あくまでもしも転生したタイミングがものすごく遅れていたらというもの。
この物語はご都合主義や作者の独自解釈、捏造設定も入っています。
興味がある方のみお読みください。
文字数は1万文字です。
【短編SS】気がついたら地獄に落ちた後だった件について
ーードカン。
気がついた瞬間視界が真っ暗になる。
手足が動かない、何かが上から覆い被さっている状態。
「地獄で反省するんじゃぞ」
渋い男の声がするならゆっくりと視界が晴れてくる。
そして、見える範囲でわかることは巨大な机、ツノの生えた紫のスーツを着た巨人。
……え、どういう状況?
少なくともわかることは……俺は何故かペシャンコになっていることだけ。
「……は?」
そう呟いた時には再び視界が暗転した。
視界が再び晴れたのは数分後のこと、体が自由になった。
「しっかり罪を償うおに」
訳もわからないまま、突然後ろからかけられる。
振り向くと筋肉ムキムキの赤鬼が立っていた。
意味がわからない。
周囲を見渡すと空は血のように真っ赤だった。
周囲には一面血の池、針山、火の谷。
異様な空間に戸惑ってしまう。
「さ、ここに入って刑執行まで待つおに」
「……おい待て」
だが、流れるように牢屋に案内された。
意味がわからず聞き返してしまう。何故俺が牢屋?てか、なんでこんなところに俺はいる?
至って真面目な人生、犯罪など起こしたことないのに。
「俺は何もしていない。ふざけるな!」
「暴れる気おにね!?そうはさせないおに!」
俺はふざけたことを抜かす鬼を倒そうとする。
俺はどうやら力持ちらしい。拘束しようとした鬼数人を軽くあしらった。
だが、俺はすぐに無力化されてしまう。
暴れる俺を駆けつけた俺と身長の近い戦士が無力化した。
名前をパイクーハンとかいうやつらしい。
どうして俺がこんな目に。
だが、事態の把握にそこまで時間はかからなかった。
「やっとおとなしくなったおにね。最初からそうするおに。……あまり困らせるんじゃないおによ、ラディッツ」
赤鬼から突然呼ばれた名前、すると死ぬ前の記憶が流れ込んできた。
そして、自覚をしたんだ。ここはドラゴンボールの世界だと。
俺は孫悟空の兄、ラディッツに成り代わっていると。
そして、一番絶望なことに……気がついたのは地獄に落ちた後だと言うことを。
それから俺が冷静に考えられるようになったのはいくつか刑が執行された後だった。
針山や灼熱地獄。
何回も死んだ。
だが、今は地獄には魂だけになっているため死ぬと言う感覚がない。
意味不明な感覚だが、とにかく俺は死んでも死なないということはわかった。
眠気もない、食欲もない、性欲ない。
人間の三代欲求も全てない。
時間の感覚がない。
これが死んだという感覚だと嫌でもわからされた。
……だが、俺が何をしたというんだ。過去のラディッツがやった罪を何故背負わなければいけない。
そう自問自答する毎日だった。
だが、そんなある日俺はとある考えがよぎる。
あれ、今サイヤ人編が終了したってことは、今後やべぇやつがいっぱい来るということでは?
ナッパやフリーザ様。そしてセル。
ラディッツの戦闘力は1500……このままじゃやばいんじゃないか?
フリーザ様は第1形態で53万とか言ってたし。
そう考えたら1500なんてゴミクズではないかと。
現段階で俺は地獄では一番の要注意人物だ。
だが、それも1年経つころには上のやつが来る。
俺はある結論に至る。
「強くなろう」
下手したらいじめられる、ここでは弱肉強食。地獄でも自由時間がある。
新参者は上のものにボコボコにされる、俺の場合はやり返したが。
おかげで俺が実質的な地獄のナンバーワン。この優越感に浸る毎日に満足していたが、このまま今のまま生活してたら肩身が狭くなる。
……そう考えが至ってから俺は訓練を始めた。前世でのいろんな修行方法。
死んでも死なないというアドバンテージを意識して。
アニメでドラゴンボールGTでは地獄に落ちた後のフリーザ様とセルは修行して強くなったと発言していた記憶がある。
つまり、やり方次第ではどうにかなるのではと考えた。
最低限の、ドラゴンボールのインフレについていけるように。
セルに対等にやりあえるくらいには強くなりたい。
不眠不休で修行できるのはアドバンテージと捉えるべきだ。
ラディッツは弱虫ラディッツとバカにされたが腐ってもサイヤ人。
成長できるはずだ。
俺はその日から地獄での模範となるべく行動、修行の日々を開始したのだった。
地獄の刑を素直に従った。
悪さをしないのならと修行をすることは目を瞑ってくれた。
そして俺はいつしか地獄の模範囚になっていた。
修行は色々試した。
そして、まず最初に思いついたのは界王拳とワン○ースのギアセカンド。
界王拳は原理が全くわからない。なので擬似界王拳をすることにした。
それで参考にしたのがワン○ースのルフィのギアセカンド。
心拍数を早くして体内の血液の巡りを上げる。まぁ。魂だけだが、少なくとも体の体内機能は動いていた。
なのでできるのではないかと思った。
体感時間にして半年かけてようやく形にすることができた。
体が爆発して何度か死んでしまったがすぐに体は蘇生する。
生きていたら絶対にやらないな。
そう思いつつ、訓練を重ねる。
その過程でわずかながら戦闘力も上がっていた。
それからしばらく経ってからだった。
「ふざけんじゃねぇ!」
地獄に来た瞬間、大暴れするやつが現れた。
そいつは体がデカく、ハゲていた。
「……ナッパか?」
多分そうだ。
つまり、ベジータに汚ねぇ花火されて地獄に落ちたのか。
ああ、気づけば一年たっていたのか。
時が経つのは早いな。時間の感覚鈍ってきてるわ。
そう思いつつ、関わりたくないので、何も見なかったことにしてその場を去ろうとする。
「抵抗するんじゃないおに!」
「うるせぇぇぇ!」
だが、地獄に来た当初の俺と同じよう暴れ出した。
すると緊急の警戒ベルが鳴り響き、地獄の鬼たちが集まりだす。
あーあ。めんどくせぇ。俺は絶対に関わらないぞ。
どうせ強い戦士がここに来て対処するはずだ。そう思っていた矢先だった。
「ふははは!雑魚が!」
「うべ!」
「た……助けておに」
「閻魔大王さまぁ!」
だが、次々に薙ぎ倒されていく鬼たちの悲鳴が聞こえ足が止まる。
俺には前世の善人としての正義感があった。
気づけば体が動いていた。
不意打ちからの一撃をナッパに食らわせていた。
「ぐべら!」
蹴りを喰らわせたナッパは地面に顔が埋まる。
「なんだ、くそ!ペッ…ペッ」
ナッパはすぐに立ち上がった。
蹴られた方へ視線を向けてきて……額に血管が僅かに浮かぶ。
「……テメェ……この俺様を蹴りやがったな……弱虫ラディッツの分際で」
俺を見るなりイラついたナッパ、弱虫ラディッツ……懐かしい呼び名に俺は少しイラついた。
俺は……俺はもう以前の弱虫ラディッツではない。
「俺を弱虫ラディッツと呼ぶなぁぁ!」
それは心の底から溢れるような怒りだった。
俺は無意識に擬似ギアセカンドを発動させる。
体から赤い蒸気が噴き出し、体に力がみなぎる。
「なんだ?芸でも覚えたのか?」
小馬鹿にしてくるナッパ、俺はそんなナッパを。
「……あれ、消えた……ぐは!」
目にも止まらぬ速さで圧倒、鳩尾に拳打し無力化した。
「……ふははは。俺は……強い」
ニヤケを堪えられないほどの達成感、歓喜。
何故かわからないが、強くなったことに充実感を抱いていた。
その後はナッパは無事収監された。
その後も地獄に送られてきたフリーザ様やコルド、人造人間19号、20号が地獄に送られてきたが。
「人王拳!」
何かと格好つけて技名を叫びたい俺はいつしか人間の限界を超えられる人王拳と勝手に名付けてそれを駆使し、激闘の末無力化した。
その結果、以前から模範囚の扱いを受けていた俺は閻魔大王から特例で罰が軽減された。
といっても天国行きになることはないが、地獄でも刑は緩和され地獄の1丁目と呼ばれる茶屋があったり、罪をしっかりと償っているものが集まる比較的平和な地獄の場所で過ごすことが許された。
地獄の守衛みたいな立ち位置になった。
こんな信頼を寄せて良いのかと問うたことがあったが、魂が綺麗になっているからもう悪いことはしないと判断されたとのことだ。
てか、面倒事を片付けた俺が地獄の囚人たちの抑止力になることで仕事の閻魔大王の負担が減っていくらしい。
妙な信頼を寄せられたものだ。
「なら、天国に行かせてくれよ。ゴズとネズから聞いたぞ?大界王とかいうところに強いやつが集まってんだって?そこに行かせろ」
「無理に決まっておろう!何があっても地獄行き判定は覆らん!」
とまぁ、こんな感じに言われた。
別に今の待遇に満足しているのでこれ以上は言わないが。
ただまぁ、死後は暇なもので娯楽がない。
不眠不休で修行しているが、それ以外はすることがない。
だが、そんな変わり映えしない日常で事件が起こったとすれば人造人間セルが地獄に来た時だろう。
なんとセルがギニューなしの特戦隊4人とフリーザとコルドを連れて地獄を支配しようと行動を起こした。
本来なら俺が対処すべきなんだが、その時滝修行の要領で自分の限界を越えるための灼熱地獄で精神修行していたため初動が遅れた。
ゴズから急いで向かうように言われて行動を開始したんだ。
ああ、アニメオリジナルストーリーでそんなこともあったなぁと薄れつつある記憶を思い出し、今の俺にセルを倒せるかを考える。
修行をしたとはいえ、フリーザたちに苦戦をしたんだ。
でも、最近超サイヤ人になれるようになったので、人王拳と組み合わせればいけるかなと考えセルの元へ向かう。
人王拳と超サイヤ人の組み合わせは偉大だ。生身でやったら絶対死ぬ。
死人の状態でしかできない大業。
少し行けると思った。
「……貴様は何者だ?」
そばに着くとところどころ緑の斑点のある台所で嫌われている虫を発想させる人間型の生き物がいた。
「俺はラディッツだ」
「知っているぞ?貴様は孫悟空の兄だな。そんな雑魚が私になんのようだ?」
雑魚って……久々に言われたな。
そう思いつつ、要件を伝える。
「俺のテリトリーで暴れられられては困るんだが?」
「つまりここのボスになるには貴様を従えればいいということか」
何故そうなる?
まぁ、どのみちこいつは倒さないといけないわけで。
「はぁぁぁ」
気を上昇させ超サイヤ人になる。
一応前世の知識から気の消費が激しいのが超サイヤ人。
なので、なった時の嫌な感覚を無くしてスムーズになれるようにした。
アニメで悟空と悟飯が精神と時の部屋で修行してなった状態。
まぁ、俺は超サイヤ人の限界を越えられていないが。
「は!その程度でこの私に挑みにきたか」
やはり気を上昇させてもダメらしい。
ま、わかっていた。一人での修行では限界があると。そのまま心拍数を早めていく。
「人王拳!」
赤と金色。
そのオーラが混ざり合う。
この状態になるのに何回も死んだ。
死を繰り返しやっとなれるようになった新形態。
「……ほう、少しは骨がありそうだ」
「いくぞぉぉ!」
俺はセルに立ち向かっていく。
実力は拮抗しているがセルにはあと一歩及ばない。
スピードは俺が優っているが、決定打を与えられない。
戦いの最中徒党を組んでいたフリーザたちは巻き込まれて底なし沼や針山に刺さっていた。
俺は気にせずに戦い続けた。
だが、勝敗は想定外の方法で決着がついた。
外部からの横槍だった。
俺と同等の速さで死角からセルに攻撃を加えるものが現れた。
「はぁ…はぁ…はぁ」
呼吸を整えながら元の状態に戻る。
そいつは忘れもしない人物だった。
俺を無力化した人物。
「パイクーハン……だったか」
鋭い赤い瞳に厚い唇、ピッコロのような緑色の肌。
クールな印象が強い人物。
セルを倒しにきたらしい。
だが、俺もその対象に入っているかもしれない。
だから、俺は両手を上空に上げて降参をアピール。
「俺はセルを止めるために戦っていただけだ。お前と戦う意思はない」
「久しぶりだな……ラディッツだったか、腕を上げたな」
「そりゃどうも」
皮肉にしか聞こえない一言を発してパイクーハンはクールに去っていく。
まぁ、こいつが介入しなきゃ勝敗はまだつかなかったわけで。
「……ラディッツじゃねぇか!なんでおめぇがここにいんだ?」
だが、この場に駆けつけたのはパイクーハンだけじゃないらしい。
声の方向を向くとそこには孫悟空がいた。
「……カカロット」
思いがけない再会に微妙な雰囲気になる。
俺は顔を合わせたくなかったのでその場から逃げるように去った。
「おい待てよぉ!」
悟空はそう声をかけてきたが、振り向くことはなかった。
だが、孫悟空というのは独特なコミュニケーションをする生き物らしい。
「いやぁ、おめぇも地獄で強くなったんだな……閻魔大王様から聞いたぞ!」
「何故お前が地獄にいる」
「ん?大界王様から閻魔大王様に頼んでもらったんだ」
なんでもありかよ。悟空は何故か俺が地獄の一丁目にいる時に来るようになった。
それから悟空はたまに俺の元に来て組み手をかわすようになった。
悟空は格上だ。
一人だと限界があるのでちょうどいいと思った。
自分も高みに進みたいと思ったのでたまに悟空の組み手に付き合った。
そうして、悟空とできた縁、結果的に。
「にいちゃんまたなぁ」
いつしか兄と呼んでくれるようになった。
悟空と死後の世界で和解をした後も共に修行をした。
そんな日々を送る中で再び事件が起こる。
「なぁ、にいちゃんも行こうぜ!ぜってぇ楽しいからよ!」
「無理だ。俺は地獄の人間だ」
「なんならオラが閻魔大王様に頼んでやっから」
悟空と再会して7年が立ったある日のことだった。
不定期にくる悟空からとある誘いが来た。
内容は1日だけこの世に行けるから天下一武道会に一緒に参加しようとの誘い。
だが、俺は断固拒否した。
まず、地獄にいる人間は1日だけ地球に行くことはできない。
そして、魔人ブウ編が始まるので巻き込まれたくなかったからだ。
悟空は俺が拒否したが、閻魔大王にその場で聞きに行った。
「無理に決まっているだろ!何を考えておる!」
と、閻魔大王に即座に否定された。
悟空は珍しくガッカリしていた。多分悟空なりに俺を気遣ってのことだったのだろう。
なので、俺は悟空が1日だけ地球に向かうギリギリまで修行に付き合ったのだった。
「達者でな」
「ああ、いってくる」
そして、悟空は地球へ行った
俺は久々に寂しくなるのを感じる。
アニメだと悟空は魔人ブウ編で蘇る。
地獄に来ることは2度となくなる。
会うのは後数回か。
少し寂しさを感じていた。
それから時は流れ、悟空は24時間よりも早くあの世に戻ってきた。
やはりアニメ通り進んで魔人ブウが現れた。
魔人ブウとの戦闘で無理して超サイヤ人3になり、早く戻ってきたらしい。
「よう、ただいまぁ」
何故わかるかと言われれば悟空は律儀に地獄に挨拶に来たんだ。
「地球は大変らしいな」
「ああ、魔人ブウっちゅう強いやつが現れたんだ」
「テレビで見ていた。……カカロットが倒せば良かったろうに」
「いや、オラはもういないはずの人間だからな。オラがいねぇと守れねぇようじゃ先が思いやられる」
「ベジータもカカロットもいない地球を守るのは無理ではないか?」
「それについてはでぇじょうぶだ。フュージョンちゅう技を授けてきたからな」
とまぁ、こんな感じに少し雑談した。
その後悟空は界王神界に向かった。
悟飯の元に行ったんだな。
この後俺はテレビでこの世の様子をリアル中継で見ていた。
途中、物陰に隠れてトランクスと悟天のフュージョンを見てなんとなくポーズの練習をしてみたりした。
合体憧れるじゃないか。
男のロマン。
「ら…ラディッツさん何やってるおにか?」
だが、赤鬼の一人に見つかってしまい、恥ずかしい思いをしてしまったのでおとなしくこの世の様子をずっと眺めていた。
だが、魔人ブウにより、殺された地球人が何千万と閻魔大王の元へ送られる。
魔人ブウが現れてから不眠不休で働いている閻魔大王様たち。人の供給が足りていない状況。
俺まで役目を与えられた。
といっても俺は地獄からの脱走者が現れないように入り口前の監視だ。
地獄の一丁目は地獄からの脱出口。
閻魔大王の机の引き出しに直接つながっている唯一の入り口が存在する。
そこの入り口の管理を任された。
と言ってもただ座っているだけ。
地球の様子を窺っている。
だが、地球では最悪な出来事が続く。
地球人の全滅。
ゴテンクス、老界王神によって潜在能力を引き出されたアルティメット悟飯のZ戦士たちが魔人ブウに挑むも吸収された(ピッコロも)
その後、悟空と閻魔大王の機転により蘇ったベジータがポタラ合体により、ベジットとなり挑む。
だが、ベジットも舐めプした挙句吸収されてしまった。
まぁ、吸収された人たちを助け出すためにわざとだが。
それを俺は知っているため、特に動揺することはなかったが、俺はテレビ越しに映る圧倒的強者に挑みすらできない現状に苛立ちが増す。
「ラディッツ!出てこい!ラディッツ!」
突然だった。
背後から閻魔大王の声とドカという強く扉を叩く音が聞こえる。
そこは地獄から出るための唯一の入り口、気のせいかと思ったが、ドン、ドンと鳴り止むことはなかった。
「何事だ?」
絶対に出てはいけない入り口を俺は初めて出た。
入り口を出るとそこには顔が真っ青になっている閻魔大王の巨大な顔が見えた。
そのまま舞空術で机から外へ出て周囲を見渡す。この場はお通夜状態で全員が俯いていた。
中には涙を流している者もいる。
そして、意を決した閻魔大王が言葉を発する。
「ラディッツ、貴様は充分罪を償った。よって特例で地獄から天国行きとする」
「……は?」
唐突なことに疑問符を浮かべる。
俺が……天国行き?何を言っているんだ?
「そして地獄での貢献に伴い貴様に肉体を与える」
「だからーー」
『ラディッツちゃん聞こえるぅ?』
淡々と告げる閻魔大王、訳を聞こうとすると頭に老人の声が聞こえてきた。
「何者だ!」
『わし、大界王て言うんだけどね。知ってると思うけど、今全宇宙の危機なのよ。だから、今から地球行って戦ってきてくれない?』
「ふざけるな!!」
大界王と名乗る老人から突然の頼みにブチギレる。
いや、意味わからない。
「おい!大界王様になんと言う口の聞き方だ!」
『あ、閻魔大王ちゃん気にしないでいいよ。今は急いだほうがいいしねぇ。でも、今魔人ブウ倒せる可能性あるのラディッツちゃんしかいないんだよね。お願い』
いい加減なことを言ってくれる。
「無理だな。俺はカカロットのように超サイヤ人3になれない。こんな俺が戦ったところで負けは確定している」
『そこは大丈夫よ!ちゃんと秘策があるから』
「……秘策?」
そう聞いて俺はある程度予測できている。
俺が今の魔人ブウと戦うには一つしか手段がない。
俺にはサイヤ人特有の尻尾がいまだに残っている。
『ラディッツちゃん尻尾あるでしょ!人工的に月作って大猿化すれば可能性あるよぉ』
超サイヤ人4。
アニメ「ドラゴンボールGT」に出てきたアニメオリジナル形態。
……だが。
「意識を保てず暴走するかもな」
『大丈夫だと思うよ。だってラディッツちゃん……魂二つあるんだから、暴走することはないと思うなぁ』
思わず鼓動がドキリと大きく跳ねる。
何故知っているんだ……そう問いたかったが、恐怖したので聞くのをやめた。
「……後で問い詰めてやる」
『てことは了承してくれたってことでいい?』
「……ああ」
どんな形であれ俺は嬉しさが込み上げる。
了承した後は大界王から秘策を聞き、俺は占いババに頼みそのまま地球へと向かう。
「……頼んだぞ」
向かう時閻魔大王に一言頼まれた。
俺はそんな閻魔大王に。
「まかせろ」
その一言を交わし転生後初めての地球へと舞い降りた。
「ここが地球か」
「では、頑張るんじゃぞ」
地球に到着後、占いババは即座に撤退した。
魔人ブウの次元が違いすぎる気を遠くに感じる。
だが、その強大な気がこちらに向かっている。
「気づくの早すぎだろ」
俺は急ぎ準備を始める。
気を溜め、上空にパワーボールを作り出す。
太陽から発せられるブルーツ派を反射できるほどのもの。
だが、完成までは僅かに時間が足りない。
「……ちょうどいい」
今の限界がどこまで通じるか……どうせ賭けが失敗すれば死ぬんだ。
なら、思い残さないように。
「誰だ貴様は?初めて見るな」
目の前に圧倒的強者がいるにも関わらず恐怖で竦むことはなかった。
むしろこんな強敵に出会えたことに感謝しつつある。
「俺は地獄からお前を倒しにきた戦闘民族サイヤ人のラディッツだぁ!」
俺は名乗りながら超サイヤ人に変身した。
「ふ、サイヤ人と言うのは愚か者しかいないらしいな。虫のように湧く。この私との次元の差もわからんとは」
「行くぞぉ」
「暇つぶしに遊んでやろう」
「おりゃぁぁぁ!」
俺はそのまま仕掛ける。
拳打を蹴りを繰り出すも全て空を切る。
「どうした?遅すぎてハエでも止まるかと思ったぞ」
「くたばれぇぇ!」
両手から気攻砲を繰り出す。
ーードカン
その一撃は魔人ブウに直撃した。
しかし、手応えはほとんどなかった。
「埃でも飛ばしたのか?」
ブウは小馬鹿にしながら言ってきた。
……圧倒的な実力差、絶望的な状況。
本当にめちゃくちゃだよ。
「かは!」
「すまんすまん、あまりに鬱陶しかったからつい手を加えてしまった。……よかったしっかりと手加減できた」
全く反応できなかった。
しかも一撃だけなのにダメージは身体中に広がる。
すると、ブウは触覚で俺の首を吊し上げる。
「この程度で地獄からきた?……何か他に策はないのか?」
……化け物。
「気になってたんだが、上に浮かんでるあれはなんだ?」
「……なんのつもりだ?」
だが、ブウは俺を解放した。
そのまま後ろに下がり人差し指を上に刺して発言する。
「10秒何もしないでやろう。……あれが貴様の秘策なら試してみろ」
ああ……その舐めプがありがたい。
「10、9……ふ、逃走か、がっかりさせる」
10秒時間を数え始めたので俺はそのまま距離を空ける。
秒数は聞こえない。だが、今は少しでも距離を空ける。
もう準備はできていた。
ブウは相手を見下す習性がある。アニメでもそうだった。
圧倒的な自信を持っているからだ。
その賭けは当たった。
俺はそのまま逃げ続けながらも上空を見上げる。
そして、空に浮かぶパワーボールを……爆発させた。
「……か…ぐ…あ」
そのまま体に変化が生まれる。
体が巨大になっていく。金色の剛毛が生えてくる。
だが、自然と意識が飛ぶことはなかった。
大界王が言っていたことは正しかったようだ。
「うぉぉぉぉぉ!」
変身が終わり身体中から力がみなぎる。
体が大きくなりその辺にある岩山が小さく見える。
そのまま全身に気のバリアを貼る。
だが、変化はすぐにきた、徐々に体が小さくなる。
超サイヤ人4になるための条件。
サイヤ人の限界を超えること。
意識を保ったまま大猿になること。
「……貴様何をした?」
「律儀に待ってくれたのか……随分と良心的じゃないか」
体が縮み、元の俺の大きさに。
髪の色は黒色のままだ。
だが、胸元をのぞいて上半身には赤い体毛でうまっている。
「待たせたなぁ。貴様のおかげでなれたぜ」
ま、待ってくれなくても大猿になった時点で気のバリアを張っていたから対処できていたが。
「さぁ、第二ラウンドを始めようじゃねぇか」
超サイヤ人4に覚醒できた。
ドラゴンボールZのサイヤ人は皆尻尾を捨てていた。
超サイヤ人4になれるのは今や俺だけだろう。
「ぶ…ふはははは!姿が変わったからってなんだと言うんだ」
「今にわかるさ」
今はこの力を早く試したくてしょうがない。
戦いから生じる高揚感、今は長らく忘れていた超サイヤ人になった時の興奮。
俺は気を大きく込める。
「はぁぁぁぁぁ!」
気を上昇するにつれてブウから余裕が消えた。
俺は空中に左右上下に高速で動き、魔人ブウの背後に立つ。
「……どこだ!」
俺のことを見失ったブウに後ろから声をかける。
「どこを見ている……こっちだ」
「がは!」
振り向いた瞬間、本気の蹴りを喰らわす。
俺はそのまま背後に回り込んで上空へ蹴り飛ばす。
「ぐわぁぁ!」
蹴り上げたブウは上空へ。
だが、俺は追撃することなかった。
ブウは上空で勢いを殺し静止した。
これで自爆しようとしてもすぐに対処ができる。
すぐに消すことはできるが、可能ならば悟空たちが戻ってくるまで待ちたい。
このままではベジータが完全に消滅してしまうからだ。
「きさーー」
だが、何かを言おうとした瞬間魔人ブウは急に苦しみ出す。
……ああ、やっとか。
それから10秒ほど経つと背後から何者かが現れた。
そいつはよく見知った人物。
しかも周りには吸収されたはずの悟飯たちと何故か太っている魔人ブウまでいた。
「よう、カカロット……無事だったようだな」
「やっぱにいちゃんか!……なんつう気だ。オラ驚いたぞ!」
「き…貴様……ラディッツなのか……」
何故か悟空は俺の今の姿を見て喜び、反対にベジータは震え悔しがる表情をした。
「久しぶりだな……ベジータ」
そう挨拶すると何故か噛み締める表情をした。
だが、今は話している余裕はない。
「話は後だ……まずはあいつを仕留めるとしよう」
両手に気を集め、気攻砲を放った。
「ウィークエンド!」
俺の最強火力によりブウを消滅させた。
そのまま俺は元の姿に戻った。
こうして無事に魔人ブウを倒すことができた。
その後は俺はすぐにあの世に戻ることになる。
24時間の制限付きだったが、超サイヤ人4は力を使いすぎてしまうようだ。
戻ってから占いババにそのことを知らされて少し焦ったのは内緒だ。
地球ではドラゴンボールを使い魔人ブウにより壊された地球を元に戻し、死者は皆復活した。
俺はナメック星のポルンガにより地球に再び来ることができた。
復活すると周りには多くのZ戦士がいた。
皆驚き、身構える者もいた。
「俺は誇り高き戦闘民族サイヤ人のラディッツ、カカロットの実の兄に当たる」
初めましてと挨拶をした。
これからの人生は長い。
ゆっくりと親睦を深めればいい。
「さ!にいちゃんさっさとやろうぜ!」
「ラディッツ、今は貴様がナンバーワンだ。だが、すぐに超えてやる覚悟しやがれ」
悟空とベジータは好敵手を睨まれている。
その姿に呆れる一同、その光景を見て俺は皆と打ち解けることはそう難しくなさそうだと悟った。
〜完〜
最後まで読んでくださりありがとうございました。
補足説明です。
大界王は転生したことを事前に知っていた。
地獄でのラディッツの成長について。
魂だけになっても、成長したのはアニメドラゴンボールGTの悟空が地獄へフリーザとセルと戦うため行った時のシーンにより。
活動報告でも告知しましたが、人造人間編は7月を予定してます。
ただ、人造人間編からは基本アニメ沿いに進みますがほぼオリジナル展開になります。
もしかしたら好みが分かれるかもしれませんが、よろしければお読みいただけると幸いです。