エヴリン。今からちょっとしたゲームをやろう   作:三柱 努

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エバーデール

ベイカー邸洋館の大広間。テーブルの上に大きなボードと木のオブジェを乗せながらルーカスはワクワクしていた。

「今日はエバーデールをやっていくぜ」

「ポケモンみたいなゲーム? それとも100万円が当たるの?」

そんなわけがないと分かっていながらのエヴリンのボケに「言うと思った」と苦笑いするルーカス。

「テイルじゃねぇ。エバーデールな」

そう言ってカードや小さなチップを並べていくルーカス。

「こいつは素材を集めて村人や建物を集めて、自分だけの村を作るゲームだ」

「ほぉ、俺だけの村か。いいじゃねえか」

「ハイゼンさんなら、きっとカッコいい村が作れるね」

エヴリンはサングラスをかけたダンディーなおじ様、カール・ハイゼンベルクと微笑みあった。

「しかも村人はカワイイ動物たちだぜ」

そう言ってルーカスはカードの中から何枚かを開いて見せた。

「うわぁ本当にカワイイなぁ。ハイゼンさんも可愛いところあるんだね」

「そこどいてよブサイク! アタシが見えないでしょ!」

カードを覗き込もうとする巨体な男に、辛辣な言葉を投げつける人形。その人形と声の主はその後ろにいて、角度的にはちゃんと見えている。

そんな騒がしいサルヴァトーレ・モロウとドナ・ベネヴィエントに怒鳴りつけるハイゼンベルク。

「テメェらうるせえぞ! エヴリンの前だ。もっとお行儀よくしゃべりやがれ!」

「ハイゼンさんのほうがお口悪いよ」

エヴリンに指摘され、ハイゼンベルクは「うっ、こいつは失敬したな」と帽子を脱いだ。先程までの威勢も形無しである。その様にクスクスと笑うモロウとドナ。

「おいおい身内同士で喧嘩はよせ。こっからはメルヘンとラブ&ピースなゲームだぜ」

ルーカスの言葉に素直になった3者は静かに着席した。

 

「エバーデールは自分のターンに何か1つのことをする。労働か、村人か建物を増やす、もしくは何もできなくなったから次のシーズンに移行するか」

そう言ってルーカスは指を3本立てた。

「シーズンっつうのは4つだ。今が冬。春、夏、そして秋だ。秋のシーズンまで来て何もやることがなくなったらゲーム終了。ゲームが終わった時点でどんな村ができあがったか、得点を競うことになる」

「タイムリミットつきなのね。チクタク」

「ターンリミットだな今回は。だが理解が早くて助かるぜアンジー」

親指を上げるルーカスに、ドナは器用にアンジー人形の親指を上げさせて応えた。

「さて大事な大事な労働の話だ。まぁこういうテーブルゲームには『労働者コマ』っつうのが定番だ。まぁテレビゲームにもある、1ターンに何回行動できるかっつう行動ポイントみたいなもんだな。このエバーデールだと、資源を集めたり、村人や建物に役割を果たしてもらったり、追加ポイントをゲットする時に使う。コマ1つで1行動分な」

「その例え分かりやすいね」

モロウとサムズアップで応え合うルーカス。

「あとは一番大事な『村人』と『建物』だ。それぞれカードに効果と必要素材数が書かれている。素材を払って村人や建物を村に迎え入れるんだ」

「そうやって村を開拓するんだね」

「ほぉ、難しい言葉をよく知ってるな」

ハイゼンベルクに頭を撫でられ「えへへ。私だってもうすぐお姉さんになるんだもん」と微笑むエヴリン。

「ちなみに建物や村人にはそれぞれ対応する村人や建物がある。例えば学校と教師、とかな。学校を先に建てておくと、なんと教師のカードは素材を払わなくても村に迎え入れることができるんだぜ。まぁ逆は無理だし、建物の方が建てにくいけどな」

「マジか? お得じゃねぇか」

「そうさ。だがそう上手くカードが揃うことが無い。基本的に手札と広場っつう2か所のエリアからカードを取っていく形だが、欲しいカードほど相手の手札に置かれていたり、プレイヤーの誰もが使える広場にあると、先に他の奴に取られちまったりするんだ」

そう言ってルーカスはエヴリンたちにカードを配り、ボードの上にもカードを並べていった。そして余ったカードを山札にして重ねて置いた。

「村は建物と村人合わせて15枚まで。その中でうまく自分の欲しい村人や建物を集めて、理想的な村を作り上げようぜ!」

そう言ってルーカスは手をパンと叩いた。

「あと分からないことがあったらいつでも聞いてくれ。まぁ分からないことだらけだからな。というわけで4人に楽しんでもらうために俺は今回ゲームマスターだ」

 

こうして始まったエバーデール。

「じゃあ僕は『農場』にいる『旦那』に『夫人』を合わせるね。やっぱりお父さんとお母さんは一緒にいなきゃ。あぁ、ママ」

「俺は『鉱山』があるから『鉱夫』を発動! その効果で相手の村のカード効果をコピーする。というわけだモロウ、お前のフィールドの『倉庫』の効果を発動! お前の倉庫に眠る『丸太』と同じ数の丸太を得る。さらに俺のフィールドには樹液精製所が存在する。次のターン、『掃除屋』を発動することで『鉱夫』の効果を再利用。そしてお前の丸太を再び得ることができる!」

「(ハイゼンさんノリノリだなぁ)じゃあ私のターン。私は『郵便局』から『伝書バト』を発動。デッキからカードを2枚ドローし、勝利点3点以下のカードをコストを無視してフィールドに特殊召喚することができる。ドロー! やったわ! 私は『劇場』を選択。ゲーム終了時にフィールドに存在する『特殊な建物』1枚につき勝利点が1点追加されるわ!」

「(アンジーちゃんもハイゼンさんに影響されてるなぁ。それにフィールドじゃなくて村だよぉ。ドローじゃないしデッキでもないのに)私は村に建てた『クレーン』で、『永遠の樹』っていうのを出すね」

 

和気藹々と進行していくエバーデール。ガチガチのガチで長考するハイゼンベルクと、デュエル脳が感染してしまいついにはアンジー人形を忘れて両手にカードと素材を握りしめてしまったドナ。カードのかわいらしさを優先して楽しむモロウに、綺麗で暮らしやすい村を目指すエヴリン。

4者の開発が進んでいく中・・・

 

 

その計画は着々と進行しつつあった。

 

 

 

 

「ついに突き止めたぞ。辛うじて生き残った衛星画像から解析したのがコレだ」

「例の特異菌の運搬が失敗に終わったエリアか?」

「ああ。エージェントたちの連絡も次々に途絶え、組織内の情報もリークされて大変だったが、その元凶をようやく突き止めることができた」

「エージェントの発信機を辿り、被検体がこの建物に棲みついているところまで判明したわけだな」

「我々に甚大な被害をもたらしたカビだが、BSAAや他の奴らに奪われてしまえば厄介なことになる。その前に始末する」

「ああ。この改良したE-ネクロトキシンでな」

「奴を殺処分できるってわけだな」

「おそらくな。あとはヤツに打ち込むだけだ」

 

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