前投稿からまもなく1ヶ月経過する事に気づき、大急ぎで編集しました。
どうも、熊です。
先日、久々に作品評価を確認したところ、久しぶりに評価の色が赤になっていました。
多数のご評価いただき、本当にありがとうございます。
感想などについても頂ければ頃合いを見て順に返信して頂きますので、皆様気が向いたらご気軽に感想の方をお願いします。
それはそうと夏休みの予定……バイトばっかりで殆ど予定が埋まってねぇ………。
一度きりしかない夏だというのに……これから一体何をしていけばいいんだ………(編集しろ、編集)
”ハリー・ポッターが、あの有名なハリー・ポッターが、寮の点数を150点も減らしてしまった。何人かの馬鹿な1年生と一緒に”
翌日寮の得点を記録している大きな砂時計を見た生徒達の間で、そんな噂が広がり始めた。
学校で人気であり、皆からの称賛の的でありクィディッチでのヒーローだったハリーは一夜で嫌われ者となった。
今や、ハリー、ネビル、ハーマイオニーに話しかけるのは私とロンだけ。
他のグリフィンドール生は事あるごとにハリー達を罵倒し、中立的である程度仲が良かったはずのレイブンクローやハッフルパフもスリザリンに寮杯が回ってしまうと敵に回り、スリザリン生に至っては
「ポッター!ありがとうよ!借りができたぜ!」
などと大きな拍手や口笛ではやしたて、それを目の前でやられ、腹が立った私は即座に彼ら向かって特大の壁魔法をお見舞いし、全員まとめて城外ホームランかつ、3時間ほど医務室送りにした。
尤も、その直後に私はスネイプ先生に捕まり、地下室で数十分間ネチネチ怒られた上、10点のマイナスと罰則を後日受ける事になったのだが、あまり後悔も視線も気にならなかった(後者は慣れたとも言う)為、この際どうでもいい。
「点数云々は授業等で取り返すとして、問題は今夜の罰則です」
「掃除とか書き取りが精々だって、フレッドとジョージは言ってたけど……こんな夜遅く、11時に罰則をやる様子からして、そういう雰囲気じゃなさそうね」
私とハーマイオニーは気を紛らわそうとそんな事を言い、真っ青な表情で絶望し切ってるネビルとそれを励ますハリーを連れ、玄関ホールに向かっていた。
その理由は言わずもがな、先日のドラゴン事件(私の場合、スリザリン生ホームラン事件によるものだが)の罰則だ。
朝食の席で届けられた手紙によると、この先で待つフィルチさんと11時に合流するよう書かれてはいるが、どうも何故か罰則内容が明記されておらず、言えぬような良からぬことをするのではと、私達は一抹の不安を隠せない。
「来たか、ついて来い。向かうはハグリットの小屋だ」
不安がりつつ集合場所に行くと、そこにはドラコとランプを持ったフィルチさんが既に到着しており、フィルチさんは意地の悪い目つきをしつつ、どこか機嫌が良さそうにそう言って外に出た。
生徒を異常なまでに目の敵にし、常に機嫌が悪いと言っても過言ではないのにも関わらず、突如とした機嫌の良さを前に、私は後を付いていきつつも内心不安を隠せない。
「フィルチか?急いでくれ。俺はもう出発したい」
私達が歩いてハグリットの小屋に辿り着くと、そこにはハグリットが小屋の前で待機しており、私同様不安がっていたハリーはホッとした表情を見せた。
………だが、安心するにしても私からしてみれば、普段家で寝っ転がっているだけの飼い犬であるファングを連れ、いつもなら棚の上に飾ってある巨大な弓と矢を持ち出している時点で、どうも安心できる要素は全く見当たらない。
「あの木偶の坊と一緒に楽しもうと思っているんだろうねぇ?坊や、もう一度よく考えた方がいい。お前たちがこれから行くのは、あの森だ。あの
フィルチさんの言葉にネビルは低い呻き声を上げて倒れそうになり、ドラコは表情を強張らせる。
「森だって?あんな場所に、今から行くって?狼男とか、吸血鬼とか、とにかく色んなのがいるっていう、森に?僕は絶対に行かないぞ!」
「夜に訓練もまともにしてない学生が森に行くだなんて自殺行為です!年間夜の森で何人の成人魔法使い達が、抵抗もすらもできず
最後の方に至っては半ば悲鳴とも言わんばかりの叫び声でドラコが言い、ハーマイオニーに袖を掴まれなければフィルチの胸倉を思いっ切り掴まんばかりの勢いで私は怒鳴った。
夜という時間は闇に潜む
そこに広がるのは正しく殺意と狂気の大嵐であり、一瞬の判断を誤れば簡単にそこに迷い込んだ者は死に絶え、名も無き
そんな場所に、私にとって大切で本来できるはずなかった友達を、死ぬと理解しながらも、むざむざ放り込めと?
冗談じゃない!それならば私単独でドラゴンを倒しに行けと命令された方が遥かにマシだ!!
「お前達がどうなろうが私の知ったこっちゃない。そんなに罰が嫌なら問題を起こす前によーく先を考えるべきだったねぇ。尤も、お前達にこれからがあるか怪しいところだが」
「何ですって?言わせておけば────」
「フィルチ。脅すのはそんぐらいにしておけ。罰は罰だが、セラスの言いたいことは尤もだ。俺もまともとは思えん」
嬉しさのあまり声が上ずっているフィルチを、ハグリットはそこで制止させた。
片方の手で拳を握り、もう片方で杖を掴もうとしていた私はその言葉で少し冷静になる。
ここでフィルチに怒鳴りつけてスッキリしたとしても、私達がやらかした事と罰は決して消えない。
むしろ、罰が軽くなるどころか、罰が重くなる一方なのは間違いない。
ここは敢えて、本当に苦肉ではあるが罰を受け、HELLSING局員としてハリー達を守りつつ、やらかした事の清算をさっさと終わらすべきだろう。
「ふん、こいつ等は罰を受けに来たんだ。あんまり肩を持つのはいけませんよねぇ、ハグリット」
「それで遅くなったと、そう言うのか?俺はもう30分も待ったぞ。説教を垂れてたんだろう、え?説教するのはお前の役目じゃなかろう。お前の役目はもう終わりだ。ここからは俺が引き受ける」
「……夜明けに戻ってくるよ、こいつらの身体の無事な部分だけ引き取りにな」
フィルチはこれ以上何も言えないならと、せめてもの嫌がらせに私達向かって悪態をついた。
最後の最後までこちらを射殺しそうな視線で睨むとフィルチは背を向けてしまい、ランプをユラユラさせながら城に戻って行った。
「……気持ちは分かるが、感情的になり過ぎるのは感心せんぞ、色々と。後々面倒事になる。気持ちは、十分わかるが」
「……はい、すいません。思ってた以上に苛ついてたみたいで、つい、手を出しそうになりました。本当に、すいません」
私は腰の杖から完全に手を放して頭を下げ、ハグリットはその姿を見つめるだけで、それ以上私に対し何も言わなかった。
「……さて、ホグワーツに残りたいのなら、お前等は今晩森に行かねばならん。悪いことをしたんじゃから、その償いをせにゃならん」
「ついさっきも言ったが、僕は森に行かない。森に行くのは召使いのする事だ。生徒にさせる事じゃない。同じ文章を何回も書き取りするとか、そういう罰だと思ってた。もし僕がそんな事をしたとパパが知ったら、きっと……」
「あっ、何です?今更になってビビりました?ドラコは口で言うばっかりでほんと、そこら辺ビビりですよね。そんなビビりなばかりじゃ、後々苦労とか後悔とか色々しちゃいますよ?」
「君だってついさっきは反対してたじゃないか!危険すぎるって!!」
「その言葉を一ミリでも否定する気はありませんが、自分のやるべき事を思い出しただけです。仮に狼男やらに襲われたとしても、この通りドラコご存じの拳骨でとっちめますので、絶対に大丈夫ですよ。絶対に」
そう場の空気を和まそうと私は宙に拳を数発振る仕草を見せ、笑いこそ起こらなかったが少し場の空気が和らいだ。
………私の言葉にドラコは妙な変な顔で後頭部を押さえていた気がするが………気にしない、気にしない、大した問題じゃない。
「よーし、それじゃ、よーく聞いてくれ。なんせ、俺達がやろうとしている事は危険なんだ。みんな軽はずみな事をしちゃいかん。しばらくはわしに付いてきてくれ。セラス、一番後ろを頼めるか?」
「
そう言って私は少し震えが収まったネビルの後ろに付き、ハグリットが先頭に立って森のはずれへ向かった。
ランプを高く掲げ、幾つかの
そこから吹く一陣の風が皆の髪を逆立て、それ共に漂ってくる匂いが、その状況を私に把握させる。
「あそこを見ろ。地面に光った物が見えるか?
そこにあったのは傷ついた
しかし
そんな、危険性を顧みず、1度ならず2度までもこんな事をするのは正しく狂気の沙汰であり、こんな事をした犯人に対して私は怒りと僅かな恐怖を覚える。
「お前さん等には今晩傷つけられた
「もし、
「迷わず全力で逃げて下さい、絶対に勝てません。何せ、相手は呪われる覚悟で
私が自分でもゾッとする程冷たい声で言葉を吐くとハグリット以外は生唾を飲み込み、少し震えが収まったネビルは再度震え出した。
脅し過ぎな気もしないでもないが、相手がどんな相手が分からない以上、言う事は少し過剰な方がいい。
………もし仮に賢者の石を狙う者が今回の犯人だとして、それが行うであろう行動が過剰な程度で収まるのか、全くと言っていいほどわからない。
腰に差す杖の柄を固く握り、自身の役目を果たす事を、改めて心の中で誓う。
「僕は、ファングとセラスとが一緒がいい」
私の言葉でまたもビビったのか、ファングの長い牙と腰の杖の柄を握る私を見て、ドラコはそう言った。
「よかろう。断っておくが、そいつは臆病じゃよ。ハリー、お前さんは2人付いて行ってやってくれ。ネビルとハーマイオニーは俺と一緒に行こう。もし
そうしてハグリットはネビルとハーマイオニーを連れ左の道を、私達はファングの先導の下右の道を行った。
入り口から大分離れただろう森の奥は真っ暗でシーンとしており、時折枝の隙間から零れ落ちる月明かりが鈍く光る
辺りを警戒しつつ、私達はしばらくの間その血痕の痕を辿って行く。
「やはりというか、何というか……セラスはいつも、こんな危ないような仕事をしているのかい?随分と慣れた様子で進んでいってるみたいだけど」
血痕を辿って数十分。
長すぎる沈黙に耐えかねたのか、ドラコはふとそんな質問をしてきた。
「私だってやりたくってあんな仕事やってる訳じゃないんですけどね、危ないですし。まぁ、昔から強制的に何度も現場に放り込まれてはいたので、否が応でもこういうのには慣れてしまいましたけど」
「家が家だから仕方ないか。聖28一族の家系として、そういう風な重みは嫌でもわかるよ」
「その割にはファングとセラスを真っ先に連れて行こうとしたり、随分とビビっていたけど」
ハリーはぽつりそんな事を言ってしまい、場の雰囲気は静まり返った。
聞いていなければいいなと希望的観測を脳裏にちらつかせるも、そうは問屋は卸さない。
「セラスがいるからって、急に強くなったつもりかポッター?君お得意の英雄気取りも、今となっては寮のみんなに嫌われて見る影もないようだが」
「余計な事に首を突っ込んで、20点減点されたのは誰だ?マルフォイ?君こそセラスがいるからって、急に自分が勇敢になったと勘違いしているんじゃないかい?」
「君がそれを一番言えないだろうマルフォイ!」
「それはこっちのセリフだよポッター!」
売り買い文句で他愛ない会話は喧嘩に発展してしまい、2人は速足で私の前に出ながら口喧嘩を始めた。
仲がいいというか悪いというか……負けず嫌いなところは共通してても、どうもこの2人は致命的に合わないところがあるらしい。
上手くそこを取り繕えば仲良く出来ない気もしないんですけど、そこはまだまだ幼いというか、両者未熟で、譲ればいい事も両者一向に譲る仕草すらせない。
せめてハリーもドラコもとりあえず、互いに煽るのをやめればいいのにと………私はつくづく思う。
「……!2人共静かに!少し黙って!ここから数メートル先、何か様子がおかしいです」
ぼちぼち2人を止めようかなと思い始めた頃、つい先ほど嗅いだ
「………これは……酷い。
万が一の為、2人を近くで待機させて大樹の詳しい様子を見に行くと、そこには足が曲がるはずのない角度に曲がり、首元からは銀色の血がポタポタと垂れる
木の根元には甚だし量の血が水溜りを作っており、抵抗してのたうち回ったのであろう、
「けど……本当にこれ、”人間”の魔法使いが、全部一人でやった事なんですよね……?いくら長生きしたいからって、
どこまでも美しく、悲しい光景見る度に、私は本当にこれを行った相手が”人間”なのかという、そもそもの根幹たる物に疑問を持ち始めた。
確かに、
だが、その一方その傷口から血を啜ったであろう痕跡は、かつて資料で見た
……前に何処かで聞いた様な話のうち、私の中で本来あってはならず、決して認めはならない犯人像が、次第に私の中で、その実像を描き始める。
「っ……セラス……あそこ……見て………」
私が更に詳しく
そこにはもう一匹の
ハリー、ドラコ、ファングはその物の姿を見ただけで、溢れてくる恐怖と嫌悪感で金縛りに遭ったかのように立ち竦む。
私もまた場を打開しようと杖を構えようとするが、手が震えて柄を上手く持つ握れず、声を出そうにも口が動かず、その場で何かしようにも何もする事が出来ない。
───アーカードには例の奇妙な魔力反応の温床である、アルバニアの森の調査を任せていた
───アルバニアの森周辺に住むマグル達の異形を見たという証言が何件も上がった、が、その件の闇の魔法を行使した魔法使いはそこでそれ以上の動きを見せず、魔法を行使した以降の動向は不明だ
───……俺も奴がここにいるとは思わなかったよ。だが、あの魔法力の気配からして、ほぼ間違いなく奴がやったと断言できる
───………この2つが関係しているなんて事。………まさか、そんな訳ないですよね
脳裏に広がる警笛共に、何故か浮かんだかつてのインテグラさんと
その軌跡は最悪な形でかつての自身の仮説と、その者の正体をわたしに確信させた。
(何で……どうして……こんなところに?何で……よりにもよって……こいつが犯人?私と同じ……死してなお、死なない者。………
口に出さずとも最悪な答えに辿り着いた反動か、突如とした虚脱感と共に、私は思わず倒れ込みそうになった。
それと時同じくして、血を啜っていた者はこちらの存在をようやく察知したのか、ゆっくりと立ち上がり、こちらへ向かってゆっくりと、死を運んで来る。
「ぎゃああああァァァァッ!!」
私が何も出来ずその者の接近を許していると、より強い恐怖と嫌悪感で、ドラコは森が揺れるかと思うほどの悲鳴を見せた。
ハグリットに借りたランプを放り投げながら、同じく酷く臆病なファングと共に、
「……ッ!
ドラコの悲鳴でどうにか虚脱感を脱し、私はようやく杖を抜いて迫りくるフードの者に向かって2つの魔法を放った。
初撃の麻痺魔法はおそらく盾魔法であろう呪文で防がれてしまうも、その直後に放たれた壁魔法による地面からの攻撃は反応出来なかったらしく、フードの者は攻撃を受けた反動で数メートル先に吹き飛ばされる。
「ハリー!早く立って!時間は稼ぎましたが長くはもちません!!私達に一切の勝ち目がない以上、早くここから離脱を───って、ハリー!?大丈夫ですか!?まさか、何処か怪我を!?頭なんか抱えて、一体どうしたんです!?」
「い……痛い……頭が……痛い………。頭が……割れるみたいに……痛い……痛い………」
私がハリーを連れて早々に離脱しようとした最中、ハリーは突如頭を抱え、見た事もないような苦悶の表情で苦しみだした。
何故頭が痛み出したかまでの理由は分からないが、その様子からしてハリーが一人で走れないのは見るまでもなく最早明白。
苦肉の策でハリーを背に背負って走ろうとも考えるが、そんな暇はないとばかりにフードの者がいつの間にか視認できる範囲に舞い戻っており、表情が見えずとも怒り狂った様子で杖を構えている。
「クッ……
フードの者が放った青と赤の光線を掠めながらも、壁魔法でどうにか防ぎ、大規模な爆破魔法で敵を牽制。
敵が爆破魔法を回避する隙を見図らい、ハリーを抱え、木々の暗闇に隠れると同時に、帽子からL96A1改造銃と弾薬を呼び寄せして弾を銃身に装填する。
(ハルコンネンに遥かに威力が劣る狙撃銃で勝負になるとは到底思えませんが、ハリーがあの様子で逃げるのが不可能な以上、ハグリッドが来るまでの時間稼ぎに徹する!小回りの効く狙撃銃で相手を牽制し、相手の目を出来るだけ此方に引き寄せる!)
ハリーを隠した木々から飛び出して敵の注目と引くと、他の木々に身を隠して呪文を躱しつつ、再度木々から飛び出して走りながら発砲。
走りながら撃った為にお世辞にも精度が良い射撃ではなかったものの、それでも法儀礼済み銀で作られた銃弾は敵の張った盾魔法を破壊して、敵の被るフードの頭上を弾が掠めた。
盾魔法が通用しない攻撃にフードの者は一瞬動揺するも、対策は知っているとばかりに直様砂塵を巻き上げて身を隠し、逃げる前にと数発の銃弾を発砲するも全て躱されてしまう。
(注意を引く事はなんとか成功しましたが、やはりと言うべきか、敵は
木々に姿を隠して銃の残り残弾数を確認しつつ、逆転要素が何処にも見当たらない状況に、私の肩からは冷や汗を流れる。
何せ、本来HELLSINGが使う銃弾はほぼ全ての魔法を無力化して対象を破壊するという、正しく魔法使い殺し、初見殺しと言っても過言ではない代物であり、複数対1ならまだしも、1対1の戦闘で負けるなど本来あり得ない。
だが、その不可分はあくまでこちらの弱点が知られていない上で成り立つものであり、あの砂塵を巻き上げた様子からして、銃を使っている間こちらは魔法が使えず、銃という武器の弾数という縛りから、必要以上にこちらが無駄な攻撃をする事が出来ないという2つの弱点をあちらはほぼ間違いなく知っているのだ。
これでジリ貧でなかったら何と言える?
(けど、それでも盾魔法無効というアドバンテージはこちらに大きくあり、このまま大規模な攻撃をしてこないままならば、少なくとも私が早々にやられるという事はない。この膠着状況を長引かせ……ハグリットや他の人の助けが来るまでの時間稼ぎならば……私でも多少……何とかすることが出来る)
実際、ジリ貧なのは事実であるものの、私が隠れている間、私が最初に行った爆破魔法などの大規模な魔法で攻撃すればいいものを、敵は何故かそれをやらず隠れるばかり。
何か大規模な魔法を使えないという事情があるのかもしれないが、今この状況下において、その事情の有利が働いているのはこちらなのだ。
この幸運を、味方にしない手は───
そう思考していた最中、横からの衝撃が私を襲う。
突如とした攻撃に反応出来ず、私は受け身など取れぬまま、無防備に大きく吹き飛ばされた。
「……ンッ!グッ……グゥッ………!と、トロール!?な、何故、こんなところに!?ついさっきまで、ここら周辺にはいなかったはずなのに……!?」
人間なら即死の攻撃に腕を右腕を抑えながら立ち上がると、そこにはいつの間にやら現れていたトロールが鎮座しており、私を吹き飛ばしたであろう棍棒をニヤニヤと笑いながら振り回していた。
「こ、このぉ!今はあなたの相手をしている暇はないっていうのに!!まだ!まだ!!やられる訳には、いかないんです!!」
つい先ほど同様棍棒を振り回そうとするトロールの懐に飛び込み、吸血鬼の馬鹿力で無理矢理背後の巨木に叩きつける。
トロールが叩きつけられた反動で口を開けるのを見逃さずに、直様L96A1の銃口をトロールの喉元に突きつけて発砲。
射出されたマグナム弾はトロールの喉元を突き破って貫通し、その命の灯を完全に消し去った。
しかし、そのトロールを倒した代償と言わんばかりの大きすぎる致命的な隙こそ、敵が長らく待ち望んでいた絶好の機会。
「
今、初めて聞いた声は、想像していた何倍も悍ましい声で呪文を唱え、私の手から銃を取り上げる。
尚且つ、一切の抵抗を許さんとばかりに、手に持ったL96A1改造銃を放り投げて呪文で粉々にし、私にとっての唯一の希望を完全に奪い去った。
………あっ、不味い。死ぬ。
そんな端的な思考ばかりが脳裏をちらつくが、フードの者の杖の動きを止める事は出来ない。
しかし、そんな私が考えた最悪な瞬間は訪れず、耳に残るのは蹄の音ばかり。
何と、頭上からフードの者の動きを止めんとばかりに矢が降り注ぎ、その直後私の頭上を飛び越えて影がフードの者に向かって飛び掛かった。
「………!ケンタウロス………!」
飛び掛かった影の正体とは上半身が人、下半身が馬の獣人ケンタウロスであり、今私の目の前で飛び掛かっているケンタウロス以外にも4、5頭(違和感しかないが、ケンタウロスは人と数えられるのを嫌うらしい)が弓を構え周囲を取り囲んでいた。
あまりの数的不利に怖気ついたのか、フードの者は後ろに飛びのいたかと思うと、宙を滑空して夜の暗闇の中に逃れていく。
「あの高鳴る様な爆発を起こしたのは君だね?ケガはどうやらないようだけど、出来る事ならその手に持つ杖を腰に収めて欲しい。ただでさえ、皆
私を助けてくれた明るい金髪のケンタウロスはこちらを心配しつつ、背後で私に向かって弓を構えてる他のケンタウロス達を見てそう言った。
どうも、高鳴る様な爆発こと銃声を警戒してこちらに向かって来たらしく、森で生きる彼らにとって未知の物を使う私は脅威以外の何ものでもないのだろう。
それにようやく気づいた私はいつもの癖で、いつの間にか抜いてしまっていた杖を見せる様に堂々としまって、何もしないとばかりに両腕を空に上げる。
万国共通の降伏の合図はケンタウロスにも通じるらしく、周囲のケンタウロスは弓を下げずとも多少、こちらへの警戒を緩め、私を気にかけてくれていたケンタウロスは少し安心した様子で大きく肩を降ろした。
「セラス、大丈夫だった?僕、額が痛くなって、途中から意識がなかったんだけど……ずっと君があれと戦ってるのは分かってたから……本当に心配で………」
「ハリー!もう動けるんですね?このケンタウロスさん達が、あと一歩で死ぬところの私の事を助けてくれたんです。……まぁ、今は派手に戦った私の事を警戒して………一方的に弓を突きつけられていますが」
「ハリー?そうか、君はポッター家の子だね?私の名はフィレンツェ。君の父の事はよく知っている。皆、弓を降ろしてくれ。彼を守ろうとしたこの子は敵じゃない」
フェレンツェがそう言うと他のケンタウロスは不服そうな様子ではあるが皆弓を降ろし、こちらを取り囲む陣形を解いて一つの場所に集まった。
ハリーを助けた事で更に少し警戒は解いたようではあるが、何をしでかすか分からない私の事は未だ警戒しているらしい。
「僕とセラスを襲った奴……。あれは……一体何だったの?」
ハリーはそう言ってずっと考えていたであろう質問をするが、私もフィレンツェもそれには答えない。
私同様犯人であろう人物に辿り着いているかまでは分からないが、フィレンツェはどうも言葉を選んでいる様だった。
「……恐ろしい怪物だよ。
「そうまでして、誰が生きたいの?永遠に呪われるんだったら、死んだ方がマシだと思うけど?」
「その通り。しかし、他の何かを飲むまで生き長らえればよいとしたら?完全な力と強さを取り戻してくれる何か。決して死ぬ事がなくなる何か。……ポッター君、今この瞬間に、学校に何が隠されているか知っていますか?」
「『賢者の石』………。………そうか、命の水だ!」
ハリーは跳ね上がった様子でそう叫び、フィレンツェは淡いサファイアの様な瞳でそんなハリーを見つめる。
「……フィレンツェ。この話は、このぐらいにしましょう。出来る事だったら私……ハリー達を……これ以上危ない目に合わせたくないんです」
「……そうだね。口が過ぎたようだ、すまない。だが、その魔の手が直ぐ傍に迫っている事だけは忘れないでくれ。哀れなトロールを2度も操り、力を取り戻す為に長い間待っていた誰かが、命にしがみついて、チャンスを窺っていた何かが、君達の直ぐ傍で、その命を狙っている事を」
「セラス!ハリー!大丈夫!?」
「よぉ、フィレンツェ。その様子だと2人を助けてくれたみたいだな。礼を言う」
迷わず逃げたドラコと出会いこちらに向かって来たのだろう、ハーマイオニー達が心配そうな目で道のむこうから駆けて来た。
「幸運を、ハリー・ポッター。ケンタウロスでさえも、惑星の読みを間違える事がある。今回もそうなりますように。それとセラス・ヴィクトリア。
そう言い残すとフィレンツェは他の仲間と森の奥へと駆けて行き、その後は私達は森を出て、真っ直ぐ談話室へと戻って行った。
「スネイプは、ヴォルデモートの為にあの石が欲しかったんだ。ヴォルデモートは、あの森で待っているんだ。………僕達、今までずっと、スネイプはお金が欲しいんだと思っていた……」
「その名前を言うのはやめてくれ!」
ハリーが例のあの人の名前を口にした途端、私達の罰則が終わるのを談話室で眠りながら待っていたロンは、寝耳に水とばかりと震える声で叫んだ。
今の今までぐっすり安らかに眠っていたのにも関わらず、寝起き一発目で地獄の様な単語を耳にすれば、誰だって少しは叫びたくなる。
「いいえ、違います。今回の事ではっきりと確信しました。スネイプ先生は犯人じゃありません。それどころか、スネイプ先生は今の今まで例のあの人を妨害して、私達の事を助けてくれてたんです」
だが、そんなロンの事など気遣う暇などないとばかりに、私は真っ向からハリーに反論して今言わなければならない事実をこの場で曝け出した。
敵の正体がスネイプ先生ではなく、もう一人の怪しい人物……………否。
悍ましい、もう、人とは言えない何かを、どうしてもこの場で、ハリー達に警戒させなければならなかったからだ。
だが、ハリーは話を聞くどころか眉を寄せる。
「スネイプが、犯人じゃない?それ何処か、僕達を今の今まで助けてただって?冗談じゃない!セラス、君、森でヴォルデモートと戦ってた時に何か吹き込まれたんじゃないよね!?」
「何も吹き込まれてなんかいません。私が自分の意志で辿り着いた結論です。自分でもこればっかりは間違いないと思っています」
「じゃあ何だい?その別の犯人を疑って、その見せた隙でスネイプが石を盗むのをただ待っていればいいってのかい!?」
「そうは言ってないないでしょ!そもそも何度も言う様にこれ以上関わろうとしないで下さい!私が対化物用戦闘銃を用いても勝ち目がゼロだった相手に、ハリーが立ち向かったところで勝ち目はゼロ以下だと言ってるんです!!」
「ちょ、ちょっと、2人共落ち着いて!僕には何が何だか分からないけど、ダンブルドアがここにいる限り、例のあの人は賢者の石に手の出しようがないだろ」
ハリーと私が取っ組み合いでも始めそうな雰囲気になっている中、2つの話が混在して混乱しているロンは、一先ず場を収めようとそんな事を言いだした。
「ロンの言う通りよ。セラス、ハリー、落ち着いて。ダンブルドアは『あの人』がアーカードと並んで恐れている人だって、みんなが言ってるじゃない。ダンブルドアが傍にいる限り、『あの人』もスネイプ、セラスが言う別の犯人だって、指一本触れる事は出来ないわ」
スネイプが犯人だと未だ思っていそうなハーマイオニーの発言は気にはなったものの、結局のところの結論に、ハリーと私は共に黙りこくった。
───
星を読み、未来さえも見通すという、ケンタウロスのフィレンツェの予言。
予言など普段なら気にも留めないにも関わらず、彼の言葉が妙に頭の中にこべりつき、私と同じ