マッチ売りの少女がマッチョになってしまったみたいです

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思いついてしまったので投稿しました。



もしも、マッチ売りの少女が筋肉質だったら

それは大晦日の夕方でした。

辺りはもう暗くなりかけています。

寒い、寒い日でさっきからは雪も降りだしてきました。

 

町の通りに身長190㎝、体重は100㎏を超えるであろう、それはそれは筋肉質な少女が立っていました

そのヒグマのように大きな手にはマッチが数束握られており、時々少女のものとは思えない野太い声で町行く人々に声をかけていました。

「マッチはいかが? マッチを買ってくださいな。マッチョじゃありませんマッチです」

通行人の「え?マッチョ?」の言葉に返事をした少女はまごうことなきマッチ売りでした。

 

「今日も誰もマッチを買ってくれなかった。一つも売らないで帰ったらお父さんに一カ月間プロテイン禁止にされるわ。」

マッチョにとって、プロテインは命の次に大切なものであり、それを人質に取られている以上その自慢の筋肉を底意地の悪い父に行使することはできません。

少女はこの世の終わりのような表情で言いました。

「ああ、足が痛い。」

少女の裸足の足は霜焼けで真っ赤に腫れています。

さっき馬車を避けようとして足に力を入れた時、筋肉の膨張により木製の靴が見事に砕け散ってしまったのです。

 

どこの家からも楽しそうな筋トレの音が聞こえてきます。

朝からなにも運動をしていない少女の代謝は落ちていく一方です。

「寒くてたまらないわ。」

体脂肪率4%、無駄な脂肪の無い彼女にとって、寒さは大敵でした。

筋肉に断熱効果はないのです。

「マッチを擦ったら、少しは暖かくなるかしら。」

少女は木の節のような指でマッチをつまみ一本擦りました。

 

シュッ! 明るい火花が散りました。

すると目の前に大きなダンベルが現れました。

「ああ、なんて暖かいの」

筋トレジャンキーの少女は筋トレ道具を見ただけで体が暖まるような感覚に襲われました。

でも、冷え切った右上腕二頭筋を暖めようとダンベルを持とうとした時、マッチの火は消えてしまいました。

それと一緒にダンベルも消えてしまいました。

少女はもう一本マッチを擦りました。

 

シュッ! 明るい火花が散りました。

すると目の前の壁がすうっと透き通り、家の中が見えたのです。

「おいしそう!筋トレの後のプロテインだわ。」

その時、テーブルの上にいたガチョウが飛び降りて少女の方によちよち歩いてきました。

「やめて!ガチョウは脂質がたっぷりあって食べたら太っちゃうの!」

そう少女が手を振り払った瞬間、マッチの火は消えてしまいました。

目の前には、冷たい壁があるだけでした。

女の子はまた一本マッチを擦りました。

 

シュッ! 明るい火花が散りました。

今度は目の前に大きなトレーニングジムが現れました。

何十人のマッチョたちがキラキラと汗をながしています。

「わあ、こんなに綺麗に割れている腹直筋初めて見たわ!」

少女はその流木のようにゴツイ腕を伸ばして汗でキラキラと輝くシックスパックを触ろうとしました。

その途端、マッチの火は消えてしまいました。

何十人といた黒光りしたマッチョは空に昇っていって、明るい星になりました。

ツツーと星が一つ流れます。

「あ、流れ星。お空に昇ったマッチョの汗だわ。」

それは、彼女が師として崇拝しているゴリラさんに教わったことでした。

ゴリラさんは体脂肪率が14~15%とまさに少女が理想としているマッチョなのです。

ゴリラさんに会いたくなった少女はまた、マッチを擦りました。

 

シュッ! 明るい火花が散りました。

「あ、師匠!」

光の中に彼女が崇拝しているゴリラさんが立っていました。

少女は分かっていました。

ダンベルやプロテインや何十人のマッチョと同じように、ゴリラさんもマッチの火と一緒に消えてしまうことが。

「いかないで、師匠。」

そして大急ぎで持っていたマッチを全部擦りました。

 

辺りは昼間のように明るくなりました。

ゴリラさんの毛並みがこんなにも美しく、こんなにも筋肉質に見えたことはありませんでした。

「お願い師匠。私と一緒に筋トレして。」

ゴリラさんは準備運動としてドラミングを始め、少女もそれに倣いドラミングを始めました。

そして、一人と一匹は自分たちの世界の中で延々と筋トレをしていました。

プッシュアップから始まり、クランチ、プランク、ヒップリフト、スクワット、レッグランジ、リバースエルボープッシュアップ、etc...

もう寒いことも、代謝が落ちることもありませんでした。

 

新しい年が明けました。

ある家の横で、マッチ売りの少女が一晩中筋トレをして身体がポカポカに暖まり全身から湯気が出ている姿で見つかりました

「この子は一晩中筋トレをして暖まろうとしたんだわ。」

「かわいそうに。昨夜は特に寒かったからね。」

いまだ一心不乱に筋トレをしている少女をみて人々は言いました。

 

そうして自身の身体の限界まで追い込み切った少女の姿に心を打たれた人々の手によって、高タンパク低脂質な食事と筋トレ用具が与えられたことにより、少女はいつまでもその自慢の筋肉を維持することができましたとさ。

 

 

                                   おしまい

 




はじめましての方ははじめまして!なんかこいつ見たことあるぞって方はお久しぶりです!
YD病感染者です!

今作は、マッチ売りの少女を読んでいる時になんとなく思いついて、なんとなく書いてみたらなんとなく面白いもの(当社比)が出来たので投稿してみました
分かってます。こんなの投稿してないで問題児の方を投稿しろよって...
でも思いついちゃったんだもん!しょうがないよね!

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