トニカクカワイイ+レッドサンブラッククロス(RSBC) 作:宇宙とまと
バレンタインにまた寒波来るってさ@@
カネオとずん吉のコーナー(多分最終回)w
ずん吉(板金業の社長を怒らせて解雇)←NHK公式w
「何作品か、ナチが勝利した設定の作品を適当に紹介するぜ」
カネオ
「興味あるなー」
ず
「まず有名な『高い城の男』」
か
「フィリップ・K・ディック(1928-1982)て、アメリカ人の人の作品やな」(架空戦記では無い)
ず
「アメリカは、東側の大半が大ゲルマン帝国、西側は日本帝国の占領区域」(その間の一部は中立非武装地区)
か
「この小説は、日独はレッドサンブラッククロスと違い、同盟関係なんやな」
ず
「そうそう、でも日本側地区の方が統治が穏健的と言う点は似てる。この作品のキーパーソンが、作中に登場する謎の人物が書いた架空戦記で、
『連合国が、枢軸国に勝っていたら』と言う設定。当然欧州では発禁だぜ」
か
「そりゃそうだろうなあ。謎の人物ってウ〇(フィルムが赤い奴w)の中の人か、バン〇シーみたいやな。タイトルはその人物がナチを恐れ、自宅を城みたいに要塞化した由来なんやな」
ず
「この小説では、ヒトラーは年老いたがまだ存命で、山荘で総統特権Wで、輸入したその発禁作品を見て楽しんでいるらしいぜ」
か
「この小説、ドラマ化されているんか」
ず
「小説とは結末が違うらしいぜ。それと戦艦『大和』も作中で健在な姿を見れるけど、日本人ファンからは不満点が出てるぜ」
か
「?」
ず
「昭和30年代の設定なのに、武装が太平洋戦争当時と変わらないのはおかしいって。長距離対潜ロケットとか、ターターの様な対空誘導ミサイル搭載しろってさ」
か
「マニアはこだわるなあ」
ず
「後、イタリアが地中海全部埋めて大工業国になってるぜ」
か
「そんな無体な」
ず
「綾さんと声がそっくりな、お魚大好き宇宙大怪盗(キュアコ〇モ)ブチ切れ確定案件だぜ」
『ファーザーランド』
作ロバート・ハリス (英国人 1957年生まれ 未だご存命)
ず
「これも架空戦記では無いぜ。舞台は同じくナチが欧州の大半を制した設定の、1960年代だぜ」
か
「この小説では、日本は史実通りアメリカに負けて民主化したんか」
ず
「アメリカは、ドイツが本土から東海岸まで届く『核ミサイル』を完成させ、「講和か、核ミサイルで壊滅するかどちらか選んでね」
と恫喝され止む無く講和。15年後対独融和的な米大統領と大ゲルマン帝国の間で、関係修復の為に、大統領訪独が検討されている最中……」
か
「ドイツ国内である殺人事件が起きて、それを捜査していた刑事が、恐ろしい大ゲルマン帝国の闇(ユダヤ人虐殺)に気付き、命を狙われると言う内容」
Hearts of Iron4
ず
「スウェーデンのメーカーが開発した、大SLGゲームだぜ。当然デフォルトでは英語」
か
「日本語版は無いんか?」
ず
「日本語版出していた、メーカーはかなり前に倒産したぜ。でも、有志作成の日本語化MODがあるから、それを導入すれば問題ないぜ」
か
「世界中の国でプレーできるんか」
ず
「その通り、第三帝国や、ソ連、アメリカだけでは無くあっという間にゲームオーバーになる小国でも、プレー可能だぜ。更に植民地や占領地を独立させ、国を増やす事も可能だぜ」
か
「例えば、ナチ党が政権を取る事を阻止する事も出来るんか?」
ず
「可能だぜ。逆にドイツが共産化したり、フランスがナチの様なファシズム国家になるってのも可能」
このゲーム有志政策の架空シナリオも膨大にあるのだが
か
「第一次世界大戦シナリオや、現代戦シナリオもあるんか」
ず
「現代戦シナリオだと、安倍元総理や、トランプ前大統領等は登場していたけど、最新のアップデートで、支持率右肩下がりのw岸田文雄総理大臣も登場した」
か
「菅前総理の叛乱イベントとかありそうやなw」
ず
「で、ナチが戦争に勝った世界を描いたIFシナリオもある。いくつかあるけど最も有名なのが『THE New Order: Last days of Europe』で、1962年開始だぜ。ちなみに月面初有人着陸は大ゲルマン帝国で、ヒトラー総統は未だ存命だが重病で、余命幾許も無いぜ」
か
「死んだら権力争い起きそうやな」
ず
「ゲーム開始後程なく必ずイベントで病死し、大ゲルマン帝国は内戦状態になるぜ(回避不可能)後、ソ連は崩壊し多数の国に分裂し、しかも毎日の様にドイツ空軍機からの無差別爆撃を受けているぜ」
か
「地獄やな」(レッドサンブラッククロスでは、そこまでの地獄では無い筈)
ず
「後アメリカも内戦状態になるぜ(回避不可能)。後ゲーム内で選択肢を間違えると全面核戦争で、ゲームオーバーに」
か
「この小説のハイドリヒが総統になったら、世界に絶滅戦争するんか」
ず
「発狂している感じだ。このトニカワ小説のハイドリヒは、未だかなり穏健な設定(あくまでも当社比)」
か
「このゲームでは、大ゲルマン帝国が地中海を大きなダムにしようとしてるんか。アドリア海が干上がってるぞ。上に出ている綾さんと声がそっくりな宇宙大怪盗が居たら、ブチ切れ確定案件その2やな」
ず
「彼女がこの世界に転移したら、怪盗らしくヒトラーの首を奪いに行く気が」
この大ダム計画は、非現実(アトラントローパ計画)過ぎたのでゲームから削除されたので、宇宙大怪盗の怒りも収まったw
か
「このトンデモ計画が史実でも計画されていたとか、事実はゲームより奇やな」
どんな条件であれ、私には確信がある。神は絶対にサイコロを振らない。
アルバート・アインシュタイン
ちなみに、小倉にも反応弾頭弾による攻撃が有ったと言うのは……
偶然同時刻に門司沖で、可燃物を運んでいた輸送艦が偶然爆発事故を起こし、派手に爆沈したので誤情報に繋がったらしい。狭い海域なので小倉や対岸の下関では、建物のガラスが割れるなどの被害が出た。後に攻撃に使用された反応弾頭ミサイルは、射程500キロの『アーリアンボーデ』(5キロトン)と判明する事となる(1)
長崎を攻撃した独潜水艦は、南西諸島沖で対潜哨戒部隊の執拗な追尾を受けて沈没。もう一隻はその隙に何とか本土近海を離脱し、(亜熱帯特有のスコールも味方した)
遥か南太平洋を迂回し、南米南端を経由して大西洋に入り、南大西洋で『ミルヒクー改』と呼ばれる、補給潜水艦と合流し、食料・水と燃料を補給した。
が、2週間後アゾレフ諸島北沖で、大日本帝国海軍の原子力潜水艦の攻撃を受けて大破。浮上して投降した。艦長は自殺したが、航海長が記録していた日誌で、作戦の詳細が明らかになった。
12月30日に、『大ドイツ帝国軍の、北米大陸における最終攻勢』として、後世有名な『ボナパルト作戦』が発動され、最初の数日は悪天候で、航空機が使用できずドイツ側の作戦は順調に進んでいたが……
2026
「地形を巧みに利用して防衛作戦か。マッカーサー大将は流石に優秀だね。人望は無いけど……」
「最年少で陸軍参謀総長にまで昇進した、人だから……旦那様の言う通り、兵士には嫌われていたけどね。小佐時代にアイクはマッカーサーの副官をやっていたけど、パワハラで体調がおかしくなったそうよ」
更に、ドイツ側の予測よりも早く天候が回復し、日英米軍の航空戦力による反撃が開始されて結局20日後には、ドイツ軍は攻勢開始地点まで押し戻された。
I shall return.(私は戻ってくる。親の代からのフィリピンの利権を取り戻す為にw)
ダグラス・マッカーサー
1942年 フィリピンから豪州へ脱出する時の台詞
12月31日午後8時(欧州標準時)
大日本帝国政府は、複数のメディア(欧州向けには、中立国大使館などを通じて)声明文を発表した。
「我が国は、既にアイスランドに多数の反応弾頭を配備している。今後同盟国のいずれかに反応弾攻撃が行われた場合、報復として、ドイツ本国の任意の一もしくは二都市に対して、報復爆撃を行う」
と表明した。
6時間後
アイスランドケフラヴィ―ク基地を発進した、超重爆『富岳改』320機及び、エジプト東部スエズ運河沿いの軍事都市ポートサイドから発進した、180機は北海に侵入した、高速空母艦隊から、発進した最新鋭ジェット艦上戦闘機の護衛を受けて、ゲルマニア(ベルリンを改造)中枢部を爆撃を敢行した。(1機が、250キロ爆弾108発投下)ヒトラー総統以下の大ドイツ帝国首脳陣に、恐怖の年明けをプレゼントした。
2026
「ベルリンへの、反応弾攻撃は結局行われなかったんだね確か」
「ちょび髭野郎が、ベルリンの外周線上に捕虜収容所を設置して、2千人の捕虜を収容していたから」
お怒りの司だが皮肉にもこの捕虜収容所は、『最大の防御機構』と後世の歴史書に書かれている。
2月15日未明
大ドイツ帝国海軍の一大基地がある、北部ウィルヘルムスハーフェンに対し夜間、『帝国海軍殴り込み部隊』が襲来し艦砲射撃を行った。
36センチ砲9門を搭載した『劔』型(読みはつるぎ、北アルプスの剱岳が由来。1990年代末まで、同名の寝台特急が大阪―新潟間を日/一往復していた。えっ、聞いた事も無い? それは失礼しました)
装甲巡洋艦『白根』『鞍馬』と、『大和型』高速戦艦『武蔵』『甲斐』『信濃』は、Uボートを格納していたブンカ―と呼ばれる装甲ドックと、ヴァルタータービン用の危険な燃料に用いられる、『アウロール』燃料タンクが砲撃目標だった。
2026
『ヴァルタ―タービンって、ナチ潜水艦が、海中で高速を出す為の新技術だっけだんな様」
「そうだよ。確か22ノット位出せる筈。(従来の潜水艦は、水中では8ノット程度。早い自転車くらいの速度)でも、大日本帝国海軍が建造した、原子力潜水艦と違いヴァルタータービンの潜水艦は、短時間しか高速で航行できないんだ。しかも少しの静電気で大爆発を起こして、テスト中や訓練中に爆沈した、ドイツUボートは30隻を超えるらしいよ。無論『作戦中に燃料が爆発して、爆沈した独潜水艦』は数字に入っていないよ。それも当然だから、無線を送る暇も無く轟沈するからね」
更に、通常のディーゼルエンジンと、潜航中に船を動かすモーターと、それに必要な蓄電池の他に、『アウロール』燃料タンクも増えたので、その分作戦範囲が狭くなる欠点も有った。
日本も同様の研究をしていたけど、
「こんな危ないもの使えるか!」
と断念して、原子力潜水艦一本に絞り見事成功した。
燃料タンクは、厚さ6メートルのコンクリートで覆われていたが、『大和』型戦艦の46センチ砲弾の砲弾で、コンクリートは削れ亀裂によりタンクからアウロール燃料が流失し、次の砲弾による火災で、誘爆し大爆発を起こした。
その爆発で、周囲の酸素を全て燃焼させてしまったので、潜水艦基地に居た搭乗員、技術者、警備兵合計1万名以上は、文字通りの『全滅』となった。2日後、損害を恐れた大ドイツ本国艦隊は、攻撃を受けにくいオストラント国家弁務官区(2)のリガ港に退避した。
この大損害に激怒したヒトラー総統は、大反撃作戦を命令。目標はアイスランドの『富岳』超重爆撃機と、集結している多数の輸送船団とされた。放置してオークニー諸島や、英本土が奪還された場合戦略爆撃で半年で大ドイツ帝国の経済は崩壊すると、判明したからだ。
1 残存している空母を中心とする艦隊に、ノルウェー海を北上させ、北海に展開している日本海軍空母艦隊を誘き出す。(囮作戦)
2 北米艦隊残存艦隊を、アゾレフ諸島で給油後北上させフランス沖で、同盟国ヴィシー・フランス海軍主力艦隊と合流させ、 アイルランド沖を北上させ、アイルランド沖に布陣している帝国海軍戦艦部隊を誘き出す。
3 その隙に、リガ港を出撃したドイツ主力戦艦艦隊が、アイスランドの飛行場と輸送船団を壊滅させる。
「だんな様、これってだんな様が図書館で借りて来た架空戦記の……ええと、1944年10月のレイテ決戦にそっくりじゃないの」
マリアナ諸島が陥落した3カ月後、フィリピン中部のレイテ島に米軍が上陸。
1 生き残りの空母(搭載機は上の一番と違いほぼ0)と、航空戦艦『伊勢』・『日向』を沖縄方面から南下させ、フィリピン東方海上に布陣している、ハルゼー提督率いる、高速空母艦隊をフィリピン北方に誘き出す。
2 西村中将率いる旧式戦艦『山城』・『扶桑』重巡『最上』からなる小艦隊を、レイテ南方のスリガオ海峡を夜間突破させ、輸送船団を護衛している 米オルデンドルフ提督率いる旧式戦艦部隊を誘き出す。
3 その隙に、フィリピン中部のサンベルナルディノ海峡を突破した 栗田中将率いる主力戦艦部隊がレイテ島の
米陸軍と輸送船団を、艦砲射撃で壊滅させる。
「多分小説の作者は、『北の暴風作戦』を参考にして執筆したのだと思うね。小説の展開は『史実』と大体同じ経過をたどっているよ」
1は成功し、大日本帝国海軍空母部隊は誘き出された。ドイツ空母艦隊は空襲で全ての航空母艦が撃沈されるも、任務は成功した。
2も、独仏合同艦隊はアイルランド北東と、英国西岸を隔てるノース海峡で深夜、帝国海軍戦艦部隊に待ち伏せされて 重巡洋艦以上の大型艦はすべて撃沈される大敗を喫した。が、戦闘で日本側は主砲弾の大半を消費してしまい、ドイツ側の計画は成功した。
その隙に、オットー・フォン・チリアックス海軍大将率いる、ドイツ高速艦隊はレイキャビク至近距離にまで迫り、勝利の女神はドイツ側に微笑むかに見えた。
が、この時ノルウェー海での戦闘で戦闘不能になった大型空母『大鳳』を護衛してレイキャビクに戻ろうとしていた、駆逐艦数隻がドイツ海軍主力戦艦部隊と遭遇してしまった。絶望的な戦力差ではあったが、勇戦し二時間にわたり退避を続けていたが、一隻の駆逐艦が被弾し戦闘不能に陥る。
その駆逐艦はそのままドイツ戦艦『ティルピッツ』に激突して爆沈した。この捨て身の行動にドイツ側は一時混乱状態に陥り、その最中レイキャビク方面から接近する、新たな数隻の艦艇を、対水上レーダーが捉えたのだが、夜間で視界が聞かないのでレーダー担当者が、「戦艦多数接近」と誤った報告をしてしまった。
「まさか超戦艦『ハリマ』か!」(3)
と判断したチリアックス大将は即座に作戦の中止と、撤退を命令して戦闘は終結した。この時接近して来たのは実は船団護衛の為の旧式駆逐艦だった。
大ドイツ帝国海軍は、同盟国ヴィシーフランス海軍と合わせると、正規空母2・軽空母8(内フランス艦1)戦艦6(内フランス艦4)重巡8(内フランス艦6)を喪失、巡洋戦艦1大破の大損害を出した。
日本側は、数隻が損害を受けたが大型艦の喪失は皆無。
本来ならブチ切れたヒトラー総統により、チリアックスと海軍長官のデーニッツは、銃殺刑に処されてもおかしくない大失態だったのだが……
ヒトラーは、素晴らしい作戦の結果であるかのように称賛し、関係者に勲章をばらまいた。
「日英米の侵略者達は、我が大ドイツ帝国海軍が侮りがたい主力艦隊を保有し、それを積極的に運用する意思が存在する事を知り、恐怖しているだろう」(『レッドサンブラッククロス外伝1』より)
とラジオで2022年の某侵略国ですら、ここまでの大本営発表でやらないだろう思われる、発表を平然と行った。
見よ。4000年の歴史が諸君を見下ろしている
エジプト遠征時のナポレオン
このニュースをラジオで聞いていた司は、まず最初に自分が起きているか確認した(夢かと思ったからw)
「司ちゃん、ヒトラー総統はよく激怒しなかったね」
「普段なら間違いなく激怒して、チリアックス大将は銃殺で、デーニッツも罷免は間違いなかったわ」
史実でもヒトラー総統は激怒している。1942年12月31日に発生したバレンツ沖海戦で、英国からソ連に向かっていた輸送船団を攻撃したのだが、悪天候と不手際から、ほとんど無傷で取り逃がしてしまった。
ヒトラーは激怒して、大型艦全ての解体と(後に撤回)海軍長官のエーリッヒ・レーダー元帥を罷免を命じた。
本来なら、同様の厳罰が下されて当然なのだが……
「ヒトラー総統は、かなり体調が悪化していたのね」
ベルリン中枢部への空爆のショックからか、1月下旬から体調不良を起こしていた。2月の中ごろ以降は更に悪化して公務の大半は中止になった。
「司ちゃんはトピーカに一度戻って、陳さんの店で再び働いていたんだ」
「アリバイ工作の一環でね。2月の下旬に隣のミズーリ州から、『私の恋人が戦場から戻って来た』という手紙が届いたわ」
無論この手紙は別の潜入工作員が出した偽手紙で、無論恋人も実在しない。
司は2月末で店を退職し、恋人に会いに行くことを陳さんに伝えた。2月末メイリンの為に、お別れ会が行われ、翌日の列車でミズーリ州へと向かった。司は到着直後、
「無事到着しました」
と言う手紙を送り、その後消息を絶った。
3月15日
日米軍の大規模な反攻作戦が開始され、ミズーリ州にも爆撃が行われた。
「陳さんのご家族は、司ちゃんが日本軍の空爆に巻き込まれて死亡したと、思っているのかなあ」
「多分……」
そう答えた司は。若干の罪悪感を感じているようだった。
「空爆って聞いて今思い出したんだけど、デンバーに司ちゃんが行った日に、帝国海軍の高速偵察機『景雲改』が、列車の近くのレーダーを建設していた丘に、威嚇で小型爆弾を投下していなかったら、大変な事になったんじゃ」
「そうね、あの日偵察機が、爆弾を投下せずに引き返して行ったり……」
「投下した爆弾が、鉄道と反対側の斜面に転がって行ったりしていたら……」
司の乗った列車は、予定通りデンバーに到着しただろう。
「予定通りなら、その日の東行き夜行の切符は確保できたはずよ」
「その日に帰っていたら……」
「当然あの一家を救う事は出来なかったわ。まあ、時子との出会いに変化は無かっただろうけど、時子は別の人と結婚したとすると……」
当然娘の栞さんと、孫の千歳ちゃんは存在しなかっただろう。
「4月以降は、もう潜入任務をする事をする事は無かったのね」
「それは良かった。また事務的な仕事を」
「カリフォルニア州北部に設置された、独軍兵士の捕虜収容所の事務をしていたの」
「それはまた不安に」
「独軍捕虜にナンパされた事は無いから安心してね。司令部での事務作業をしていたから、捕虜と会話する事はほとんど無かったわ」
(そうなのか、でも司ちゃんはなぜ捕虜収容所で急に働く事に……)
「収容所の事務員数名が、非番の日に釣りに行ったら、そこにエンジン故障でアメリカ空軍の戦闘機が墜落して……」
能力をムダに使ってナサの疑問に答える司w
「その収容所で、ある人と再会したの」
「もしかして後の時……いやそれは無いね」
「ある捕虜の面通しを頼まれたの。ほら相棒とかであるじゃない。取調室の外からマジックミラーで、中の被疑者を確認する奴」
(それは再会したとは、言えるのだろうか)
と突っ込むナサ君w
1951年4月半ば
ブルー中尉に頼まれて、こっそりと確認する司(司の秘密保持の為に、捕虜収容所には一切秘密で)
「司、この独軍兵士前はカンザス州トピーカの部隊にいたらしいが、見覚えとかはあります?」
「トピーカから、デンバー行の急行列車に乗せられていた、あの独軍兵士じゃないか。他に二人いたけどそいつの逃亡阻止だと思った。確かニューメキシコ州方面との、分岐駅で降ろされていたよ」
「この独軍兵士は、その……トピーカでかなり破廉恥な事をやって居た様だけど、噂とかは知ってます?」
「町で噂は聞いたよ。チャイナレストランでドイツ人兵士の客が話している事も有った。まあ具体的な話はしなかったな。ほら私が働いていた店は、他の一般客や家族での利用も多かったし」
「子供の教育上良くないからですかね」
「まあそんなところだろ。で、この野郎よく生きていたな」
司は、列車の中で、
(あいつドイツ軍の手で消されるんじゃね?)
と感じた事を話した。するとどうやら本当に、あのドイツ兵は味方に消されそうになった様だ。
「彼の実家はドイツでもかなりの名家なんですが、彼は庶子みたいです。父親はもう亡くなり、異母兄が当主を継承しているそうです」
「愛人の子かあ。まともな奴ならともかく破廉恥極まりない奴みたいだし、新当主としては生かしておく価値は無いか」
ニューメキシコ州の最前線部隊に到着すると、他の兵士は完全隔離(会話や接触阻止と思われる)されて、独房に近い環境の部屋に入れられ、食事も一人で取らされた。
翌日から早速単独で危険な斥候任務、つまり単独での偵察任務をやらされた。
これまで後方勤務だったボンボンだから、直ぐに戦死すると判断したのだろう。無論
「命令拒否や逃走を企てたら、即座に処刑する」
と脅されていた様で、偵察任務の際も後方から脱走や、米軍への投降を企てたら即座に始末する予定だった様だ。が、このドイツ兵かなりの強運だったみたいで中々戦死しない。そこで止むを得ず、『米軍の攻撃で戦死』を装う事にした様だ。米軍から鹵獲した兵器類は大量に有ったので、偽装は非常に容易だ。
方法だがやはり米軍から鹵獲した、『M1ガーランドライフル』で狙撃された様だ。
「良く助かったなあ。独軍の監視兵も素人じゃないだろうし」
「最後の日……米軍陣地を偵察に行かされて、無論激しい射撃を受けて命辛々逃げ出したみたいですね。で、何とか逃れた直後これを拾ったそうです」
中尉は袋からある物体を取り出し司に見せた。
「ただの石だな。外で見たらキラキラしてきれいな石だと思うけど」
「ええ、ただの石です。何気なく拾い胸ポケットに入れたそうです」
その後、味方陣地との中間点付近で突然狙撃された様だ。独軍捕虜によると、相手は直接見えなかったとの事なので、かなりの腕の狙撃兵だったのだろう。(コナ〇の赤〇級)
彼は後方(西側)にぶっ倒れたが、銃弾はポケットの石に命中した。
「またしてもラッキーだなあ。で、その凄そうな独軍狙撃兵は、止めは刺さなかったのか?」
「ニューメキシコ州とネバダ州の境界付近の、友軍に問い合わせたらその日は砂嵐があって、視界がぼやけていたようですね」
ふむふむと司は頷いた。砂嵐の影響で視界がぼやけて、凄腕の独軍狙撃兵も標的に命中した事と、倒れた事は確認できたが、生死の確認までは出来無かった様だ。無論ドイツ軍はアホでは無いので、近くに確認と止めを刺す別の見張りが居ただろう。が、
「ドイツ兵捕虜ですが、倒れた時完全に意識不明になった訳では無かったようですよ。遠くから警報サイレンの音が聞こえその直後、『一旦中止! 退避しろ!』と叫ぶドイツ語が聞こえたそうです。その直後複数の、『航空機のジエットエンジン音』を、夢現(ゆめうつつ 起きているか寝ているか判らない状態)の中で聞いたそうです」
「味方の空襲か?」
捕虜ドイツ兵が味方に撃たれた直後、偶然日米共同の爆撃が行われたのだ。倒れた捕虜の上空を通過したのは、彼の証言によると米空軍の『F-80シューティングスター』のエンジン音に似ているとの事だ。
『F-80』は米空軍初の本格的ジエットエンジン戦闘機だが、速度はともかく軽戦闘機として設計されたのが災いし、搭載機関砲は12.7ミリ機銃4丁と貧弱で、独軍主力戦闘機、『Me-262』後期型(30ミリ機関砲4門+初期型の空対空誘導ミサイル)には全く対抗不可能だった。しかし、爆弾や対地ロケットをある程度搭載出来たので、戦闘爆撃機としてはそこそこ活躍していた。
戦車の装甲の中で上や後ろの装甲は薄いので、12.7ミリ機銃でも容易に撃破できた。ましてや生身の人間にはオーバーキルで、コ○ンの赤〇級の狙撃兵だろうと、
まともに喰らったら、某スレ〇タ・マーキュ〇ーにばしーんされたテロリストみたいに、『ミ〇チよりひでえや』と言う事になる。
その後夜になって、米軍のパトロール部隊に確保されて捕虜になった。石のお蔭で軽傷で済んだ様だ。
独軍ボンボン野郎抹殺部隊も、空襲の後の人命救助に駆り出されて、確認どころではなくなったのかも。
「もしくはその監視人たちの方が、空襲に巻き込まれて戦死してしまったんじゃ」
司の言う可能性が正しければ正に因果応報と言った所か。
「で、こいつは通常の捕虜扱いなのか?」
「今のところふしだらな奴としても、どうも女性を殺〇したり、ピーしたりしていた証拠は皆無なので。それとアメリカ西部に居住する女性や、東部からの避難民には、被害は無いので」
我が国は民主国家なので、独裁国の様なことはできませんと中尉は付け加えた。
「まあしかたないとしても、あいつ戦争が終わっても帰りたくないから、亡命させてくれとか言い出すんじゃ」
「ははは、実はすでにそういう申し出を」
苦笑するブルー。収容所側に終戦時には、『収容所で死亡した』事にして亡命を申請している様だ。
「まあ機密情報とか、特殊技能がある訳では無いので、亡命を認めて保護してやる利点も無いので、まあ隣のメキシコに逃がしてやるくらいですか」
2026
「うーん流石に同情する気にはならないかな」
「それは同感ね。でも謀殺されかかるほどの極悪人でも無かったから、少し哀れだとは思ったわね」
「大神オーディンも照覧あれ。ケンプ提督の復讐は必ずする。ヤン・ウェンリーの首を、この手につかんでやるぞ──いまはだめだ。おれには力がない。奴とは差がありすぎる……」
「だが、見ていろ、何年か将来を!」
ナイトハルト・ミュラー大将(銀英伝)要塞決戦で敗北し、ヤンへの復仇を誓う。
捕虜収容所の一室で、司とブルー中尉が実り無い会話をしていた頃、
1万数千キロ離れた、帝都ゲルマニアでは大ドイツ帝国総統、アドルフ・ヒトラーは重病に陥っていた。
最初にアメリカにいる司が、その事を最初に知ったのはおよそ一か月前、3月中旬に新聞報道で知った。内容は『ヒトラー総統病気か?』と言う見出しだった。暫く公務で姿を見せないので、病気ではと書かれていた。
半月後には、『ヒトラー総統重病の可能性高し』になった。3月の初めは未だラジオ電波を通じて、帝国臣民に対しメッセージを送っていたのだが、やがてそれも無くなった。
4月に入ると、総統大本営が迂闊にも重病の情報を流出させてしまい、あっという間に帝国全土だけでは無く大西洋を越えて、東アメリカにも広がり最前線の独軍兵士指揮は著しく低下してしまい、日米軍の攻撃に対し、後退を繰り返す事態に陥った。
2026
「司ちゃんの周囲でも、皆噂話とかしていたの?」
「捕虜収容所の職員や警備兵の間でも、ヒトラー総統重病の話題ばかりだったわ。総統が死亡したら戦争が終わるんじゃないかっていう声は大きかったわ。あまり騒ぎ過ぎたんで、収容所所長が全職員を集めて、騒ぎ過ぎない様に訓辞をしたわ」
1951年4月21日
この前後ヒトラー総統の病状は一時的にやや快方に向かうかに見えたのか、ゲルマニアで開催されたヒトラー総統62歳の誕生日を祝う式典に、20分ほどではあったが姿を見せ参加者と談笑した。
が、その後すぐに病状は再び悪化し、誕生日の祝宴がヒトラー総統が公の場に姿を見せた最後となった。
4月25日
日本海軍の空母艦隊(別動隊)と、アメリカ海軍で残存していた旧式戦艦部隊が、エジプトの基地航空隊の援護の元、東地中海の要衝クレタ島を半月の激闘の末に占拠した。大ドイツ軍は勇戦するも降伏し、6千人が捕虜となった。基地司令部のハーケンクロイツは引き摺り下ろされ、およそ10年ぶりにギリシャ国旗が掲揚された。この知らせを聞いた総統の病状は更に悪化した。(4)
4月28日正午(ドイツ時間)
主治医より、ヒトラー総統が危篤状態に陥った事が報告され、回復の可能性はほぼ無いとの説明を受けた。直ちに、親衛隊指導者ハイドリヒ・ラインハルト、空軍長官アドルフ・ガーランド元帥、海軍長官デーニッツ大将、国防軍参謀次長ヴァルター・モーデル上級大将、外相ヨアヒム・フォン・リッぺンドロップ、副総統兼秘書官長マルチン・ボルマンなどの政府・軍の要人たちが集められ、北米総軍総司令官マンシュタイン元帥も、直ちに航空機で本国に向かった。
翌29日未明より、極秘の会議が行われ午後11時過ぎに総統逝去の時は、『休戦交渉止む無し』という結論に至った。妥協できるラインは『ミシシッピ川より西は合衆国に返還する』とされた。
およそ28時間後
二代目鎌倉殿源頼家みたいに、突然回復すると言う事も無く、(鎌倉殿の13人)4月30日の午後3時30分に、独裁者アドルフ・ヒトラーは死去した。
4時間半後の午後8時大ドイツ帝国政府は、ヒトラー総統死去を発表。国民に3日間の服喪と、葬儀終了までは、デーニッツ大将が臨時代行を務める事と公表した。
日本では翌朝午前7時にラジオで第一報が公表され、司が知ったのは30日の昼12時だった(アメリカ西部標準時)
「アメリカの町では、皆万歳って感じでお祭り騒ぎだったわ」
「祝杯を上げたは良いけど、飲み過ぎて不祥事や怪我をして、病院に運ばれた人もかなりいるみたいだね」
ナサが見せたスマホの写真には、飲み過ぎて階段から落ちて病院に運ばれたアメリカ市民が映っている。(多分あの辞書サイトの英語版)
「捕虜のドイツ兵にも伝えたの?」
「翌日の朝食の後に、所長が捕虜ドイツ兵を集めて公表したわね。反応? 人によって様々ね。驚いている人、悲しんでいる人、周囲の人に合わせ形だけ悲しんでいた人もいたわね」
「ドイツ兵の中にも、ナチスに内心反感を持っていた兵士も少なくなかったのかな」、
5月15日
ヒトラーの盛大な葬儀が行われ、同盟国や傀儡政権等の政府要人が多数参列した。翌日第2代総統に、ヒトラーの信任篤い、エルヴィン・ロンメル元帥が就任する事が発表された。月末より、中立国スウェーデンの首都ストックホルムで休戦交渉が開始されたのだが……
大英帝国は何としてでも、彼岸の本土復帰を果たしたかったのだが、大日本帝国は幾度かの特需や好景気で蓄えられた、軍資金は底を付きかけていた。
これ以上の戦争の継続は日独ともに困難になりつつあった。大日本帝国の支援無しで、英国単独で戦争継続が出来る筈も無く涙を呑んで断念した。
交渉の場で火花を散らすこと一か月、6月30日の正午に休戦協定が発効し翌7月1日の昼12時を持って戦闘行動は停止された。
その後ドイツ側が多少妥協して、おおむね西経90度を境界に北米大陸は東西に分割された。
7月
捕虜の本国帰還の手続きが開始され忙しくなった司ちゃん。しかし、
「8月に入って直ぐ、墜落事故に巻き込まれて入院やリハビリをしていた、収容所職員の人が全員復帰したので、私は交代で総司令部へ戻ったの」
「ええっ、あの人達生きていたの!」
「死んだとは言ってないわよ。まあ元から戦争が終わるまでっていう契約だったし。総司令部で雑務をしながら荷造りをやったのね」
「やっぱり客船で帰国したの?」
「当時は飛行機は中々利用が難しく、高級軍人とかでないと無理だったわ。万一飛行機が墜落しても私だけは助かるから、拙いのよね」
全員死亡案件でも、司ちゃんは助かるので正体がばれる危険大。船の方が未だ世間を納得させる生還理由が作れる。例えば、轟沈した英国巡洋戦艦『フッド』でも、3人だけ助かったから。(下手人は戦艦『ビスマルク』)
「で、その前後ブルー中尉にある事を調べて貰っていたの」
「調べもの?」
「あの帝国海軍の高高度偵察機『景雲改』の機長さんの名前を知りたかったのよ。……変な意味じゃ無いわよ」
「その機長さんのおかげで、間接的にあの家族を助ける事に繋がったからね」
「直接会う事は無理だけど、せめて名前くらい知りたかったの。帰国までに間に合わなかったら、忘れてもらって構わないってお願いしたの」
「それで間に合ったの?」
「シアトルから船が出る1時間館前にね。中尉がシアトル港の埠頭に届けてくれたの」
パットン大将も張り切って調査に参加していたのだが、妻子ある身なので独身だった中尉に拓した。
「いろいろありがとう中尉。そういえばそわそわしてるけど、もしかして……」
「午後からデートなんですよ。彼女の実家がシアトルです」
「つまり届けに来てくれたのはついでか」ジト目w
「確かにそうかもしれませんねえ」
「じゃあ、その彼女さんを泣かせたりするなよ」
「あ、それと凄いロケット工学者の卵も日本で見つかると良いですね」
「まあ運が良ければね」
「アイゼンハワー大将も、『司の幸運力は半端無いから』って言ってましたので、もしかしたら」
「モナコのカジノで、大当たりを引くより可能性低いから」
アイゼンハワーも半ばは冗談で言ったのであるが、まさかこの日より一月も経過しない内に実現するとは、関係者全員想像すらしていないのである。
「あなたにお目にかかれて、うれしく思います。あなたのご主人は、わが軍にとって最強の、そして最良の敵でした」
同じくミュラー提督 ヤンがテロリストに暗殺された後、弔問の使者として訪問した時の発言
2026
「それで、その『景雲改』の機長さんの名前って誰なの? もしかして戦後有名になった人かな?」
「戦後エリート軍人が全員、出世したわけじゃないわよ。戦後すぐに軍を退役した人も多い筈。中には平和な生活に馴染めず再び復帰したり、空を飛ぶ体験を忘れられず航空会社に再就職したり、逆にアルコール中毒で、急死した戦闘機搭乗員の人もいたわ」
「戦いの中でしか生きられない人もいたんだ」
「人類はもしかしたら最後の一人になるまで、戦い続ける事を宿命付けられているのかも」ドヤァ
(司ちゃんが、哲学的な事を言っている)とナサは、やはりお嫁さんはカッコイイと思う。←実は「銀河英雄伝説」第一話冒頭部分を、パクっている司ちゃんw ナサ君は知らないので判らないw
「確か受け取った報告書は……ええと」
数分後、丁寧に保管されていた書類を持って来る司。当然全部英文だ。
「ええと名前は……」
「ちょ、これ母方の祖父だよ」
「ええーっ! そういえば北米戦線に転属して偵察機の機長になっていたっけ。あの日運命的なニアミスをしていたのね」
「高度差11キロ、はニアミスと言えないんじゃ」
アメリカ連邦航空局の定義では、半径150メートル、高度差60メートル以内となっているので全く違うw
「早速この新事実を、明日千歳に教えに行かなきゃ」
(千歳ちゃんは、酸っぱい梅干しを食べた時の様な、表情で悔しがりそうだ)
さて、司が乗った客船には多くの日本兵……カナダから復員する兵士も大勢乗っていた。と言っても第一陣は負傷した兵士や、後遺症がある兵士がほとんどだった。
「重傷者は病院船で、一足先に帰国していたから同じ船に居たのは、中等症以下の兵士ばかりだったわ」
司は日本兵の前では、民間の従軍看護師の振りをしてごまかしていた。
8月末に真珠湾を経由して横浜港に到着した司は、ホテルで数日間休養してから、8月に運航を再開した門司行き夜行急行で広島に向かった。翌朝広島に到着した司は、市街地西端にある知り合いの家を訪ね、全員無事だったことを知る。
「確かにアメリカで聞いた通り、ロスやシスコより遥かに被害範囲は少なかったことは確かね。広島駅の辺りは残っている建物も多かったわ。
広島城の天守閣は倒壊してしまっていたけど」
「他より高い場所に位置しているうえに、遮る建物も無いから」
爆心地の辺りはほとんどの建物が倒壊して、再建はまだ始まったばかりで、空き地に多くのバラックが建てられていた。東京や横浜には無かった闇市が賑わっていた。流通に大きな混乱が起き、闇市が現れたのだが市民の生活の為には止むを得ず、行政側も『黙認』していた。流通の混乱は周囲の都市にも及び、軍港の呉市や対岸の松山市にも小規模の闇市が立った。
そんな中時子と司は遭遇したのだが……
「ちなみにすぐに引き取れた訳じゃないのね。半年以上必要だったのよ」
「最初は時子さんの家族を探そうとしたんだ?」
「まあばったり遭遇したり、時子の記憶が戻るかもしれないわ」
が、時子の記憶は戻らず更に発見した場所の近所の人に、話を聞いて家族の事を知ろうとしたのだが、近所の人はほとんどが死亡していて、話を聞く事も出来なかった。役場や警察署も文字通り『消し飛んで』(仮設バラックで業務再開)いて、全く手掛かりは無かった。
『爆心地付近でも、銀行の地下室とかに居て助かった人はいたわ。書類整理をしていた女性とか」
「でもその人たちは、他の地区から通勤しているんじゃ」
「だんな様の言う通り、彼女達は近所の事は知らなかったわ」
例のナサが借りて来ていた架空戦記を手に取る司。
「この小説だと、昭和19年の6月に『マリアナ沖海戦』で日本側が大敗して、サイパン島やグアム島が占領されて、『B-29』の本土空襲が近いから、強制的に学童疎開が行われた事になっているわね」
「東京、名古屋、京阪神に福岡や北九州に加え、広島も対象だったとあるね」
「この世界だったら、疎開していた児童は無事で戦後戻って来て、話を聞く事も出来たかもしれないけど」
「実際は、まさか潜水艦から反応弾撃たれるとは誰も想定していなかったから、学童疎開はほとんど行われていなかったんだ。念の為に田舎の親戚に子供疎開させた、縁故疎開ってのも有ったけど……」
「その子供達は、恐らく田舎の親戚の養子になったり、里親に引き取られたり孤児院に入ったりして、戻ってこなかったと思うわ」
手がかりは全く無く、結局司が引き取る事になった。
(でも見た目は10代の司ちゃんがどうやって、時子さんを引き取れたのだろう)
「それは禁則事項よ」ニヤツ
(これは大日本帝国政府や、陸海軍の上層部にもかなりのご友人がいっぱいいるなこれは)
司ちゃんによると、その人らの子孫などがいるので名前は出せないとの事。
それからおよそ10年後、二人は再度渡米する事になるのだが……
1 史実では広島に投下されたのが16キロトン。長崎が21キロトン
2 独ソ戦(バルバロッサ)開始後に、占領した旧バルト3国に設置した行政区域。無論大ドイツ帝国の完全な属国。
3 『播磨』は未だ、修理中でいない。
4 1941年5月に、空挺部隊が侵攻し、10日の激戦の末に占領。(史実)
『F-80シューティングスター』
アメリカ空軍初の本格的ジエット戦闘機。だが、武装が貧弱で『Me-262』には対抗困難。戦闘爆撃機として対地攻撃で活躍した。
史実でも朝鮮戦争で、中国義勇軍の最新鋭『ミグ15』(ソ連製だぞw)には全く歯が立たず、『ミグ15』の相手は最新鋭の『F‐86セイバー』に委ね、爆弾や対地ロケットを搭載し、地上攻撃で活躍した。
『Me-262』
独軍の主力ジェット戦闘機。最高時速は900キロに迫り、30ミリ機関砲4門の強力な武装を持つ。初期型の空対空誘導弾や、対艦誘導ロケットも搭載可能。夜戦型や、対重爆撃用に50ミリ対戦車砲を搭載した改造型も存在する。
『ミルヒクー』
ドイツ海軍の補給用潜水艦。意味はドイツ語で『乳牛』。遠距離へ任務に向かうUボートに、燃料や食料などを補給する。WW3開戦後、性能を向上させた補給艦が建造されたが、日本海軍の対潜能力の向上で、運用は困難になっている。
『ティルピッツ』
『ビスマルク』級戦艦2番艦。性能的に『播磨』や、『紀伊』と比べると劣る。史実では英重爆撃機に、超巨大爆弾を投下されて爆沈。
『劔』型装甲巡洋艦
36センチ9門搭載。外見は意図的に『大和』型に酷似させている。史実では計画自体存在しない。
『富岳』
史実では妄想レベルの6発長距離戦略爆撃機。しかし、この世界の大日本帝国は、世界第三位の超大国(アメリカ没落後は世界2位)なので、46年に完成し、48年秋のゴア空襲で初陣を飾った(ナサ君の母方の祖父も参加……と言う設定)。その後改良型が投入され、アイスランドから独本土戦略爆撃で活躍し、休戦への遠因となる。
なお高高度戦略偵察機改造型も、北米大陸で活躍し司ちゃんも目撃している。
リガ
ラトビア共和国の首都。『バルト海の真珠』と呼ばれる美しい港町。ウィルヘルムハ―フェン壊滅後、ドイツ本国艦隊が司令部を移した。大航海時代ゲームでは、ほぼ全てのゲームで琥珀が交易所で買える。
ノース海峡
アイスランド北東と、英北西岸の間にある海峡。北米艦隊残存艦と、ヴィシーフランス主力艦の墓場となった。
オークニー諸島
北海にある英国領の島。現在はドイツ軍が占領している。
オットー・チリアックス (1891-1961)
大ドイツ帝国海軍主力戦艦部隊提督。『北の暴風作戦』で、成功まで後僅かだったが、海軍総司令部の命令で撤退する。本来なら銃殺刑だが、ヒトラーが病気で気力が衰えていたので、逆に称賛された。(政治的な判断も含む)
エーリッヒ・レーダー元帥(史実では1960年死亡)
史実では解任された前ドイツ海軍長官。レッドサンブラッククロスでは、数年前に病死して解任はされていない。
いよいよ次回で完結です。