無職転生-魔術を極める-   作:魔術師見習いa

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ラノア魔法大学

 私はロキシー先生のおかげで無事にラノア魔法大学に到着した。

 ロキシー先生の推薦もあり、特別生として入学することが出来た。

 無事にラノアについたこと、魔法大学に入学できたことを手紙でお父さんとお母さんに報告する。

 魔法大学に入学して半年、私は治療、解毒、召喚の授業を受け、治療と解毒を上級まで覚えた。

 召喚は専門の先生がいない為、初級と中級だけ覚えた。

 神撃と結界は教えられないそうなので、先生にどんなものか見てみたいですと上級まで見せてもらい覚えた。

 教えることがだめなだけで、一目見て覚えるのなら問題ないでしょ。

 先生にそういうと、かなり微妙な顔をしていた。

 後、火、風、土の聖級魔術を習得した。

 

 半年間で解毒魔術が一番大変だった。

 中級や上級の種類が多すぎる上に、詠唱が物凄く長い。

 詠唱を覚えるのはすぐに諦めて、魔術を発動させ効果を覚えることを頑張った。

 解毒魔術に関しては魔力の流れなどを研修し、症状に合わせて治療できるようになりたいな。

 

 まあ、他の生徒に引かれるような速度で、私は魔術を習得していった。

 夜は寮で魔力が切れるまで魔術を使い続け、魔力の流れのパターンの研究を行った。

 そんな生活を半年もしていたこともあり、魔法大学で習うことがあっという間になくなった。

 習うことが無くなった私は、図書館の本を読み漁り、集めた情報を研究室を借りて朝から晩まで研究している。

 たまに不良に絡まれることがあったけど、魔力で身体能力を強化して全員殴り倒した。

 最近は懲りたのか絡まれることも無くなり、落ち着いて魔術の研究が出来ている。

 

 そんな魔術の研究に没頭する日々を送っていると、家族から手紙が届いた。

 ルディは私が抜け駆けしたことを知り、お父さんに入学したいと頼んだそうだが剣術の修行があるからと断られたらしい。

 抜け駆けしたことは不満みたいだけど、そこまで怒っているわけではないみたいで、村で出来た友達の自慢をして来た。

 名前はシルフという少年らしい。

 

 そういえば、私魔術の研究してて友達いないな。

 それに魔術の話以外出来ないしな。

 魔術に関しては最近は先生も理解してくれないほど詳しくなってしまっているらしく、魔術についての話が出来る相手もいない。

 先生曰く、私の扱う攻撃魔術はすでに帝級らしく、逆に教えて欲しいレベルらしい。

 残念ながら、魔力の流れを研究して様々な魔術を引き起こしているため、元の詠唱がないため教えることが出来ない。

 最近は、音、光、雷、重さを扱う魔術も完成した。

 詠唱を作ることは出来ないけれど、魔法陣は大量に研究したこともあり書けた。

 簡単な音、光、雷、重さに関する魔術のスクロールを作成して魔術ギルドに売った。

 音で作成したスクロールは周りの音を集めることで、離れた場所から魔物の呼吸音や足音が聞こえるようになるものや、魔力を込めた数秒後に爆音を発するもの。

 光は目くらましや、スクロールの上にあるものを込めた魔力が切れるまで光らせるもの。

 雷は雷を放てる杖状の魔道具で込める魔力によって威力が変わるもの、魔力を込めた数秒後に雷をまき散らすスクロール。

 重さはスクロールの上にあるものを軽くするものと重くするものくらい。

 

 単純な物ばかりだけど、音のスクロールや重さのスクロールはそれなりに人気があるようで、それなりの収入になっている。

 そして気づけば私も六歳になり、解毒、神撃を聖級、治療、結界、召喚を帝級まで習得した。

 ただ、私の場合はそれくらいの効果があるだけで、独学で習得したため他に扱える人と同じ効果ではない。

 召喚魔術に関しては研究の結果、魔獣の召喚と精霊の召喚は違うものだと分かった。

 魔獣は実際に召喚しているが、精霊に関しては召喚というよりは魔力で作っているという方が正しい感じがする。

 まあ、精霊は無の世界から呼び出しているという認識があるため、その認識を変えるのはかなり大変なので特に公表することはしなかった。

 そもそも私以外に誰も召喚魔術を研究している人がいないのだから、どちらでも関係がない。

 

 そして私は魔術の研究で初めて壁に直面した。

 神級の魔術を扱うために魔力の制御と出力を鍛えていたのだけど、限界が来た。

 制御の限界ではなく出力の限界、正確に言うのであれば肉体の方だ。

 魔力の出力を上げることに肉体が耐えられないのだ。

 未だに魔力量を増やすために、毎日魔力を使い切っている。

 実験として大量の魔術を使い、余った魔力を魔術の制御の訓練で使い切っていた。

 しかし、魔力が増えるたびに消費するのに時間が掛かる。

 私の魔力量はラノア魔法大学の生徒や先生達と比べても桁違いに多い。

 魔力量を増やすためとは言え、無駄に消費するのも勿体ない気がしたので、魔石の生成実験を行っている。

 上手くいけば、魔道具を作るための魔石を買わなくて良くなるしね。

 

 話が少しそれたけど、現状の問題は魔力の出力を上げるにはどうすればいいか。

 

 

 魔力で肉体の強度を上げることで、耐えようと考えたけど、神級魔術を使うたびに強化するのは非効率ということで却下。

 ルディやお父さんみたいに体を鍛えて耐えることも考えた、けど、どう鍛えれば耐えれるようになるか分からなかったので却下。

 

 いろいろと方法を考えて一つの可能性に行きついた。

 昔、疲れるまで走ったりすると何で足が速くなったりするのか、ルディに聞いたことがあった。

 ルディによると、「筋肉に負荷を掛けて壊し、より強い筋肉に作り直している」みたいなことを言っていた気がする。

 治療魔術で傷を治すのは簡単に出来る。

 けれど、傷を負う前より丈夫になるかと聞かれれば……分からない。

 試しに私は身体能力を確認して、お父さんとルディがやっていた体作りを全力で真似してみた。

 次の日、無茶な運動で筋肉痛になり全身が痛かったので、治療魔術で直す。

 その後、身体能力を確認してみると、僅かだけど昨日よりは筋力がついていた。

 治療魔術は魔力を使い体の治癒力を高めていることで治しているのなら、傷を治す際に以前より丈夫に作り直しているみたい。

 なら、魔術による治療の際に魔力を使い更に丈夫に作り直せば、魔力の出力に耐えられるようになるかもしれない。

 

 思いついた可能性を試すために、魔力の出力を身体が耐えられる限界まであげて身体を痛めつける。

 そして治療魔術を身体を丈夫に作り替えることを意識して使う。

 最初は上手くいかなかった。

 正確に言えば、多少は魔力の出力に耐えられるようになっていた、本当に多少程度。

 だからこそ、私は毎日何度も身体を痛めつけ、治しを繰り返した。

 そして七歳になる頃、漸く身体を丈夫に作り替える治療魔術が完成した。

 

 

 そして次の問題がある。

 それは魔力の出力に耐えられる肉体を作るため、毎日倒れるまで魔法を使いたいのだけど、倒れた私の面倒を見てくれる人がいない。

 そもそも私、未だに友達がいないのだから仕方が無い。

 色々と考えた私は、奴隷を買い従者になって貰うことにした。

 魔石の生成が成功したおかげで、魔石を大量に売ることでお金を稼いだ。

 そのお金で奴隷を買いに行く。

 

 まず、お金を払って寮の広い部屋に移動し、従者を住ませる許可を貰った。

 面倒な手続きがあるかと思ったけど、教頭に相談するとすぐに許可が出た。

 次に、魔術ギルドに行きお金を下し、奴隷商について教えて貰った。

 魔術ギルドで教えて貰った場所に行くと、土と石材を組み合わせた、ここらでよく見る建物の扉の上に『リウム商会 奴隷販売所』と書かれていた。

 中に入ると、なかなか盛況なようで人混みが出来ていた。

 人が集まっているところは売り場の様で、裸の奴隷が並べられている。

 見た感じだと並べられているのは大人の奴隷が基本だった。

 折角だから私と同じか一つ下くらいの子が欲しい。

 私は『相談所』と書かれた場所に移動して、受付の男に話しかけた。

 

「あの、すみません」

「ん?なんだ嬢ちゃん。何か要望があるのか?」

 

 男は少し面倒くさそうな顔を私に向けて来る。

 まあ、私は身なりは整っているとはいえ、魔術師のような恰好をしているし、まだ七歳だからお金持ってないとでも思ってるんでしょうね。

 なので、男に顔を近づけるように手で合図する。

 

「ん?なんだ?」

 

 男が顔を近づけて来たので、金貨を十枚ほど取り出して見せる。

 

「六歳くらいの女の子を二人紹介してください。気に入る子が居たらこちらを差し上げますよ」

「本当ですかい?」

「ええ、何なら一枚上げますので、急いでくれると嬉しいですね」

「了解しやした。少々お待ちください」

 

 男が急いでどこかに行くと、一人の男を連れて帰って来た。

 どうやらリウム商会の傘下の商人らしい。

 商人に案内されて奴隷の倉庫へ移動する。

 商人は奴隷が入れられている鉄格子の箱から数人の少女を連れて来る。

 見た目的に長耳族?いや、半長耳族かな。

 

「こちらが条件に合った中のオススメの商品です。全員人族と長耳族のハーフで、人間語も話せるので意思疎通は取りやすいでしょう。容姿も整っているので、そこそこお高いですがいかがですか?」

 

 確かに、商人の言う通り容姿も整っている。

 私も整っているとは思うけど、左の横髪にお父さんから貰った白いリボンを付けている以外おしゃれとかしてないからなぁ。

 髪だって膝裏くらいあるけど、特に何もせずに下ろしているだけだし。

 奴隷で何も着せられていない彼女達と変わらないって問題かな?

 まあ、おしゃれに興味ないしいいか。

 取り敢えず、彼女達の中で魔力が強い二人を購入しよう。

 二人でアスラ金貨十枚だった。

 二人を洗うために洗い場へ案内してもらっている間に、紹介してくれた相談所の男に金貨を九枚渡した。

 二人を洗った後は、商業区で二人の服など必要なものを買い、飯屋に入った。

 私が適当に料理を注文し、料理が来るまでの間に二人に話す。

 

「これからあなた達にやって貰いたいことを説明する前に、二人の名前を教えて」

「アリシアです」

「エミリー」

「アリシアとエミリーね」

 

 アリシアは私より色が薄い金髪が肩くらいまである、綺麗な緑色の瞳の半長耳族。

 エミリーは私より茶髪よりの金髪を背中辺りまである、アリシアと同じ色の瞳をした半長耳族。

 

「二人には私の従者になって貰うわ。働いた分だけお金もしっかり払うし、私が魔術も教えてあげる。従者の仕事に慣れたら、ラノア魔法大学にも通わせてあげるわ」

 

 私が二人にこれからについて説明すると、二人はお互いに顔を見合わせる。

 私にこき使われるとでも思っていたのかしら?

 

「あの、良いのですか?」

「ええ、そのくらいのことはしてあげるわ。これから研究も忙しくなるから身の回りの世話をしてくれる人が必要なのよ。流石に、信用も出来ない相手には任せられないからね。貴方達にとっても悪くない話だと思うわよ。私の世話をするだけで魔術とお金、知識が手に入るんだから」

「むしろ、条件が良すぎるというか……」

「言ったでしょう。信用できる相手じゃないと意味が無いの。だから、私があげられるものはあげる。その代わりに、貴方達には私を裏切らずに働いて欲しいわけ」

「……では、これからよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 

 二人は少し考えた後、すぐに私へ頭を下げた。

 

「ええ、よろしくね」

 

 まだ信用もないし、従者になったばかりで友達なんて呼べない。

 それでもこれからしばらく一緒に居れば友達のように気軽に話せるようになるかな……

 

 

 その後、一か月で二人は無詠唱を使えるようになり、私の身の回りの世話もある程度慣れてくれた。

 まだ使える魔術は少ないけど、それは徐々に増やしていけばいい。

 二人にも魔力を増やすために、寝る前に魔力を使い切るように言ってあるため、増えてきている。

 私は神級並みの魔術を撃つため、毎日魔法都市シャリーアから少し離れたところに行き、フラフラになって帰ってくる。

 二人はフラフラで半分意識がない私の身体を洗い服を着替えさせてベッドに運んでくれる。

 一か月しっかりと働いてくれた彼女達に金貨を一枚あげると、かなり驚いていた。

 使える魔術の数と魔力量が増え、従者として出来る仕事も増えれば、お金も増やすと伝えると二人は嬉しそうにお礼を言ってくれた。

 

 そして家族から手紙が届いた。

 内容は、妹が二人生まれたこと。

 お父さんがリーリャに手を出して家族崩壊の危機が起きていたこと。

 ルディの友達のシルフが少年ではなく、シルフィエットという少女だったこと。

 

 取り敢えず、お父さんとルディが最低だということは分かった。

 自慢して来た友達の性別を間違えるなんて酷い話よ。

 そしてメイドに手を出して妊娠させるとは、お父さんは何を考えているのだろう。

 むしろ、お母さんがよく許したものだ。

 

 まあ、アリシアとエミリーがある程度魔術を使えるようになったら、魔法大学に入学させて家に帰ろう。

 半年くらいあれば往復できるだろうし、一週間くらいなら家で簡単な訓練をするくらいでも大丈夫でしょう。

 帰るのは来年くらいかな。

 

 私はアリシアとエミリーに魔術を教え、それ以外の時間は研究と魔力出力に耐えられる体作りに励んだ。

 そんな生活が一年も続けば、アリシアとエミリーは火、水、風、土、治療の上級と解毒の初級を無詠唱で使えるようになった。

 私は神級の魔力出力に身体が耐えられるようになったため、神級魔術師になれた。

 出力を上げるだけでなく魔力制御も鍛えてきたこともあり、無詠唱による神級魔術を扱える魔術師になり、魔法大学の先生達や魔術ギルドのギルド員に魔導神と呼ばれるようになった。

 今までの研究による貢献もあり、S級のギルド員として幹部クラスの権力は貰えた。

 基本的に研究しかする気はないから、ほとんど意味はない肩書だけど貰えるものは貰っておいた。

 折角なので、杖などに使う用の魔石生成の魔法陣を魔術ギルドに売り、生成した魔石の売り上げや印税は七割を魔術ギルドやラノア魔法大学が好きに使っていいと言っておいた。

 まあ、研究するための資料や最初の魔術の知識を貰ったのだから、多少の恩返しはしておかないとね。

 

 後、高い魔力の出力に耐えられるようになった副産物として、素の状態での身体能力がかなり高くなった。

 魔力で強化しなくても金属を握り潰したり、ねじ切ったり、パン生地のようにこねることが出来る。

 もしかしたら、身体を鍛えても魔力出力に耐えられたのではないだろうか。

 いや、普通に鍛えた程度だとここまでの怪力にはならないか。

 

「それでは、アリシア、エミリー。私は一度故郷に帰ってきます。半年ほどで戻るので、それまでに算術と読み書きを出来るようになっておいてね。折角、お金を上げているのに、私がいないと買い物も出来ないんじゃ意味が無いからね」

「それはいいのですが、一年くらい休まれて故郷でゆっくりしても良いのですよ」

「そういう訳にもいかないのよ。魔力量も出力も上げれるうちに上げておきたいし、本格的な研究はラノアに居た方が良いしね」

「まだ魔力量を増やすつもりなんですね……」

 

 エミリーは私の返答に呆れて苦笑しながら呟く。

 アリシアもから笑いをしている。

 

「魔術の研究にはいくらあっても困らないからね。まあ、最近は室内でも出来るような方法を試していたから旅の間も鍛えられるでしょう」

「何を言ってるんですか。旅の間に魔力切れで気絶している間に襲われたらどうするつもりですか?」

「……もちろん、移動中は出力を上げる訓練だけで、魔力は残しておくわよ」

「今、完全に忘れていましたよね」

「うっ……」

 

 最近、二人が居るのが当たり前すぎてうっかりしてたわ。

 

「まあ、何とかなるわよ」

「はあ、移動中の魔力訓練は出来るだけ控えてくださいね」

「くれぐれも魔力切れで気絶することはないように」

「馬鹿じゃないんだから、移動中に気絶するまで訓練なんてしないわよ!」

「「お気をつけて」」

「うん、行ってきます」

 

 二人に見送られて私は旅立つ。

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