以前投稿した【とある科学の異質個体】のリメイク版みたいなものです。

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時間が出来たので久しぶりに前書いたやつでも見てみようと思ったらデータ残って無かったのですが、気づけば書き上げてました。


とある科学の異質個体【改稿版】

『嫌だどうしてなんで私がこんな目に私が何をしたっていうのこんなのあんまりだ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない――――』

 

「…………はぁと、ミサカは何度見ても救いようがないこの日記の主が間違いなくミサカであることに悲嘆と諦めの混じった溜め息を吐きます」

 

……私、ミサカ9982号は転生者というものである。自分でも最初はただの夢だと現実逃避していたのだが、何時まで経っても覚めない上に頬をつねれば痛いとくれば嫌でも認めざるを得ないのだ……この後どう足掻いてと死ぬって分かってるから認めなくは無かったのだが…

 

確かにとあるシリーズは大好きで、原作は一部スピンオフは買ってなかったりしたものの、アニメは全部見たしゲームもやった。だから間違いなくとあるの世界であるここに来れたのはファンとしては嬉しい。でもこれは違うと思うの。

 

「何が悲しくて絶対死ぬキャラにならなければならないのでしょう……と、ミサカは絶望感に浸りながら言葉を吐き捨てます」

 

原作において9982号、引いては10032号以前の10031号までの個体は例外なく死亡している。ある狂気の実験によって。

その実験の名は"絶対能力進化(レベル6シフト)計画”といい、ある種某汎用ヒト型決戦兵器の世界における人類○完計画と似通ったところがあるという意見すらあるイカれた計画である。

 

まぁ、提唱者があの木原幻生であることを考えればまともな実験な筈が無いのだが…ただいくら何でもこれはあんまりでは無いだろうか……というかそもそもの話、128通りの戦場を用意して一方通行(アクセラレータ)超電磁砲(レールガン)を128回殺せば絶対能力者(レベル6)になれるけどそれは無理だから超電磁砲(レールガン)のクローン二万体殺すことで同じ結果が得られるとか頭おかしい超えて異常では?それ言い方変えたらずっと同じ動きしかしないク○ボーひたすら踏み続けるようなものなんですが?

 

「こんなことを思いつくとは、流石は木原屈指のマッドサイエンティストですね、とミサカは最大限の皮肉を何処にいるかもわからないクソ爺に向けて放ちます」

 

この行為自体に具体的な意味は無い。せいぜい滞空回線(アンダーライン)で四六時中監視してるスターな統括理事長が目をつけるくらいだろうし、たかがそれだけで樹形図の設計者(ツリーダイヤグラム)の計算によって導き出された答えを求めるこの実験が止まる筈もない……即ち無理ゲー、死ぬしかないという訳である。

 

一概に死ぬと言っても二通りで、私がどう足掻いたところで一方通行(アクセラレータ)に勝てる訳も無く潰されて死ぬか、逃げて束の間の安寧を得る暇すらなく静かに処理されるかの二択。こんなクソゲー中々無い。

 

と、そんなことを考えながらつい先程目の前に現れた蝶をボケーッと眺めること数分、背後に誰かの気配を感じ安心する。どうせ死ぬならと色々やった分原作と違う動きをしてしまったがなんとかお姉様との邂逅は果たせたようだ。

……まぁある意味この邂逅によって、私は運命という名の地獄の鎖を見せつけられているのかもしれないが。

 

「ちょ、ちょっと!」

「?」

 

あ、やってしまった。原作ではこの場面で9982号()が振り向く描写は無かった筈……

 

「ま、まさかだと思うけど…あんたみたいなのが五人も十人も居るんじゃないでしょうね!?」

 

……だがお姉様の台詞が少し減っただけで済んだ。やはり運命とは憎いものである。

 

「…ふふふ、こねこ、上から読んでも下から読んでもこねこ…ふふふ」

「ってくだんないこと言ってないで聞けよ!」

 

お姉様の気持ちも理解出来る。ただ私だって好きで原作と同じ台詞を吐き出している訳では無いし、そもそもこんな原作の内容を一語一句忘れずに記憶出来る頭脳なんぞも欲しくなかった。

 

「………、こねこ…」

「いやだーから!このっ――――!あぁぁぁあもぅぅぅ!!」

「おい、そこの双子」

「え?」

 

あ、来た。この先の動き――というかお姉様の気分次第では第二の人生最後の晩餐になるかもしれないアイスをくれる優しいおっちゃん。

 

「兄弟喧嘩はよくねぇぞ?」

 

兄弟じゃなくて姉妹だけどね。おまけにクローン。

 

「こいつは妹じゃない!」

 

お姉様正解。

 

「おいおい…冗談でもそんなこと言うもんじゃないぞ……ちょっと待ってな」

「ん?」

 

ガチャガチャと器具を使いながらアイスを用意してくれるおっちゃんを眺めながら、内心ゴチになりますと頭を下げること数十秒。普通に早いと言えるスピードで用意されたアイスを渡された。

 

「ほらよ!ウチ自慢の品だ。これをやるから、仲良くしな」

「いや悪いけど、今はアイスを食べてる場合じゃ…」

 

困り顔でそこまで口にしていたお姉様だったが、他ならぬ私が出しまくる高速でアイスを咀嚼する音を聞き困惑するようにこちらを向きまた混乱したような声を漏らしていた。

そして私はそんなお姉様を一見するとフル無視するようにひたすらアイスを貪り―――

 

「濃厚でいてくどくなく後味がさっぱりした甘さ…牛乳がいいのは当然ですが、時のいい和糖を使わなければこの風合いは出せません。コーンはクッキーを砕いたクラスト生地を意識していますね。ぐっちょぶですと、ミサカは惜しみない賞賛を送ります」

「へへ!ありがとよ!」

 

ただ感じた感想を口にしたところ、奇しくも原作通りの褒め言葉になってしまったが、アイス屋のおっちゃんが喜んでくれたし良しとしよう。

 

「夫婦ってのは別れちまえば赤の他人だが、兄弟の血は一生もんだ」

 

いや、だから姉妹……

 

「ウチの母ちゃんも稼がないと赤の他人になっちゃうかも……」

「いや、だから興味無いから……」

 

そ れ な

 

「とにかく!兄弟仲良くな!」

「だから違うっつーの!」

 

……さて、去っていくおっちゃんに憤慨するお姉様を尻目にその手に握られたチョコミント味のアイスを口に――「ってさせないわよ!」――へ?

 

「な、何故気づかれたのでしょうと、ミサカは完璧な気配遮断を破られたことに驚愕を顕にします」

「…いやいや、あんた仮にも私のクローンなんだからそんな意地汚い真似しないでよ……」

「……、わかりました。意識汚い真似はしないので紅茶奢ってください」

「は?」

「こう見えても紅茶には結構うるさいんですと、ミサカは予めハードルを上げておきます。ちなみにオーダーはミルクティーですと、ミサカは先に注文をしておきます」

 

言外に何言ってんの?という言葉すら聞こえてきそうな救いようのない子を見つめる視線を向けられながらも、淡々と自分の要求を通す自分と同じ顔をしたクローンの様には流石に堪えたのだろう。

 

「ふ、ふざけんなぁァァァ!!!」

 

お姉様の怒号が辺りに響いた。今周りに人は居ないとはいえ近所迷惑なのでやめてください、まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんて、楽しい時間はあっという間、ミサカを待つのは絶望的な終わりのみ……ですか、まるで絵に書いたかのような実験動物(モルモット)の末路ですね、とミサカは独り言を言います」

「あァ?」

「……気にしないでください。ただの独り言です、とミサカは一方通行(アクセラレータ)に告げながらライフルを取り出します」

 

あの後、一緒に談笑しながら食事したりゲコ太の缶バッジを貰ったり、ゲーセンでクレーンゲームをしたり太○の達人で難易度鬼フルコン勝負をしたりと色々と楽しく過ごしたが、目の前の死神を見ていると先程まで興奮で激しく波打っていた鼓動が静かになるのを嫌でも感じさせられる。

……これから死ぬというのに体は全くと言っていいほど動揺しない。これだから布束さん以外の科学者から見た私達(シスターズ)はただの実験動物(モルモット)扱いなのだろうか。

 

「ただの人形のくせして楽しいに絶望たァ…人間サマの真似でもしてんですかァ?」

「真似ではありません。ただの事実……いえ、20時59分、所定の位置へ」

「ったく、たりィったらありゃしねェ」

 

あなたの立場ではそう思うでしょうね。まぁあなたのそれは本心じゃないのですが……

 

「……一方通行(アクセラレータ)

 

そう思った時には、

 

「あァん?」

「あなたは…ミサカが死にたくないと願っているならば、どう思いますか?と、ミサカはじっと一方通行(アクセラレータ)を見つめます」

 

そう問うていた。何故なのかはわからない、こんなことに意味は無いと分かっているのに問わずには居られなかった。

 

「お前…「21時00分、第9982次実験を開始します。すみませんくだらないことに付き合わせてしまって…と、ミサカは謝罪を口にします」―っ、チッ!」

 

一方通行(アクセラレータ)は何かを言おうとしていた。なら一体何を言おうとしたのだろう。ようやく待ち望んでいた答えが聞けたことに喜びを顕にしようとしたのか、はたまた今から殺そうとしていた人形を壊し難くなったことに悪態を吐こうとでもしたのだろうか。

何にせよ、ミサカネットワークを介して促された命令に従ったとはいえ、答えを無視してまで実験を開始したこの体ではもう聞くことは出来ないだろう。

 

「先手必勝、とミサカはグレネードを一方通行(アクセラレータ)に投げつつ距離を取ります」

 

この行為に意味は無い。あらゆる力のベクトルを操る――もっといえばあらゆる全てを解析する彼にとっては自分にとって有害な物を弾き、必要なものだけを取り込むことなど造作もないのだから。

 

「はァ……」

「やはり効いていませんね。ならば、とミサカはフラッシュグレネードと音響爆弾を同時に投げつけ走り出――っ!?がっばァ!?」

 

形状の異なる二つの爆弾を投げつけたと思った時には私の体は宙を舞っていた。直下の視界に一方通行(アクセラレータ)が映っていること、そして感じた強過ぎる衝撃から一方通行(アクセラレータ)に吹き飛ばされたのは言うまでも無いだろう。

ならばこの先に待っているのは死、着地すら許されず無惨な肉塊と成り果てるのだろう。

その未来を想像し目を閉じた。

 

「……、?」

 

しかし待てども待てどもその時は訪れず、逆に何かに包まれているような感触を感じる。不審に思い目を開ければこちらを見つめる一方通行(アクセラレータ)の中性的な顔が視界に入った。

 

「おい、お前は人形か?それとも人間か?」

「………質問の意図を測りかねます。あなたもご存知の通り、ミサカ達は単価18万円の「……そうかァ、ならいらねェ…」ッうぐ!」

 

……、何かを期待するようでいて、それでいて最後の警告のように告げる彼の問いを跳ね除けた私に対する報いとしては当然なのだろう。一方通行(アクセラレータ)が常に手加減していたのが幸い、まだ動ける。

全力を出して立ち上がりそのまま予め爆弾を設置した地点まで走る。

 

「………」

 

普段ならば妹達(シスターズ)を馬鹿にしたり、脅すような言葉を発しながら追いかけて来ていたであろう彼はただ無言で私の後を追っていた。失望からか、それともまだ諦めきれていないのかは分からないが、もうどうでもいいだろう。

何故なら、もう私は死ぬのだから。

 

「これまでの実験結果から、一方通行(アクセラレータ)は周囲にバリアのようなものを展開していると推測出来ます。そして、対象が地に足を付けて歩行していることから、足裏には能力は発動していないとも考えられる」

 

この推測はほぼほぼ間違いだし、この後不正解に見合った痛みを知るのだろうが、何故だが怖くない。そういうものだと受け入れられる。あれだけ恐れた筈なのに肩透かしである。

 

「誘導完了、とミサカは一方通行(アクセラレータ)の足元の爆弾を起爆すべく電流を放ちながら告げます」

「……」

 

正常に反応した爆弾が起爆し、爆音が周囲に鳴り響き……無傷の彼が姿を現す。

 

「……、ざーんねーん。テメェの考えは―――

「っ、う……あぁ……」

 

そして彼は私を蹴り倒して左足を掴み、

 

―――点で的外れなんだよォ…!」

「ぁぁ"ぁ"ぁ"!!」

 

私の左足をちぎり飛ばした。絶叫を上げつつも即座に電撃を放っても反射され自分が感電するだけ。

 

「あ…ぁぁぁ……」

 

無様に地面に転がりながら、少し遠くにあるお姉様からのプレゼントである缶バッジを見つめ、勝手に動く腕で這う。

 

「……ちっとは楽しませてくれた礼だァ、苦しまねェように一瞬で逝かせてやるよォ」

 

ちょうど缶バッジを拾い上げたその時、背後から聞こえた声に消えた筈の恐怖心が蘇る。何故だ、さっき恐怖は克服した筈……考えても考えても答えは出ず、上空から落ちてくるトラックの影が私を覆った時にようやく答えが出た。

 

「嗚呼、私が異質だからで―――

 

その先の言葉が私の口から出ることは無かった。




個人的に9982号には死んで欲しく無かったと思います(´•ω•`)

Simca Ⅴさん誤字報告ありがとうございました!

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