帝具についての質問をいただきましたので回答しました。
まだアニメだと詳しく説明してないんですよね……
タグにもある臣具については登場時にまた説明を入れたいと思います
そんなこんなで第6話です。
「おや、お客さん?どこに御出掛けですかな」
帝都に来てから5日が経ったある日、ダイアはこれまでの時間、周りの聞き込みもそこそこに2日間歩き続け消耗した体力を取り戻すため、多くの時間惰眠をむさぼった。
だが流石にこれでは腕……と言うよりも身体がなまってしまうと考えたのか今日は外に少し散歩しに行こうといていた。
「ああ、少し帝都の様子を見たくなってね。色々と散歩してくるよ」
「そうですか、……まぁ、お客さんほど強いんだったらそんな心配も無いでしょうが一応物騒ですので気を付けてくださいね」
本当に一応というような口ぶりで念を押された。
情報屋が言うのだからこの情報にもウソはないのだろうと、彼は忠告を有り難く受け止めた。
「夕食までにはちゃんと帰ってくるから。またおいしいご飯をよろしく!」
「はい、家内のほうが聞いたらきっと喜びます。では行ってらっしゃいませ」
……うん、なんでこの人はこんなにへりくだってまで宿屋をやっているのだろう?
他人事だがダイアには疑問に思わずには居られなかった。
この間のチンピラとの一件があったあとすぐに≪ユートピア≫に行ってしまったため結局ダイアは帝都のメインストリートを回ることはできないでいた。
なので改めて考えてみれば今日彼は初めて帝都の(商業という意味での)中心と言うものを見ることになる。
≪ユートピア≫のある路地を抜けてまっすぐ1キロ、そうして十字路を右に曲がるとそこにお目当ての通りがあった。
通りの左右に敷き詰められた服店、防具屋、武器屋などの多くの店。
そして現在は不景気だといわれているにもかかわらず活気にみちあふれている。
ちなみに彼のいた町は、ほとんどの人間が狩りを中心とした生活をしていたため日用雑貨を取り扱う店しかなかった。
だからこそこのような光景自見るのは初めてなのだ。
「す、スッゲーな……って、あれはなんだ?」
ダイアの目に飛び込んできたのは10メートルぐらいのふらふらと揺れる塔だった。
「あれはお嬢様の買い物よ」
ひとり言のつもりでつぶやいたのだが、急に隣から返答が聞こえた。
……なるほど。塔ではなくてただ買ったものを積み上げただけか。
いや、そっちの方が驚くことなんだろうけど……
「アリアっていうお嬢様でよく買い物の山を作ってるわ」
追加で説明してくれる。
いや、あれを結構な頻度で作り上げてんのか……
つくづく帝都は解らないところだとダイアは思う。
「で?あんたは誰、恥ずかしながら俺って同年代で異性の知り合いなんて一人もいないはずなんだけど?」
「そうね、ここで『僕たち以前どこかであったことある?』なんてテンプレのナンパなんてされたら一発ぶん殴ってる所よ」
……おおう、そっちから話しかけてきたのにずいぶんな仕打ちだな。
ダイアは顔をひきつらせながら、拳を握りしめている彼女を見た。
少し赤みがかった髪色に、肩までは届かないようなショートヘア、そして何よりも半袖にショートパンツという、明らかに肉体労働系の女の子だった。
「あたしはあんたが泊っている宿屋の娘よ。名前はアーシャよろしくね、ダイアくん」
ダイアは自分の名前を急に呼ばれて反射的にこの相手についての警戒心を強めた。
……がいったん落ち着いて考えてみると、自分の名前など親に聞いた、または宿泊者リストでも見れば簡単に確認できると思いなおして警戒を解く。
「あ、ああ。で、その宿屋の娘のアーシャさんが俺に何の用ですか? ……ちなみに俺のことは呼び捨てでいい」
特に理由はないのだが、彼は「さん」や「くん」などをつけられることをあまり好かなかった
弟であるケイすら彼のことは「ダイア」と呼び捨てで呼んでいたほどだ。
「ならあたしもアーシャでいいわ。……お父さんが暇ならあなたの案内でもしてきなさいだって、ダイアは帝都来るの初めてらしいじゃん?」
「ああ、そういうことならよろしく頼む。正直言ってどこに行けばいいのか全く考えていなかったんだ」
きっと、宿代を多く払ったことに対しての彼なりの感謝なのだろう。
そうダイアはおもってありがたくこの好意を受け取った。
そして同時に、彼は一つのことが気になった。
「一家総出で同じ職業をやってるのか……いいな、そういうの」
家族と呼べるものがもう一人もいない彼にはとても輝いているものだ。
彼は自分で意識はしていなかったが左手を右手にはめられた
しかしアーシャにはそんな彼の状況を知る由すらない。
「そんなにいいもんじゃないよ。未来はこのまま決められてるし、この不景気でもうからないし、たまにお父さんが出稼ぎをして手に入れるお金で何とか生活ができている程度だよ」
……なるほど、情報屋をやっているということはこの娘には秘密にしているんだな。
情報屋を脅せるかもしれないネタを手にして少しダイアは得意げになる。
だがしかし、心の中に渦巻くやるせなさは一向に影を潜めようとはしなかった。
「それでもきっと、いいもんだ……」
ダイアはほほ笑む。
彼の目に映っている感情はきっと憧憬だ。
アーシャを、そして過去の自分のことをうらやましいと思っている。
そんなダイアの顔にアーシャも察したようだ。
「あなた、家族を……」
「ああ、2年前に」
両親を失ったのはもっと前のことだが、彼が物心着いた時はロロエとの生活が始まっていたのだ。
彼は家族と言われると、両親よりも義姉や弟のほうが先に出てくる。
だからこそ2年前としか言わない。
「……ごめんなさい」
「どうして、謝るんだ?あいつらの仇は別にいる。……まぁ、そいつらが謝ったところで許す気なんて全くないんだけど」
ダイアたちが育った町には空気を読むといった習慣はない。
だからこそ、アーシャが謝った理由が本当に解らなかった。
「……そう、かたき討ちするつもりでこの街に来たのね」
この娘はなかなか勘が鋭いじゃないか。
そう彼は思った。
「そうだよ、止めないの?」
止まる気なんて全くないのだがそれでも一応聞いてみる。
ここがきっとダイアの弱いところなのだろう。
「わざわざ聞くってことはもう充分考えた後ってことだよね。そんな状態で赤の他人のあたしが止めたところで意味なんかないでしょ」
「アーシャは本当に察しがいいんだな」
さっき思っただけで口に出さなかった言葉を、今度ははっきりと言葉にした。
「宿屋で働いていれば必然といろんな人を見るからね。察しも良くなるってもんでしょ。じゃあそんなことよりも今日を楽しみましょう。さっきあなたが言ってたのは私も同じで同年代の男友達ってなかなかいないの、ちなみにお金はどれくらいあるの?」
自分の財布を出しながらダイアに聞いてきた。
そこにはパンパンの硬貨が詰まっている。
……さっき生活がぎりぎりとか言ってなかっただろうか?
しかしダイアには彼女に一銭も使わせる気なんてこれっぽっちも無かった。
「まぁ、女の子を1人満足させるくらいの量は持ってるよ」
「え?でも、自分の分は自分で払うよ。なんか臨時収入が入ったらしくてお金に余裕があるし」
臨時収入とは間違いなくダイアの宿泊代(情報代込)のことだろう。
なるほど、財布がいっぱいだった理由が分かった。
「お礼だと思ってよ。幸い危険種狩りで手に入れた金がまだたくさんあるんだ」
嘘ではない。
半分近くをエンジにあげたとはいえ、村の近くで出る第一級危種の素材をかなりの量持っていたのだ。
下手したらちょっとした商人ぐらいの金は所持している。
「……じゃあ、お願いしようかな」
自信満々でおごるアピールをしてくるダイアに対してアーシャはいっそ後悔させてやろうと心に決めてダイアの提案をのむことにした。
「りょーかい、その代わり面白い所に連れて行ってくれよ」
楽しそうに言う彼の顔には笑みが浮かんでいる。
それはゆがんだ笑みではなく、年相応のと言うよりも、2年前と同じ実年齢よりも若い無邪気な笑みだった。
人の名前決めるのがムズすぎる。
毎回頭を悩ませますね。
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