KAMEN RIDER WISEMAN IN FAIRY TAIL 作:Gussan0
続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ジョゼが上げた手を、ワイズマンは見ていた。掌に集まる魔力が膨らむ。黒紫の光が、その指の間から漏れ出した。
「まずは、貴方からにしましょうか」
放たれた波動が、通路を埋めた。奏太は横へ跳ぶ。同時にハーメルケインガンを銃へ切り替え、引き金を引いた。銀色の銃弾が、ジョゼの肩へ向かう。
ジョゼは足を止めたまま、片手を動かした。銃弾が潰れる。その向こうで、男の笑みは変わっていなかった。
「……挨拶にしては、控えめですね」
「まだ始まったばかりだろ」
奏太が答えた瞬間、床を這っていた黒い影が立ち上がった。横からだ。
銃を戻す余裕はない。左腕で受け、身体を捻る。白い装甲へ衝撃が走り、足元の石が砕けた。
「ソウタ!」
エルザの剣が、伸びた影を断ち切る。奏太は片膝をつく前に踏み直した。腕は動く。だが、狙っていた位置から大きく押し出されていた。
正面の波動だけが攻撃ではなかった。避けた先にも、ジョゼの魔法は届いている。
「上も見ろ!」
グレイの声と共に、氷の壁がせり上がった。頭上から落ちてきた魔力が、その表面を叩く。ひびが走り、白い欠片が奏太の肩へ降り注いだ。
「助かった!」
「礼は後だ!」
グレイが手を合わせ直す。
「アイスメイク――槍騎兵!」
氷の槍が、ジョゼへ飛ぶ。エルフマンも前へ出た。獣の腕を床へ叩き込み、跳ね上がった石片ごと敵を狙う。
ジョゼの目が、二人へ向いた。
「何度やっても同じですよ」
黒紫の魔力が、氷の槍を呑み込んだ。エルフマンの足が止まる。踏み込んだ場所に現れた影が、右腕へ絡み付いていた。
「なっ……!」
「エルフマン!」
グレイが駆け寄ろうとする。ジョゼは、もう片方の手を開いた。
「デッドウェーブ」
床が鳴った。先程よりも広い波動が、二人をまとめて押し流す。
ワイズマンは右手をベルトへ翳した。
〖バリア! ナウ!〗
オレンジ色の壁が、グレイ達の前へ現れた。そこへ、黒紫の魔力がぶつかる。
「……っ!」
防御壁が軋んだ。奏太は腕を下げず、足を踏ん張る。二人が退くには、もう一瞬必要だった。
「下がれ!」
エルザが叫ぶ。グレイがエルフマンの肩を引き、その場を離れた。
次の瞬間、光の壁が砕けた。
残った波動に押され、奏太の身体が床を滑る。背中が柱へぶつかり、息が詰まった。遠くで、崩れた石の下へグレイの片腕が沈むのが見えた。
ジョゼは、ゆっくり手を下ろした。
「仲間を庇う。結構な事です」
男の足音が近付く。
「そうして一人ずつ動けなくなれば、私の手間も省けますからね」
奏太は銃剣を床へ突き、身体を起こした。まともに受け止めるには、出力が足りない。防ぐ場所を絞っても、ジョゼの方がその上から押し通してくる。
だが、今ので終わりにするつもりはなかった。
「……エルザ」
「分かっている。二人を頼む」
彼女が、前へ出た。光が身体を包む。白い翼と宙に浮かぶ剣が消え、黒い鎧が姿を現した。
「換装――黒羽の鎧!」
赤い髪を束ね、黒い翼を背に広げる。エルザの手には、一振りの剣が握られていた。
ジョゼの魔力が再び膨れる。その前に、彼女は床を蹴った。
正面へ向かうように見えた身体が、波動の縁を掠めて横へ抜ける。翼で姿勢を変えたエルザの剣が、ジョゼの首元へ走った。
「黒羽・月閃!」
交差する斬撃。ジョゼは上体を引き、最初の刃をかわした。続く剣が衣服の端を裂く。
エルザが足を着くよりも早く、男の手が伸びた。その手が、彼女の脚を掴む。
「速い。ですが――」
エルザの身体が、横へ振られた。
「届かなければ、意味がありません」
壁が砕ける。粉塵の中へ飛ばされたエルザは、翼を広げて身体を返した。足が床を擦り、剣の先が石へ細い線を刻む。
止まった。膝はつかない。
ジョゼが、目を細めた。
「本当に、ジュピターを受けた方ですか?」
エルザは顔を上げる。
「仲間が、ここへ戻してくれた」
背後で、ワイズマンが瓦礫をどかしていた。グレイの腕を引き出し、エルフマンを壁際へ移す。その右手に、指輪が光った。
「だから、今度は私が守る」
エルザが剣を構え直した。
「貴様の思い通りにはさせん」
ジョゼは、喉の奥で笑った。その笑いを聞きながら、奏太はグレイの腕へ手を当てる。
〖ヒール! ナウ!〗
暖かな光が、傷の上へ広がった。血が止まり、裂けた皮膚が塞がる。グレイは眉を寄せたまま、指を曲げた。
「……動く」
「エルフマン、こっちも」
続けて、獣の腕を解いた彼へ手を向ける。痛みに強張っていた肩が下がり、エルフマンが息を吐いた。
「すまねえ」
「まだ終わってない。立てるか?」
「ああ」
返事と共に、二人が立ち上がる。その向こうで、エルザの剣が黒紫の魔力を受け流した。石が飛び、通路の幅がまた広がる。
奏太は、敵から目を離さなかった。傷は治せる。だが、同じ攻撃を受け続ければ、また倒される。治療して前へ出すだけでは、ジョゼの動きを止められない。
「さっきの波動、真正面からは受けないでくれ」
グレイへ声を掛ける。
「分かってる。あいつの手が動く前に、横へ回る」
「俺はエルザの後ろを守る」
エルフマンが続けた。奏太は頷き、銃剣を握り直す。
それぞれが散る。ジョゼの笑みが、少しだけ深くなった。
◆◆◆
ガジルの指先が、鉄へ変わった。ルーシィはその刃を見たまま、壁に手をついていた。
立っているだけで、脇腹が痛む。男達が出口を塞いでいる。鍵に手を伸ばしても、ガジルが黙って見ているはずはない。
「威勢がいいな。まだ仲間が来ると思ってんのか?」
ガジルが近付く。ルーシィは、顔を上げた。
「……来るわ」
声が震えた。けれど、その言葉を取り消したくはなかった。
「私も、帰る。あんた達に何を言われても、あそこが私のギルドだから」
鉄の刃が止まる。
「そうかよ」
ガジルが、腕を引いた。ルーシィは息を呑む。身体を動かそうとして、足がもつれた。
その時、床の下で何かが鳴った。
ガジルが視線を落とす。石の隙間から、赤い光が漏れた。
轟音。
炎と共に、床が突き上がった。割れた石が宙へ舞う。その中から飛び出したナツの拳が、ガジルを捉えた。
鉄の身体が、奥の壁へ叩き付けられる。
「……ナツ?」
ルーシィが、名前を呼んだ。目の前に、桜色の髪があった。炎を纏った背中が、彼女とガジルの間に立っている。
「迎えに来たぞ」
ナツが振り返った。ルーシィを見て、その表情が変わる。頬の傷。衣服についた血。身体を支えようとして震える手。
「……あいつか」
低い声だった。
ルーシィが答える前に、青い影が側へ降りてきた。
「ルーシィ!」
「ハッピー……」
「もう大丈夫。ナツが来たから」
小さな手が、彼女の腕を支えた。ルーシィは何か言おうとした。助けてくれてありがとうと、言いたかった。
だが、先に息が詰まった。堪えていた涙が、頬を伝う。
「……ごめん……私……」
「謝るのは後だ」
ナツが言った。
「帰ってから、皆で話せばいい」
壁の向こうで、瓦礫が動いた。ガジルが立ち上がる。肩についた石を払い、ナツを睨んだ。
「またてめえか。今度こそ潰してやる」
ナツの拳に、炎が灯る。
「ハッピー。ルーシィを頼む」
「あい!」
翼が広がった。ルーシィが抱え上げられ、壁際から離れる。伸びた鉄の刃が追ったが、その間へナツが飛び込んだ。
炎を纏った腕で、刃を弾く。
「お前の相手は、俺だ!」
ガジルが、歯を見せた。その皮膚へ、鉄の鱗が浮かぶ。
ガジルが床を蹴る。鉄の拳と炎の拳が、二人の間でぶつかった。
衝撃に、ルーシィの髪が揺れた。ハッピーが高度を上げ、崩れた壁の陰へ彼女を運ぶ。
ルーシィは、そこでナツを見た。何度殴られても、自分の前では折れなかった背中。その拳が、今は自分を連れ戻すために振るわれている。
泣いてばかりでは、いられなかった。彼女は腰へ手を伸ばし、残っている鍵を確かめた。
◆◆◆
ハーメルケインガンの刃が、ジョゼの魔力を割った。斬り抜けた隙間へ、エルザが入る。
ジョゼの手が上がった。エルフマンが横から腕を振り下ろし、その進路を塞ぐ。男の足が、半歩だけ動いた。
「アイスメイク――床!」
足元に氷が広がる。グレイが作った薄い氷を、ジョゼが踏んだ。
姿勢が変わる。エルザの剣が、今度こそ胴へ届くはずだった。
だが、床から黒い腕が伸びた。刃が、その肩へ食い込む。
「シェイド……!」
エルザが歯を食いしばった。魔力で作られた兵が、ジョゼとの間に立っている。
奏太が銃剣を返し、その影を斬り払った。消えた霧の向こうで、ジョゼが掌をこちらへ向ける。
近すぎる。
奏太はエルザの肩を引き、自分も横へ倒れ込んだ。直後、頭があった位置を黒紫の光が通り抜ける。
グレイが氷の盾を作った。エルフマンは、その陰へ身を寄せる。
ジョゼの波動が通路を抉った。
四人は離れたまま、敵を見た。呼吸が、荒くなっている。対して、ジョゼには目立った傷がない。
「連携は悪くありません」
男が、衣服の裂けた端へ指を触れた。
「ですが、私を囲めば勝てると考えたのなら、少々浅はかでしたね」
グレイが拳を握る。エルフマンの獣の腕から、細かな血が滴っていた。
エルザは剣を下げない。その隣で、奏太が立ち上がった。
敵の手を塞いでも、床の影が動く。氷で姿勢を崩しても、自分と攻撃の間へ兵を作る。こちらが一つ隙を作る間に、ジョゼは二つも三つも手を打っていた。
出力だけではない。魔法を使う速さも、狙う場所も、巧い。
晴人との稽古を思い出す。銃剣の使い方を覚え、いくつもの魔法を扱えるようになった頃、奏太は一度、師匠へ続けざまに攻撃を仕掛けた事があった。
避けた所を狙い、そこから逃げる先へも魔法を置く。それでも、晴人には届かなかった。
どこでこちらが焦るのか。何を守ろうとして、動きを止めるのか。晴人は、それを見ていた。
目の前の男も、こちらを見ている。だが、隙を見付けた後に向けてくるものは、稽古の一撃ではなかった。
「ソウタ」
エルザの声で、意識が戻る。
「次は、私が前へ出る。貴様は横から狙え」
「……少し待ってくれ」
奏太は、ベルトの横へ左手を伸ばした。
右手の指輪を替えて、もう一つ魔法を重ねる。そのやり方では、同じ出力のまま、使う手段が増えるだけだった。
ジョゼの防御を破るには、一撃そのものを強くする必要がある。仲間を守るにも、受けて崩れる壁では足りない。
「ここから、使う力を変える」
取り出した指輪には、赤い魔法石が嵌まっていた。奏太はチェンジリングを外し、左手へ新しい指輪を通す。
エルザの目が、その石へ向いた。
「まだ、別の魔法があるのか」
「ああ。火の力を、もっと強く引き出せる」
炎へ力を寄せる。その力が強まる分、剣を振るう時も、魔力を放つ時も、届く範囲を見極めなければならない。
作った指輪は、稽古でも試した。魔力がどれだけ流れるのか。剣を振った時に、炎がどこまで伸びるのか。分かっているつもりだった。
それでも、ジョゼを相手に使うのは初めてだ。
「エルザ。横にいてくれ」
奏太が言う。
「俺の一撃だけでは、あいつを止め切れない」
彼女は、赤い石から仮面へ視線を戻した。
「分かった。合わせる」
短い答えだった。奏太は頷き、左手をドライバーへ翳す。
〖シャバドゥビ・タッチ・ヘンシ〜ン! シャバドゥビ・タッチ・ヘンシ〜ン!〗
待機音が、崩れた通路へ響く。ジョゼの笑みが止まった。
「……何を?」
赤い魔法陣が、ワイズマンの足元へ広がった。
〖ボルケーノ! ナウ!〗
火柱が、白い姿を包んだ。
グレイが腕で顔を庇う。エルフマンも、一歩退いた。石の床へ赤い光が走り、周囲の砂が熱を受けて乾いていく。
炎が晴れる。
そこに立っていたのは、同じ白い魔法使いだった。だが、仮面の魔法石は赤く輝き、胸と肩に走る装甲の縁も、炎の色へ変わっている。白いローブの裾を、立ち上る熱が揺らしていた。
左手の指輪から、魔力が流れ込む。奏太は銃剣を握り直した。
刃へ、炎が灯る。
「ワイズマン――ボルケーノ」
仮面の奥で、息を整える。指先まで満ちた力を、握った武器へ集めた。
ジョゼが片手を上げる。
「見た目が変わっただけで、私に勝てると?」
「そうかどうかは――」
奏太が踏み込んだ。炎が後ろへ流れる。
「受けてから言ってくれ!」
銃剣を振る。伸びた炎の刃が、ジョゼの前へ作られた黒い壁を叩いた。
最初の衝撃で、壁が歪む。奏太はそこで引かなかった。踏み込んだ足へ力を込め、刃を押し抜く。
黒紫の魔力が、左右へ裂けた。
ジョゼが、初めて大きく後退した。炎が衣服の端を掠め、その向こうの柱を焼く。
届いた。
だが、奏太は追撃を急がなかった。ジョゼの手が、床へ向いている。
「下だ!」
エルザが声を上げた。奏太の足元へ黒い影が伸びる。彼は銃剣を引き戻し、床へ向けて炎を叩き付けた。
影が焼き払われる。その隙に、エルザが横から走った。
ジョゼは腕を引き、彼女の剣を受けた。黒紫の光と刃が擦れ、鋭い音が響く。
奏太は、今度こそ一人で追わなかった。エルザが作った隙へ銃剣を向け、引き金を引く。
火球が飛んだ。ジョゼがもう一方の手を動かす。その防御へ火球がぶつかり、炎が通路を明るく照らした。
爆風の中から、エルザが退く。奏太も彼女に合わせ、足を止めた。
煙が薄れる。その奥に、ジョゼが立っていた。
片方の袖が焦げている。だが、男の腕は上がったままだった。
「……なるほど」
ジョゼが、焦げた布を払う。
「先程とは、確かに違う」
黒紫の魔力が、男の周囲へ広がった。床の隙間から、いくつもの影が立ち上がる。
炎で裂いた壁よりも、厚い。奏太は銃剣を握る指へ、力を込めた。
ボルケーノなら、攻撃は届く。それは分かった。
ここから勝ち切れるかは、まだ分からない。新しい力を得た事と、使いこなせる事は同じではなかった。
晴人なら、今の炎の中からもう一手を繋いでいたかもしれない。奏太には、その先が見えていなかった。
だから、隣を見る。エルザが、剣を構えていた。後ろではグレイが手を合わせ、エルフマンが足を踏み直している。
自分が作った隙を、繋いでくれる仲間がいた。
「……もう一度、合わせよう」
奏太の言葉に、エルザが頷く。
「ああ」
ジョゼが、両手を開いた。
「その炎ごと、消して差し上げましょう」
黒い軍勢が、床を蹴る。
ワイズマンの銃剣へ、赤い炎が立ち上がった。
エレメント変換出したかった。
ちょっとAI使ってみたけど、所々変ですね。
ちなみにボルケーノは火力が強くなりますはい。
では、また∠( ゚д゚)