エヴリン。今からちょっとしたゲームをやろう   作:三柱 努

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ゴリラ人狼

かつてウイルス兵器により多大な被害をもたらした企業アンブレラ。

現在では贖罪としてアンブレラの負の遺産や新たな生物兵器災害を防ぐ対バイオテロ組織として活躍している。

クリス・レッドフィールド。かつてアンブレラと敵対し、組織を壊滅へと追い込んだメンバーの1人。現在はアンブレラの組織の一員として、犯罪組織コネクションの暗躍を追っている。

「それで。コネクションの秘密通信を傍受したというのは本当か?」

「ええ。正直私も困惑しているわ」

「困惑?」

「あっさり傍受できちゃって」

「あっさり?」

オペレーターの言葉の意味を理解できず、クリスは首を傾げた。

「流れを言うわ。コネクションがアモングアスっていうアプリケーションをインストールした形跡が見つかったの」

「アモングアス? 聞いたこともないが、新しい生物兵器か?」

「いいえ。ゲームのアプリよ」

「?」

ゲーム。そう聞いてクリスは苦い顔をした。

「奴ら。なんとおぞましい」

「クリス、多分アナタが想像してるデスゲーム的な何かとは違うわよ。普通に一般人用のPCゲームだから」

「そうなのか? 何? 一般人用のゲーム?」

「ええ。その後にトンデモないことが起きたの」

トンデモないこと。そう言いながらオペレーターは苦笑いをした。報告としていいニュースでも悪いニュースでもない、なんとも複雑な感情が生まれているような顔だ。

「コネクションの通信が全てディスコードに置き換わっていたの」

「ディスコード?」

「これも一般人向けのボイスチャットのサービスよ。しかも初心者向けの」

ようは長年突き止めることができなかったコネクションの秘密通信が、ちょっとその気になればハッキング可能な駄々洩れ状態になってしまったというのだ。

「もうね、聞こえてくる声がてんやわんやの大騒ぎ。おかげで奴らの拠点もボロボロ出てくるわ出てくるわ」

「・・・そうか。いい話じゃないか」

苦笑いするクリスだったが、オペレーターは険しい表情を見せた。

「奴ら、新たな生物兵器を開発していたの。その名も『E型特異菌』」

 

数日後、クリスの姿はルイジアナ州ダルウェイにあった。

先遣隊からの連絡が途絶え、何かが起きていることが予想される暗黒の地に。

当初、与えられた情報によるとダルウェイにはコネクションのエージェントも潜入しているらしい。そして先遣隊はこのエージェントと接触しているのだという。

「平和だ」

ダルウェイの町は平和そのものであった。情報の通り、人々は平和な日常を謳歌している。

街の傍らで、クリスは見覚えのある顔と出くわした。

BSAAの先遣隊と、情報のあったコネクションのエージェントだ。

「やあクリス。どうだい? 一緒にブラックジャックでもやらないか?」

「すまないな。先約があるんだ」

クリスは迷うことなく、ダルウェイの沼地にある森の洋館へと足を進めていった。

その手にした通信機からは『聞いてクリス! E型特異菌には強力な精神汚染の性質があることが分かったの。一定の距離に近づいただけで強制的に洗脳されてしまうみたい。しかもその範囲は徐々に拡大している可能性があるの。ねぇ、聞いてる?』と慌ただしい声が聞こえている。だがクリスは電話に応じることはなかった。

そしてクリスは沼の館にたどり着き、まるで毎日のルーティーンのように館のチャイムを鳴らし、中から出て来た少女を抱き上げた。

「いらっしゃ~い」

「元気にしてたかエヴリン? クリスおじさんが遊びに来たぞ!」

 

居間に案内されたクリスを出迎えるエヴリンとベイカー一家とウィンターズ一家。

「今日は『ゴリラ人狼』をやっていくぞ!」

「「ゴリラ人狼?」」

エヴリンを膝の上に乗せ、彼女と顔を見合わせるクリス。そんな2人にルーカスは笑いながら説明を始めた。

「人狼のルールは知ってるか? 早い話がそいつのゴリラバージョンだ」

そう言ってルーカスはいくつかの役職カードを見せた。

「村人がゴリラ、人狼が密猟者ってな具合だ。でもって夜のターンに1人を指名して密猟者かどうかを知ることができる『占いゴリラ』、追放されたプレイヤーが密猟者かどうかを知ることができる『霊媒ゴリラ』、夜のターンに1人のプレイヤーを守ることができる『護衛ゴリラ』っていう役職がある」

誰もが人狼ゲームを知っている前提で説明するルーカス。当然、ボードゲームというものに初めて触れるはずのクリスも何故か全てを知っていた。

なお人狼ゲームとは、参加者同士で議論し合い、その中にいる仲間外れを探すゲームである。話し合いターンで仲間外れを除外し、もう1つのターンで仲間外れの人物は他の人物を1人除外するのが大まかな流れ。仲間外れを除外するか、仲間外れが最後まで生き残るかを競う。様々な能力を持つ役職が存在し、推理力が非常に大事なゲームとなっている。

 

「そしてこのゲーム、一番重要なポイントがある」

勿体ぶりながらルーカスは最後にこう告げた。

 

「ゴリラだからな。全員、ウホしか言えない」

 

 

 

ゲーム開始。

「ウホウホウホウホウホウホウホ」

「ウホウホウホウホウホウホウホ」

「ウホウホウホウホウホウホウホ」

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「ウホウホウホウホウホウホウホ」

「ウホウホウホウホウホウホウホ」

「ウホウホウホウホウホウホウホ」

 

 

初日にイーサン死亡。ミアが追放された。

2日目にジャック死亡。ゾイが追放された。

3日目にルーカス死亡。マーガレットが追放され・・・

 

密猟者はエヴリンであった。

 

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