この作品だと初めて特殊タグ有。あんま入れると見にくいからね。
『背部サブアームスロットオフライン』
『肩部装甲消耗2%、胸部装甲消耗67%』
『腰部装甲、脚部装甲共に消耗率50%を超過』
『ジェネレーター出力低下、プロペラントタンク破損により尚低下中』
『機体大破と断定、速やかに退避して下さい』
強靭な装甲を持ってして、全身の装甲を破壊される掃射だった。
全身を悪意の嵐に晒され、あらゆる機能が悲鳴を上げる。
衝撃力により膝を付き、弐号機は沈黙した。
『おい……!動け、動けよカムイ!次が来るぞ!』
『そして次で終わりです。アーシアンなのに貴方達はスペーシアンと馴れ合う。
それどころか__その男はアーシアンでありながら誰よりもアーシアンを苦しめる。』
『だから殺すのか!?それじゃ、それじゃあ何も変わらないだろうが!』
『恵まれた貴女が、何を言うんです!!!』
そこにはアーシアンの、彼女たちの憎悪が詰まっていた。
終わる事のない戦乱、失われる生命。
寝る場所も、明日の食事の保証さえないこの世の地獄。
事実としてその災禍を生んだのはスペーシアン達、そしてアーシアンの代表といえる彼の祖。
ある意味、この怒りは正当なモノと言えた。
抜け出す為にその身を刻み、ガンダムの呪いを受けた彼女達にはその権利があった。
『……だから言っただろう。
惜しむらくはそんな軽薄な憎悪も、青臭い正義感も既に意味を成さない事のみ。
彼は既に
『我が荒坂重工、百五十年。前身を含めれば更に長く、家名を辿ればその起こりは六百年を超える。刀剣や槍、火縄銃を鍛える鍛治職人から始まったと伝え聞くに荒坂はつまり、人殺しの家系に相違無い。その名を継ぎ、社の七代目を襲名したあの日からそんな事は理解しているのだ。』
『プロペラントタンク、パージ。ジェネレーター再出力。
リミッター破損、出力176%、尚も上昇中。危険、危険、直ちに退避して下さい』
『再起動……!?』
「チュアチェリー、下がっていろよ。装甲を外せ、ひとつ残らず。」
『胸部、腰部、背部、その他装甲パージ。腕部、脚部を除き機体剛性大きく低下、極めて危険』
破損したタンクを外し、残ったエネルギーを限界以上に昂らせる。
装甲もほぼ全てを排除。半ば剥き出しのフレームには例えバルカン砲さえ致命打になるほど。
それどころか自らの加速に耐え切れるか否か、その臨界点でさえある。
『認めよう、地球の魔女。貴様は我よりも強いのだろうな。
だが、機体の性能には圧倒的な差がある。之は我が社員達の叡智の結晶ならば。』
肩部に装着していたシールドを取り外す。
L字型に湾曲したシールドはあたかもこの運用を想定していたようにMSの拳に馴染む。
全身が鎧に包まれたこの機体の中でも特に強靭な装甲を持つ肩部スパイクシールド。
硬いという事は、そのまま威力に直結する。
「実戦仕様とはいえここまで強いのは想定外であった……だが、
これはスレッタ・マーキュリーを想定した武装だ、光栄だろう?」
対複数戦用のヒートホーク四振り。
対グエル・ジェターク用の太刀。
そしてこれは
『機体も兵装も我が躰だ。それでも足りないなら……全霊を注ぐ他あるまい。
さて、改めて相手になろう、愛しき強敵、ノレア・デュノク。』
『……!』
『強き者に敬意を評して、ここでお前を記憶のモノとしてやろう。
AR-02-P、名を
荒坂重工七代目としてその想い、しかと受け止め……お前を殺すぞ。』
その言葉の次に、紅き機体は踏み込んだと思われる。
思われる__というのも、結果を見てそう断ずるしかなかったからだ。
ガンヴォルヴァ一機の胸に二発、一拍於いて頭部を殴り潰す。
ブースターを逆噴射し、残心の構えのまま他のガンヴォルブを正面に。
左刻み突き、右逆鈎突き、諸手突き。左猿臂、裏拳、回し蹴り。
見るものが見ればその動きに確かな武が宿っている事が分かるだろう。
一撃でも有効打さえ入れば即機体が破壊される極限。
その極地こそがこの異常な反応速度と滑らかな動きを可能としている。
死角からの攻撃に、時にガンヴォルヴァを盾にし、時にスパイクシールドでいなす。
およそ数十秒、全てのガンヴォルヴァが沈黙した。
『さてと、これで一対一だが……』
『ッ……!』
『おっと、まるで狂犬だな。』
生半可な射撃は躱されると判断し、ノレアはサーベルを抜いて肉薄。
それをシールドを交差して受け止めて神威は続ける。
『やはり良い腕だ……殺すと言ったが、あまりに惜しいな。一つどうだ?相方共々俺の元に……』
『煩い……!』
一度刃を引き、刺突の構え。
狙いは当然コクピットのある胸部。故に防御は容易い。
シールドの面を当てるように廻し受けをし、ルブリスソーンの腹に拳を軽く当てる。
『一度落ち着くのだな!』
『あっ……!』
『扮ッ!!!』
拳を当てた体勢から機体質量全てを搭載した発勁。
破壊力よりも衝撃による打撃力に重きを置いた一撃がソーン吹き飛ばす。
体勢を立て直す事が出来ず転がり、這いつくばって止まるのがやっとであった。
『……やはりと言うべきか、本来貴様らは二機ひと組での運用を前提としているな。
そしてお前は後方支援型。我が普段良く乗る機体同様、一対一には向かぬ。
勝てぬよ、お前も、あの娘もな。これが最後だ、下れ。』
『一体、どの口がそんな……』
『お前達の戦う動機は、スペーシアンへの憎悪。或いは__』
『欲しいモノがあるからだよ!』
『お腹いっぱいのご飯、ふかふかの寝床、温かいシャワー、まだまだあるよ。』
『コミック、ゲーム、それと……私を好きでいてくれる家族!!!』
オープン回線から通信が漏れ聞こえる。
どうやらあちらもかなり動きがあったようだ。
『欲望、か。実に人間らしい。単純明快で好ましい答えだ。
恵まれぬ生まれを覆す為に暴力を用いて全てを破壊する!実に楽しかろうな!ガハハハハ!』
『一体どの口が……!私たちがそうせざるを得なかったのは!』
『選んだのは貴様だろう。何を言っている。』
『ッ……!』
さて、と。
本当に、これが最後のチャンスになるだろう。
洗脳紛いの事はしたくはないのだが……そうでも無くば殺すしかなくなる。
悪いが、死ぬより苦しい思いをする覚悟をしてもらわねばな。
『ガンダムは暴力マシン、お前達はそう言ったそうだな。
それは正しい。何処まで行ってもかの技術の本質には兵器としての影がある。
だが、だがな。地球の魔女よ……お前達もそれに乗っている事を忘れてないか?』
『何が言いたいのですか……?』
『スペーシアン、そして我が社は圧倒的な暴力を以て民草を虐げた。お前はそう言う!
ならばガンダム!それも実戦仕様のMSで決闘参加者を蹂躙したお前達と、何が違う!?』
『!!!』
『力による支配に叛逆する為力を用いる!それが人間の本性、人間の業そのものよ!
アーシアンの大義?復讐心?嘘を言うでないわ愚か者がァ!!!』
事実を突き付けて、心を砕く。
気分の良いモノではないが。
『貴様らは、この我と同類よ。』
『……止めて下さい。』
『力無き弱者を蹂躙する快楽!』
『止めて、ください!』
『圧倒的な暴力の満足感!』
『やめろッ!』
『ああ分かるぞ!分かるとも!この場に於いて我が!我だけが理解出来る!』
『貴様らは、殺戮を楽しんでいるのだ!その時点で、復讐も、大義も、後付けだろう!?』
『………!!!』
根っこのところで、既に彼女らは殺戮の快楽に堕ちている。
どうしようも無いほど、堕落している。
『確かに、恨みや大義も、偽りではない。しかしあの娘を見れば分かる。
自らの欲望を暴力でもって押し通す事に、お前らは馴染み過ぎたのだ。』
『そんなの……勝手に……』
『そうでも無くばかように幼き女子にGAND手術などせまい。
貴様らは捨て駒、鉄砲玉として見限られているのだ。心当たりは無いか?』
『真に大義の為というならお前らの組織全員がGAND手術をしているだろう?
だが現実に、生命を削るのお前らだけ。後方で死ぬのを眺めているのだ。』
『それは』
『それは、何だ?事実だろう。お前と相方は良いだろうが、それとしてもだ。』
既に自らは捨て駒だと気付いているのではないか?
また、これだ。
先程から時折感じるこの威圧感。
心の隙間に入り込まれ、脳を掻き乱す様な言葉の数々。
響く。
声が、音が、頭の中、脳で反響し、増幅し、何度も、何度も何度も。
見えるぞ、隣人、戦友、家族が、お前に武器を向けている姿が。
うるさい
お前は本当に誰かに必要とされているのか?
煩い
お前を嗤う者は居なかったか?お前を疎む人間は居なかったのか?
煩い、煩い煩い煩い煩い煩い煩い、煩い煩い煩いうるさいうるさい煩い煩いうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい煩い、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい煩いうるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
ひびく
あたまのなか
こえ
とまらない
本当に!お前を殺そうとしている者は!怨む者は!居ないのか!?
たすけ
「……久しぶりに使ったが。」
まぁしっかり入ったな。
反応は無いが、反応が無いことが成功の証とも言える。
心の隙間に入り込み、不安や恐怖心を急速に増幅させて精神を崩壊させる話術。
我の場合、異様な検知能力が備わっている故、それを伝染させる等得意なのだが……
とはいえこれではただ発狂させただけである。
目的はそこではない、最後の一押しをしてやろう。
『我の元へ来い。』
『……』
『我が肯定しよう、その恨み、その殺戮衝動。』
『我が与えよう、満腹の食事、暖かい寝床、シャワーにあらゆる娯楽、当然家族さえも、な。』
『我が命じよう、その生命を最も上手く使ってやる。従え、ノレア・デュノク。』
『うがぁああぁああああ!?!?!?』
「「!!!」」
この悲鳴は……向こうの魔女か?
確か名前は『ソフィ!』そうだ、ソフィ。ソフィ・プロネか。
……相方の窮地で正気に戻るとは、テロリストにしては美しい友情だ。
『待ってて、今そっちに……』
『無理だ、諦めるのだな。』
『パワーが出ない……!?』
誰の拳を食らったと思ってる。
衝撃力だけで機体にダメージはそこそこ入る上、勁が抜けるのは打点の真後ろ、ブースターはまともに動くまい。
だからこそ、此方は要求を通せるのだが。
『相方を救いたいか?ノレア・デュノク。』
『さっさとどいて下さい、早く、早く助けに行かないと……!』
『無理だ無理、その機体では絶対にな。だが幸い、此処に我がいる。
そしてこの機体の出力は最上級、例えば
限界超えの出力に、パージした装甲で更に加速力は上がっているからな。
『そこで、だ_____』
『スレッタ…あんたじゃない!私が、欲しかったのは……』
ソフィは薄れゆく意識の中で手を伸ばす。
データストームにその身を焼かれながら確かに見たのだ、赤毛の少女を。
スレッタ・マーキュリーではない、本当に欲しかったモノ、それが。
『もっと上手く飛べないんですか!?』
『人をロケットブースター扱いして良く言うわ!』
『貴方、本ッ当に宇宙だと役に立ちませんね!』
学園コロニーから閃光を伴い、二機のMSが飛び込む。
『エアリアル……蒼い?ありゃ確かグラスレーと戦った時の、否、それとも違うな?』
『御託は良いんです……!私はソフィを、貴方はそちらのガンダムを止めて下さい。』
無理を言う……そもそもこの機体は地上前提であって、空間戦闘は不得手なのだが。
だがやるしかないか。未来の我が社員同士、殺し合わせるワケには行かぬ。
エアリアルから放出される光に包まれ……瞬間、大量の情報がなだれ込む。
「うおッ……!!!こりゃ……流石にクるモノがあるぞ!スレッタ!」
脳が弾け飛びそうだ、長居は出来ない。
即座に判断した神威はブーストを吹かしながらジャックされたガンヴォルヴァ一機を殴り潰し、
それを踏み台に方向転換、加速。
両脚を揃えたドロップキックの体勢でもう一機を蹴ると同時にスパイク。
壱号機同様機体固定用に装備された足裏の棘で打撃力を増加させて撃破した。
そしてエアリアルの眼前にたどり着く。
『フゥー……ッ!聞こえ、るか、我が友!』
『か、カムイさん!苦しそう、で!止め方分からなくて!』
制御も出来ていないのか。
尚更、エアリアルの謎が深まったが、そんな場合ではない。
『悪い……我も余裕がない。後で弁明はする故、許せよ!』
『えっ』
強力な回し蹴りがエアリアルに命中し、学園コロニーの方向へぶっ飛ばされる。
同時に伴ったビットらもエアリアルに追従した為に蒼光は無くなった。
『あ"あ"〜脳に響くぜ……そっちはどうだ?』
『生きてる……生きてるけど!』
意識が無いか。まぁ瀕死なのは仕方あるまい。
『もう着いてるだろう?さっさと収容してくれ。』
『了解っす、そっちのガンダム二機もっすか?』
『若旦那が助けてたんだ、さっさとやんな!』
アクティブ・カモ。
光学迷彩を解き、直ぐ近くに巨大な艦船が現れる。
荒坂重工が誇る宇宙母艦の一つだ。
『重傷者1名、軽傷者1名、あと俺は脳に来てる。二人を医務室に、俺も、少し寝る……』
『承知!』
さてと、生きるも八卦死ぬも八卦。そんなところか?
ウチの技術で助からなきゃそれまでだからな。
医務室に担ぎ込まれる二人を見送り、専用の仮眠室にたどり着いた俺も、正直限界だ。
アンチGAND技術と言わんばかりのエアリアルのあれ。
一体どういう……ああくそ。
まだ思考欲が収まらぬというのに、意識は素直に落ちていくのだ。
「運が良かったなぁ、ソフィ……ソフィ………」
「ソフィ・プロネ。」
「そう!それだ、ソフィ・プロネ。幸いな事に地球に着くまでに起き上がれるだろうとの事だ。」
「なんでよりにもよってコイツに……」
「不満か?しかし相方を責めるのは筋違いというものだ。事実として我が庇護下に無くば二人とも死ぬしか無かったのだからな。お前を生かすために選択したノレアは、正しい。」
「……」
「それに、コレはこっちにもリスクがある……というかウチのリスクのが大きい。
何せテロリストを匿ってるんだからな、バレたらそれこそ第二次ドローン戦争よ。」
そのリスクを見越してでも、この二人を引き込む価値があると判断したのだがな。
相方が意識を取り戻した事に、安堵の表情を見せるノレア。
反対に、恨んでいたはずのアラサカに庇護されて不満げなソフィ。
「そう睨むでない……少なくとも、悪いようにはせぬ。社員にはなってもらうが。」
「それが保護の条件なら、仕方ありません。」
「ウチの社員になったからには不自由は無いさ、欲しいモノは全て与えてやろう。
当然、いずれ思う存分スペーシアンを殺させてもやる。だから睨むなというのに。
満腹の食事、暖かい寝床、シャワーにあらゆる娯楽……何でも、な。」
そういえば、他に何か言っていたような。
何だったか?家族、だったか?
「家族……養父母を探す……というのも、違うのだろうな。お前達の場合。」
そもそも、その場合流石に俺の裁量だけで与えられるモノでもない。
その養父母になりえる者も我が社員なのだから当然だが。
うーむ。
あ。
「お前達、年齢は?随分と発育は悪いが……」
「誰のせいだと……私は14、ソフィは13です。」
「なるほど。」
一応……ギリギリか?
俺の裁量で与えると言った以上、他に手も無いのだが。
しかしなぁ……
「一度言葉にした以上、嘘も偽りも不誠実というものか……」
「なんですか急に。」
「地球の魔女、新たなる我が部下よ。俺は言った、お前らに何でも与えると。
我が家の家訓『位高ければ徳高きを要す』に則れば、それは我が権利、我が義務。
古人に曰く、『人を従えたくば自らの全てを与えよ』という言葉もある。」
「回りくどいなー、何が言いたいのさ。」
「お前達から全てを差し出させた以上、俺も全てをくれてやる必要がある、という事だ。
回りくどい言い方を、一々するのは、俺も性に合わん。簡潔に言う。」
後で親父達に色々言われるだろうが……まぁ良い。
「ソフィ・プロネ。ノレア・デュノク。この俺の、荒坂神威の、妻になれ。地球の魔女よ。」
「「………………え?」」
弐号機『伊邪那美』《黄泉津大神》
第三形態、シュツルムガルスモード。あっちと違って普通にスラは吹ける。
社長……家族を与えるってよく考えたら分からんな……せや!
賢い馬鹿なので思考の飛躍が凄まじい。
地球魔女s……生存ルートに入った。代償として1m弱身長差のある化け物から求婚される。
影……この様子を撮影して社内に流出させた、愉快犯。
ビリビリ太字……メタルギアOPSのジーンのESP能力みたいな奴、ガンダムで近いのは劣化版サイコブッダ。食らう度に精神抵抗でダイスを振り、失敗する度に状態が恐慌→発狂→洗脳で状態が悪化する。NTの賜物だな……