ハリー・ポッターと王立国教騎士団   作:熊田ラナムカ27

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 ※注意
 
 今話は話の関係上、前話以上にロンの事を思いっきり叩いており、一部の読者からしますととても不快であり、とても納得できないものであるかもしれません。
 
 前話で申した通り、作者個人にはロンに対する恨みなどは一切なく、何度も申します通り話の都合と、作者の自己解釈によって、この様な内容になってしまっているだけです。
 
 どうか、そこだけは理解していただき、それでも無理だという方は是非ブラウザバックを。
 
 それで大丈夫だという方は、是非今話の閲覧の方を、どうかよろしくお願いします。
 
 それでは、本文の方を、どうぞ。
 
 
 


10 What you don't have.What I don't have

 

 

 

 棺桶に入り即眠りについたものの、あまりにも多くのことが起きすぎたためか、頭は少しガンガンするし、時折気を抜くと睡魔が自身を眠りに引きずり込んでくる。

 

 斯くして、ただでさえ強い日光のせいで憂鬱な朝に拍車をかけ、少し調子が悪いまま、その日の1日がスタートした。

 

 昨晩の事件に巻き込まれた他の4人はどうなのかというと、まず、ハリーとロンもまた疲れてはいるものの、気分としては絶好調であり、かなりの上機嫌。

 

 何でも、グリンゴッツからホグワーツに移されたというものが、あの部屋の奥にあると考えているらしく、仕掛け扉の下には何があるのか、隠されているものが何なのかについて、互いに意見を交わしては楽しそうに、話に花を咲かせていた。

 

 続いてネビルはというと、昨日の恐怖からかあまり眠れなかったらしく、調子としては絶不調。

 

 眠りについたとしてもあの3頭犬に襲われる悪夢で目が覚めてしまうらしく、完全に巻き込まれただけのネビルに対し、かなりの同情と罪悪感を否が応でも感じることとなった。

 

 最後にハーマイオニーついてなのだが……私の見る限り彼女が一番調子、というより機嫌が悪いらしく、あんなにも校則を破っても反省する様子見せないハリー達に対し、一種のイラつきのような感情を抱いているようだった。

 

 そして、そんな雰囲気ではあるが何も起きず、平穏の日々のまま1週間が過ぎ、ネビルもようやく3頭犬の悪夢を見ずに済むようになり、しばらくの間はギスギスしていた私とハリー達がようやく再び話すようになった頃、朝の大広間に細長い包みが運ばれて来た。

 

 どうやらハリー宛の荷物らしく、包みには手紙が付属しており、封筒を開き、ハリーは急いだ様子で手紙を読む。

 

「中身は箒だ。マクゴナガル先生が僕の為に送ってくれたみたい」

 

「期待のシーカーであるハリーに対しての先行投資ってわけですね。それで?箒の種類は?」

 

「えっと、手紙にはニンバス2000って………」

 

「に、に、ニンバス2000!?」

 

「ニンバス2000って、本当かいハリー!?僕、そんなもの触ったことも見たことだってないよ!」

 

 ハリーは首を傾げていたが、私とロンが中身に驚くのは当然であり、ニンバス2000は今ある箒の中で最速の箒であり、その価格はその価格は驚異の20ガリオン。

 

 他の箒として上げられるクリーンスイープが6ガリオンで、シルバー・アローが8ガリオン。

 

 高いはずのコメット系列でも13ガリオン前後なのだから、その倍近くの物を生徒に買い与えたマクゴナガル先生の期待と、クィディッチ愛がどれほどの物なのかは、最早計り知れないのだろう。

 

「こんな貴重なもの、こんなところに置いちゃ駄目ですよ。ちゃんと専用のケースに入れて、日が届かない暗い場所で厳重に保管しないと」

 

「みんなの前で開けるなって書いてあるし、一先ずこの箒は談話室に持って行こう」

 

「今日の授業が終わったら少し乗らせてくれよハリー。ニンバスなんて早々触れる機会なんてないんだ。どんなものか、僕も試してみたい」

 

「じゃあ、セラス。僕達はこの箒置いてくるから、また後の授業で」

 

「はい、じゃあまた後で。せっかくの貰い物なんですから、大切に扱って下さいね」

 

 そう言葉を交わすと、ハリーとロンは浮足気味で大広間から立ち去っていき、いいものが見れたと、私も上機嫌で朝食に用意していた厚切りベーコンを豪快に噛み千切った。

 

 その時何故か、ハーマイオニーの目が鋭くなっていた事は気がかりではあるし、その日の授業でドラコが最高に機嫌が悪かったのも気にはなったものの、その日はそれ以上のことはなくの授業は終了。

 

 それからあっという間に時間は過ぎ、ホグワーツに来てから2ヶ月も経過。

 

 今日はハロウィン当日であり、あちこちからはパンプキンパイを焼く、おいしそうな匂いが廊下中に漂っている。

 

 今夜はハロウィンのご馳走が食卓の上に並ぶらしく、どんなカボチャ料理が出てくるのだろうと、朝から楽しみで胸がいっぱいだった。

 

 そんなお腹の減る1日の初めの授業は呪文学。

 

 ネビルのヒキガエルを先生がブンブン飛び回せているの見たせいか、皆の目にはいつもより期待がみなぎっている。

 

「さぁ、今まで練習してきたしなやかな手首の動かし方を思い出して。ビューン、ヒョイ、ですよ。いいですか、ビューン、ヒョイ。呪文を正確に、これもまた大切ですよ」

 

 フリットウィック先生が杖の動きや、呪文の発音を丁寧に解説して実演した後、皆が課題である羽ペンの浮遊に挑戦することとなった。

 

 浮遊呪文は様々な魔法の基礎となる要素を多く持ち合わせており、手の動かし方から、発音の仕方まで、どれも正確でなければ成功しない、1年生には少し難しい呪文だ。

 

 皆が先生の見様見真似で練習をするが、殆どの人の羽は机に張り付いたまま。

 

 シェーマスに限っては羽を杖で小突いて火をつけてしまい、隣にいたハリーが鎮火作業に追われることとなっている。

 

ウィンガーディアム レヴィオーサ(浮遊せよ)

 

 私はというと、いつも運搬や捕縛した魔法生物を運ぶ手伝いをしていることもあって、羽ペン程度の重さの物を浮かせることなど簡単。

 

 いつも浮かせている物の半分以下の重さしかない羽ペンを前に、あちこちを飛び回せながら、どれぐらいの速度で飛ばせるかなどを色々と試していた。

 

「よく出来ました!ミス・ヴィクトリア!ここまで自由に動かせるとくれば、もう練習の必要もないでしょう。グリフィンドールに5点!」

 

 フリットウィック先生は嬉しそうにそう言い、5点という高得点を貰ったことに私は机の下でガッツポーズをした。

 

 ここ2ヶ月、大した問題を起こしていないばかりか、座学と魔法薬学を除くほぼ全ての授業で得点を獲得していることによって、少しずつではあるが、先生や他の生徒達の態度が少しずつ良くなっている。

 

 得点を獲得できたことも当然嬉しいが、それによって正当な評価がされ、普通に接しられるそのこと自体が、今の私にとっての密かな楽しみになりつつあった。

 

「それで、セラス。今みたいに浮遊呪文を上手くやるには、一体どうしたらいんだ?」

 

「まず、第一に意識することはグーッと、集中することです。次にドーッと力を込めて、ギャーッと呪文を言って、最後にグワーッ───」

 

「もういい、もういい。わからないことがわかったからもういい。セラスのやつ、魔法使うのは上手いってのに、教えるのだけは本当に下手だよな

  

「流石にあんな説明で理解できるとは思えないし、寧ろ混乱してどんどん完成形から遠のいてる気がする」

 

「というか、そもそもグーッとか、ドーッとか、グワーッって一体何?」

 

「擬音?そもそも擬音なのか?あれ」

 

 ………態度が変わったことで、授業の分からない所を聞きに来る人も何人か出て来たのだが、どうもやはり私には人に物を教える才能がないらしく、一生懸命教えても皆首を傾げてはもういい、といった反応を示しており、ここ数週間で私に教える才能が全くないことが確定した。

 

 自分はこの説明で理解できますし……一応我ながら言葉を多く尽くしてはいるんですけどね………。

 

 やはり……何となくの感覚と経験で魔法を形にしており、理論的な事を一切考えていない以上………私が人に物を教えることはまず不可能かもしれない………。

 

「ちょっと、ちょっと。やめて、やめて。そんなに杖を振り回したら危ないでしょ」

 

「何だよ。君には関係のないことじゃないか」

 

 今回ハーマイオニーは運が悪く、関係性の悪いロンとペアを組まされてしまっており、元々の関係の悪さもあって、2人の席はギスギスとした雰囲気で溢れていた。

 

 ここ2ヶ月で私が他のグリフィンドール生とある程度打ち解けられたのに対し、ハーマイオニーは私以上の生真面目さもあって、私を除く他のグリフィンドールからは疎まれ、少し浮いたような存在になってしまっていた。

 

 ここしばらくハーマイオニーと話す回数も何となく減っている気がするし、時折私を見つめたと思えば、直ぐに目をそらしているような事が幾つかある。

 

 私も何かできればいいのだが、大人とばかり接してきた私にはどういった風に、対人関係を回復する方法はわからない。

 

 ……一体、私はハーマイオニーに何をすればよいのだろうか?

 

「いい?まず発音が間違ってるわ。レヴィオーサ。あなたのはレヴィオサー。ちゃんと綺麗な発音で言わなきゃ」

 

「そんなに言うなら自分でやって見せろよ。ほら、どうぞ」

  

ウィンガーディアム レヴィオーサ(浮遊せよ)

  

 ハーマイオニーは自身の説明の通り綺麗な発音で呪文を言い、それによって机の羽は浮上していき、先生の頭上を漂っていく。

  

「オーッ! よくできました!みなさんごらんなさい。グレンジャーもやりましたよ!」

 

 フリットウィックが拍手をして叫び、ハーマイオニーは得意げな表情でロンの事を見た。

 

 その後何事もなく授業が進行したのはよかったのだが、うっかり私は板書をメモするのを忘れてしまい、ハーマイオニーと1度別れ、教室に戻りメモを取ってから、遅れて1人次の授業の教室に移動した。

 

 しかし、着いたはいいもののハーマイオニーの影は見えず、最初はトイレにでも行って送れているのではと思ったのだが、その授業が終わりを迎えたもハーマイオニーの影は見えず、寮に戻ってもハーマイオニーの影は何処を探しても見当たらなかった。

 

「あの、すいません。ハーマイオニーを何処かで見ませんでした?1時間目の後に別れたまではよかったんですけど、それから後は姿が見えなくって」

 

「ああ、ハーマイオニーなら、女子トイレで泣いているわ」

 

「じょ、女子トイレ?な、何でそんなところに?そもそも、なんで泣いて……」

 

 昼食の時間の間、寮でハーマイオニーをいくら待って来なかった為、近くにいたバーパティに聞いたところ、彼女はそう答えた。

 

 一緒にいたラベンダーは眉をひそめる。

 

「さぁ?わからないわ。1人にしてって、言われたもの」

 

「はぁ?よくわからないですけど、その女子トイレの場所を教えてくれます?とりあえずそこに行って、話を聞きたいので」

 

「地下のトイレにいるけど……何を言ったって……多分今は無理よ」

 

「まぁ、そうかもしれませんけど、話してみなければ何も分かりません。行けば大体の事はわかります。じゃあ、どうも。お話ありがとうございます。早速、地下室の方に行ってみますね」 

 

「ええ……わかったわ。……何か言われるかもだけど、あまり気にしないで」

 

 2人の何処か気遣う様子が気にはなったものの、場所を聞き出した私は寮を出ると、ハーマイオニーがいるという地下のトイレを目指した。

 

 地下室のトイレは水漏れの関係か、あちこちのパイプから水が噴き出しては漏れており、1滴でも当たったら致命傷の吸血鬼にとって、そんな環境でハーマイオニーを探すのはかなり骨が折れた。

 

 どうやら一番奥のトイレに鍵をかけて引きこもっているらしく、中から小さく鼻を啜る音が聞こえる。

 

「あー、ハーマイオニー?聞こえていますか?いるのなら答えて下さい。パーバティーとラベンダーからここにいるって聞いたので、試しにここを探してみたんです」

 

 ドア越しに声を掛けるが、何も言葉は返ってこず、薄暗い地下のトイレには私の声のみが響くだけだった。

 

「泣いてるってことは、もしや誰に泣かされたんですか?ハーマイオニーが望むなら、そいつ一発引っ張叩いてきますよ?あっ、そうだ。こういう時はやっぱり、面白い話に限りますよね。よければこないだドラコをからかった時の話、聞かせてあげましょうか?こないだの礼だ何だって言ってたんですけど、その時の様子が何とも面白くって、遂からかうのを忘れちゃうくらいで────」

 

「いいの。ほっといて。一人にして。今だけはセラスの顔、あまり見たくないの」

 

 黙り続けるハーマイオニーに対し、様々な話題を振っていると、中からハーマイオニーの声が響き、私の言葉をようやく返してくれた。

 

 しかし、返された言葉と言えば拒絶ばかりであり、その言葉の1つ1つには悲しみが溢れていた。

 

 まさか、拒絶されるとは思っていなかったばっかりに私は黙り込み、地下室のトイレには、再びパイプから漏れ出る水音だけが響くことになる。

 

「ロンに、私が我慢できないやつだって、セラス以外に友達ができる訳がないって、言われたの。気にすることじゃないっていうのは分かっているけど、それで全部ぐちゃぐちゃになちゃって」

 

 ハーマイオニーはぽつり、ぽつり、事の経緯について話してくれた。

 

 私はその事について何も言わず、ただ、ハーマイオニーの次の言葉を待つ。

 

「ここに来る前、私普通の学校に通ってたの。成績は良かったけどそこにあまり馴染めなくって、段々学校に行くのも嫌になって。これからどうしようって思っていた時に、ホグワーツ入学の手紙が来たの。とっても嬉しかった」

 

「それで、教科書を暗記するぐらい、魔法界の事沢山勉強していたんですよね。ホグワーツ特急の時、楽しそうに話していました」

 

「魔法を覚えるのが楽しみだったのは勿論だけど、それ以上に楽しみだったのは友達が出来るかも、って思ったこと。………私は魔女だから友達が出来なかっただけで、同じ魔女や魔法使い同士なら友達になれるって、思いたかったの。おかしな話よね。環境を変えても、こんな性格のままでいる限り、一生友達なんて出来るわけがないのに」

 

「そんなことないです!私はハーマイオニーを友達だと思っています!………もし、ハーマイオニーがそう思っていなくても、これからなっていけば────」

 

「けど、私、あなたに嫉妬してた。私と同じように真面目なのに、あなたばっかりには友達がいて、私はどうして一人ぼっちなんだって、嫉妬してたの」

 

 ハーマイオニーは更に悲しみを増した声でそう言って鼻を啜り、その言葉に対し私は何も言葉を返せず、”私もそうだ”と言おうとしても、言葉が喉元で絡まって言うことが出来ず、ただ一人泣くハーマイオニーに対し何も言うことが出来なかった。

 

 

 ………ここに来てからずっと、誰にだって言えなかったことがある。

 

 周囲に友達が出来て出来るほど、態度が良くなれば良くなるほど、普通に、接しられば、接しられるほど

  

 自分が普通でないこと、周りが普通だということ、自分が当たり前でないこと、自分が、化物だということが、改めてよくわかってしまった。

 

 ここに来てからの生活は楽しいことばかりだ。自分が望んで、叶ったことではある。

 

 けど、嬉しいことがあればあるほど、楽しいことがあればあるほどに

 

 自分は、この人達と何故この人達と違うんだろう?何故、自分は普通でいられないんだろう?どうして、自分は吸血鬼なのだろうと

 

 時折どす黒い感情が、頭の中を覆いつくすのだ。

 

 けど、話してはいけない。話したら、全て終わってしまう。

 

 自分が何より望んだ時間が。何より望んだ普通が。何より、望んだ当たり前が、終わるとわかっていたからこそ、言うことが出来なかった。

 

 

「………ごめんなさい。勝手な理由で、あなたを遠ざけて。………明日の授業からは、いつも通り、ちゃんと全部受けるつもりよ。だから、ごめん。今だけは。今日だけは……放っておいて。……1人にしてちょうだい」

 

「………わかりました。今日は、もう、ここには来ません。今話したことも、誰にだって言うつもりはありません」

 

「ありがとう、本当に。………やっぱり凄いわよね、セラスは。誰にだって平等に接して、魔法だって沢山使えて。誰かの為に直ぐ動くことが出来て、誰かを気遣うことが出来て。………私には、ないものばっかり

 

 吸血鬼にしか聞こえないほどの声量でそう言い、これ以上は何も言わず、ハーマイオニーは再び黙り込んでしまった。

 

「………あなただって、私からすれば………ないものばかりですよ」

 

 地下室のトイレを出てから私はそう呟き、次の教室に向かおうと、1人トボトボと階段を登って行った。

 

 それからの授業はあまり集中できず、何処か心に靄が掛かったような気分のまま時間だけは過ぎ、遂には夕食の時間。

 

 大広間には千匹の蝙蝠が壁や天井で羽をばたつかせ、空飛ぶカボチャの中の蠟燭が辺りをぼんやり照らし、金色のお皿の上には山のようなご馳走という期待を形にしたような景色だったが………どうもそれでは気分は晴れず、寧ろ何となく気分は曇るばかり。

 

 山ほど置かれるカボチャ料理のうち幾つかを口に放り込むが、やはりどれも味気なく、いつもなら山ほど入る食事も、今日という日ばかりは一皿だけで十分だった。

 

「セラス、大丈夫?ハーマイオニーのこと、残念だったね。あの様子じゃ誰だってハーマイオニーを慰めるなんて出来る訳ないんだし、明日来るって言わせただけセラスは十分やったと思うよ。ほら、カボチャジュース、美味しいよ。よかったら飲む?」

 

「………あっ、どうも。ありがとうございますネビル。じゃあせっかくなので、そのカボチャジュースありがたく頂きます」

 

「おっと、それだけじゃ物足りないよな。カボチャパイがこっちにあるぜ」

 

「あとそれと、こっちには口直しにカボチャキャンディも」

 

「ははっ………どうもフレッドにジョージ。じゃあ、そこにまとめて置いといて下さい。後でゆっくり……味合わせてもらうので」

 

「………ロン、早くハーマイオニーのとこに謝り行きなよ。セラス、3時限の授業が始まってからずっとあの調子何だよ?ハロウィンの御馳走を見たら元気取り戻すとを思ったけど………逆効果だったみたいだし、やっぱりロンが直接ハーマイオニーに謝るしかないよ」

 

「そうだぜ。あんな様子のセラス、見たことあるか?今日のパーティでセラスが何皿食べるかの賭けをしてたってのに、これじゃあ賭けも成り立ちやしない」

 

「俺は情けないぜロン。我らが弟が、たった1日で2人の女のハートを射止めちまうなんてよ。勿論悪い意味で」

 

「うるさいな、3人共。……僕だって悪いと思ってる。けど僕は、真実を言っただけだよ。まさか本人が近くにいるとは思ってなかったし、確かにあの時の僕は少しイライラもしてたけど………」

 

「いいですよ、無理して謝らなくって。そんな謝罪ハーマイオニーは望んでません。そんな周囲からの罪悪感でやる謝罪なんて………一体誰が得するんです?」

 

「………重症だな、ありゃ」

 

「ああ。我らが弟は心を射抜いただけに飽き足らず、心に大きな風穴を開けたらしい」

 

「ううっ……それは………」

 

 いつもはジョークばかりを言う2人に詰め寄られ、ロンが今頃になって言ったことを後悔していると、突如大広間の扉が開かれて、そこからクィレル先生がヒーヒー言いながら全速力で駆け込んできた。

 

「トロールが!地下室に!!お知らせしなくてはと思って………」

 

 そう言い残すとクィレル先生はダンブルドアの前で気絶してしまい、大広間は蜂の巣をつついたようにパニックとなった。

 

 そして、そんな中、私はつい先ほどまでのぼんやりとした意識を何処かに放り投げ、クィレル先生の言った言葉を頭の中で反響させ、背中から冷たい汗を流す。

 

 トロールが、地下室に?

 

 クィレル先生のいう、地下室というのは今現在ハーマイオニーが引きこもっている場所そのものであり、トロールがそこにいるということは、ハーマイオニーの身に危機が迫っているという事と完全に同義だったのだから。

 

 

 

 

 

   

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