皆様。遅れましたが、明けましておめでとうございます。どうも、熊です。
年末まで投稿しようとしたところを寝落ちし、せめて元旦終わりまでに投稿しようとしたところを連続で寝落ちしました。
やはり……正月は雑煮……!正月に向け撮り溜めしたドラマ………!ストーブで温めた部屋に………!いつでも寝れる環境………!!
これは最早常識…………!!!(常識じゃないし、連続で寝るな)
「臭い……頭が痛い……気持ち悪い………。………何であの『闇の魔術に対する防衛術』の先生はやたら……教室中にニンニクの匂いを振り撒いて……教室中を臭くするんですか?お陰で授業全く集中できませんでしたよ……楽しみにしてたのに………」
「セラスは極度のニンニクアレルギー(そういう設定)だっていうのに、それに配慮しないクィレル先生もクィレル先生よ!それも口に入れるどころか、匂いを嗅いだだけで気持ち悪くなるぐらいの特殊なアレルギーなのに!!」
「ほんと何で………あの先生は吸血鬼が怖いだなんと言って、こっちのアレルギー申告を無視してるんですか………?ただでさえ、ホグワーツは火災に対する意識やら、階段で落ちて死ぬ意識やらがやたらなくて危ないっていうのに………そういう危険を防ぐ教師までもがそんなガバガバな危機管理能力だなんて……どうかしてます………。一度魔法うんぬを語る前に………火災保険とかの諸々の保険にでも入る準備をしておいてください………」
「ホケン?ホケンって何さハリー?それもマグルの道具か何か?」
「………ロン。まさか魔法界………保険が全く存在してないの?」
「余計、危機管理意識がガバガバなのが証明されてるじゃないですか………!?どうなってるんですか………魔法界の危機意識………!」
片方の肩をハーマイオニーに支えられつつ、『魔法薬学』が行われる地下室に向かっている最中、突如発せられたロンの発言に周囲の人間界出身の生徒達は皆ドン引き。
ハリーは掛けている眼鏡を曇らせ、ハーマイオニーは片方の手を顔に当ててため息。
私はというと、未だ本調子ではない体を思わず震わせ、地下室に続く階段全体に響く声で、魔法界の危機意識に対する不満を思いっ切りぶちまけた。
ホグワーツ初日の授業から数日。
本日行われる授業も残り一つであり、一先ず勉強から開放されるという事で、本来ならば皆がウキウキで授業に向かうはずの時間。
それなのにも関わらず、何故、こんなにも私がフラフラになるほど弱ったのか?
何故、こんなにも魔法界の行政システムに文句を言う羽目になったのか?
その答えはただ一つ。
…………全部、クィレル先生のせいだ。
どうも、今年『闇の魔術に対する防衛術』を担当するクィリナス・クィレル先生はルーマニアで吸血鬼に襲われた経験があるらしく、その時の恐怖体験からかゾンビを倒した際に、アフリカの王子様から貰ったという頭のターバンの中に、これでもかと言うほどニンニクを詰め込むことで、吸血鬼対策を施すという私達吸血鬼にとっては最悪でしかない、最低の所業をしている人間だった。
正直な話、吸血鬼にとってニンニクは太陽や水、法儀礼の銀などと違って人体に致命的なダメージを与えるという代物ではなく、別に近くに置いておいても死にもしなければ、触れても問題はないし、例え口の中に入れたとしても、何ら命に問題はない。
………だが、その食べ物の中でも一際目立つ匂いにのみで言えば、それは驚異そのものであり、聴覚や視覚程ではないものの、嗅覚が人間以上には鋭い吸血鬼にとって、あの匂いをひたすらに嗅ぐことは最早拷問。
一嗅ぎすれば目眩がし、二嗅ぎすれば頭痛の嵐。
三嗅ぎすれば吐き気を催し、四嗅ぎもすれば気絶してしまうのだから………命に別条はないにしても、私達吸血鬼にとって傍迷惑なこと他ならない代物なのだ。
そういう吸血鬼の背景から、事前に対策としてしっかり匂いを含むニンニクのアレルギー申告はちゃんとしてあったし、私がこないだ食べたステーキは、他の生徒のものと違い、しっかりとニンニクは材料には入っていなかったし、他のどの料理の一欠片にも、その匂いは全くなかった。
………だが、それなのにも関わらず………あの先生ときたら。
大量のニンニクを身に着けているせいで、教室中の至るところにニンニクの匂いが蔓延してるわ、近づかないでと何度も言っているのにも関わらず、"気分が悪いのでは?"と、私にいた席に近づいてくるわ、呪文を成功させ教室から脱走しようとする私の肩を掴み、挙句の果てにローブにニンニクの臭いを染み込ませるわで、本当に最悪で最低でしかない!
大体、ルーマニアに吸血鬼だなんてものは生息していませんし!アフリカにゾンビなんてものは発生しません!!
何より、何がどうなったら王子様にターバンを貰い、挙げ句貰い物にニンニクなんてものを詰め込もうなどという奇想天外な話に発展するんですか!?全く理解が出来ない!!
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
ニンニクの匂いが一切ない地下室の空気によって、私の気分が少しだけ良くなり、戻った元気の赴くまま、脳内でクィレル先生の文句を垂れ流していると、いつの間にか出席の時間は終了。
ローブがやたら長く、かなりのグリフィンドール嫌い(ロン談)で有名らしいセブルス・スネイプ先生が、やたら長いローブをたなびかせながら、この場の生徒達全員の前で大層な演説を始めていた。
「我輩が教えるこのクラスでは、杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、それでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち上る湯気、人の血管をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。吾輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である―ただし、吾輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
どうも、スネイプ先生はかなり『魔法薬学』という分野について、一定の誇りを持っているらしい。
確かに、私は吸血鬼だからこそ怪我や病気こそはしないが、普通の人間にとって大きな怪我や病気は自力で治癒出来るものではなく、それは医者や薬でしか治しようがない。
だからこそ命を扱うこの科目に誇りを持つ事は立派な事であるし、ここまでの演説をするというのだから、何処ぞの
杖を使った魔法程ではないが、HELLSING直伝の魔法薬調合の裏技については多少心得ているし、スリザリンとの合同授業ということもあって、もしかしたらドラコと話せる機会が少なからずあるかもしれない。
「ポッター!」
私がそんな期待を膨らませていると、突如スネイプ先生がハリーを大声で指名。
呟くような声からの大きな声に、ハーマイオニーを挟み隣にいたハリーが思わず飛び上がる事となる。
「アスフォデルの球根の粉末に、ニガヨモギを加えると何になる?」
なんと、この先生、人が期待していたのも束の間、突如として鬼畜な難題を放り投げてくるインテグラさんタイプの優秀な人間だった事が判明した。
まず、この問題の答えはアスフォデルの球根の粉末に、ニガヨモギを合わせると『生ける屍の水薬』になるが正解。
『生ける屍の水薬』は非常に強力な眠り薬であり、多くの魔法生物に対しても有効ということから、度々
ハーマイオニーの様に、教科書を丸暗記しているならまだしも、こんな6年生の内容を全て暗記しているクソ真面目な生徒が多くいるとは到底思えないし、何人かのスリザリン生がクスクス笑いを溢しているが、彼等彼女等も答えられるかどうかはかなり怪しい。
「……わかりません」
そりゃそうだ、と思わず言いたくなるほどの予定調和。
だが、それなのにも関わらず、スネイプ先生はハリーを鼻で笑う。
「チッ、チッ、チ──どうやら有名なだけではどうにもならんらしい。ではもう一つ。ベゾアール石を見つけてこいと言われれば、どこを探すべきか」
ベアソール石。
危険度XXXXX級の伝説級魔法生物が使うレベルの毒でなければ、ほぼ全ての種類の毒を解毒することが出来るという、人間界でせっせと血清を作ってる人達からしたら、眉唾ものの反則級の物質。
確か、山羊が食べた物をすり潰す為に自ら飲み込んだ石が変質した物質であり、何故この様な効果を持つようになるかの原理はウォルターさん曰く現在研究中らしいのだが………都会に済んでいるであろうハリーはそもそも山羊にあったことなんてないであろうし、ついさっきの問題同様、人間界出身のハリーがこの答えを知っているはずがない。
「わかりません」
「入校までに教科書を一度も開かなかったのかね? ポッター、ええ?」
当然の回答をするハリーをまたしてもスネイプ先生は鼻で笑い、数人のスリザリン生は声に出さずケラケラと、身をよじってハリーの事を嘲笑った。
そんな人の事を間違いなく笑えないだろうスリザリン生達に対し、私は思わず拳を握り、スリザリン生達を射殺すような視線で睨みつけ、笑っていたスリザリン生達はドラコ同様暴力を振るわれると思ったのか、青い顔をして笑い声を止める事となる。
「他の授業で散々謝罪の言葉を述べたのにも関わらず、我輩の前で生徒を睨み、拳を握るとは非常に良い度胸。大変不敬だ。グリフィンドール、1点減点」
「………あっ、これは………すいません。ハリーが馬鹿にされたので………つい…………」
「反省をしているというのならば、それ相応の責任の取り方を見せてもらおう。ハリー・ポッターに課した質問と内容は同じだ。まさか授業を妨害しておいて、答えられないというわけではあるまい?」
「まさか、とんでもない。………けど、こういうのって、先に手を上げてたハーマイオニーが答えるのが筋なんじゃ………」
「何か言ったかね?」
「いえ、何も」
「おい、見ろよ。ハリー•ポッターが答えられないからって、今度はあいつが答えるみたいだぞ」
「暴力ばかりを振るう蛮族で、知性が如何にも欠片もなさそうな、あいつが?どうせ無理に決まってる」
「そうよ、そうよ。名家気取って聖28一族のマルフォイに手を出すような奴が、あの問題を答えられるわけがない」
「スナイプ先生もスネイプ先生よね。あんな子今直ぐにでも追い出せばいいのに、減点しただけで追い出さず、ここに置いて授業を他の子同様授業を受けさせるだなんて………何処まで懐が深いんだか」
散々の言いようのスリザリン生達をもう一度睨み、中指を立てたいのを我慢しつつ、私はそんな人達に目にものを見せてやろうと、堂々と席から立ち上がる。
「まず、アスフォデルとニガヨモギを合わせると『生ける屍の水薬』という、強力な眠り薬となります。見た目は水のように澄んでいて透明で、多くの魔法生物に対しての麻酔薬としても使われます。次に、べゾアール石は山羊の胃からとれる石で、珍しい種類の毒でなければ、ほぼ全ての種類の毒を解毒できる解毒薬になります。また、その正体は山羊が食べた物をすり潰す為に自ら飲み込んだ石が変質した物質なのですが、何故その様な効果を持つのかは不明であり、現在研究が進められています」
「………ふむ、その通り。完璧な回答。暴力が振るうしか脳がない蛮族かと思っていたが、最低限の責任の取り方は知っているようだ」
よしっ。
流石はウォルターさんに予習させられた内容をまんま、そのまま言っただけのことはある。
自慢げに席に座ると私に向かって、他のグリフィンドールの生徒達からは称賛と驚きの視線が向けられており、少しこちらをつい先程から心配そうな視線で見ていたドラコを除く、多くのスリザリン生からは、何であんな問題を答えられるんだ?、といった様子で困惑と、恨めしげな視線がこちらに注がれた。
少しだけずっと手を上げていたハーマイオニーの頑張りを無下にしたようで、少し気にはしていたのだが、どうやら本人はあまり気にしていなかったようで、恐る恐るチラッと隣を見てみると、こちらに向かって大丈夫のジェスチャーをしている。
「では、最後にもう一度ポッター。モンクスフードとウルフスベーンとの違いは何かね?あの様な蛮族が答えられたのだ。さぞ有名な君ならば、今度こそは答えられるはずだが」
…………何と、私が安心していると、まさかまさかの最後の質問。
ハリーは当然知らないし、部屋中の誰も(ハーマイオニーは例外)答えを知らないようで、自然と部屋中の生徒の視線がまたも私に集まるが、仕事で使わない知識など私が優先して覚えているはずがないし、この様な座学関係は、隣で手を上げているハーマイオニーの管轄。
何かの植物だったことは覚えているが、その何かが何なのかは覚えてはいないし、まして、その違いなど答えられるわけもない。
「………分かりません。ハーマイオニーが分かってるようですから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」
「結構だ。グレンジャーも座りなさい。モンクスフードとウルフスベーンだが、同じ植物でトリカブトのことだ。アコナイトとも呼ばれる。有名なだけではどうにもならんらしいな、ポッター。………どうした諸君? 何故今までの内容を全部ノートに書き取らんのだ?」
スネイプ先生の言葉にハッとなり、一斉に羽ペンと羊皮紙を取り出して、内容を必死に書き取り始めた。
その後は、ハリーが理不尽に1点減点されつつも、待ちに待った実習の時間。
私はともかく、ハリーに対する親でも殺されたのか?と思うほどの当たりの強さには気にはなったものの、授業の内容はこれまでの様子とは一転、とてもわかり易く、ついさっきのニンニクの匂いを撒き散らしては、授業の妨害をする何処ぞの誰かと違い、要点をきっちり抑え、調合のポイントをしっかりと説明してくれた。
そして、始めての授業ということもあり、基礎の基礎で、調合もさほど難しくない、簡単なおできの薬を作ることとなり、先生が生徒を2人組のペアにしていったのだが………
「どうもードラコー。朝食ぶりです。楽しく授業やってました?」
「ああ、勿論。君も大層楽しそうにやっているそうじゃないか、セラス。先生方全員に頭を下げては、実習のみ得点を獲得する問題児と、ハリー・ポッターのネームバリューには流石に負けてはいるが、君も大概問題児としてもう既に学校中で有名だ」
「いや、何ですかその珍ニュース?全く嬉しくないんですけど、そんな悪名みたいなもので有名になって」
グリフィンドールもスリザリンも奇数なため、1組は他寮の生徒と組むペアが必ず出来るのだが、何と、何を考えたのか、スネイプ先生は少し腹が立つオールバックこと、ドラコを私のペアにした。
スネイプ先生がスリザリンの寮監という事もあり、この決定には誰も逆らおうとはしなかったものの、例の事件の知っているスリザリン生達からは私に対し、警戒や困惑の視線が周囲から向けられており、”ドラコに何かしたらわかっているな?”という、無言の警告がひしひしと、伝わってくる。
まぁ、他の人達の気持ちとは裏腹に、当然何もする気がない私からすればその様な警告あってないようなものではあるし、元々ドラコと話したかった関係上、この様な場が設けられたというのは、逆にありがたい限りで結果オーライなのだが。
さてはて、ドラコがつい先程話していた珍ニュースの詳しい内容こそは気にはなるもののそれ以上は時間がないため聞かず、肌の関係上水に触れるのは不味いという事で、鍋関係の仕事をドラコに担当して貰い、一方の私は蛇の牙や干しイラクサをすり鉢で潰すといった、力仕事を担当して調合する事にした。
干イラクサの分量を慎重に計り、蛇の牙を粉々になるまで丁寧に砕いていき、周りの心配とは裏腹、私達の作業自体は真面目かつ順調に進んでいく。
「セラス。その蛇の牙粉々にし過ぎているんじゃないか?教科書ではもっとざっとで良いとあるが………」
「いえ、これで良いんです。牙の粉々具合は。確かに、成功の安定性を求めるのならざっと砕いて、篩に掛けた方が良いんですけど、3つほどの工程を省き、短時間で薬を完成させる裏技を使うのであれば、粒を均等に砂粒ぐらいまで砕いてから、鍋に入れて煮込んだほうが効率が良いんです。まぁ、もっとも、この裏技は粒を均等に粉々にするのに、だいぶコツが必要で、練習も沢山必要になりますから、あまり人に、オススメ出来る方法では、ありませんが」
「へー、なるほど。そんなやり方もあるのか。やはり”実習は”、得意と豪語することもあって、セラスはそこら辺手慣れているな」
「まぁ、あくまで、”実習は”、なんですけどね。ここかなり重要です。座学なんてもの本当に覚えられる気がしませんし……やる気出ませんし………チラッと中身を見ただけで直ぐ眠くなっちゃいますから………本当に……苦手です。ドラコは『魔法史』の授業、もう受けました?あれとかもう典型例です」
「眠くなるかは別として、確かに、退屈な授業ではあるよな。先生の声も小さくて内容も聞きづらいし、テストの内容自体も学年ごとに違いは当然あるが、毎年全て同じ内容だそうだし」
「毎年全て同じ内容のテストって………それ最早テストじゃないじゃないですか。高学年から内容聞き出したもの勝ちのテストとは違う、別の何かです」
「全くだ。『闇の魔術に対する防衛術』の教師といい、ダンブルドアの人選は謎が多い」
「全くもって、その通りです。あっ、そろそろ角ナメクジ引き上げていいですよ。いい茹で加減です」
「なるほど、これくらいでいいのか。確かに、教科書通りのいい茹で加減だ」
「ほう、これは見事な」
ドラコが教科書を見ながら満足げにしていると、つい先程から様子を伺っていたであろう、スネイプ先生がこちらにやって来る。
「諸君見たまえ。これが正しい角ナメクジの茹で加減だ。初回の授業でここまでとは、流石だなマルフォイ。この完璧な角ナメクジに、スリザリンに5点」
なるほど、ドラコと私をペアにしたのはそういう事ですか。
”実習は”得意な私をペアにしておけば、余程のことでない限り失敗はまずない、と言っても過言ではないし、仮に失敗したとしてもそのミスを全て私の責任にすれば万事解決。
全く知らないスリザリン生と組まされて得点を横取りされたならまだしも、知り合いかつ仲のいいドラコになら得点を横取りされても文句は言えないし、スネイプ先生もその事をわかっているだろうから、お気に入りの生徒であるドラコに対し、合法的に大量の点数をつける事ができる。
手柄を横取りされたこと自体は少々腹は立つが、何とも狡猾で、スリザリンの寮監らしい、見事な手腕だという他はないだろう。
「うわぁあ!!!」
私が思わずスネイプ先生に感心していると、ネビルが大きな音ともにどういうわけか大鍋を溶かしてしまい、自身の下半身ほどの大きさはあったであろう鍋を、ねじれた小さな鉄塊に変えてしまった。
こぼれた薬が石の床を伝っては、緑の煙が地下牢一杯に広がりており、危険臭を察知した私は煙が引火しないよう念の為、鍋の火を一度消し、持っていた2つのハンカチのうち片方をドラコの鼻に押し付け、自身もまた鼻と口をハンカチで抑える。
「バカ者!大方、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?フィネガン、ロングボトムを医務室に連れて行くように」
大被害をもたらした事に、怒り心頭スネイプ先生は体中におできが容赦なく噴出して泣き出していたネビルを叱り、ペアで作業していたシェーマスにネビルを医務室に連れていくよう命じた。
「君、ポッター、針を入れてはいけないと何故言わなかった? 彼が間違えば自分の方がよく見えると考えたな?グリフィンドールはもう1点減点だ。」
何と理不尽な事に、スネイプ先生は全く関係のないハリーまでを減点し、減点された本人のハリーは当然反発。
近くにいたロンが口を開きかけたハリーを小突いて止め、私は私で文句を口に出そうとしたところを、ドラコにローブを掴まれて止められてしまい、スネイプ先生は後片付けに追われ、私とハリーはスネイプ先生に文句を言うタイミングを失ってしまう。
「ちょっと!何で止めたんですドラコ!?今のは流石に理不尽が過ぎるでしょ!」
「だとしてもだ。君もポッター程ではないにしろ、既に君も十分スネイプ先生に目を付けられている。ここで無理に飛び出して、一生クラス出禁にはなりなくないだろう」
「それはそうですが、スネイプ先生のハリー嫌いもはここまで来ると、親でもハリーに殺されたのか、っていう次元で最早異常。ほぼ初対面のはずだっていうのに……何で彼処まで嫌っているんでしょう?」
「さぁ?父上とスネイプ先生は仲がいいが、流石の僕もわからない。前に父上が、”スネイプ先生とポッターの父は同級生だ”とポツリ、言っていた記憶はあるが………」
ドラコが遠い記憶を思い出してはくれたものの、やはり何故スネイプ先生がハリーを目の敵にする理由はわからず終いのまま、私達は作業に戻る事となり、その後も度々私が裏技を披露した効果あって、どのペアよりも早く調合が終了。
ドラコが調合した薬の素晴らしさをみんなの前で、耳が痛くなるほど力説した後、スネイプ先生はスリザリンに5点。
”多少”は調合に貢献したとして、グリフィンドールになけなしの1点与え、授業は終わりを迎えたのだった。
「何あの先生!?調合の手柄の殆どはセラスなのに、スリザリンは5点で、グリフィンドールは1点だなんて、どう考えてもおかしい!授業の内容がわかりやすくて、アレルギーの事を全く考えないクィレル先生よりはましだとしても、あの先生も先生でどうにかしてるわ!!」
「まぁまぁ、ハーマイオニー落ち着いてください。私の分の点数はプラマイゼロでチャラになったんですし、あのぐらいの贔屓をする人この世に沢山います。それに………授業の内容自体はわかりやすいですし………調合が失敗した時の対処も早かったですし…………何よりニンニクの匂いも撒き散らしませんでしたから………多少………スネイプ先生にも良いところはあるかもしれないんですし………もっと落ち着いて────」
「落ち着いてなんかいられるわけないじゃない!手柄を横取りされたんだから!それに最後のは人としてのマナー!!………セラス。何であなたスネイプ先生に怒ってないわけ?理不尽な減点をされたハリー以外で、スネイプ先生に誰よりも怒っていいはずなのはセラスなのに!」
「だ、だって………。私に対する………インテグラさんの態度(あそこまではネチネチはしてないし、それ以上に頬つねってくるのだが)、いつもあんな感じですし……………誰かに小言を言われて………ちゃんと真正面から褒められないのはわりと………いつも通りというか…………慣れてますし────」
「あー、もう、埒が明かない!私、マクゴナガル先生に今日の事を抗議してくるわ!クィレル先生の事も然り、スネイプ先生の事も然りね!セラス!あなたも行くわよ!あなたが今回一番の被害者なんだから!!」
「ちょ、ちょっと、ハーマイオニー?本気でマクゴナガル先生に行くんですか?確かに、クィレル先生の事は後で報告しようと思ってましたけど、スネイプ先生の事まで?………ちょっと?ハーマイオニー?話聞いてます?私の話、ちゃんと聞いてます?あと、いつまで引っ張るんです?私のローブ!」
結局、暴走機関車並の勢いでマクゴナガル先生の所に向かうハーマイオニーを止められず、私はハーマイオニーの勢いのままに振り回され、マクゴナガル先生の部屋に着く頃にはもう息が切れ切れで、立っているのもままならない情けない姿を晒すこととなった。
後日、クィレル先生はかなりのお叱りをマクゴナガル先生から受けたらしく、ニンニクをターバンの中に詰めるのをやめ、代わりに自身と教室中に吸血鬼祓いの臭い香水を大量に散布。
その匂いがニンニク以上に大不評だったらしく、結果、クィレル先生の”匂いの感覚がおかしい人”、という言われても仕方がない、何とも不名誉な認識が定着した。
なお、更に後日、スネイプ先生の態度は現在進行系で変わっていなかったため、マクゴナガル先生の所にまたしても向かおうとするハーマイオニーを私が全力で止める羽目になるのだが………これはまた別のお話。