TS転生美少女宇宙人、地球侵略を命じられる   作:スマルト星人

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素晴らしく緑の星、クレア

 宇宙人と聞いてどのような姿を想像するかというのは世代によって違うと思う。

 タコ型宇宙人、グレイ型宇宙人、角が生えている以外人間と差異がない宇宙人を想像する者もいるだろう。

 ただ、そもそも知的生命体が人間の想像する規格に収まっている理由はなく、例えば機械生命体とか、群体が集まって一つの知性を持つ、なんてのもあるかもしれない。

 

 そう言う意味で、私という地球外生命体は面白みのない存在だ。

 かつて地球人として生きていた『俺』が転生した『私』の姿は一言で言ってしまえばエルフだ。

 いわゆる尖った耳を持つ長命なる生命体。

 実際、我々は既に科学力によって寿命という生命に共通する壁を取り払えつつあり、だからみんな長生きするのは当たり前になっている。

 

 さて、私達は自身の母星の事を『クレア』と呼んでいる。

 これは「素晴らしく緑の星」という意味であり、言葉通りこの星は緑に溢れている。

 一時期は環境汚染によって灰色の雲に覆われていた時期もあったらしいが、既にそれらは解決され、衛星からはとても綺麗なエメラルドグリーンの星を見る事が出来る。

 

 寿命問題を解決しつつあるという事からも分かるように、クレア星人は地球の科学力と比較して圧倒的な進歩をしたそれを有している。

 宇宙進出は当たり前であり、クレアフォーミングを行って星を開拓していたりもしていた。

 巨大な宇宙船が空を飛ぶ様はまさにSF映画のそれである。

 空を飛ぶ車だってあるがこれは完全に自動運転であり、だからかつての昭和地球人が想像したような未来絵図とは若干異なる気がした。

 とはいえ、自動運転なので事故る事は一切ないので、その点は手動運転よりも優れていると思う。

 

 さて、話を私に戻そう。

 元地球人、現クレア人の私。

 名前は、マルア・レイ。

 白髪に緑色の瞳をしている。

 現在、21歳。

 学校を卒業し、今は学術施設『智礼院』で働いている。

『智礼院』は一応学術施設ではあるが、その実態は政治機関である。

 直接的な行政権こそ持っていないが、『智礼院』はその知恵を以ってして政治を大きく動かす権利を持っていた。

 お陰でネット(当然この星にもある)では「真の支配者」とか「裏ボス」とか言われていた。

 ある意味その通りだとは思う。

 

『智礼院』の仕事は基本的に大学でやっている事と同じだ。

 合言葉は三つ。

 研究、究明、そして推理。

 この世の真理を探究し、真実を突き止める事をモットーとし、何より見返りを求めてはならない。

 純粋な研究機関、それが国を動かしているというのもなんだか不思議な話だった。

 

 私、マルアは自分で言うのもなんだが期待の新人として『智礼院』本部で働く、その予定だった。

 ……それが狂い始めたのは、ある日上司に呼び出しを食らってから。

 いつも通りにスーツに着替えて上司の待っている部屋へと赴くと、開口一番このように告げられる。

 

「君にはこれから、とある文明球星に向かって貰う」

 

 文明球星。

 それは分かりやすく言うと「既に文明が根付いている、生命体がいる星」の事である。

 

「はあ」

「文明の調査、および掌握を行って貰いたい。その手段は問わないものとするが、予算は限られているので出来るだけローコストでお願いしたい」

「いや、その。お言葉ですが、私のような新人に務まる仕事でしょうか?」

「なぁに、私も若い頃は同じような無茶振りをされていたものだ――と、いうのは君には関係ないな。とはいえ今回の仕事は君にとっては極めて容易な要件であろう。何せ、今回向かって貰う文明球星は生命体こそ根付いているが、未だ野蛮で未熟な文明であるらしいからね」

 

 武力行使は不要だろう。

 逆に言うと、ちょっとでも文明が進歩している星に対しては武力行使で侵略する事も厭わないという事だ。

 ……クレア星の生命体はみな高い知的好奇心を持っているが、それと同時に自然に対する愛情を強く抱いている。

 その為、環境保護という名目で他星を侵略し、そして「環境を改善」したりするのだ。

 正直に言ってしまえばそれらの行為は傲慢も良いところだと思っているが、しかしそれを口にしたら一発でクビになりそうなのでぐっと我慢してきている。

 

 まさか、その役割を担う事になるとは。

 

 いや、でも。

 実際悪い事ではないのだ。

 環境保護と環境改善の効果は実際あって、それによって郷土文明が多少失われはするけれども星とそこに生きる生命体にしてみれば良い事ばかりなのである。

 それに、侵略して来いと遠回しに言われているけれども武力行使を絶対しろとも言われていない。

 だったら、穏便に交渉及び外交を行えるかもしれない。

 そういった事は前世でもやった事はないけれども、だけど私がやらなかったら普通に私以外が侵略行為をするだろうしなー。

 

「それで、その星の名前はなんて言うのですか?」

「我々はその星を『スマルト』と呼んでいる」

 

 その星の住人達は、と上司は続けて言った。

 

 

「地球、青い水の星と、そう呼んでいるらしい」

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