帝国を狩る!-心やさしき復讐者ー   作:izanami

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ここから原作との絡みが少し増えてきますよ!
 第7話!


隊長を狩る!

「ついにこの日が来た……」

 

 ダイアが朝起きて初めて放った言葉はこれだった。

 今日はダイアが帝都に入ってから15日目、そう、オーガの休日。

 そして奴の命日になる日だ。

 

 まだ日が出たばかりなのに朝食も取らずに外に出る。

 

 アーシャとはあの日に思いっきり遊んだ(所持金の半分近くがぶっ飛んだ)あと、宿屋の方が忙しくなって長い事話す時間が確保できていなかった。

 今まで世話になったのだから攻めて一言声をかけておくべきなのだが、そうも言ってられない。

 彼は2年前からオーガに顔を覚えられているかもしれないのだ。

 そのため直接声をかけることはできない。

 街中で殺すこともできない以上、ストーカのごとく影から隙を狙うことしかできない。

 だからこそ、早めに彼を見つけておきたいのだ。

 今日殺しておかないと、また2週間も待たなければならない。

 そんなのは御免だった。

 もう2年も待ったのだ。

 この2週間、一人でいるときにはどうしても黒い感情が胸の中で渦巻いてもういっそこのまま殺しに行こうと何回思ったことか。

 

 「それも今日で終わりだ。これを終わりにして。俺は全てを始める」

 

 誰に言うまでもなく。顔を出し始めた太陽に向かって静かに、そして何よりも激しく宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ダイア……」

 

 きっと今日なのだろう。

 あの日、ダイアが言っていた仇を殺すのは。

 地方から親族の仇打ちをしようとやって来た人物を少ないながらも宿屋の娘であるアーシャは何人か見てきた。

 そのうちの80%は相手に殺されてしまったということも彼女は知っている。

 近頃の態度からもうすぐ行動を起こすのだということは分かっていたのだが、これほどまでに朝早くに出て行ってしまうとは予想ができなかったようだ。

 彼女が気付いた時にはもうダイアは外にいた。

 彼の目を見て、彼女は何も言えなくなる。

 

 「ダイア……」

 

 もう一度つぶやいた。

 やはり、仲良くなった友達が死んでしまうのは彼女も嫌なのだろう。

 結局ダイアが見えなくなるまで、一言も声をかけずに宿屋の中でずっと彼のことを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前9時

 ……自宅から移動、道は基本的に大通りしか通っていないところから考えるとここでのアタックは危険と判断、

 ダイアは何もしかけずに様子を見る。

 ギリギリと、歯ぎしりが裏路地にこだまする。

 奴の顔を見るだけで今にも襲いかかろうとする本能を理性が食い止めていることが分かった。

 

 「ケイ、待っていろ。もうすぐそっちに、このゴミ屑を送ってやるからな」

 

 興奮を抑えるために小さくつぶやく、しかし破壊衝動が沈静化することはなかった。

 

 「待っててくれよ……ケイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後1時

 ……1つ目の飲み屋を出て2件目を物色中

やはり大通りしか通らない、オーガが通る場所のみ空間が開く。

 情報屋がくれた情報通りにそれなりに恐れられているらしい。

 

 「大丈夫だ。落ち着け俺。夜になれば辺りも暗くなる。そうすれば狙うチャンスも増えるはずだ」

 

 自分に言い聞かせるようにダイアはつぶやいた。

 焦るのは仕方ないがここでミスするわけにもいかない。

 ダイアはじっと耐え抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後4時

 ……3件目の飲み屋に入る。

 かなり泥酔しているようだ。

 もう少しで日が落ちる。

 この泥酔の仕方からいって一人になってくれさえすれば簡単に仕留めることができる。

 そう思った。

 だが、ここでも結局いいチャンスには恵まれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後6時

 ……4件目を物色中に一人のフードの男が接触、何やら耳打ちをしていることを確認

 何やら裏路地に移動。

 

 「よし、チャンスだ。隙を窺ってオーガを狩る。あのフードも邪魔するようなら殺せばいい!」

 

 もうすでに半日以上弟の仇を目の前にお預けを食らったのだ。

 ついでに、もう一人殺してしまうことを気に掛けないほどダイアの憎悪は高まっていた。

 

 「マズハヒトリメダ」

 

 ダイアが標的に向かって歩き出すのと同時に、フードの男……タツミが剣に手をかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那。

 タツミとオーガの身体が交差する。

 

 「っっっっ!?…………………速い、だが甘いな」

 

 一瞬、先を越されてしまったのかと焦りを覚えたが、オーガがまだ生きていることを確認して安心する。

 もうこれ以上見ているわけにもいかず、一仕事終えた(・・・・・・)ダイアは進むスピードを上げた。

 

 だが、タツミのほうはオーガが生きているとは思ってなく、そのまま帰ろうと奴に背中を向けていた。

 見ず知らずの奴が殺されようと関係ない。

 そう思ったダイアのところに飛んできたのは振り下ろされたオーガの剣にギリギリで対処した、タツミだ。

 

 「誰だ!?オーガの仲間か!」

 

 タツミは現状が理解できていないのか、ぶつかったダイアに向かってそんなことを口にした。

 

 「おいてめぇ、なにほざきやがる。次そんなこと言ったらお前から狩るぞ」

 

 そう言い、こちらに構えられていた剣を帝具の力によって弾き飛ばす。

 

 「おいおい、どうなってんだよ。オーガは甦るし、変なやつは出てくるし」

 

 「変な奴呼ばわりはひどいんじゃねーか?あとあの糞野郎に限ってはそもそも死んでない。お前がへぼだからな」

 

 ダイアに限っては思ったことをそのまま言っているにすぎない。

 

 「なんだと!やるのかよ!」

 

 馬鹿にされたと感じたタツミはダイアに食ってかかる。

 だがダイアにはそんな挑発につきやってやるほど暇じゃない。 

 

 「あいつ殺した後で相手してやる」

 

 「誰を殺すって?」

 

 彼らが話している隙にオーガは近づき、剣を振り上げていた。

 先ほどタツミを吹き飛ばした剣筋と全く同じものが、ダイアを襲う。

 しかしダイアの風の膜はそれをきれいに受け止めていた。

 確かに剣の腕はなかなかで、重いことには重い。

 しかしエンジほどではない。

 彼は風の膜ごとダイアを吹き飛ばしたのだ。

 だがオーガはせいぜい拮抗する程度(それでも酔っ払っている状態でこれならば十分すごい事なのだが……)

 

 「てめえだ糞野郎!」

 

 一発殴る。

 能力が付与された殴打は人間が出せる筋力値をはるかに超えた威力を持ち、オーガを後ろの壁にめり込ませた。

 

 「ッカハ!?…………な、んだと!?……そ、その帝具には見覚えがある、ぞ……」

 

 ダイアが右手にはめている腕輪(ガントレット)をみて、驚きとともにオーガは口にした。

 

 「ああ、≪疾風迅雷≫エアリアル、お前たちが2年前に殺した俺の姉さんの形見だ!」

 

 「お、お前、お姉さんを……」

 

 今まで見ていたタツミが思わず、ダイアに声をかけた。

 

 「ああ、姉と弟をこの糞野郎ともう一人の女にな……だからお前は手を出すな。出すんだったらお前から殺す」

 

 タツミはダイアの剣幕に思わず喉を鳴らした。

 ……こいつはやると言ったらやるぞ。

 タツミにそう思わせるだけの何かをダイアは持っていた。

 そうしてタツミとダイアが話している間に、オーガは壁から抜け出した。

 いや、ただ殺してもつまらないと思ったダイアはその行動を待っていたわけなのだが……

 

 「っは!仇打ちか、そんなことして結構なことだな。だが俺にかたき討ちをしに来たやつらは全員この剣のシミになった。解るか?お前が俺を裁くんじゃない、俺は人を裁く側の人間だぁぁぁ----!」

 

 あの日見た、ゆがんだ笑顔。

 撃ち込んだ銃弾は的確にケイの心臓を打ち抜いた。

 ……思い出すだけで吐き気がしてくる。

 

 「裁くなんて高尚なまねはしない。俺はお前を殺せればそれでいい」

 

 オーガを睨めつけながら鋭く言い放つ。

 

 「言ってろ」

 

 ……いくらガキと言っても帝具持ち、ここは何とか逃げ延びることが先決だ。

 オーガはそう考え笛を鳴らした。

 きっと仲間に居場所を伝えるためのものだろう。

 

 「無駄だ……」

 

 「何を言ってやがる、それはお前らだ。警備隊の中にはあの女を殺した帝具持ちの奴がいる。そうなれば互角……いや、人数的な意味で俺様のほうが有利だ!」

 

 「そんなことは関係ない。……東の空が明るいのが見えるか?」

 

 「ああん、確かに明るいがそれが何の関係がある?」

 

 相手が余裕を持ちすぎていることを不審に思ったオーガは言われたとおりに空を確認した。

 

 「火事だよ、俺が火を放っておいた。あの騒ぎで笛の音なんか聞こえちゃいねえ、聞こえたとしてもあっちの方が急務だろうな……」

 

 そう、ダイアがここに来るのが遅くなったのは火を放ったからだ。

 しかしこれには今まで静かに見ていたタツミも黙ってはいられない。

 

 「お、おい。お前今火をつけたって……」

 

 「ああ、安心しろ。ただの帝国の一議員の家だ」

 

 タツミが聞きたかった回答とは全然違うものだった。

 だがしかし、国の要人ともなれば仲間の危険を救っている場合でない事は確かだった。 

 

 「ばっ!?関係ない奴を巻き込むのか!」

 

 「関係なくない。俺の復讐対象はこの国の全てだ。悪い議員は殺されて当然だ!……というわけで、オーガ。お前はここで死ね」

 

 タツミへの返答もそこそこに、ダイアはオーガにと向き直る。

 

 「ふざけるなよ!この糞ガキが!この俺様を!殺せるわけがないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!」

  

 「≪エアリアル≫」

 

 そういうだけで、ダイアの姿はかき消える。

 見えないレベルのスピードで前へと走り、彼の手は、オーガの腹を貫いた。

 エアリアルの纏う風の形状は仕様者の意思によって変えることのできる。

 ダイアは何よりも鋭く、そして風を右手に集約することによって強固に変形させたのだ。

 

 「こ、のまま済むと思うなよ……。ぜったいころ」

 

 「黙れ、お前の言葉に価値なんてない。≪解放≫」 

 

 身体に突き刺さった手から大量の風が放出される。

 

 「ぐおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

 

 身体の内側から、文字通り内臓をぶちまけてオーガは息をしなくなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意外にもこれがダイアが初めて人を殺した瞬間だということは……彼自身を含めて……だれも気付いてはいなかったのだ。




 

 気が付いたら3800字も書いてた(笑
 あと、なんか戦闘時だけダイアの性格が変わっちゃってますね……。

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