位高ければ徳高きを要す   作:CATARINA

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天網恢恢疎にして漏らさず

簡単に言うならお天道様は見ているぞ!みたいな意味。
社長の諜報の前に隠し事は無意味なのだ。

09:01に間違えて修正前のを投稿してるけど見なかった事にして欲しい……
後書きとか書いてる途中で投げちゃった。


天網恢恢疎にして漏らさず

「……………」

『どうしたんです今更神妙な顔をして。』

「誰のせいだと思ってるのだ!」

『遅かれ早かれ手は出すんですから。早い方が楽でしょう?』

「他人事だから気楽だな………」

「実際他人事ですし。楯無と八龍があっさり私を売った事だけは想定外でしたが。

お陰で酷い目に逢いましたよまったく。」

 

やれやれと腹が立つ仕草で首を振るカモイ。どう考えても自業自得なのだが……

 

あの後、気が付いたら二日も経過していた。

俺の貴重な時間が二日もである。

ただ寝ていただけなら無駄にしただけでまだ良かった。

良かったのだが……目覚めてすぐ現実と直面する事となり、頭を抱える事となる。

 

虫の息な魔女二人をどうにか担ぎ、ベッドで休ませた。

本当に運良く……ギリギリのところで命に別状は無かったらしい。

その後一日、溜まった業務をこなしつつ二人の目覚めを待つ事となった。

一週間が経過してしまった為、そろそろ復学しなけれはならないのだが……

 

『まぁそっちは私が変わりに行っておきますよ。普段長い休暇とか取らないんですからお休みを。

それに……あの二人に聞きたいこともあるでしょう?鹵獲したガンダムも弄りたいと。』

 

小憎たらしい奴だが、流石は我が半身といったところか。

見事に俺の思惑を見抜いている。

 

「暫く頼む……学園に着いたらニカ・ナナウラを捜索しておいてくれ。」

『あのメカニックを?何故?』

「行方知らず、だそうだ。諜報員によるとあのテロ組織に在籍していたとか。」

『ならば見つけ次第殺害しろと?それなら私より適任が居そうですが……』

「そんなことは言ってなかろう。どうにか保護してやってくれ。

学園に於ける我が機体はニカに一任しているのだ。手放すワケにはいかぬ。

それに将来は俺の専属のメカニックとして働いて貰うのだからな。」

『任務了解、それでは私は学園へ参りましょう。』

 

変わるものだ。カモイは素直にそう感じた。

地球の魔女らの事もそう。

昔の、学園へ通う前の彼ならここまで執着する事も無かったろう。

どんなに優秀で素晴らしい人材であれ、態々テロリストなどを引き込む事は無かった。

 

元より、身内には甘いお人である。

両親に、妹ら。側近から末端までの社員、そしてこの私。

社にとって、あの人の存在は無くてはならないモノだ。

彼自身それを理解している。

理解していても、動いてしまう。

自らの命の価値を理解して尚、守ろうとする。

 

現在生還して帰還中と分かっていても尚、報告を聞いた時は背筋が凍った。

チュアチェリー・パンランチを守り、実戦仕様の弾幕に身を晒した。

スレッタ・マーキュリーを庇い、生身で銃弾を受け止めた。

その程度では死なぬ。あまりに強靭な肉体だ。

それでも、並大抵の者ならば恐怖が勝る。

並の支配者ならば自らの価値を認め、見捨てるのが殆どだろう。

彼にとって既に、地球寮の友人らは身内ということだ。

 

『臣下が見るのは常に王の背よ。故に誰よりも前へ、誰よりも先に立つのだ。

さすればその後ろには自ずと魅せられた者共が続くのだ。』

 

身内への甘さを誤魔化す言葉に過ぎない。

甘さ……というが、それこそが彼の美徳なのだろう。

傲慢で、尊大で、図々しく、自尊心の塊の様な人間だ。

だかしかし、時に臣下と共に泣き、怒り、笑う。

外敵に対する激しい攻撃性と身内への慈愛が両立している。

そういう所なのだ。

皆、そういう所に絆されてしまう。

 

それはまるで父のよう、或いは兄のようで、弟でもある。

誰かからすれば時に彼は夫であり、息子であり、孫のようであった。

 

皆、夢中になってしまう。

彼が振りまく愛を受けた者は皆、命懸けで返礼してしまう。

彼からの信頼に報いる為なら何もかも惜しむ事は無い。

何故なら彼が前に居るから。応えられぬなら死ぬ方がマシだと。

本人の自己認識を曰く、王であり、神であると。

神として無償の愛を振りまき、外敵を討ち滅ぼす。

王として皆の親愛を受け、統治する。

 

そう考えれば納得出来るのだ。

事実としてこの私も、あの姿にやられてしまっている。

それも、恐らくは誰よりも早くに。

 

それを私は密かに誇らしく思っている。

 

 

 

 

 

 


 

「ん……?」

目が覚める。

身体が痛い。というか、まったく動きそうにない。

ガンダムに乗った時のダメージにさえ匹敵する程……

しかし、不思議と嫌悪感はない。

何故か爽やかな倦怠感と筋肉痛、と言うべきか。

 

ベッドはふかふかで暖かく、気を抜いたら二度寝の欲求に負けてしまいそう。

横を見れば、同じくGUNDの呪いを受けた相方。

その寝顔は年相応といえるが、初めて見る穏やかさ。

 

そうか。

二人で生きる為に、私たちは全部を捨てて……

少なくとも、今生きているのだ。

 

良かった。

安堵と共に再び睡魔が襲い来る。

今はただ眠りたかった。

 

「やっと起きたか……一時危篤まで陥ったと聞いて流石に焦ったが。」

 

……ああそうか、確か私たちはこの男に助けられて。

この男に……あれ?

 

意識を手放そうとした瞬間、失われた記憶が急激に繋ぎ合わさっていく。

確かあの時、急に甘ったるい匂いがして……

息苦しくて、辛くて、それで私は……

私は……

 

全て思い出した。

 

 

「……忘れろォ!!!!!」

「ぐおぉ!?!?!?」

 

寝転んだ体制から繰り出されたとは思えない鋭さの蹴りが、男の顔を蹴り穿った。

 

 


 

 

「すぐに手が出る癖、直した方が良いぞ。」

「うるさい!死ね!」

 

目覚めそうだと聞いたので見舞いに来たのにいきなり蹴られたのだが。

顔面が陥没する癖がついてしまっているような気がする。

二、三分で治るし後を引く後遺症も特に無いとはいえ気にはなるな……

何より前が見えないのは流石に不便だ。

 

「照れ隠しやめなよノレア。」

「違うから!断じて違う!」

「起きた事はもう仕方ないじゃん?」

「意外というかこの中だとお前が一番達観してるのだな。」

 

昨日まで瀕死だったとは思えない元気さである。

ある意味一安心と言うべきか?

 

「だって責任取ってくれるんでしょ?だ、ん、な、さ、ま♡」

「むず痒くなる言い方をするでない……二人養うくらい問題無いのは事実だが。」

「ソフィ……あぁ、もういいです!私だけ馬鹿みたいじゃないですか。」

 

確かに遅かれ早かれではあったが。

凄まじい割り切り方だな。嫌いでは無い。

 

「ともかく、お前たちは俺の妻であると同時に社員でもある。動けなくとも仕事はある。

一先ずはエアリアルのことを聞きたい。ソフィ、実際戦ってみてどうだった?」

「どうって言われても……」

「なんでも良い、思った事を言ってくれ。」

「うーん……」

「……まぁ考えてれば良い。客観的に見て、確証持って言える事もある。

あの状態のエアリアルは他者のパーメットスコアを上げられる、という事だな。」

 

実際二人は死にかけ……直接GUND手術をしてない俺さえ脳にダメージが来た。

 

「ピンポイントにメタを張った能力……言わばガンダム殺しか。」

「いや……アレは多分、パーメット全般に作用するんでしょう。」

「パーメット全般……となるとスペーシアンが持つ殆どの兵器は無効ではないか。」

「実際、GUNDそのものじゃない貴方の機体にも影響があったでしょう?」

 

それは確かにそうか……

 

「そもそもあんなパーメットスコアを私たちは見た事がありません。」

「スコア4でもこう……頭の中をしっちゃかめっちゃかにされたような、そんな感じ。

それ以上なんて、本当に命取りになっちゃうと思うよ。」

「そこは前々から……改修される前から考えていた。お前たちもガンダムに乗ればダメージを負う。

そして俺の調べだとエラン・ケレスも同じ症状とされている。」

 

つまるところ、ガンダム乗りは皆命を削る事となる訳だ。

彼女らの言い方を借りるなら、ガンダムの呪いと言ったところか?

 

「だが一つだけ例外がある。」

「スレッタ・マーキュリー、それとエアリアル。」

「そうだ。奴らには目立ったダメージが無い。この場合、考えられるのは二つ。」

 

『スレッタ・マーキュリーにGUND耐性がある』場合。

『エアリアルにパイロットへのGUND耐性がある』場合。

この二つである。

 

「まぁ、俺としては後者だと信じたいがな。」

 

スレッタだけが例外だと言うなら、それは俺にとってあまり宜しくない。

何せ此方はGUND技術を吸収して後々商売をするつもりなのだ。

パイロットを消耗品とした機体など本末転倒。

機体が消耗品なら、パイロットは貴重品である。

 

「相当にあとの無い組織でもなきゃ、パイロットを捨て石にしたGUND特攻などやらぬ。

……あー、お前たちはその捨て石の方だったか。気を悪くしたなら謝罪しよう。」

「……事実ですから。寧ろ、意外というのが正直なところです。」

「人の命なんて知らんサカー!兵器と共に死ぬが良いアラー!みたいな感じじゃないの?」

「語尾が雑過ぎるだろう!……そもそも、重装甲なのだぞ?ウチのコンセプトは。

死ぬのは敵だけで十分。とにもかくにも搭乗員を保護するのは当たり前よ。

何のために俺が必死にお前たちをヘッドハンティングしたと思ってる。」

「私たちに一目惚れしたから!」

「否定はしないが、それが主目的ではない。」

「しないんだ!」

 

にんまりといやらしい笑みを浮かべてくるソフィ。

調子に乗るからこの返しは失敗だったな。

 

「そういえばお前は言っていたな。『スレッタ、あんたじゃない。』と。アレはなんだ?」

「これも上手く言い難いんだけど……エアリアルの中に、他の誰かを感じたの。」

「他の誰か……」

 

誰か。

何か引っ掛かる。

記憶を辿れ、俺は何かを見落としてないか?

 

『エアリアルは()()()()なんです!』

()()()!私たちでミオリネさん、助けるよ!』

『私の可愛い()()()ですもの。』

 

点と点に繋がりを見出す。

否、そもそもガンダムは__

 

「お前たちの雇い先は何処だ?」

「それはフォルドの……」

「違う、元請け……派遣された大元の話をしている。」

「オックスアース社、それより上は知りませんが。」

 

オックスアースはGUND技術を企業諸共買取り、GUND-ARMとして兵器化した最初の企業。

他のアーシアンに先を越された事を我が父と祖父は悔いていたが……

そのG UNDの製造元がヴァナディース事変で壊滅したはずだ。

生き残りは魔女、と呼ばれ各地で暗躍してるとも聞くが。

 

端末を操作し、諜報部から得た情報を空間に投射する。

 

『元ヴァナディース機関所属研究員、エルノラ・サマヤ 消息不明』

「生き残りは何人か居るとされる、その中でも試験機のルブリスと共に消えたのがこの女。

現在の消息は不明だが、GUND-ARMの関係者で、義手の人物を俺は知っている。」

『シン・セー開発公社CEO、プロスペラ。スレッタ・マーキュリーの母親。』

 

「ここが同一人物だとしたら?偶然にも彼女には三,四歳になる娘が居たと調べがついている。また、ドミニコス隊の死体確認でも幼児の死体は見つかっていない。」

「ならその娘はスレッタ・マーキュリーという事ですか?年齢が合わないようですが。」

 

ヴァナディース事変は21年前、俺の父や祖父の時代の出来事である。

となるとスレッタの実年齢は24か25歳ということになる。

 

「無理があるだろう。」

 

幾ら言い聞かせようが子供だって、自分の年齢が7つ8つもズレていたら気が付く。

確かに多少、かなり鈍いところはあるが、それでもだ。

つまり娘≠スレッタ。となれば娘の行き先だが……

 

「私がエアリアルから感じたのはスレッタをそのまま小さくしたような……そんな雰囲気?かな?」

「何……?」

 

一つの可能性に行き当たる。

だがそれはあまりに残酷であり、彼女の友人として認め難い事だった。

否定する為の仮説を十、百、千と考えるが、その可能性を否定するには足らぬ。

寧ろ仮説を潰した事で信憑性がかなり高まってしまった。

 

「……例え話だが、お前たち二人のどちらかが、片方のGUNDの呪いを一身に受ける代わりにその片方をGANDから解放する……どころか、GUNDのメリットだけを享受出来るとしたらどうする?」

「「…………」」

お互いの顔を見合うが、その表情は硬く、慈愛を感じさせるようだ。

「言わずもがなか。美しい友愛よ、自らの身を刻む事を厭わぬほど。」

 

 

確信した。認めざるを得まい。

 

「家族も、何もかも奪われた母親。復讐に使えるのは幼い娘と呪われたMS。

これだけで一つ映画が取れそうな題材だが……まずMSを強化して娘を載せるだろうな。」

 

ここまでは特に問題は無い。問題はこの先だ。

 

「そして呪いの中、娘はガンダムに乗り続け……ある日簡単に壊れてしまった。

当然だ、幼子にお前達が悶え苦しむ激痛を耐えられるというのがおかしい。」

 

なんという悲劇だろうか。

哀れ名も知らぬ娘は親の身勝手な復讐に巻き込まれその命を散らした。

三文の価値はある悲惨な幕引きだ。

 

「母は発狂した、全てを喪ってしまったのだからな。そして、最悪の一手に手を出す。

クローン技術。成功作の娘が出来るまで何人も娘と同じ顔のソレを使い潰した。

壊れて尚、死にはしていない身体。クローンもだが、恐らくは大元の娘も。」

 

スレッタはクローン。認めたくないが、ほぼ確実。

 

「一体何に使う?何が出来る?確証は無いが、可能なら人柱にする。

不要な手足、頭などを極限まで切り刻み、MSに搭載するというのはどうだ?」

「そんな酷いこと……何の意味が?」

「分からんが、もしそんな技術が有ればどうだ。GUNDの苦痛、呪いを一方に押し付ける。

そしてパイロットを保護し、100%の性能を引き出すガンダム。」

 

 

 

 

 

嫌な考察だ。

それに、大量の情報を処理した脳が限界を迎えている。

 

 

 


 

 

 

「まぁ良い、話は明日にでもすれば良い。俺も流石に休みたいからな。

お前たちもまだ全快では無いだろう。夕食までに起きればそれで良い。」

「私ももう少し寝たいかな……起こしてねノレア。」

「なんで私が……もう寝てる。もう……」

 

2,3時間で起きる事は可能ではあるだろう。

話していて忘れてた倦怠感と疲労が再び襲う。

目を閉じ、微睡みの中へ踏み出す。

ずしりとした重量にベッドが僅かに撓み、凄まじい熱量を肌で感じる。

固い。

 

固い?

 

「……なんで貴方もここで寝てるんですか!?」

「俺の部屋で寝て何が悪いのだ……ソフィが起きるぞ。大人しく寝ていろ。」

 

色々言いたい事はあったが、諦める方が早い。

そう断じて私は眠りについた。




神威……すんごい絶倫。二日くらい出てこない。
地頭が良い上に諜報が優秀というチート。
自分の価値を理解した上で最前線で戦えるタイプ。
存在だけで凄まじいバフを撒く上に固い、凄いうざったい。

地球魔女s……スタミナ弱者。もっと食べて……

影くん……同担歓迎。一番重い。

ちょっと間違ってるけどスレッタとエアリアルの秘密に誰よりも早く到達した男。
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