どうぞ。
ダイアの心の中に浮かんだのは達成感だけだった。
だが、その達成感は決して気持ちのよいものとは限らない。
彼は分かっていたのだ、こんなことをしてもだれも喜ぶことがないのだということに……
だからこの行為は自己満足に過ぎない。
解っていたはずなのに……
「おい、さっき『やんのか?』とか言ってたが、俺から聞くぞ。……やんのか?」
とりあえず今は余計なことは考えないようにする。
そんなことは一人になった時に考えればいい事なのだから……。
ダイアは顔を血で濡らしたまま、タツミのほうに顔を向けた。
「す、すいませんでした……」
あっちはびくびくしながら彼のほうに頭を下げた。
その怖がりようが滑稽だったのか、それとも安心させようとしたのか、ダイアは顔を崩して笑みを作った……血まみれの顔で。
「いいさ。結局お前は最後まで手を出さないでくれたしな。獲物を取って悪かったな……」
「………なんか、あんた。さっきまでと性格違うくないか?」
血まみれの顔で笑顔を向けられるというより怖くなった状況を無視して、タツミは質問をする。
「え、ああ、うん。あれは激昂してたからな。仇とは言えあそこまで理性が吹っ飛ぶなんて思ってもなかったよ」
少し恥ずかしいのかダイアは首筋をポリポリと、掻いた。
そしてダイアは誤解されることが嫌だったのでそのまま続ける。
「あれだぞ。別に2重人格ってことじゃないぞ!」
さっきはマジでそれを疑うレベルで怖かったんだぞ!………とはタツミは言わなかった。
「…………ま、まぁ、いいや。俺はタツミってんだ。あんたの名前を教えてくれないか?」
基本的に殺し屋は名前を教えてはいけなかったのだが、彼にだったら大丈夫と判断したのかあっさりとタツミは自己紹介をした。
ダイアは少し考える。
考えた結果、オーガと対立していたことからも彼が帝国の人間ではないと判断したダイアは素直に名前を言う。
「俺はダイアだ」
何やら名前を聞き出せたことがうれしいのか、タツミは小さくガッツポーズをしていた。
……いや、そういうのは見えないところでしろよ。
「ダイアか……ところでダイア、おれたちは国を変えたくて殺しをしている集団なんだ」
「聞いたことがあるぞ……ナイトレイドの一員なのか、お前?」
一般的にはただの殺し屋集団と言われているナイトレイドだが、反乱軍の一組織と言うことまでダイアはつかんでいた。
もちろん、あの宿屋兼情報屋からの情報だ。
「ああ、俺はまだ入ったばかりだけどな」
……納得。さっきのオーガとの戦闘を見る限りでは、せいぜい中の上程度の強さしかなさそうであったから、もともとプロとは思っていなかったが。
そんな失礼(?)なことを考えているとタツミがそのまま続けた。
「ダイアもナイトレイドに入らないか?」
「いやだ」
「即答!?」
絶対いやだ。
グループに入ったら、そこの指揮に従わなければならない。
そんなのは個人的な復讐を実行途中のダイアにとって足かせにしかならない。
そして何よりも、
「お前今、帝都を変えたいって言ったよな?」
「?、ああ、そう言ったよ」
なんでそんなことを聞き返してくるのか理解できなかったタツミは一旦、首を傾げてから答えた。
「俺はそんなこと望んでいない」
「んなっ!?……ダイアは今の国の状況を知ってるのか?」
思わず聞き返した。
タツミには信じられなかったのだ。
帝国の人物でなく、あれほどの力を持ち、尚且つ事情を知っているのにこの国を変えようと思っていない人がいることに。
「知っているさ。はっきり言って最悪だな」
「だったらなん……」
「俺は復讐のためだけにこの国をぶっ壊すんだ。この国が腐って、それを憂いて、どうにかしようなんてことはどうでもいい」
「………」
絶句。
この言葉はこの場面のためにあるんじゃないかと思うほど見事な絶句だった
「ダメだったから立て直す、そんなのやるつもりはないよ。ダメだったら捨てればいいんだよ。この国ごと、完全にぶっ壊してさ」
「本気でそうい思ってるのか?」
言っていることが似ているはずなのに、やろうとしていることは全然違う。
途中までは同じかもしれない。
悪い奴らを殺していく。
ただ、彼らのシナリオの最終的に行きつく終着点は全く違っていた。
再生か滅亡か。
「本気だ。俺はこの国に壊されたぞ。もう、直すことができないほど決定的にな。だから俺はやられたことをそんのままやり返す」
「一人でか?」
「……なんか前にも誰かにそんなこと聞かれたな。……ああ、一人でだ」
ダイアは故郷の恩人の顔を思い浮かべながら答える。
「そっか……」
「そうだ」
「じゃあ気が向いたときにまた声かけてくれよ、まぁ、俺が決めていいことじゃないんだけどさ」
「そんときにお前が俺の近くにいたらな」
そんなことなんてない。
二人ともそのことに気付いていたが声にすることはなかった。
「じゃあな、東が暗くなってきた。そろそろ火事の火が収まるんだろう。お前も早くずらかった方がいいぞ」
そう言ってダイアは歩きだした。
だがしかし、心の中にはやはり、納得しきれない達成感が渦を巻いていた。
「あ!?やべえ」
そう言って彼は、メインストリートの直前で急遽エアリアルを起動
「ふう、セーフ」
もし、気付かずにそのままにしていたらメインストリートは悲鳴だらけになっていただろう。
………血にまみれたその顔を…
「……これが俺が見てきたものの全てです」
タツミはアジトに変えると、すぐに黄色い髪をした身長の大きい20ぐらいのレオーネと、黒髪ロングで年は彼と同じくらいのアカメ、片方が義手になっている、≪ナイトレイド≫ボスであるナジェンダの女性3人にダイアの話をした。
「風を操ったってことは帝具か……まさかな…」
ボスが言った。
それに反応したのはアカメとレオーネ
「どうしたんだ?」
「ボスが煮え切らないような態度を取るなんて珍しいじゃねーか」
「いや、ちょっとな。昔の上司に似たような帝具使いがいたんだよ」
そして話に置いてかれっぱなしのタツミはここでやっと話に入った。
「帝具って何だ?」
……会話に割り込むにしては間抜けな言葉だったようだが。
「それはみんなが集まった時にしてやる。とりあえずそのダイアとかいう男についてだ。タツミ、お前の主観でいいから思ったことを話してくれ」
話をはぐらかされてしまったが、ボスへの報告はちゃんとしなければいけないと解っていたため切り替えて話を始める。
「はい、まず強いですね。はっきり言って目で追うことすらできなかったです」
タツミはダイアについてい思うところを語りつづけた。
「ですが、俺たちの敵にも、そして味方にもなることは考えられないと思います」
「どうしてだ?」
ナジェンダが口をはさむ。
「なんていうか、帝国を恨んでいるのは間違いありません。しかしなんとなくですが俺たちとは合わないような気がします」
そんなあやふやな言葉に見ていたレオーネが食ってかかった。
「おいおい、たつみ~。そんな自分の感覚で話すなよー」
「あねさん、ボスは俺の主観で話していいって言ってましたよ!」
話を聞いていなかったレオーネは怒られると思いながらナジェンダの様子をうかがい見る
「………」
運のいい事にナジェンダは何かを考えているようだ。
アカメも何かを考えt……夕食のことだろう。
その証拠によだれが出ていた。
「よし、そいつに関しては特に気にしなくていい、敵にならないなら気にする必要もないしな。だが、たまたま見つけたなら今度ここに連れてくるように、ちょっと話がしてみたい」
ナジェンダは考えた結果、このような結論を出した。
「りょーかい!っというわけでタツミ!なんだかんだで初陣お疲れ様だな。多少気にしなければいけないところもあったけど、それをばねにがんばりなよ!おねーさんは期待してるよ」
「……はい!」
タツミはレオーネが気を使ってくれたことに気付いて、気合を入れて返事を返したのだった。
とある帝都の裏路地
「はっくしょん!!」
今日は冷えるな。
そんなことを考えながら町を歩く青年の姿がそこにはあった。
いやぁぁ、感想っていいものですね。
やる気がでます。
明日は少し用事があるので投稿はできなくなると思います。
スイマセン
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