エヴリン。今からちょっとしたゲームをやろう   作:三柱 努

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人生ゲーム

4月5日

街にずっと前からベイカー家の子供のエヴリンと名乗る少女がやってきた

森のそばに住む住人全員と、人生ゲームで遊びたいのだと言う。

あいつらは、我々の親の世代の者からの知り合いで、あの沼で暮らしている。

その付き合いがあるのだろう。

ことあるごとに町に顔を出してくれる。

 

沼の行き来に不自由してはいない。そもそも行き来なんてしていない。

時には外国の珍しいゲームを紹介してくれることもある。

今回もそういうことなのだろう。

 

町の人たちは喜んで申し出を受けたが、俺は断った。

別に、はっきりとした理由があったわけじゃない。

町に来た家族の目つきは気に入った。

なんとなく。ただ、それだけだ。

 

 

4月8日

人生ゲームの説明を受けるため、町の者たちは、全員沼へと出かけていった。

いつも騒がしい街が静かだ。

こういう日は、ゆっくりと昼寝をするに限る。

 

 

4月9日

昼寝をしすぎたせいか、なかなか寝付けないでいると外が騒がしい。

広場で、皆が真剣な様子で話し合っている。

なんでも、子供が職業選択で苦しんでいるのだと言う。

それも一人ではない。全員が、である。

 

母親達は、「弁護士や医者なら安定よ」と子供達の将来設計のハードルを高めているが、いっこうに現実的な職業選択との線引きをしている気配がない。

明け方、全員がフリーターの選択を取った。

朝になり、町長が沼へと出かけた。

皆、子供たちのチョイスが、ルーカスの生き方と関係あるのではないかと思っていた。

 

戻ってきた町長は、子供たちの選択は人格形成の初期段階かも知れないので、もう一度ゲームを通してコミュニケーション能力を高めようと皆に告げた。

俺は今回も拒否したが、初めて体験するゲームの説明の仕方のコツを覚えることも大事だ。皆に無理やり連れて行かれ、ボードゲーム説明を受けさせられた。

 

 

4月10日

村で喧嘩が起こる。

男達は全員殺気立っている。

株券を買い忘れたばかりだからと思うが、どうも違うような気もする。

反対に、女性は用心していて元気がある。

すでに残りの生命保険での勝ちを確信し始めているのか?

 

 

4月11日

今日は、なぜか落ち着かない。

ピンの芯がどこかに無くなったようで、じっとしていられない。

仕方がなく、外へ出て体を動かすことにした。

外に出ると、奇妙な格好をしている奴がいた。

黒い服を着て武器を手にし、通信機を片手に電話をしている。

祭りの日ならともかく、なんて格好しているんだ。

 

一言いってやろうと声をかけたが、振り向いたその顔を見て何も言えなくなってしまった。

約束手形をもらいすぎたせいで泣きはらした目になっていて、大人とは思えない顔つきになっていた。

一体、どうなっている!?

 

 

4月12日

昨日から、歓声がたえない。

おとこたちは、人生最後の賭けに負けて、昔にもどったかのような開拓地に留まりつづけている。

おんなたちは、ほとんどが子供に恵まれたか、ピンが刺さらないくらい増えて困ったようだ。

 

 

4月13日

アタマぼーっとしている。

熱はない。

かんがえまとまらない。

今、ルーレットのまわる向き、反対にまわった。

ジャララララララのはずだ。針がぐにゃあってなった。

幻覚?

 

 

4月14日

いい気ぶん……

 

ギャンブル……おち着く……

 

たのしい……

 

オレも……1か2……出したい……

 

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