位高ければ徳高きを要す   作:CATARINA

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雑になった気がする……使い捨ての新敵とかね……


世に平穏のあらんことを

『ここからはMSで行く!時間との勝負だと思え!』

『『了解!』』

 

宇宙。

アスティカシア学園近隣地域。

 

既に学園コロニーは目視出来る距離であり、その間での戦闘も確認出来た。

ミカエリス……シャディクの奴か!

対峙するのは恐らくグエル・ジェタークの駆るダリルバルデだろう。

 

宇宙用に背部ミサイルユニットをヴァンガード・オーバード・ブースター……

通称VOBに換装した事で若干の火力低下と引き換えに正面方向への推進力を得た。

カガセオの巨体でさえウィルドガンダムらを引き離す程の速度で加速させる代物。

現在はその二機がカガセオにしがみつくカタチで何とか加速に耐えていた。

 

『速い……!』

『超音速の世界だ、お前たちの機体ならマッハ2は出るだろう。この機体では精々1.5が限界だが……

それでも普通に船やシャトルで向かうよりは遥かに速い!どうにか耐えろ!』

 

先程まで砂粒のように見えていた二機の戦闘、それさえ瞬く間に肉眼で然と観戦出来るほどに。

ミカエリスの動きを見るに……まさか実戦仕様なのか?本気で殺しにきていやがる。

 

『ドミニコス隊の連中も甘い……わざわざ殺さぬように立ち回ってやがる。』

『確かにそれだけ実力差はあるように思えますが……』

『そんな余裕あるの?だったら私たちはあのボブくんの援護だけすれば良いんじゃない?』

 

それは間違っちゃいないが……個人的な恨みもあるしな。

 

『恨み?』

『試作伍号機がな、奴らに木っ端微塵にされてる。嗚呼、一体幾らしたと……』

『すんごい個人的な恨みじゃん……』

『危うく乙式やこの機体に積まれたアクティブ・カモがロステクになるところだったのだぞ。

そして肝心の実戦データも機体とともに失われた。機体分は丸損だ………』

 

許すまじ、断じて許さぬ。

 

『それに、奴らはお前たちの事を使い捨てに使い潰そうとしたからな……そっちのが重い。』

 

一度シャディクや取り巻きの女共の面をぶん殴ってやると決めている。

尤も、生身でやったら間違いなく死なせるからMS同士のつもりだが。

 

『愛が、重い………』

『今更……本当に今更でしょ?早々に諦めた方が利口だよ。』

 

『5秒後に離脱……お前たちはドミニコス隊に加勢してやれ、最悪殺しても構わん。』

『せっかく死なせないように頑張ってるのにねぇ。』

『知ったことか。武器を持って戦場に出た以上、老若男女に差異はない。

ましてや奴らはテロ行為に加担する事さえ厭わない覚悟があるのだろう?

革命に殉ずる死ならば本望だろうさ、三下の貧乏人どもには勿体無い程な。 』

 

伝えるべくを伝えきった後、弾けるように分離。

二機のガンダムは加速を一切殺すことなくシャディクガールズに襲い掛かる。

 

『ドミニコス隊、ドミニコス隊。此方は荒坂。荒坂重工社長、荒坂神威。今乱入した二機は我が妃である。

識別コードを送る故、誤射など無いよう願いたい!』

『了解……しかしあの風貌は……』

『後で世間に発表する故今はオフレコでな……ミンナニハナイショダヨというやつだ!

そこは任せてさっさと学園へ突入すると良い!サリウスCEOを頼んだぞ!』

 

其方は心配していない。

拮抗状態を崩せば自然と拿捕なり撃破なりに繋がるだろう。

そして浮いた分で逃げ切られる前にドミニコス隊を先行させる。

当座の問題は……

 

ダリルバルデに向けて放たれた攻撃に割り込んで受け止める。

巨体が全ての攻撃を受け止めるも、僅かに装甲が焦げたのみ。

 

『シャァディクゥゼネリィ!!!』

『……邪魔が入ったか。』

『ガハハハハハハハハ!!!端役にしては中々力強い言葉だ!

悪いなグエル、我にも一枚噛ませて貰うぞ!個人的な恨みもある故な!』

『サビーナ!』

『む……?』

 

死角からサーベルで切りつけられる。

尤も、分厚い装甲に阻まれて刀身が僅かに食い込むのが精々であったが。

 

『お前は……確か…………あー………』

『サビーナだ!お前は本当にとことん名前を覚えないな!』

『我が記憶リソースを割く価値が本当にあると思ってるのか?

少なくとも、我が脳にはレネ・コスタの記憶しかない。』

 

あの狙撃には本当に驚かされた……そうだ、しまったな。

 

『ソフィ、ノレア。作戦変更だ、何とか生け捕りにしてくれ。』

『えぇ!?急に!?』

『その中にレネ・コスタという奴がいてな……良き兵士だ、是非とも引き入れたい。』

『……ウワキ?』

 

戦闘中だった乙式が突如反転、カガセオに対し正確な狙撃を放つ。

当然貫通はしない事を理解した戯れでこそあるのだが。

 

『早合点するクセ、直した方が良いと思うぞ我……将来子供たちに示しが付かん。』

『子供……子供………!』

『あぁ!ノレアがまた駄目になっちゃった!神威のせいだからね!?』

『事実を事実として述べて何が悪いのだ!我悪くないだろ!!!』

『私はサッカーのリーグ出来るくらい欲しい!』

『頼むから真面目にやってくれ神威!』

『そう言ってもなぁ……』

 

やれやれと呆れたように大袈裟なリアクションをMSでする神威。

その動きのまま、腹部からアンカーを射出してミカエリスを串刺しにしようとする。

すんでのところで惜しくもサビーナの一薙ぎがシャディクを守る。

 

『おっと、よく見てるじゃないか。』

『姑息な真似をする……!』

『いつ戦闘を中断した?お互い武器を抜いたなら後は殺し合いだろうに。それより、良いのか?我が妃は割と強いぞ、少なくとも四人で拮抗していたところからお前が抜けるのは不味いのではないか?』

『……彼女たちも覚悟の上だ、ここで貴公らを足止めする事に意味がある。』

『おっと、失言だな?つまるところ、我々は貴様らをさっさと粉砕して学園に踏み込めば良いというわけだ。

お前達はまさに革命の殉教者といったところか。何とも愚かしい、三流の喜劇もたまには悪くない。』

 

なるほどなるほど。

自分に酔いしれるのはさぞ気分が良いだろうよ。

 

『羨ましいな、シャディク、サビーナ。それに他の女共も。』

『なんだと?』

『塵芥同然の自分達が大義という名目で動くなら自尊心は果てしないだろうさ。

ガハハ、そんなくだらない学生運動紛いの児戯に精力を尽くせるのが羨ましい。

俺もグエルも、当然ミオリネだって忙しいからなぁ……ままごと遊びは満足したか?』

『アラサカ・カムイ、君は__自分が俺たちを苦しめた元凶だと知った上で言うのかい?』

『当然だろう、馬鹿にするでない。そんなモノは勝手に世界を呪って勝手に死ねば良かろう。

貴様らの事など知ったことか……自分の手の内を守るので精一杯なんだよ、誰も彼もよ。』

 

戦争シェアリングの破壊?

アーシアンとスペーシアンの立場の均等化?

確かに、成功すればある程度平和になるかもしれない。

だが現実に、力を持ったアーシアンはスペーシアンへ復讐するぞ。

そしてスペーシアンも大義名分を得てお互いの憎しみは加速するだけだろう。

 

そうならなかったとしても、精々が数年。

 

人とは欲望で生きているのだ。

食らいたい、寝たい、子孫を残したいといった原始的な欲求。

それに加えて知能を得て身についた満ち足りぬ、という感情。

満ち足りぬ事を解決する事は進化の糸口、それ自体は悪ではない。しかしだ、

自分にはそれがない、相手にはある。どうにかして奪ってやろう。

 

それは大抵、争いの種となる。

 

解決する方法として多くの場合、暴力を選ぶような争いのな。

アーシアンに分け隔てなく武力を分配するというのはそういう事だ。

かつてのドローン戦争の比ではない、凄惨なモノとなるだろう。

 

そんなことは大人たちは皆分かっている。

分かっているからこそ、別の方向から解決しようとしたのが戦争シェアリング。

利権も当然あるが、戦争に一定の秩序を齎す安全機構。

それをお前らのような無能な働き者が破壊するなどあまりに馬鹿馬鹿しい。

 

『世界をひっくり返す、ただそれだけなら誰にだって出来る!

要にして最も困難なのはそれを維持し、世界を正常な形に運営する事だ!

お前にそれが出来るかシャディク・ゼネリ!お前にその覚悟があるのか!?』

『あるとも!』

『嘘をつけ!お前のような者はいつも、いつだってそうだ!

虐げられた自分らには復讐が許されると本気で思っている!

そしてその刃は至高の仇に届かず、その周りの誰かを傷付ける!』

 

 

考え無しにシャディクが特攻してくるわけがない。

学園内での搜索を妨害する何らかの工作を仕込んでいる、そう考えるのが自然。

失うワケにはいかない、地球寮の皆を。スレッタを。

 

ガトリングとバズーカを放ちながら、グエルにだけ届く通信を飛ばす。

 

『大見得を切ったは良いが、シャディクの方は任せて良いか?』

『元からそのつもりだった……問題はない!』

『流石だ一位(ホルダー)、とはいえ両方任せる気はないさ。

なぁシャディク、自分の罪を自覚していないのだろう?

別に愚かさを咎めて殺そうと言うわけではない。貴様の罪は___』

 

イザナギを開発していた時の本社襲撃。

プラントクレタ、学園でのテロ行為。

そして、今。

 

『我から奪おうとしたこと。この手の内にあるものを破壊しようとした事。

万死に値する。しかし、貴様にはその罪を贖って貰う必要があるのだ。

故に、貴様からも奪わせてもらう。』

 

急加速。

300t超の質量を瞬時に超音速に加速するVOBを全力で吹かす。

相変わらず旋回性は劣悪極まりないが、それを補って余る最高速度。

その速度はサビーナのハインドリーをタックルで捕らえて誘拐する為に使われるのだが。

 

『な…………ァッ!?!?!?』

『ガハハハハハ!抜け出せるなら抜け出してみるが良い!スレッタはそうしたぞ!?

尤もあの時とは速度も重さも、武装も違うがなぁ!!!』

 

必死に藻掻く機体をサブアームで更に捩じ伏せる。

どんなに腕が良かろうと、ここまで圧倒的な機体の差があれば関係ない。

純粋な機体のパワーだけで圧倒することが叶うのだ。

 

タックルの体勢で誘拐し、目指すは奥に浮かぶ我が学び舎。

当然、それを防ぐべくシャディクの取り巻き達が包囲を無理やり突破し、妨害を仕掛けてくるが……

その程度の攻撃ではこのカガセオの装甲は抜けぬよ。

 

それでも必死に食らいつき、同胞を救おうとする一同。

美しい友情だ、感動的だな……だが、無意味だ。

 

一度ハインドリーを離し、慣性のまま前方に投げ飛ばしてから追走する機体を視認。

VOBのハードポイントから取り外したシュツルムファウストを四本。サブアームで保持。

両手に超大口径型のキャニスター砲を二門。

両肩に拡張ミサイルユニット、合計四十八発。

腰部、破砕榴弾が四発。

そして脚部の連動ミサイル。

 

『勝敗はMSの性能で決まらぬ?操縦者の腕で決まらず?だが、現実に貴様らはこれから敗北する。

ただ、結果のみが真実。そうだろう?MSの性能は技量すら圧倒する、我はそれを証明してみせる。』

 

それでも決して止まらぬか。

ガハハ、部下には恵まれたな?シャディク。

 

全武装展開(フィックス・リリース)と言ったところか?知っての通り我は操縦がとてつもなく上手いワケではない。可能な限り外すつもりだが、もしバイタルに命中した時には……運が悪かったと思って諦めよ。』

 

全ての武装を解放し、手足や頭部を跡形もなく吹き飛ばす。

多少原型こそ残れど、最早戦闘の続行は不可能だろう。

そして再度サビーナのハインドリーを確保、更なる加速。

 

『一体何を……待て!何故減速しない!馬鹿馬鹿馬鹿!止まれ……!』

『口を閉じてろ!舌を噛むぞ!』

 

E=(1/2)mv^2。

運動エネルギーとは物体の質量と速度によって際限なく上昇する。

当然、300tの物体がマッハ1.5で衝突した衝撃は壮絶なモノだ。

 

ハインドリーを盾にして学園外壁に突撃するカガセオ。

鈍い音と共に全ての障壁を破壊し、残る衝撃は偶然真下に存在したMSを潰す事で相殺。

無事に見慣れた学園内部への侵入に成功したのだった。

 

『中々丈夫に作られてるではないか、運が良かったな。』

 

パイロットは当然気絶してこそいるが……コクピットの保護により少なくとも死んではいない。

並の機体ならば粉微塵になっていてもおかしくなかったであろう。

 

ここは学園のはずれ……地球寮からもそれほど離れてはいない。

ミオリネの菜園があるのもこの辺だったか?

踏まないように用心せねば……

そう思い立ち、カメラを下方に向けて発見したのは無惨な姿のトマト菜園。

否、菜園だけではない。そこかしこから爆発音やMSの戦闘音、否。

そもそも、この機体が潰したのは……

 

『なんだよ!?新手か!?』

『もう弾が持たないよ!?』

 

デミ・トレ……否、何だその機体は。

だが銃を打撃武器として扱うその大味さ。

 

『チュアチェリーか?』

『お前……カムイかよ!?今更どの面下げて……』

この面(ガンダム)に決まってるだろう。話は後だ、俺が今潰したのは何だ?』

『分かんねぇよ……「世に平穏のあらんことを」とかブツブツ言ってるしよ……』

『……なるほど、把握した。』

 

シャディクの奴、最悪なのと組みやがった。

そうか、そうだよなぁ。

奴らが望むのは仮初の平穏だと言うのなら、当然。

戦争シェアリングを為すグループなど破壊対象そのものだ。

機会を得られなかったが為に我が社にばかり来ていたワケで。

 

『とはいえ、ドミニコス隊は流石腕利き。雑魚はもう殆ど鎮圧済、残るは……』

 

六本の手足と羽根のように展開されたミサイルユニット。

不気味に発光する光はまさかパーメットか?

そして30mを超える体躯が一際目立ち、異形の姿をおどろおどろしく纏めあげていた。

 

『MS……否、MA。何と醜い姿だ、蝿の王(ベルゼブブ)とでも呼ぼうか?』

『頭が高い、下郎。女王が前ぞ。』

『女王……なるほど蜂の女王。確かにその名に相応しい醜悪さだな。』

 

蟻や蜂など、コロニーを形成する虫は女王を首領とする群れを形成する。

そしてその女王は卵を産み続ける為、飛行能力が欠落した上、大変に肥え太るのだ。

生き物の合理性は美しいモノだが、それを人が名乗るとなるとおぞましい。

 

『お前、何代目だ?27代目……は我が子供の時に都市区画ごと吹き飛ばしたのだったか。アレは実に愉快だった。じゃあ52……否、これは昨年の粛清で討ち取ったハズだ。死体を本社玄関で晒したのは記憶に新しい。ならば貴様は53代目という事だな、蜂の女王よ。全く、貴様如きがその地位に居るとは……もうじきビーハイヴも終焉か?』

 

何度潰しても蛆のように湧いてくる。

初代荒坂……今の荒坂重工が生まれた時から奴らは存在したと伝え聞く。

ビーハイヴと名乗る奴らは平穏を望み……その割には初代荒坂とバチバチにやり合っていたそうだが。

何度も繰り返し殺し合いをするうちに奇妙な友情が芽生えた二人は不可侵の関係を結び、それは100年続いた。

問題は祖父の代……過激な反戦活動家を筆頭に思想の原点回帰を語り、我が社へのテロ行為を再開。

ふざけた事にそれを正当化し、資金を募ることさえしているというのだから驚きだ。

ウチほどクリーンな企業などそうそう無いというのに。

 

『私服を肥やしているとは聞いていたが、文字通り腹を肥やしているのとはな。』

『……《集合》!』

 

その言葉に共鳴し、何処からともかくMSが集まってくる。

20機程のその機体はせいぜいが12mといやに小さく、女王の異形を際立たせる。

 

『《突撃》!』

 

その言葉で二機が吶喊してくる。

格闘戦を挑む気か?迎撃を……否、この角度では校舎に命中する。

謀ったな。

 

「腕部ナノマシン、格闘形態で起動。」

『形態承認、ブレード』

 

両手の武器を背中に積み直し、無手の状態に。

そして手首に装備したナノマシンユニットからナノマシンを再形成。

地球ではジャマダハルと呼ばれる武器の形を取る。

 

『接近戦は得手ではない……だが、出来ないワケでもない。来るが良い、下郎。』

 

確かに速いが捉えられぬほどでは無い。

そして対応さえ出来るのならなんの問題もない。

鋭利になった刃の先端が単調な動きの二機を貫く。

 

確かにコクピットを潰し、パイロットを絶命させた手応え。

然しその状態でも女王に焦りの表情はない。

寧ろここまでは計画通りといったような……

 

『務めご苦労、其方らの献身は然と届いたぞ。』

 

その言葉から僅か後、女王の機体が赫く輝く。

この光は、まさか。

 

『パーメット・スコア4、《爆ぜよ》。』

 

串刺しにした機体が異常反応を起こす。

熱を帯びて発光し、一拍置いて爆発。

カガセオの巨体を包み隠す程の大爆発であった。

 

 

 

『どんな破壊力だ……このカガセオの装甲を歪ませるとは……』

『それは此方のセリフよ、跡形もなくなるのが普通なのだぞ?』

 

生憎と、我は普通ではないのだ。あらゆる意味でな。

 

『GUND-ARM……最早テロの代名詞ではないか。軍事利用には結局転用出来んな……

そしてお前の機体、どういうワケかパーメット流入の振り戻しがない。

おっと言うな、言うんじゃないぞ、当ててやろう。人柱と言ったところか?』

『ほう、多少は知識があるらしい。女王たる妾がなにゆえ余計な傷を負う?

その身全てを捧げてこその兵。違うか?』

『その在り方は否定しない、否定しないが気に食わんな。』

 

GUNDの負荷も兵に押し付け、パーメット操作で機体をオーバーライドして爆発させる。

文字通りの《女王》。冷徹で残忍、容赦無き支配者。

 

『なら、更に十倍。二十機ならどうだ?』

『二十発の間違いだろうが。』

『貴様との腐れ縁もここで終わりよ!』

『その言葉、そっくり返してやろう!』

 

兵を使い捨てる非情なな女王。

兵を庇護する手緩き王。

どちらも正しく、どちらも誤り。

 

『《総員突撃》!!!』

 

女王の周りを取り囲むように兵隊蜂が飛び回る。

隊列を為す彼らは女王に共鳴して赤く輝き、死を恐れずに吶喊してくる。

その速度は先程の比ではない。

 

なるほど、ただビットとして使うのでなく操縦はあくまで手動……

確実かつ正確に狙うということか。

だが、その判断が命取りなのだ。

 

『ナノマシンスローユニット、オンライン』

『駒を活用するのは良い、だがそれにかかりきりでは王に相応しいとは言えん!』

 

腕から伸びたブレードを格納し、ユニットを敵に向けて叫ぶ。

腕部から射出されたナノマシンが次々に兵隊に降り注ぐも、特攻に特化した彼らには及ばない。

若干の被弾を許しながらも、全ての兵隊蜂がカガセオに取り付く。

 

『回避は出来ぬだろう?貴様の後ろにこそ貴様の守りたいものがあるのだから当然よな!』

『回避など必要無い。』

『ならば大人しく屠殺される豚のように大人しく散れ。』

『我より大きい機体、我より尊大な態度。そういったものが気に食わぬ。

よりにもよってキャラの被りとまで来た!生憎だがさっさと消えてもらう……!』

カガセオに取り付いた兵が臨界状態に入る。

 

『王だと名乗る割に従者の一人も連れぬようではな……』

『ガハハ、良いことを教えてやろう、蜂の女王。』

『むぅ?』

『戦いに負けない最良の策、それは相手の駒で戦う事だ。』

 

次の瞬間、カガセオに取り付いていた全ての機体が剥がれる。

オーバーライドはしたまま、爆発寸前で加速。

全ての兵隊蜂が女王のところへと戻っていく。

 

『なっ__!?馬鹿!何をしている!』

『女王を名乗るならもう少し、兵を労ることも考えるのだな。

ほら兵ども、愛しの女王陛下にご奉仕せよ。その下らぬ命を持ってな。』

 


 

『Nanomachine Throw Railgun ユニット……NTRガンとでも言いましょうか。』

『そうか。減給な。』

『そんな!?もう夏の即売会が近いんスよ!!!』

『別にそのくらい不自由ない給金は払ってるだろうが!

ナノテクをこんなくだらない事に使いやがって!』

『で、でもこれはGUND-ARMのパーメット掌握に対抗する機能で……』

『だったらもう少し名前、他に無かったのか!?』

 


 

パーメット掌握による機体のジャック。凄まじい能力だ。

尤も、エアリアルのように全ての敵を乗っ取れるワケでは無いようだが……

だが、パーメットに頼らなくても乗っ取る事は出来る。

例えばナノマシンを利用した物理的なハッキングとかな。

 

敵に打ち込み、手動でプロテクトを突破して機体を奪う。

単純だが、効果的だ。

 

 

 

 

『ええい!離れよ!離れろ愚か者ども!』

『無駄だ無駄、精々貴様の兵どもを労わってやるのだな。』

 

両手の指をパキパキと鳴らし、機体を臨界状態に貶める。

どうにか離脱せんと必死に足掻いていたMAだが、最期は自らの兵に群がられて爆散した。

 

「……熱殺蜂球、だったか?アレを思い出すおぞましい姿だった。」

『MA周辺に生体反応検知、パイロットの脱出と推定』

『しぶとい奴だ……放っておけ、怪我人の救助が先だ。』

 

 

 


 

一面の瓦礫の中、懸命に、一心不乱にそれを除去するスレッタ。

常人離れしたパワーで身の丈程ある瓦礫さえ退かす事が可能だったが、それでもあまりに多い。

全く動きそうにない巨大な瓦礫を踏ん張ってじわじわと動かす。

しかし、疲労からか手が痺れ、つい離れてしまった。

若干持ち上げたからこそ、その瓦礫はスレッタを潰す方向に倒れ……

 

「一人でやろうとするな、莫迦め。」

 

神威はその瓦礫を片手で持ち上げた。

 

「神威さん……!」

「我が友よ、色々と話したい事、聞きたい事もあるが……それは後だ。」

 

今はただ、やるべき事を優先すべきだろう。




女王……ある意味幼馴染と言える。社長とは長らく殺し合う仲。

サビーナ……奇跡の生存。交通事故に巻き込まれた可哀想な子。

社長……この後当該社員の減給を取り消した。

魔女VSガールズ……拮抗していたが荒坂の戦艦が到着し、ガールズは投降した。

ガンダム・カガセオ

彼の新たなる機体。
全身に異常としか言えない装甲とハードポイントを有し、大量の武装を搭載可能。
武装は僚機のウィルド二機の分も搭載している。
全備重量は300tを超え、最早《MS型のMA》といった風情である。
機体サイズも28mと限界異常のサイズになった。
灰ががった分厚い装甲故、全体的にのっぺりとした印象を受ける。
現実に、外付けVOB無しの加速力は原付程度な上、旋回は劣悪。
僚機が居なければ棺桶にさえなりかねない。

だがその火力と装甲はMSの比ではなく、単騎で艦隊と正面から撃ち合える程。
ナノテクは勿論だが、試作機に搭載した機能がほぼ全て搭載されている。
その為短時間なら透明化し、サブアームを利用した格闘戦も可能。
パーメットを使用しておらず、対ガンダムに特化した偽ガンダムである。

イメージはFA化してガンダム頭になったゼク・ツヴァイ。


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