まとめて1話にしろっていう声はこれからの投稿もこれぐらいの文字数でしていくつもりなので勘弁してください。
「はぁ……本当にこんな辺境に帝具なんてあるんですか?」
「何を言っている、現在まで見つかっていないものだぞ、辺境まで来ないとあるわけないじゃないか」
「それもそうですね」
町から約1キロ離れた場所に二人組がいた。
声から判断して一人は男、そして一人は女のようだ。
そして女の傍らには犬の様な、コアラの様な二足歩行をする動物がいた。
「コロちゃんもおなかが減ったようですし、早めに任務を終わらせて帝都に帰りたいものですね」
「ああ、だが仮に抵抗されたならば……」
男のほうは目つきを鋭くさせて女のほうを見やる。
「解ってます。帝国に反抗して平和を乱そうとする悪は……」
まるで親の仇を見るように空を見上げる。
「この手で断罪します」
力強く踏み出した彼女の頭でポニーテールがぴょこん、とかわいらしく揺れた。
「おい、ケイ。お前気付いたよな」
夜、電気を消しこれから眠りにつこうという時に、ダイアは自らの片割れに声をかけた。
「当たり前だ。僕は、僕たちは誰よりも彼女を見ているんだ」
夕食の準備をした時のロロエの目、そこには間違いなく水分がたまっていた。
彼女は強い、しかし自分たちとあまり年の変わらない、しかも女性なのだと彼らは改めて思った。
この生活が始まったのは10年前になる。
当初彼女は10歳になったばかりだから今年やっと成人になるというものだった。
「俺は強くなるぞ、姉ちゃんが心配なんてしなくてもいいぐらいに」
「僕も同じです。これ以上あの人に悲しい思いはさせたくないですから」
もうすでに、人間が一生で味わうよりも大きな悲しみを背負って、それでも4歳下の僕たちを育ててくれたのだから。
声に出さなくても彼らは同じことを考えていた。
どんなに強くなったところで家族のことを心配しない人間はいない、たとえいたとしても彼女はそんな人間ではないことなど解りきっていることだというのに……。
≪第一級危険種グランドオーク≫
それが彼らの今日の収穫だった。
いや、いつものと言った方がいいかもしれない。
この町の周りには第一級危険種が多く存在し、その多くが食用だということで主に狩りをして生活を営んでいる。
だからなのか、日中は町の人たちが居なくなり閑散とすることが少なくない。
そんな中、早めに帰って来たダイアとケイは町の人ではなさそうな2人組を見つけて声をかけた。
「どうかしたんですか?」
「あ!人がいましたよ。隊長」
声をかけると、嬉しそうに上司(?)に報告をした。
「すまないが、町の人たちがどこに行ってるのか教えてくれ。流石にこんな寂れているわけじゃねーだろ」
すまないが、と言っている割には上から目線だな。
ダイアはそう思った。
思っただけで口にするようなことはしなかったが……。
「皆狩りに行ってるんですよ、たぶん夕方ぐらいにならないと帰ってきませんよ?」
「ということは夕方まで待ちぼうけと言うことか……」
「ありがとうございます。こちらの町に来てから誰にも会わずに、ほんと困ってたとこなんですよ」
女性のほうは男と対照的に礼儀正しい人だった。
うん、やっぱり女性はこうでなくっちゃ。
「そうだ、帝具って知ってますか?」
帝具……この帝国の始皇帝が未来にまで残せるようにと、貴重な超級危険種の素材、レアメタル、失われてしまった
その武具は1000年経った今でも争いで大きな威力を発揮する。
そしてその一つの持ち主を彼らは知っていた。
「ああ、それなら俺たちの姉さんが持ってるぜ」
疾風迅雷≪エアリアル≫
もともと将軍であった彼女の父のものであり、唯一の形見でもある。
よくスカートのまま戦っている彼女の大事な部分が見えないのもこの帝具の恩恵ということは余談である。
「今回はその帝具に関しての調査をお願いされて帝都から来たんですけど、よかったら案内してもらってもいいですか?」
「解りました。では僕たちの家に行きましょう。そこで待っていれば姉さんもすぐに着ます」
「はい!ご協力感謝します。では隊長、行きましょう」
「ああ、俺はいい、もう少し村の様子を見て回る」
そういうと彼はそそくさと歩いて行ってしまった。
「すいません、あれでも隊長は人見知りで、ではよろしくお願いします」
こうして彼らは彼女を自宅へ招きいれた。
招き入れてしまった。
ロロエが帰ってきてすぐにその話は始まった。
自分の受けた任務の内容と言う物をこと細かに説明してくれたのだ。
「……というわけで、帝具を回収させてもらえませんか?」
「すいません、これは私が持っている唯一の父の形見なんです。譲ることはできません」
「……それがたとえ皇帝の勅命だとしてもですか?」
彼女(セリューと言うらしい)の目つきが鋭いものへと変わる。
「はい、ごめんなさい」
「解りました」
その一言にロロエは胸をなでおろした。
やっと長い話が終わったのかと思い、これから帝都とはどんなところか聞こうと双子が口を開こうとしたその時だった。
「コロ、
体長40センチぐらいしかなかったコロと呼ばれた生物の身体が5倍くらいになり、ロロエに襲いかかった。
その口にあったのはのは無数の歯……と言うよりも刃
「!?、エアリアル!」
腕をかみついてきたコロに対して瞬時に帝具を起動、身体を風が覆いコロを吹き飛ばした。
「お、おい!何するんだよ、急にどうしたんだ」
「姉さんが何をしたっていうんですか!」
現状が把握できないままそれでも喚き散らすダイアとケイ。
「悪は断罪する。皇帝様の命令に背くことは帝国に背くこと。そんな秩序を乱す悪はこのセリュー・ユビキタスが絶対正義の名のもとに断罪する!」
おかしい、言ってることが全く理解できない。
彼らの思いは同じだった。
コロ、帝具≪ヘカトンケイル≫にかみつかれ一瞬対応が遅れてしまったロロエの右腕には血が滴っていた。
「最近の盗賊でもこんな話が通じないということはないんですけど……」
ロロエは少し呆れたように溜息をつく。
その間に風は患部の血を吹き飛ばし、すでに回復の兆しを見せていた。
「当たり前だ。私は正義!盗賊なんかと一緒するなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
両手に持った
「エアリアル!」
だがそれも彼女が強く帝具の名前を呼んだだけで軌道が逸れてロロエに当たることはない。
疾風迅雷≪エアリアル≫
風を纏う
説明するとそれだけの能力なのだが、皮膚から数センチの間に台風なんて比にもならない風と、その風圧が凝縮される。
銃弾なんて通るわけなく、物質が直接触ろうものなら容易に吹き飛ばす。
全ての帝具の中でも10指には入るであろう強大な帝具だ。
一方で実態を持たないエネルギー弾や電撃には無力という弱点もあるのだが……。
ロロエの後ろで震えてうずくまっている二人。
この二人だけは絶対守る。
そう心に決めて彼女はそこら辺にあった箸などの小さなものを手に持った。
「ちょっと痛い目を見てもらいますよ?大丈夫です、死んでしまったら私が風に還してあげますね?」
癖の疑問視が出てきて見ていた彼らの緊張が高まった。
この時ダイア、ケイ、そしてロロエは知らなかった。
帝具同士がぶつかったときのあるジンクスを……。
絶対にどちらかは死んでしまうのだということを……。
次回で過去編≪プロローグ≫が終わると思います。