良心と痛み、愛する気持ちがあるから   作:戦場を翔ける天使

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初めまして戦場を駆ける天使です。前に出していた小説を一旦削除し、構成やタイトル、キャラの名前を一部変更をしました。こちらで小説を連載していきます。よろしくお願いします。



プロローグ 良心と善行の始まり

 

 

 僕は己の欲や願望を満たすためならば徳や良心、倫理を捨てた行いを正当化する者たちが嫌いだ。

 

 

 ほとんどの人間は願望や欲との闘いに悩むことがあると僕は考えている。例えば出世や人気取り、誰かよりも上にいきたいというものが多いだろう。それは誰もが求めるものなのでそれを避けて生きていくのは難しいことだ。しかし、それは問題ではない。その願望や欲よりもそれを実現するために人を騙して欺くことや、傷つけることを平然とやってしまう心を持った人間に怒りを覚えた。僕も以前そのような行いをしてしまい、人を傷つけてしまい大いに反省したこともある。しかし、そんなことをしたのに何とも思わず平然としていられるのだろうか……?手に入れたいもののためならば手を汚してでもか……?僕はそれを小さなころから頭の中で疑問に思い続けていた。

 

 

 僕はこの16年の人生の中で、様々な人間を見てきた。過去の復讐のために無関係の人々をもまき沿いにした身勝手な人間、クラス・学校というちっぽけなグループでしか己の権威を示せない小心者のクラスメイト、逆に大人の立場を悪用する愚か者、親や一族の力を後ろ盾に悪事を働く者等。勿論見てきた全員がこんな人間ではなかったが、やはりこんな人間を見るとじつにくだらないと思い続けていた。そんなもののために良心や倫理を捨てることのできるちっぽけな人間でしかないのかとも。何とも情けない、救いようがない、一人の人間としての誇りはないのか?子供ならばまだどうにかできたかもしれない。しかし大人がこんな様では子供に己の背中を見せられるのか?そんな感情や考えがその人間たちを見て生まれたものだ。

 

 

 

 「(母さん、今日から僕は高校生になります。どうかそこからこの蒼輔を見守っていてください)」

僕は朝食をすまし高校へ向かうその前に、自室の母の写真に一言添え支度をすます。

僕は2人の母の愛を受けて育った。一人は再婚して2人の妹たちとともに家族となった母、もう一人は僕を産んだ産みの母である。しかし産みの母はもう会うことはできない。それは良心、倫理を捨てたエゴイストの身勝手な行動に巻き込まれ、命を落としたからである。その人間と母は全く無関係だったのにも関わらずに。しかし、その身勝手な行動の原因を生んだのも、また行き過ぎた利己主義者の振る舞いやエゴが原因だった。そのために最愛の母を失ったのだ。この時の悲劇が僕のそういった者たちや考えを嫌うようになった原点になった。

 

あの時僕も復讐を誓おうとした。そのために強くなろうともした。しかし、そんな誓いは時が経つにつれ段々と消えていった。それはいろんな良心を持った人間が近くにいてくれたからだと思う。

 

亡き母は最期にこう言った

「たとえその人間が憎くとも、絶対にその心や思い、考えを凶器にしてはダメよ……。その凶器で人を傷つけたことは必ずあなたに帰ってくる……」

 

真面目で厳しい叔父はこう言った

「憎む心は誰にでもあるものだ。しかし、憎しみを晴らすために命を奪うことや暴力で解決することは決して正当化できるものではない!お前がしていかなくてはならないのは、次の犠牲者を生まないために何が出来るかを考え、それを行動に移すことだ!」

 

普段陽気な祖父はとても真剣に言った

「どんなに悲しんでも、その人は帰って来ん。ならば復讐なんかに時間を使うより精一杯生きて、元気な姿を見せればきっと笑ってみてくれるはずじゃ」

 

父は僕よりも悲しんでいたが、それでも僕のために仕事を頑張りドライブにも連れて行って励ましてくれた。

 

もしこの人達の励ましや助言がなかったら僕は今どうしていただろう。復讐のために自分の手を血に染め、終わることのない醜い争いを続けていたのかもしれない。そして永遠に人を傷つけ続けていたのかもしれない。僕は良い大人に恵まれていたんだと思うことが出来た。僕を止め、良い方向へ導いてくれたのだから。母に会えない悲しみはあるが、僕の生活はとても幸せなものだと思う。再婚ではあるがその母と妹たちの愛を受け、従兄弟たちとも仲良くやれ、復讐に囚われることのない生活を過ごすことが出来ている。

 

この環境が当初の考えを消し、僕の中で新しい決意が生まれたのだ。

 

「(悪を倒すためではなく、大切なもの守りたいもののために強くなる)」

 

 これが今、僕が生きている一つの指針になっている。

 

 

「兄さん、もう出るのですか?」

「あぁ、初日だから早めに着けるようにと思ってね」

「そうですか。今日は午前までですか?」

「そうだよ。だから何もなかったら正午あたりには帰ってくる」

「わかりました。では、気を付けて」

「瑠璃乃も、気を付けて行くんだよ」

 

 僕は妹にそう告げて家を後にする。さて、この高校生活ではどこでこの力を発揮するときが現れるのだろうか?そんなことを考えながら学校へ向けて歩きだした。もしこの力を発揮するのならば、それがその人のためになることを願いたい。

 




今回は蒼輔の過去について触れました。タイトルの通り、何故彼は善行や良心を意識するようになったかが描かれています。
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