は、完全に掻き消えていた。
代わりに、男が転倒した付近には巨大なクレーターが形成されていて、有刺鉄線や戦車の侵入を防ぐバリケード等も、一部は亀裂が走ったり、倒壊していた。
爆発があった方角から、煤煙を含んだ風が吹いて来て曹長が咳込んでいると、不意にクレーターの上空で、きらきらと光の粒子が舞い飛んでいる。反射的に真後ろ、つまり正反対の真東を見ると、ちょうど地平線に太陽の先端部が姿を見せ出していた。爆風で薄く積もった積雪が舞い上がり、それが太陽の陽光を反射して輝いていたのだ。
「お前達、もう一度伏せろ! 鳥爆弾が来るぞ」
「どういう事です」
小隊長の突然の発言に、近くにいた新米の二等兵が怪訝な表情を浮かべた。が、数秒もしない内にその新米も目にする事になった。
周囲の木々から、爆風と衝撃音で叩き起こされた無数の鳥達が飛び立って、独軍陣地の方に飛んで来るではないか。
「フ〇を喰らいたくなかったら、伏せているんだ」
無数の野鳥が、
「お前達が、北米大陸に侵攻して来たせいだ」
とでも言いたげに、騒々しく鳴き声を上げながら独軍陣地上空を通り過ぎて行った。幸い口や顔にフ〇爆弾が『命中』した兵士はいなかったが、
が軍服の袖や、軍用ヘルメットの上の他に、配置されている重機関銃や迫撃砲に『命中』したのか、白いペンキを掛けられたような状態になっている。
「ふうー」
アルマント軍曹が安堵のため息を吐き出した数秒後、西の方を見ると一羽だけ遅れたのか、カラスらしき黒い鳥が陣地の方へ向け飛んで来るのが見えた。直ぐに視線を外そうとしたが、違和感に気付きそのカラスを凝視した。
「あのカラス、目がはっきり見えるな」
通常カラスの目は非常に小さく目立ちにくい。従って肉眼では識別は難しい。
だがそのカラスの目は、非常に大きく朝日を反射していてよく見えた。しかもその目は、『人間を小馬鹿にしている様』に見えた。しかもその体は、他のカラスより大きくずんぐりとしていて、しかもまるで『子供向けのぬいぐるみ』の様な奇怪なW外見をしている。
(俺の目がおかしくなったのか?)
謎のカラスも陣地上空を東へ向け飛び去った。
「軍曹今変な形をした謎のカラスが……」
「何だお前も見たのか」
アクセルも見ていた事を知った軍曹は、自分が異常になった訳では無い事を知りホッとした。
「疲れているんでしょうか、二人とも」
「そ、そうだな。疲労で変な幻でも見たのかもしれない」
確かに、いつもの朝より何倍も疲れているのは事実だ。この後、地雷原に空いた大穴や破壊された有刺鉄線等は、工兵部隊が修復し、地雷を埋めなおすだろうが自分達も、恐らくあの不運な『特別行動隊』の男の遺体を可能なら、回収し所持品を調べ埋葬しなければならないと思うと、一層疲労感を感じた。
その時、ブレーキを掛ける音が聞こえ三人が後ろを見ると、装甲車が停車し連隊長と護衛兵が下車して来た。どうやらこの騒ぎを聞いて駆け付けた様だ。
「中尉、一体何事が起きたのか? 説明したまえ」
小隊長は、グリルパルツァー大佐に事の次第を説明した。
「それは朝から皆大変だったな。その人物の遺体は未だ地雷原か? 身元の確認は難しそうだな」
「あの様ではまず不可能でしょう。遺体と一部と軍服の切れ端でも回収できれば上々でしょう。対人地雷だけなら身元も特定できたかもとは思いますが」
対人地雷が作動した影響で、近くに敷設されていた対戦車地雷まで連鎖爆発してしまい、このような参事になってしまった。
グリルパルツァー大佐の指示で、遺体と遺品の回収が行われたが、回収できたのは極僅かで到底身元の特定は出来そうにも無かった。目撃していた兵士の証言で、身長と体重は大まかには判明したが、平均的なドイツ人の値だったので特定には至る事は無いだろう。
「後1歩か2歩で地雷原を抜けられたんですよ。謎の振動があと30秒か1分遅ければ彼は無事……重傷だったので無事という表現は正確ではありませんが。それにしてもあの揺れは何だったのでしょうか? 味方陣地で重砲でも暴発したか、あるいは敵味方の重爆撃機の墜落でもあったのですか?」
「いやどちらも違うな。あの揺れは地震だろう」
「地震ですか? 私は初めての経験なので」
小隊長(中尉)を始め、 独軍兵士の多くは地震の揺れを経験していない。むしろ同盟国イタリア軍兵士の方がその経験は多いだろう。
「カナダは確かに地震は少ないだろう。太平洋環状火山帯に面した、バンクーバーや地震が度々起きているアラスカ州に隣接している地方では、地震も起きている様だが」
グリルパルツァー大佐は、冷静沈着で上層部からの評価も高い人物だが、軍人としての顔以外に、地理学・生物学・気象学に通じ博士号も所持している。その知識と才能は戦場で大いに役立っていて、次代の大ドイツ帝国軍を担う人物の一人と見做されていた。
「しかし、カナダ中部でも地震が起きない訳では無い」
「本当ですか」
「人が感じられる地震が少ないと言う事で、全く皆無でも無い様だ」
「なるほど」
「しかしこれほどの揺れ(震度3程度)は、恐らく数百年もしくは千年ぶりくらいだろう」
「では今頃近くの町や村は大騒ぎに……」
「まあ人が住んでいる家がこの程度では、倒壊したりはしないだろうが、地震に驚いたりして転倒した負傷者くらいは……どうした?」
下士官が一人の二等兵を連れて来ていた。
「こいつが、あの謎の人物の所持品を拾ったみたいです」
「おおっ、何を拾ったのだ?」
二等兵は緊張して、上手く答えられない。連隊長は二等兵からすれば雲上人……ワンピースの天竜人みたいな感じで、普段なら話す機会も無い人なので無理も無い。
「まずは深呼吸でもして落ち着くんだ」
グリルパルツァー大佐は苦笑して、二等兵に深呼吸を数回させた。
「あの謎の男が転倒して、爆発が起きて……30秒ほど経過した時です。地雷原の方向から何かが飛んで来たので、手で掴みました。
それはメモ用紙の残骸で、大半は焦げて何か文字が有っても判読できないだろうと思われた。二等兵は火傷をしたのか、右手を抑えている。
「下がってよろしい。軍医に火傷の手当てをして貰うんだ」
「恐らく万一に備え、メモも残しておいたのだろう。地雷原を抜けてもかなりの重傷だったみたいだからな」
二等兵が敬礼をして退去したのを確認した、グリルパルツァー大佐はメモ用紙を確認してみた。すると幸運にも焼け焦げて無い部位が見つかり、そこにはこう書かれていた。
「は×に欠陥有、×の脅威は相当程度低いと判断すべき」
×は焼け焦げていて判読不可能。無論他は全部黒焦げで判読不可能。
「……これは日英米軍……特に大日本帝国軍が、最近投入した新兵器の中に、重大な欠陥があると言う事が判明した……と言った所でしょうか」
「まあそう考えるのが妥当だろうなあ。と言いたいがこれではさっぱり判別できん。さてこれをどうするか」
余りにも判然としないネタなので、師団長に報告して師団長の権限で、ゴミ箱送りにしてもまあ問題は無いだろう。
「連隊長、小官としては特別行動隊の連中に言いたいことは山ほどありますが、少なくとも奴は命がけで何らかの機密情報を運んできたことは確かでしょう。少なくとも上層部に伝達されるように、して頂きたいと思います」
軍曹は、少なくとも爆死した男の遺志は叶えてやりたかった。更に、小隊長も同様の意見を述べた。
「なるほど、私も同意見だ。師団長には情報を削除しない様にお願いしてみよう」
師団長も、説得を受け情報は更に上層部に伝達され、大ドイツ帝国軍北米総軍北方軍総司令官、ヘルマン・ホト元帥にまで達した。が、『黄色の場合』(対仏侵攻作戦)や、『バルバロッサ』(独ソ戦)作戦で大いに活躍した英雄であっても、このような不鮮明な情報ではどうしようもなく、そこで打ち止めになった。
謎の男即ちクレイマン・ゴルツ中佐の遺体は、州都マニトバ郊外に設けられた、『無名戦士の墓』(身元が特定できない、独軍兵士の共同墓地)に運ばれ、翌日早朝にひっそりと埋葬された。
奴は、司の見立て通り殺戮者の一人ではあるが、『根性だけは人一倍』あり、更に恐るべき強運で奇跡的に地雷を全て避けて歩き続けたが、最後の最後に運が尽きて死亡した。司ちゃんの人を見る目に、狂いは無かったのである。
クレイマン中佐が、消息不明になった事が、帝都ゲルマニアで多忙を極めていた(なぜ忙しくなったのかは後日)ラインハルト・ハイドリヒが知る所になったのは、翌年1951年の1月のカレンダーも、後数枚になった頃だった。
「消息不明?」
「はい、何らかの密命でも受けていたのでしょうか、ニューヨークからカンザス州を経由して、コロラド州南東部まではガソリン給油や、食事宿泊の足取りが確認されましたが、12月24日の朝にドイツ軍兵士向け宿泊も可能なドライブインを出たのを最後に、消息不明になっています。副官と運転兵も同様です」
ハイドリヒが、クレイマンに指示した『謎の不老不死の工作員の情報を入手せよ』……無論この工作員とは、司ちゃんの事だが……これは正規の命令書が出た訳では無く、通常のレジタンス捕縛・処刑任務のついでに、何か有力な情報を入手したら報告せよという程度でしかない。
「彼は仕事熱心な男だ。遊びでコロラドまで行く事は無いだろうから、何かの仕事だったのだろう。運悪くレジスタンスにでも〇害されたかな?」
ハイドリヒは、この間も書類を確認する手を止める事は無い。
「中佐は、レジスタンスの恨みを相当買っていますから、〇された場合見せしめの為に遺体は目立つ場所に晒されるでしょう。まあ、爆弾とかの場合火薬の量が多すぎて木っ端微塵になってしまい、〇すのも不可能と言う可能性も若干あるとは思いますが」
「ふむ、では君は中佐の死の原因は何だと考える?」
「12月22日から23日に掛けて、コロラド州南東部にかなりの豪雨がありました。雨は23日夜には完全には止みましたが、翌24日の午前9時ごろに、鉄砲水が有った事が判明しました。中佐はそれに巻き込まれてしまった可能性が」
「雨が止んで、何時間も経過してから鉄砲水? そんな事は起こり得るのかね?」
「調べてみましたら、十分にあり得る事を知りました」
「ほう、そうなのか」
ハイドリヒは、興味が出たのか書類を見るのを中断して、副官の方を見る。
「中央気象局に、幼馴染がいるので聞いて見た所、雨量や地形にも左右されますが、これまでに何度も発生しているそうです」
数年前広島県?(うろ覚え)で、雨が完全に止んだ数時間後に川が急激に増水して、氾濫して浸水被害ってニュースでやってましたね。
「それは初耳だ。現地の……他に巻き込まれた民間人の有無などは判明しているかな?」
「民間人の車両が2台ほど巻き込まれ、一台は死亡が確認されましたが、もう一台は未だに不明です。ドゥランゴ方面の部隊に、増員を運んでいた軍の車両も巻き込まれましたが、大型の車両だったので流されるのは免れたそうです」
他にもテンプレ的、『川の様子を見に行って行方不明』になった民間人が数名いるらしい。
「となると、これに関してレジスタンスどもの責任を追及する訳にも行かんだろう。中佐は不慮の天災による公務中の事故死と言う事になるだろうな。ご苦労だった」
副官は一例して退席し、ハイドリヒは書類を確認する作業を再開した。その後クレイマン中佐の事に興味を持つことは二度となかった。
時子さんの結婚相手はアメリカ人(公式)
つまり千歳は、ラブライブのかのんと同じクォーター(かのんは祖母はスペイン人)
戦艦『播磨』(秘匿名称七号艦)括弧内の数値は『大和』の数値。
基準排水量21万7千トン(6万4千トン)
全長380メートル(263メートル)
全幅67メートル(38.9メートル)
機関出力72万馬力(15万3千553馬力)
最大速力34.7ノット(27.7ノット)
主砲55口径56センチ3連装砲塔4基12門(45口径46センチ3連装砲塔3基9門)
多数の対空砲や機銃の他に、誘導対空ミサイル10基搭載。
装甲最大部1000ミリ
乗員7千名(3500名)
架空戦記最強戦艦とも呼ばれる怪物戦艦(宇宙戦艦などを覗いて)。これと比べると『大和』は重巡洋艦、『金剛』はせいぜい大型駆逐艦に見える。同型艦『能登』『美濃』は建造中止に。
検索するとコーエーテクモ社の海戦アクションゲームの、超兵器双胴戦艦『播磨』の方が多く検索される。
PSP版では、戦艦で戦おうとすると多分一撃でプレイヤー側が轟沈するw
空母艦載機で爆撃すると楽w(空母はシチリア島の陰に隠れる)
ヘルマン・ホト元帥
大ドイツ帝国陸軍元帥。対仏侵攻作戦や、独ソ戦で大いに活躍した。
史実では、44年にヒトラー総統により左遷され、戦後ニュルンベルク軍事裁判で有罪になり54年まで服役。その後71年に西ドイツで死去。
レッドサンブラッククロスでも大活躍し、北米軍北方軍(カナダ担当)に任じられる。
クレイマン・ゴルツ中佐
司はバカにしていたが、偏見で実は相当優秀だった。司の見立て通り根性はすさまじく有り、また強運(立場的に凶運とでもすべきか)もあったが、最後の最後で運が尽きて死亡した。公式には、コロラド州南東部で鉄砲水での事故死とされた。
グリルパルツァー大佐(カナダ方面の連隊長)
元ネタは銀英伝のグリルパルツァ― 元々は将来を期待されていたが、昇進を焦り破滅する。
ハイドリヒの秘書
性別などは不明w ハイドリヒはクレイマンより、遥かに高く評価している。
1 最近では、オルフェンズの三日月だけでは無く、ガルパンのミカ(継続高校 フィンランドモデル)を称賛する時にも使用されています。
2 未来からやって来たと言う子供達が登場。しかし、実際はそう思い込まされているだけ。
ずん吉
「設定に無理有り過ぎじゃね」(子供達を何年も騙すとか無理筋w)
カネオ
「確かにそうやな」
3 福井県若狭地方の伝承が有名。確かコナンでも出た。(若狭湾の架空の島に、コナン達が来る。かなり重要な話)
4 史実で起きた『横浜港ドイツ船爆発事故』がモチーフ。爆発したのは『アルトマルク号』で、世界大戦で帰国不可能になり、帝国海軍がチャーターしていた。
ずん吉
「この『播磨』なら一対一で、ワンピースの麦わら海賊団や、シャンクス等の四皇クラスにも勝てそうだぜ」(スライム魔王様には……無理ですw デス・スターでも無いと無理w)
カネオ
「確かに勝てそうやな」
ずん吉
「攻撃方法は、『船ごと最大速度で体当たり』だ」
カネオ
「普通に戦えや! でも、四皇だと弾はじき返してきそうだから、巨大戦艦で体当たり攻撃って有かも」
ずん吉
「グッバーイ」
当小説のハイドリヒは、他のIF戦後(日独がWW2で勝ったIF世界)を描いた、ゲーム等のハイドリヒと比べるとかなり温厚な方ですw
恐らく次か、次の次で完結します。