20XX年XX月XX日金曜日午後5時13分、XX大学XX学科2年、君塚明日香が死んだ。場所は大学内の図書室、使われた凶器はナイフだった。
生前君塚はよく近代文学を読むほど読書が趣味だ。好きな本は太宰の『人間失格』。独特で感情移入し難い主人公と、リアリティのある暗い人間模様が気に入っているそうだ。この日も新たに本を借りるため図書室へと来た。事件が起こったのはその時だ。
容疑者は二人。一人目はXX大学XX学科2年、後藤大輝だ。
サッカーサークルに所属する彼は、遅くまで校内に残って練習していることが多かった。高校ではエースとして活躍していた彼は、瞬く間にサークル内でもトップの選手となった。先輩や、後輩からの信頼も厚く、曲がったことを嫌う正義感の強い男であった。
後藤は入学して間もなく君塚と交際を開始し、頻繁に連絡を取り合っていたという。しかし、後述する男性との浮気が発覚し、事件前夜に通話上で激しく糾弾し、すぐに関係を絶つことを要求した。翌日君塚にそのことを問いただしている途中、煮え切らない様子の君塚に激怒し、我を忘れ君塚を殺害したと考えられる。
二人目の容疑者はXX大学YY学科1年、藤田颯馬だ。
藤田は人懐っこい性格で、人とすぐに打ち解けることができ、そのコミュニケーションの高さから交友関係を広く持っていた。君塚と同じカラオケサークルに所属しており、その時にサークル内の紅一点であった君塚に一目惚れし、交際を申し出た。
君塚は既に交際していることを黙したまま、藤田との交際を始めた。事件前夜、後藤から激しく糾弾された君塚は、後藤からの報復を恐れ藤田に強引に交際をやめることを告げた。しかし藤田は自分が浮気相手であった事を知らなかった。騙されていたことによるショックと、急に別れ話を持ち掛けてきた君塚に激怒した。そのことが起因して、翌日に君塚と口論でヒートアップしてしまい殺害してしまったと考えられる。
前述の通り君塚明日香は恋多き女であった。承認欲求が非常に強く、常に自分を必要としてくれるものを探していた。彼女にとって男とはこの女の欲求を満たすものでしかなく、二人はただ利用されただけの道化なのだ。あの女が本当に求めるものなんぞ決してあるはず無いというのに。
遠くからサイレンの音が聞こえる。恐らくまだ校舎に残っているだろう二人の内どちらかが犯人になるだろう。まぁ、すべては警察が来てから判明することだ。
正解は一つ、お前は誰だ。