TS転生者なんだがなんか一夏の護衛になった件。 作:ライトダイバー
──トボトボとショボくれてやけに広く長い廊下を歩く高校生程の男が1人。
そう、語り手の俺である。
「…はぁ………。」
今日は最も酷い1日を更新した日だった。
自己紹介をサッと済ませただけで出席簿でぶん殴られるし、クッソ分厚い本を“電話帳やん”って捨てたら実はそれがわりと必要な参考書で、それで授業内容は専門高なんだから当然だけど俺がまったくわからない分野──ISに関するあらゆる知識でいっぱい。俺は出席簿でぶん殴られた。
初日から俺はクラスの笑われものだ。
それに変な奴に絡まれて決闘することになるし、聞けばアイツはISという分野のプロフェッショナルって話じゃないか。俺は本当に最近ISに関わることになったズブの素人だってのにいきなり決闘?物語の主人公じゃねえんだから勝てるわけないだろ…
はぁ…ほんと俺の人生ってどうしてこう波乱万丈になりやすいんだ…確かに俺が悪い部分もあるよ、それこそ俺がヒートアップしなけりゃこうはならなかっただろうしさ。
でもよ、それにしたって素人VSプロってのはちょっと違うんじゃあないですかね?
「(あんな事言わなけりゃなぁ…)」
まるで格好がつかないが、正直俺が惨敗する未来しか見えねえ。相手がどう戦うのかすらわからないが、こういうのは「相手を得意な土俵に引きずり込む」のが定石だからな。間違いなく俺の得意分野で勝負してくれる訳が無い。
とすれば、遠距離からチクチク…って所か?
「(いや、案外近接かもしれん。イギリスみたいな国ってなんかレイピア使うイメージあるし、ISでもそれで戦う可能性だって……)」
いやねえだろ普通に考えて。昔じゃあるまいし現代人なんだからマシンガンか何かで完封されるのがオチだわ。
そして俺は銃なんかミリオタの友達からちょびっと話を聞いた程度なので十全に扱える訳がないのです。
なんだっけ、アイツが言うには『まず弾倉を入れて槓桿を引いて安全装置を安全から単発に入れて照準を合わせて引き金を引けばいい、な?簡単だろ?』とかなんとか…だめだごちゃごちゃになってやっぱり扱える気がしねぇ…
そんなことを考えながら廊下を歩く。
気分は見ての通り下の下、絶不調だ。
何故こうなったか、それは俺にも分からない。
なんでか女性にしか動かせないハズの超凄いパワードスーツ──“インフィニット・ストラトス”、略してISを俺が動かせるってなってて。そして気が付けばほぼ女性だけで構成されたIS専門高等学校、通称IS学園へと勝手に入学が決まってて。
初めは、ちょっと喜んだ。俺も男だし女の子に囲まれる生活ってのには興味はあったよ。
でも直ぐにそんなものが苦痛だって知った。
集まる視線の嵐、あれら全てがレーザーならば今頃俺は全身を蜂の巣に……いや、骨すら残さず消し炭になってるぐらい多くの女子たちから注目されていた。
これじゃまるで客寄せパンダそのものだよ…
一体全体、俺は何のためにこんな所に押し込まれちまったんだろうなぁ…。
「──と、ここか。」
手元で遊ばせていた鍵の番号と合致する扉をようやく見付けた俺は扉の前で立ち止まった。
鍵に付けられた札には“1025”とだけ掘ってある。そして扉の札にも“1025”と掘ってある。
間違いなく、ここが俺の部屋だ。
(ノックは…まぁ年頃の男女を同じ部屋にする訳無いだろうし要らないか。)
そう考え鍵を鍵穴に差し込みドアを開ける。
高級感漂うシックな扉を開くとすぐ側、それも視界の右側にダイニングキッチンが見えた。少し奥に進むとこれまた高級そうなベッドが2つ離れた位置に置かれておりクローゼットがそれぞれベッドの横に1つずつ設置されていた。
他にも壁と一体化した横に長い机とアンティークな椅子が2つ設置されており机やベッド脇の棚に置かれたインテリアは落ち着いた雰囲気のまたまたお高そうなライトがある等雰囲気重視の高級ホテルのような印象を受ける内装だ。
「へぇ~広いなぁ。」
入って早々、そんな言葉が口から溢れる。でもそう感じるぐらい本当に広い。
2人で使うことを想定されているからだろう。
この部屋はなんというか、1人で使うには少し広すぎるくらい大きい。いやまぁ普通は2人なんだよな、ただ男女別にすると男は俺だけだから自動的に1人部屋になるってだけで。
……って、あれ?
「…これ、女子生徒用の制服?」
なんでこれが奥のベッドに……?と、そこまで考えた所で後ろからドアの開く音がした。
…は?ドアが開く?
「だ、誰───だ?」
「……。」
音に反応した俺は咄嗟に振り返って──頭の中が真っ白になった。
そこに居たのは、先にこの部屋に来ていたのであろう先程の制服の主。
先程までこの部屋のシャワーを浴びていたようだ。髪からは水滴が滴り落ちてて肌は火照り湯気が立ち上ぼって首から下げられたタオルの隙間からは桜色の──って何をいつまで見てンだよ俺ェッ!!?
「あー…
「す…」
「“す”?」
「すみませんでしたァーッ!!!」
「うわっ」
俺は部屋に入って早々、見知らぬ女の子(裸)相手に開幕土下座を披露することとなった。
神よ、俺が何をしたと言うのだ…!?
~
俺…いや、
名は
私はとある大手企業の社長令嬢としてこの世界に生を再び与えられた、前世は男だったが今世では女として産まれた者だった。
所謂“TS転生者”という奴だな。
当然私はただ転生しただけではない。テンプレートよろしくアニメマンガの世界に転生していた。
転生先は『インフィニット・ストラトス』であり……確かライトノベルの作品だったハズだ。
昔私も気まぐれに見たことがある。と言ってもアニメを一回見ただけで本編の内容はそこまで覚えていない。あとは二次創作を少し嗜んだ程度で実の所何も知らないも同然だ。
私はこの世界で女として産まれた。最初は色んな事が…まあ、多少苦痛に感じていた。だが今は女に産まれて良かったと思っている。何しろこの世界はISが原作になっているからな。
私が産まれた当初はIS原作開始前の状態でまだ
『女尊男卑』、簡単な話“男尊女卑”の逆版。それが世界各国で顕著に現れ最初は小さな火種だったその思想はいつしか大きな炎となり世界の在り方を大きく歪めてしまった。
物凄いぞ、都会のデパートで歩いていたらたまたま通り掛かったであろう男性が見知らぬ女性が散らかした洋服を片付けさせられていた上に店員(女性)に怒られたのはその男性だった、なんて光景を見ることができる。
まったくもって理不尽すぎる。
しかしそんな状勢の中だろうと私の父は発言力を失うことなく威厳を知らしめ続けた。そこには確かなカリスマ性が存在していた。
父の会社は自慢じゃないがかなり大きい。それこそ数が限られている“ISコア”を二個も与えられる程には技術力経営力その他諸々が高いレベルに纏まっている。父はそんな会社と同等の権力を持っていると言える“女性権利団体”のような相手だろうと一歩も引かず物を申し交渉をこちら側が有利になるよう進められる力が確かにあった。
まあそんな人の娘だったものだから私もそれなりの力を要求されたよ。幸いIS適性がAランクだったのとこの世界の私の頭脳が優秀だったこともあり要求される最低ラインはなんとか越えられた。
そうして私は父と父の会社が作った日本が保有する数少ない第三世代型のIS──“不知火”を与えられ会社のテストパイロットとして任命された。
北海道に建設された専用の訓練場にて機体のことをすべて頭に叩き込んだ。機体の整備や応急修理等々は既に頭に叩き込んでいたので私が受けた訓練は主に射撃と飛行、それと私自身の肉体を鍛える訓練だ。あらゆる飛行を行いそれを瞬時にかつ感覚で行えるよう1日に何度も何度も飛び続け、慣れたら今度は長さの違う腕に慣れるためにIS同士での格闘戦を行い、また慣れてきたらFCSを使用しない状態で射撃訓練を行った。当然生身でも戦えるよう銃や格闘に関しても訓練を積んだ。
私は学んだのだ。ブリュンヒルデ──
そうしてISの搭乗時間が400を越えたあたりからはシミュレーションだが各国の国家代表と模擬戦を行い私は少しずつ力を蓄えていった。今ならブリュンヒルデ時代の織斑千冬相手だろうと二十秒は拮抗できるだろう、というか実際それぐらいしか持たなかった。何なんだあの人私のISは空戦特化型だぞ?なんで追い付けるんだ???
あ…コホン。ただ、上記の情報は会社によって隠蔽されており私がISを持っていることは知られているがその詳細な情報はまったくと言って良いほど無い。私自身がどんな性格でどんな戦い方をするのか、一切の情報をシャットアウトしている。
それを決めたのは私ではなく──父だった。
どうにもISを所持した時から何やらキナ臭い組織が会社を嗅ぎ回っていたらしく念のためということで情報を断ったようだ。
しかし完全にとは行かず私が『国家代表候補生レベルには実力がある』という情報が漏れ、しかしそれ以上の情報が無かったことからとある時期にとある人から“とあること”を父は頼まれた。
──
時は戻りIS学園の学生寮の一室。
私が裸を見られて数分、と言った所だ。
「早く頭を上げてください。」
「いえ、しかしですね…」
あのあとから織斑一夏はずっとこうだ。青ざめた表情で頭を下げ続け地面に額を擦り続けている。
……そりゃ未婚の女子の裸を見たのだから普通は重罪だろうが中身は
「もう着替えましたし別に私は気にしていません。むしろ異性の同級生がそうして頭を地面に擦り付け続けているのが問題です。早急に頭を上げてください。」
「アッハイ、スミマセン……」
私の言葉にようやく頭を上げた同級生──まるでただの高校生のように見える彼は、なんと全人類70億人の中でたった1人だけ選ばれた男でありISというオーパーツを動かせるただ1人の人間なのだ。
私に課せられた使命は、この男を命に替えてでも守り抜くこと。
……の、ハズなんだがなぁ。
目の前の何かに怯えているように青い表情をして正座している男を見ていると、なんだかバカらしくなってくる。
……ところでこのイベントって、確か他のヒロインでやるべき流れではなかったか?
あれ?まさか私…原作崩壊させちゃってる?
主人公・資料
若干青みかがった黒髪ショート片目隠れ。
藍色の釣り瞳に眼鏡、実は八重歯が長い。
おっぱいは形重視の美乳。
お腹はアスリート仕様。
尻は程よい大きさ。
太股むっちりでエ○い。
パンツは黒でガーター付き。
黒ニーソは絶対はかせる。
右足にホルスターを着けており何かがあった時用にと常にGlock26の形をしたISを携帯している。なおエネルギーの消耗を押さえるためレーザーではなく実弾を使用しており9×19mmパラベラム弾を使用する。
制服はスカートが膝より若干上ほど。
ISスーツはマブラヴのエロスーツからテカテカ感を取り払った専用のスーツを着る。
イメージIS
マークゼクス風の空戦特化タイプ。背に固定式大型翼があり主機エンジンが2基ベクターノズル方式で取り付けられている。足にサブジェットエンジンが両方合わせて4基取り付けられており機動性が他ISよりも格段に向上している。
既に二次移行しており、
単一仕様の能力は……──。