陰キャリア充なひとりちゃん   作:粉物を作る時のダマの様な存在

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すいません……
ちょっと難産で遅れました。


第5連符目 私の幼馴染のペルソナが激しすぎて、多重人格を疑う事もたまにあります。

入学式も終わり、ぼっちが確定した私は、優くんの様子を見に、クラスまで来たのだが……ちょっとした人だかりが出来ていた。

 

会話を聞く限り、優くんを見に集まったそうだ。

 

私もその方が観察し易いので、その人混みの端の方に紛れて、優くんを見る。

 

そこにはお硬い顔で本を読みながら、机に座っている幼馴染がいた。

 

中学と変わらないなぁ。

優くんのあの感じ。

 

実は中学の頃から、ワザと無口な無愛想キャラを優くんは演じている。

本当は優しくて、冗談とかも結構言うし茶目っ気がある感じなのだけど、それを表に出そうとはしない。

 

イケメンという理由で陽キャグループに強制加入させられたくないって言ってた。

 

友達を作るのすら四苦八苦している、ぼっちな私からすれば、何贅沢な事をしてるんだって思っちゃう。

 

だけど……幼馴染だから優くんの事情もある程度は知っている。

 

優くんは小学生の頃だけクラスの中心的なグループに属していた。

これは私の予想だけど、それが辛かったから、優くんは仮面を被り人付合いを避ける様になったと思っている。

 

幼馴染の癖に、私も何があったのかはよく知らないんだよなぁ。

優くんのお母さんに聞いた話から推理しているだけだし……

 

前に聞いた時も黒歴史ってはぐらかされた。

私にはたとえ幼馴染でも、それ以上に踏み込んで行く度胸もないし……

というか、それを聞くだけでも1ヶ月位かかったし…

 

そういえば…小学生の時に優くんがなんか変だと感じて、理由を聞いた時もはぐらかされていた気がする。

 

実際、あの頃の優くんはちょっとおかしかった。

やたらと妹の世話をしたがるし、ため息を吐いたり、悩んで頭を抱えてることもあったから、かなり辛かったんだと思う。

 

 

あとは……普通に1人が好きなタイプだ。

 

中学生になって、他人との付き合いを辞めた優くんはかなりイキイキとしていた。

 

お小遣いを貯めて、アニメの聖地?だっけ……まぁ、アニメの舞台になった場所を1人で訪れたりしていた。

 

 

でも……やっぱり羨ましいなぁ。

 

自分からアクションを起こさなくても話しかけて貰えるなんて、私には夢の様な環境だ。

 

優くんに嫉妬しちゃう。

八つ当たりだって分かってるけど……

 

 

あれ?……よく見たら優くん、澄まし顔してるけど、かなりピリついてない?

 

いや、こんなに人に囲まれて見られてたら、そりゃストレス溜まるよね。

 

そこは同情する……

 

 

「何してるんだー、こんな所で。」

 

っぎゃ!!

 

「おー、佐藤氏。こっちこっち。」

 

なんだ……私の近くにいる女子が話しかけられただけか…

変な声出るところだった。

 

「で、何してんのお前。」

「今、面白い場面でね。それを見てる。」

「イケメン眺めるのがそんなに良いのか?私にはわからん。」

「それは拙者もわからん。面白いのはこのクラスの局面だね。」

 

近いから、会話の内容がよく聞こえる。

 

女の子なのに拙者って……

話しかけた方の女子も男勝りな感じだし……

私と違ってキャラ濃いな。

なんか気になってきた。

 

「局面?どういう事だ。」

「今ここで学年の覇権グループが決まろうとしている。」

「面白そうだ。説明してくれ。」

「うむ。状況としてはあのイケメン君を取り込みたい、同じクラスの男女グループAとB、という構図だね。」

「なるほど。あのイケメンくんは確保したいわな。」

「そう。高咲優はジョーカー。学年・学内はもちろんのこと、他校にまで通用するかもしれないスーパーカード。このカードを持つだけで売り手市場に突入。最も学年で優位なグループ……つまり、覇権グループとなれる。」

「そんなに上手くいくか?」

「愚問。この状況がそれを証明している。何もイケメン見たさで、皆様方がここに留まっている訳じゃない。見定めているのさ。負けた側のグループと付き合う訳にはいかないからね。つまり、そういう意識をさせていること自体が圧倒的勝者たる証明。」

「おもしろ。負けたら赤っ恥だ。」

「勝ったら覇者だからね。リスクもでかいさ。ヒリヒリするね。」

 

横の人達の話、なんか難しくてよくわかんないけど……

優くんが人気なのはわかった。

 

「さあ、あと6分。この休み時間が終わり、次のホームルームの後は午前授業だから放課後だ。この休み時間中に地盤を固めておきたい所だが……」

 

そんな時、とあるグループから声が聞こえた。

 

「なに?由美ちゃん達、あの高咲君?が気になる感じ?俺、友達になってこようか?」

「エ!イイノ!?」

「任せろって。俺、コミュ力は高いんだぜ!」

 

 

「おい。あの男、突撃するみたいだぞ。」

「ああ。果たして、あの男が女子にとっての英雄となるのか、ゴミとなるのか、楽しみだね。」

「予想は?」

「あの突撃する男を知らないからなんとも言えない。まぁ、ベストアンサーは唯一笑顔を見せた妹君の話題かな。バッドは顔の良さ、若しくはこの囲まれている状況に対する事で、無難なのは部活動の勧誘辺り。」

 

惜しい!

無難な話題は「今期のアニメ、何が面白い?」だ。

誰がわかるか。って感じだけど……

 

それにしても……よく見てるなぁ。

無難な話題以外は合ってる……

 

「なんで、イケメンがNGなんだ?良いじゃねぇかイケメン。」

「本人がそれで喜ぶならね。この囲まれている状況で動揺も浮つきもない。良くて無関心、最悪コンプレックスという可能性がある。前者なら会話が続かないし、後者ならそれこそ最悪。実は内心喜んでるなんて、今の状態から推察出来ない主観的な妄想をファーストコミュニケーションに選ぶなんて、頭がおかしいか馬鹿だけだよ。」

「どうせ私はバカですよ〜。てか、誰もそこまで考えて生きてねぇよ。」

「すまんね。熱くなった。でも、本当に仲良くなりたいなら、それぐらい気づくでしょ?」

「良い話風にまとめんな。」

「これは手厳しい。まぁ、静かにしようか…突撃しに行ったみたいだし。」

 

びっくりした〜

け…喧嘩になるかと思った…

でも、穏やかな雰囲気だ……羨ましいな。

じゃれてるだけな気がする。

 

 

因みに優くんに突撃する男子はたぶん撃沈する。

 

優くんの苦手なタイプの人っぽいし。

相手からの会話のボールを全て叩き落とす未来が見える。

 

だけど……たしかに優くんは私の妹の話題を出されたら弱いと思う。

優くん、妹のこと大好きだし……

 

優くんが私の家族以外で妹の話をする場面を見た事が無いから、何も予想できない……

 

もし、優くんが妹の赤ちゃん時代の写真を見せてマシンガントークでも始めようものなら……

 

なし崩し的にグループに入る事になって……

 

「俺、渋谷のナイトプールでサーフィンしに行くから、今日は1人で帰って。」

 

みたいな事が増えていって、最悪の場合……

 

「俺、同じクラスの由美ちゃんと付き合うことになった。だから…もうひとりと一緒にいられない。でも、ふたりちゃんには会いに行くから、その時に友達として接してくれたら嬉しいよ。」

 

 

いやぁぁぁぁあ!

 

その覚悟は出来ているけど、やっぱりキツい!

できることなら、高校3年間はこのままの関係性が良い…

 

さすがに同じ大学に通うとかは無理だから、初カノはその時にして欲しい。

どうか私の知らないところでお願いします……

 

優くんが大学生の間に、私は印税で暮らせるようになって、優くんを養う。それが私の夢なのだ。

 

 

遂にクラスの男子が優くんの目の前に立った。

 

優くん!チャラ男なんてぶった斬って!

お願い!

 

 

「高咲くん!お前モテモテじゃん!すげぇな!」

「なにが?」

 

あ。終わった。

皆も注目していたせいか、クラス中が静まり返る。

 

「ぇ?……イヤ、」

「ごめん。強く言いすぎた。でも、こういうのは苦手なんだ。ちょっと廊下で頭を冷やしてくるよ。」

「お……おう。」

 

うわ……流れる様な会話の拒否。

言外に話しかけんなって言ってることがこっちにまで伝わって来る……

 

私が初対面で話しかけた人にあんな対応されたら、一生他人に話しかけられなくなるよ……

 

 

教室の外に出た優くんは歩いて何処かへ消えていった。

すると、周りもざわめきだす。

 

「かっこいい。」

「ね!めっちゃクール!」

「優様……」

「媚びない姿が最高。」

 

え?

普通の女子目線だとアレがかっこいいに変わるの?

イケメンって凄いな……

私からしたら、拗らせた男子にしか見えないんだけど…

 

すると、近くに居た拙者女子達も話始める。

 

「拙者は感動した。まさか人が偶像になる瞬間を目撃できるとは……」

「相変わらずお前、時々変なこと言うよな。」

「今、高咲優は不可侵な存在へと変わった。あんな対応を見せつけられれば、まともな男女は話しかけられなくなる。それが空気を作り、彼自身の美貌がその空気を高潔な物に変換し、やがてこの学校の偶像となる。」

「なるほど。」

「そんな瞬間に立ち会えたんだ。感動的だろ?拙者個人としても、顔がいいことを鼻にかけて好き勝手してるよりは好感が持てる。」

「それはわかる。教室戻って話そうぜ。」

「そうだね。」

 

私も教室に戻るか……

結構人も散り始めたし。

 

戻りたくないなぁ。ぼっちだし……

 

 

クラスに戻ると、クラスの女子達は優くんの話題で持ちきりだった。

その横を素通りして、私は自分の席に座り、携帯をいじる。

 

結局、私はぼっちな優くんを見て、ぼっちな自分を慰めるしか無いのか……

 

はぁ。中学と何も変わらないよ……

 

すると携帯が震える。

優くんからのロインだった。

 

優(幼馴染)

:俺のクラスで何してたの?

 

後藤ひとり

:ぼっちになったから、ぼっちな優くんを見てた。

 

優(幼馴染)

:ドンマイ。俺を精神安定剤に使っちゃダメよ〜ダメダメ! 

 

 

これ、本当に同一人物?

 

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