位高ければ徳高きを要す   作:CATARINA

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とりあえず12話に当たるとこ
戦闘はあっさりめ。


暴を以て暴に易う

「ええい!羽虫のように!」

 

神威は苛立っていた。

地球の魔女らが持つ兵装の殆どはイザナギに大きなダメージを与える事は出来ない。

しかしそれはこちらも同じである。

機動力が高いガンダム達にアラサカの巨砲は中々当たらない。

 

ガトリングとミサイルの弾幕によりインファイトを拒めてこそいるが、弾切れの問題がある。

エネルギーの供給さえ解決すればデッドウェイト無く撃てるビームにやはり劣るのだ。

 

「これで最後の弾か……!」

 

残るミサイル全てを緑のガンダムへ、対艦ライフルを茶色のガンダムへ。

それぞれの最終弾を叩き込むもライフル弾はすんでのところで躱される。

異常な反応速度だ、まるでパイロットと機体が直結しているような……

 

『貰った!』

 

同時に強引にミサイルを突破したルブリス・ウルが肉薄する。

先程から幾度となく見受けられる無鉄砲な突撃。

装甲には自信があるようだ。

 

それは此方も同じだが……!

 

咄嗟に弾切れのライフルを盾とし、融解する一瞬でWRからバズーカを装備。

お互いの拳さえぶつかるような状態からの接射。

零距離で爆風を浴びる事となったが、結果として距離を取るのは成功した。

 

『パージします』

 

胸部装甲は残り三枚、右肩装甲は全て剥がれており、その他全身も十全ではない。

誰の目にも無駄死にだったテロリストの命は確かにイザナギの力を削いでいたのだ。

負けはせずとも、このままでは討ち取り損なうやもしれぬ。

 

それならいっそ、奥の手も出すしかあるまい。

 

『ガンダム、その緑の方。随分と装甲に自信があるようだな?

そのような戦い方はいずれ身を滅ぼすぞ。』

『うるさい!その前にアンタを殺せば良いでしょう!?』

『なるほど、賢く立ち回る気はさらさらないらしい。だが、嫌いじゃない。

このイザナギと同じ設計思想で作られた機体ということになる。』

 

理由もなく、行けると確信した。

わざわざ返答する程に正気が残っているのなら。

 

『だが、貴様の豆鉄砲ではこの装甲は抜けんよ。』

『なにを……』

『故に、チャンスを与えよう。この先、我は避けぬ。』

『は?』

 

食いついてこい。地球の魔女。

 

『お互い足を止め、撃ち合おうという事だ。より硬く、強い者が勝つ。単純だろう?』

『……そんな誘いに、乗るわけないでしょ?』

『ほう?まさか恐れていると、装甲の半分以上を失ったこのイザナギをか。

ガハハ、恥じる事はない。塵芥が如き貴様らは畏怖し、許しを乞うのが似合う故、な。』

『一々癪に触る事を……!やってやろうじゃないの!』

 

勇敢だな、そして、愚かだ。

 

『良かろう、お互い一つずつ数える。そして三つ数えると同時に射撃開始。異論は?』

『無い、さっさと始めなさい。』

 

近い。

二機の距離はおよそ5m。

高速で動き回るMSの戦闘に於いて異常な程近い。

 

『一つ。』

キャノン、ガトリング、バズーカ、グレネード。

撃てる武器全てを使う。念の為右腕を庇うように半身でだが。

『二つ……!』

対するはビームガトリング。恐らくはコクピットのみを狙うだろう。

装甲は半分未満、程よいハンデだ。

 

 

 

 

 

『『三ッ!!!』』

 

閃光が奔った。

出力の高いビーム弾は機体に着弾するより早く榴弾とかち合い、起爆。

イザナギにはかち合わなかったビームが。

ルブリス・ウルにはガトリング弾と腰グレネードが。

そしてバズーカとキャノンの爆風がそれぞれに突き刺さる。

 

重量級の削り合い。

両者全く怯むことなく機体を破壊していく。

『パージします。』

装甲が一枚溶けた。ルブリス・ウルが更に近付いて。

『パージします。』

更に一枚、最早回転する銃身を我が機に押し当てるように。

最早お互いの全ての攻撃が機体を砕く距離。

 

それで良い。

この距離が欲しかったのだ。

拮抗したこの瞬間だからこそ、意味がある。

 

『テロリストにしては良い武器だ。我が装甲を貫く出力も。

よく手入れも為されている、整備士の腕が良い証だ。

地球ならともかく宇宙なら悪くない……』

 

武器を握り直し、褒め称える。

実際、彼自身光学兵器は使わずとも、仇という訳では無い。

結局のところは殺せるのならそれは良い武器だ。

絶対の条件だが、他は極論どうでも良い。

 

作れないから、使わない。

ノウハウが無い、運用方法も分からない。

 

最後の装甲が剥き出しになり、ビームに当てられて赤熱する。

攻撃一辺倒の凶暴な猛攻だった。

 

故に、回避に徹する冷静さ。

反撃を恐れる臆病さ。

そして何より経験が足りなかった。

一方的な殺戮は幾度となくこなしたのだろうが、戦争を知らない。

 

『墜ちろ!』

 

敵の視点は被弾している胸に集中している。

だからこそ、良く効く。

こうも騙されるのだ。

 

『このテの武器は使い慣れていないのだがなッ!!!』

 

右手に隠した武器を展開する。

長く、光り輝く槍は穂先で三つに分かれて破壊力を底上げして。

ビームミツマタ。

十数分前まで友軍の精鋭に握られていた槍がルブリス・ウルの左頬を貫く。

 

日本生まれの荒坂重工、リバースエンジニアリングはお手の物。

少なくとも市販されている兵器なら御三家のモノさえ火器管制装置はハッキング可能。

そうとも知らず、近距離の決め手が無いと油断して不用意に近寄り過ぎた。

ソフィ・プロネが気が付いた時にはあまりに遅く、暗転したカメラが敗北を知らせるのだった。

 

 

 

 

目を奪った以上、次はコクピットを……!返す手で袈裟懸けにルブリス・ウルを切り付ける。

その直前に狙撃を食らい、装甲の剥げた右肩部から下を千切り飛ばされた。

 

スレッタと戦いながら此方を狙うとは、良い腕だ。

別に腕と腕前をかけたわけではないが。

 

『ソフィ!時間、逃げるよ!』

『たかがメインカメラをやられたくらいで!』

 

不利と見れば直ぐに撤収か、とんだ腰抜けの集まりだな。

まぁ、所詮犯罪者集団。咎めはすまい。

 

『こんな汚い手を使っておいて……!!!』

『どこまで愚かなのだ貴様らは、決闘気取りか?

これは戦争だぞ?そして俺は嘘の一切無く述べた、だが三叉槍を使わぬとも言っておらん。

そもそも何故この我が貴様らと対等な決闘なぞせねばならぬ。図に乗るな。』

 

ビームミツマタ、本当に良い武器だ。

 

リーチ良し、威力良し、燃費もそう悪くない。

この手の武器は使い慣れていないが、それでも使いやすい。

 

『それと我だけに構っていて平気なのか?お前達の死が迫っているぞ。』

 

エアリアルからの射撃、否。もはやそれは砲撃。

改修型エアリアルの切り札は直撃こそせず、機体の足を掠めるばかりだが、十分。

それだけで表面がじんわりと歪んだ。

 

決闘用の規格でこの威力とは、凄まじいな。

しかながらし肝心の地球の魔女が居ない。

どうやら先程の閃光に紛れて逃れたか。

 

『パージします』

 

殆ど弾切れだ、腕まで持っていかれて……

逃げられた上に高くついた、こんな酷い話もそうない。

とはいえ目的は、ミオリネの保護である。

『スレッタ、お前のセンサーでミオリネは捉えられるか……?』

『えっ……と、多分もっと近付けば何とか。』

『なら其方は任せた、我は救援に来た艦隊に状況説明をしてくる。

敵機と誤認されて諸共撃たれてはたまったものではない。』

 

砕けたデブリの破片、その中でも十分大きいモノを蹴って方向転換、加速。

やはりAMBACは苦手だ……宇宙に於いて人型であるメリットの一つなのだがな。

結局、人類は重力に引かれねば。特に地球の元でしか生きられぬと痛感せざるを得まい。

 

旋回性はともかく、加速力なら十分な我が機なら辿り着くのは容易い事よ。

 

 

『未確認機体へ告ぐ、未確認へ告ぐ。今すぐ武装を解除しなさい。繰り返す……』

『誰に口を聞いているのだ貴様らは、我は荒坂神威。テロリストより学友を守るために戦闘を行った。』

『荒坂……アラサカといえば地球の企業か?』

『如何にも。同様に我が友が駆るエアリアルも正当な防衛の為に戦闘行為をした。』

『一先ず、話を信用しましょう。被害状況、特に総帥の情報はございますか?』

『一切無い……無いが、居るとしたらご令嬢と一緒だと推察する。我が友がすでに捜索中だ。』

『MS部隊、先行!一刻も早く救援に!』

 

此方を警戒していた無数のMS達が散開し、一斉にコロニーへと向かう。

多少なり残党が居たとしてあれだけ居れば問題あるまい。

 

『艦船ならばアンチジャミング装置くらいあるだろう?一帯のジャミング機雷を頼む。』

『承知した……それとその機体だが……』

まぁ、言われるだろうなとは思った。

俺とて宇宙の条約程度把握している、実弾兵器の使用禁止だろう?

『緊急避難だ、許されよ。』

『しかしだな、前々から実弾兵器の痕跡が見つかる事が何度か……』

『緊急避難だ。我がそう判断した。』

『荒坂印の艦も観測されて……』

『緊急避難!』

 

ええいしつこい奴らだ。

そんなモノ思い当たる節しかない(皆目見当もつかない)ぞ。

 

追求を振り切って再度コロニー側へと加速。

スレッタの場所は俺だけが検知している、ならそこにミオリネも居るはず。

 

『社長、そろそろ特殊装備が届きますが……』

『遅い!もう逃げられたぞ!』

せっかくの実戦テストの機会を失うし散々である。

 

 

低重力エリアとは、わざわざこんな所に居るとは。

さて、エアリアルは見えた、ミオリネ達は……

 

『やめな、さい!』

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………おお。

なんというか、難しいのだが。

そうか。

お前は完全に、こちら側に来てしまったのだな。

 

機体を膝立ちに固定し、コクピットを開いて降りる。

酸素はあるようだからヘルメットは不要。

同様に降り立ったスレッタが血溜まりの中で転倒し、苦笑い。

そして血塗れの手をミオリネに差し出した。

 

何をしているのだ我が友よ……流石の俺も相当な緊急時でもなくばやらないぞ。

 

二人の声はギリギリ鮮明に聞こえないが、唇を見ればまぁ分かる。

「人殺し」か。

 

 

ああ、なるほど。

 

 

 

「ミオリネ・レンブラン!」

怪我はしない程度に、しかしある程度目が覚めるように頬を張る。

「スレッタ・マーキュリー!」

「へ?」

スレッタにも同様に。

 

「な、な、なんでぶつんですか!」

「自分で気付け!友を殴るのは俺とて辛い!

そして揉めている場合じゃない事にも気付け愚か者共!」

 

言いたいことは沢山ある。

やりたいこと、教えたい事も。

だがそれにはあまりに時間が足りなかった。

 




ビームミツマタ……NTRされたF仕様ディランザの遺品。

社長……手を洗うんだよ!血飛沫がミオリネにかかっとるし!
ミオリネ……フレッシュトマト味。人殺し共に囲まれてる可哀想な人。
たぬき……ぶたれた(´・ω・`)

とりあえず二期の分はある程度放映してから書くつもりなので閑話とか多少挟んでお茶を濁そうと思います。
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