位高ければ徳高きを要す   作:CATARINA

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三年後___

こういう○○年後パターンって便利だよね。


無法天に通ず

『目的地までおよそ100km 予測到着時間 20分』

 

……全く。

何故私がこんなことをしなければならないのか……

 

荒れ果てた都市の残骸。

その上空を軍用規格の高速ヘリが切り裂く。

時速300kmでの巡航が可能なこのヘリは、未だ何処にも卸されていない非売品。

多くのMSと比べても直線なら勝る速度とヘリコプター特有の運動性能を併せ持つ最新機。

 

本来なら、神威が向かうハズだったのだが……急用ということで急遽代役を頼まれた。

三年間の間にヘリの免許を始め、色々とやったのが裏目に出たのでしょうか……?

 

「そもそも向かう理由も妻としては複雑な……いや、別に浮気とかではないのですが……」

「別に今更も今更じゃない?」

「立場的に正妻の座が怪しくなるでしょう!?分かってるんですか!?」

「それこそ今更……」

「……全く雌牛のように肥え太ってからに!この乳が!この乳がその余裕の源なんですか!?」

「ちょっと!前見て前!墜落事故はシャレにならないから!」

 

女三人集まれば姦しいとはよく言うが、実際には二人で既に喧しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「という事で、お久しぶりです皆さん。」

「久しぶり!」

「案の定、ここからの移動手段は考慮して無かった用で幸いです。」

 

ニカ・ナナウラが釈放され、高専への再編入資格を取得した地球の郊外。

取り敢えずこの場に集まる……までは考えていた一行だったが、その後の計画はザルであった。

一応神威に頼んでは居たが、現在彼は凄まじく多忙な日々を過ごしているわけで。

それこそかつてのように六徹七徹することも少なくない。

動けなくなるほど消耗することは無いにせよ、改めて心配される程度には過労状態だ。

 

「やっぱり神威くん忙しいんだ。」

「ええ、ウチのは無駄に積み重なった役職に揉まれてますから。」

「……なんか圧が凄いね?」

「やめなよノレア……変なとこで性格悪いの教育に悪いよ?」

 

自然な流れでマウントを取るノレア。

神威本人から直々に直した方が良いと言われてはいるのだが、意図的にしているのでどうしようも無い。三年の間無駄なく教養を重ねた彼女は愛妾としての立場ではなく荒坂重工の社長であり、地球共栄圏総帥たる神威の秘書として自らの確かな立場を確保していた。

別に彼はそれで区別したりはしない(実際ソフィは特に何もしていない)のだが……

必要とされる事で正妻戦争では一歩リード、戦いは既に始まっているのだ。

 

「うおでっ…………痛ッ!!!」

「幾ら歳下でも人妻に鼻の下伸ばさない。」

「違うって、身長の方だよ……」

 

ソフィ・荒坂、16歳。

栄養失調による発育の悪さがギリギリの所で成長期に間に合った。

結果的に今までの反動で身長も胸囲も、あらゆる所が成長。

身長は190cmに近く、体型は神威をして『大陸ゲームのキャラかよ……』と言わせた程。

街を歩けば老若男女問わず十人中十人が振り返る程美しく成長した。

 

当たり前のように毎年妊娠し、先々週出産した三つ子で六人目。

神威が冷ややかな目で見られる一番の原因であった。

 

「とりあえず移動しましょうか、神威ともスレッタ・マーキュリーのところで合流の予定ですし。」

 

一機で戦車すら輸送出来る巨大なヘリ故、全員を乗せてもまだまだ余裕がある。

乗員が増えても速度には一切の支障無く、着陸の数分後には再び空へ。

 

「うわ速ぇ。」

「あ、この機はまだ一般に公開してないので他言無用でお願いします。」

「もし外に漏らしちゃった場合はピカッと記憶を消さなきゃならなくなるからね。」

「何処の秘密組織なの……技術力がイカれてても流石に無理「「…………」」えっ何その沈黙?」

 

数秒間二人は顔を見合わせ、ダッシュボードからサングラスとペンライトを取り出す。

手が空いてるソフィが後部座席に乗り出し、元地球寮生達に指示した。

 

「はいじゃあこの先端をよく見てね〜怖くないからね〜」

「あるのかよ……!?ちょっと待てって!待て!助けてくれマルタン!」

「僕を盾にしないでよ!?嫌だよ!?」

 

まぁ流石にやらせはしないのだが。

設定を間違えると直近どころじゃない記憶が飛んでしまう。

 

「そもそも何のための機械なんだそれ。」

「さぁ?神威が言うには捕虜への拷問を合法にする画期的な発明だって……」

「変わんねぇなー、根っこの所が悪辣過ぎるだろ。」

 

荒らし・嫌がらせ・混乱の元アラサカ。

一種のあてつけのような構文だが何もかも否定出来ない。

結局これで飯を食っているのだから。

 

「……何かおかしくない?。」

「どうしたんですか急に。」

 

ヘリは崩れて廃墟となったビル街を縫うように飛行している。

人類のちっぽけな技術等瞬く間に呑み込む植物により、今や野生生物の住処。

ドローン戦争より遥か以前、初代荒坂の時代。

残されたアーシアン同士の戦争で廃れたと神威が言っていた筈。

 

「静か過ぎる。確かに居住区の喧騒よりかは遥かに無音に近い場所だけど……

野生動物鳴き声、木々のざわめき、それすら無い。意図的に隠されてるような……」

「そんなあの男じゃあるまいし……気配とかで感じ取れたらもうニュータイプですよ。」

「そうかなぁ。」

 

そうボヤきつつ、並び立っていた片割れが倒れ、アーチ状になっている廃墟を抜ける。

日陰にならら、一瞬暗くなった後……赤熱する刃が機体を照らした。

 

「!そういうパターンか……!」

 

一気に出力限界まで加速、更に通常ヘリには不可能なバレルロールでギリギリの所で墜落を免れる。

センサーの感知は五。

 

「ソフィ!敵機は!?」

「私に聞かれても分からないって!!!」

「ああもう……ニカ・ナナウラ!貴女ならわかるでしょう!?」

「え!?……あっ、えーっと……ジェターク、もう一機はペイル社っぽい?

いやでも、細部の造形が違うような……かなり古い……?あと丸鋸みたいのが三機!」

 

ああ、なるほど。無人兵器か。

旧時代の遺跡では未だにかつてのドローン戦争やそれ以前の無人機が見つかる事が少なくない。

大抵は破損したり動力切れで動かないのだが、稼働状態のモノもある程度は見つかる。

丸鋸のようなドローンは特に広範囲かつ大量に見つかる危険な兵器だ。

 

後ろから迫る一機は武器をしまい、今度は手を伸ばしてくる。

先程のヒートサーベルが掠めた事で機体のバランスが僅かだが乱れ、速度で振り切れないのだ。

此方に有効な武装が無いと確信したから捕獲に切り替えた……そんなところだろう。

この場に居るのは今をときめく荒坂神威の妻が二人……いや、三人。

そしてミオリネ・レンブランのGUND社の社員達。

狙われる理由も、想像が付く。

 

恐らく元凶はグループの解体に際して職を追われた者達__荒坂の用意した条件に納得出来ず蜂起した元ベネリットグループの誰かだろう。アーシアンに従う事など出来ぬと無駄なプライドを抱えた愚か者ども。 解体から約一年後の大規模な残党狩りで八割以上が壊滅したハズだが……

 

「神威の言う通りでした、『一人残らず殲滅出来なかったなら、失敗だ。この先どうやっても残党は社会に溶け込んで雌伏の時を過ごすだろう』と。本当にしぶとい……さっさと諦めて死滅すれば良いものを。」

「おい!大丈夫なのかアレ!?」

「大丈夫なワケ無いでしょう……!スピードこそ十分ですがヘリの武装での撃破は現実的でない。正直言って、非常に良くない状態です。このままスレッタ・マーキュリーらのとこへ引き連れるワケにもいきませんし。」

「また来るよ!!!」

 

 

「ヤバい!追い付かれる!」

「仕方ありませんね……貴重な遺跡の破壊はあまりしたくなかったのですが。」

 

『緊急避難です。』そう言ってノレアは前方のビル跡にありったけのミサイルを撃ち込む。

根元から崩れたビルの残骸が崩落し、真後ろに迫った無人機の一つを押し倒した。

最初こそ脚部を潰されながら脱出の為に足掻いていたが、

一際大きい瓦礫が頭部を粉砕すると、それも止んだ。

 

「一つ撃破!」

「後で怒られますねコレ……」

 

それはそうと、この状況。どうにもならない。

小型の無人兵器に同じ方法は通用しないし、MSスケールの後一機もやり方を変えてくるだろう。

このまま直線的に逃げ回っては捕まるのは時間の問題だった。

 

『……あ〜聞こえてるか?聞こえてるモノとして話すが。』

それは一番聞きたかった声。

どんな状況でも何とかなると確信出来る絶対。

『神威!貴方今何処に居るんですか!?』

『何処って……なんて言うのだろうな?上?』

 

回線が悪いのか、ゴーゴーとノイズを鳴らしながら宣う。

何を言ってるんだコイツは。

 

『さっきベネリット残党兵の集団を殲滅してな。取り敢えず生き残りを拷……詰問したところ、今日お前らが集まってる事がバレてたらしく、航路上に無人兵器を忍ばせてたらしいんだが。』

『たった今追われてるよ!?』

『マジか……あ〜なるほど、見えた見えた。問題ない、お前らはそのまま直行しろ。』

『見えたって……本当に今何処に居るんですか!?』

『だから上だって……』

『上じゃ意味が分からないんだよ!!!』

『だが上は上で……あ、いや、今横に…ああもう下だな。』

 

理解不能な通信から一拍置いて、ヘリの装甲越しに聞こえる程の爆音。

金属が金属を力任せに叩き潰すような異音を挙げて最奥のMS型無人機が崩れ落ちた。

 

『あぁ……ヒーロー着地というのは膝に悪いな。擦りむいた……だが無人機ではな。

不測の予測が出来ない……例えば上空からパラシュート無しで敵が降下してくる可能性を考慮出来ない、そして敵パイロットが素手でハッチの封鎖をこじ開けられる可能性を思い付けない。所詮、無人機では思考に限界があるのだ。』

 

そんな事を出来る生物はまず居ないので、あんまりな理屈である。

 

『じゃあ現地でまた、すぐ追い掛ける。』

 

 

 


 

 

 

 

数分前、都市遺跡上空。

 

「普通にMSで向かうんじゃ駄目なのか?」

『どうせ社長は壊すので……研究チームから丁寧丁寧丁寧に鹵獲してくれとの要望です。』

「何処の新宝島だ、言われなくとも壊さんよ……多分……」

 

それにしても、パラシュート無しで高度2000mから降下とは気が狂っているとしか。

 

『出来るか出来ないかなら出来るでしょう?』

「着地地点に潰して良いモノがあるなら否定はしない。」

『大丈夫ですよ、最悪本編が終了した後なので社長にはギャグ漫画の加護があります。』

「やめろ!!!なんて事を言うのだ!!!」

 

よく分からないが明らかに不味い事を言い出した自らの分身を殴る。

根拠は無いがとてつもなく不味い気がする。

 

「目標は何だっけ?残党軍が鹵獲した希少な無人機を持ってくるんだったか。」

『はい、重ね重ねになりますが壊さないように。』

「分かってるよ……やるしかないからな。」

 

意を決して飛行機から飛び出す。

飛び出す勢いが残る一瞬の浮遊感。

それを感じながら自由落下の速度に身を任せた。

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

 

 

 

脚が痺れてつらい。

やはりどう考えても普通に鹵獲するべきだったと思う。

 

というか落下の衝撃で動かなくなったワケだが、大丈夫なのだろうか。

倒れる無人MSのハッチを素手でこじ開け、コクピットに乗り込む。

無人機でもメンテナンスの為に有人操作に対応させているのが殆どだからな。

……一応見かけ上の故障は無いように感じる、2,30年以上稼働してるにしてはだが。 ゴユウジン……

計器類も問題無し、武装は……連装チェーンソーと火炎放射器? ジェネレータノカンビナシラベ……

建物の破壊や対人サイズの殲滅に特化したモデルと推測。 スロースロークイッククイックスロー……

無人機としての運用なら ステキダ……「ええい!やかましい!!!」

OSのやかましさにうんざりする。なんなのだこれは。

 

……燃焼攻撃を想定した機体は俺も作った事がある。

高圧テルミットランチャーで装甲を溶かし穿つというコンセプトであったがこれは……

回転する刃を伴った薄っぺらい無人機が突撃してくる。

MSスケールのそれとは違い、此方は完全に自立式。

稼働範囲の人間を感知し、自動で殺戮する狂気の産物だ。

閉所には子機を展開して虱潰しにする徹底ぶり。

元々はスペーシアンが持ち込んだ兵器であったが、案の定というか……

生物学的にスペーシアンとアーシアンに差異はない。

制御不能で暴走、双方に甚大な被害を齎した。

そして厄介払いと言わんばかりに大量に投棄された為、今でも頻繁に目撃される。

 

アンチドートで止めるにしても群れを成している事が多く、非常に危険。

人間だけを殺す機械……部下たちは『ピザカッター』、『バグ』と呼ぶが。

こんなピザカッターがあってたまるか、虫と呼ぶにはデカ過ぎる。

 

『弱点はまぁ、突進を止められると良い的な事か。』

 

回転刃にこちらもチェーンソーをぶつける。

金属同士の擦れる嫌な音を響かせながら当たり負けしたバグは沈黙。

更にその残骸を弾き飛ばして残る二機の動きも止める。

 

「止まりさえすれば造作もない。」

 

地に伏したバグの片方にチェーンソー、もう片方に火炎放射器を押し付けてフルファイア。

三機程度なら大した脅威では無いのだがな……

実際には百を超える大群で現れることも多い。

 

 

 

さて、仕事で会うミオリネ以外は2年振りの再会だ。

らしくもなく心が踊る。

 

「友遠方より来たる、また嬉しがらずや。というヤツだな。」

 




ノレア……役に立つべく猛勉強の末、社長秘書として働いている。
そのバストは平坦であった。
ソフィ……専業主婦の超若妻。妊娠してない期間は一応パイロットをしている。
そのバストは豊満であった。
社長……超激務漬け。立場の都合コネで士官学校に入学(三日で卒業)したり色々あった。
身長、体重共に更に成長しており、遠近感がおかしくなって死ぬ。
そのチェストは絶大であった。

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