アイスを楽しんだ僕達はこの後も適当に店を巡ったりしていた。調理器具の専門店や香水、靴の店を巡りその時間を楽しんでいた。まだ夕方なのでもう少し遊ぼうと思えば遊べる時間でもある。そのため何をしようか話し合っていた。
「次は何しようか?」
「うーん……ウチは別のところに行きたいな」
「そうね、ならアトラクションかボウリングとかかしら?」
「それも良いけど……あっ!ローラースケートとかはどう?」
「「ローラースケート?」」
「そうそう!ここにもあるんだって、一緒にやってみない?」
「良いね、そうしようよ」
ローラースケートか、悪くないな……今までやってみたことはないが見たことはありこの機会にやるのもいいかもしれない。しかもこの施設の中で屋内にあるので天候を気にせず出来るそうだ。
「ひゃほー!気持ちいいー!」
「結構いいぞ!疾走感がたまらないや」
ここのスケート場は都内にある割に広さはありスピードを出しやすいので思いっきり楽しめる。意外にも赤沢さんが滑れているところには驚きだった。
「うまいね赤沢さん、意外だったよ」
「そう?実は少しやったことがあるんですー!」
「結構うまかったよ」
「嘉義くんもそうじゃん、初めてなのにあんな早く滑るなんて思わなかったよー」
「後で一緒に滑ってみる?」
「良いじゃん!」
「うぅ……」
「白露さん?」
赤沢さんと戯れていたので忘れてしまっていたが白露さんがまだ滑れていない。赤沢さんが上手でそっちに気を取られていたが、白露さんは運動神経が悪い訳ではないけどいいとも言えない感じなので、少し苦戦しているようだ。
「大丈夫?」
「やっぱり難しいわね……」
「なら一緒に滑る?僕や赤沢さんが手貸すからさ」
「それは嬉しいわ、よろしくね」
「上手になってるよ白露さん!」
あの後2人がかりで白露さんと一緒に滑ったりしたこともあって、段々と一人でも滑れるようになっていた。早くは出来なくとも3人で楽しむことが出来るようになった。
「こんなに楽しいのね、今までやってみたことがなかったから私もっとやってもいいかしら?」
「大丈夫大丈夫!時間はまだまだあるよー!なら、一緒に行こう!」
「えっ?赤沢さん!?」
スイッチが入ったからなのか、赤沢さんがテンションを上げて白露さんを引っ張っていく。急に行ってしまったのでわずかな間ぽかんとしたままだった。
「(こっちはスピードが出しやすい仕様なんだ、替えてやってみるか)」
その後僕はスケート靴を替え先程よりも早く滑ってみていた。車輪が縦一列になっているので設置感やバランスには気を使うが慣れてしまえば問題はなさそうだ。それにしてもあの2人は結構楽しめているようだ。白露さんも難なく滑れているので問題はないだろう。そろそろこちらも合流しよう。
「どう2人とも?」
「白露さん本当にうまくなったよー、飲み込みが早くてさー」
「そう?赤沢さんが一緒にいてくれたからよ。もっと行きましょ?」
「えっ?ちょ、白露さん!?」
スイッチが入ってしまったからなのか、白露さんが今度は赤沢さんをリードしようとしている。しかし急に引っ張ったために赤沢さんがバランスを崩してしまう。
「うわぁ!?」
「きゃっ!?」
案の定転倒……急に動き出せばそうなるだろう、おまけにバランスを崩しやすいローラースケート場という状況なら余計に赤沢さんは尻もちをついて、白露さんは膝をついた状態だった。
「痛った~」
「ごめんなさい赤沢さん……」
まぁまぁ痛そうだったので2人を立たせようとしたのだが……
「あっ……」
僕の視界に映し出されたものは、2人の花園であった。赤沢さんは水色と白の縞模様で白露さんは紺色だった。2人とも綺麗な脚を持っていて、しかも肉付きの良い尻も見え、自分の顔が熱くなっていることも分かった。そのせいで以前、事故で触ってしまったときの記憶が蘇ってしまった。
「……」
「「嘉義君?」」
「あっ、はい」
「早く手伝ってほしいな」
「わかりました」
少しの間2人のそれを見ていたために静止していたところ、2人が呼んだことで気が付き立ち上がらせる。怒っている様子が無いので2人は気が付いていないのだろうか?
「ありがと、続きしよ♪」
その後もローラースケートを楽しみ、時には白露さん、赤沢さんと2人で手をつなぎながら滑ったりもした。今更ではあるが、女性の手ってここまですべすべなのだろうか?絹のように滑らかだった。そんな感じであの後にハプニングは無く、楽しく過ごせた。
「今度観覧車乗らない?この時間なら結構綺麗だと思うのだけど?」
「良いじゃん!早く行こうよ♪」
先程のスケートが楽しかったのか2人ともテンションが高めだ。あそこまでやって元気があるとは驚きだ。まぁこちらもまだまだいけるけれど。
「先にトイレ行っていい?」
「良いよ、待ってるね」
先程からスケートをして飲み物をそれなりに飲んでいたので、トイレに行きたくなってしまった。そのため、2人をおいて済ませようよ考えた。しかし、スケート場にいたときに済ませるべきで置いて行ってはいけなかったことを蒼輔は思っていなかった。
「結構かかるね嘉義くん、女の子みたいだね」
「よしなさい赤沢さん……」
「あれ?今2人だけ?」
「えっ?何ですかいきなり?」
蒼輔を待っていた2人だが、唐突に誰かに声を掛けられた。声からして男性ではあるのは間違いないが、見てみると明らかに学生ではなく20代くらいの男性2人がいた。
「めっちゃ可愛いじゃん!この制服って水本の子じゃね?」
「よし、連れてくぞ」
「ちょっと、離してください!」
「ウチらは別の人を待ってるんです!」
「良いから、俺達と遊ぼうよ」
冬美も鈴奈も抵抗はするものの、力のある男の前では非力そのものだった。2人は人目のつかないところに連れ去られてしまう。蒼輔が戻って来たのはほんのわずか後であった。
「お待たせ……ってあれ?先に行ったのか」
トイレの前で待っていたはずの2人がいないことに気が付いたが、蒼輔は先に向かってしまったと思いことの大変さに気が付いていない。
「こっちも行くか」
「あの白い髪の子大丈夫かな?ガラ悪い奴に絡まれたけど。高校生で絡まれるって最悪だよな」
その言葉は蒼輔にも聞こえていた。白い髪の女の子?もしかして白露のことではないか?不安が頭を過った。
「それ本当か?」
「えっ、はい。それに赤い髪の子もいましたよ」
「何だって!?2人はどこに?」
「人目が着きにくいところです。多分下に行くのを見たので」
その事実を知った蒼輔は急いで彼女たちを追う。最悪な状況になっていないことを願うが、急がねばそれが現実になってしまう。
「やめてください!」
「あなた達と遊ぶつもりはありません!」
一方連れ去られた2人は男たちに乱暴されていた。しかも監視カメラが無いとところへ連れて行ったので人目に付きづらく、助けを呼べない。
「高校生なのにこんな美人が釣れるとはな、早く楽しもうぜ」
「(い、嫌!誰か助けて……!)」
「俺の女に手を出されるのは迷惑なんだがな」
「「!?」」
「「嘉義君(くん)!!」」
人目につかないはずの場所なのに、そこにいたのは蒼い瞳を持つ青年だった。そう、その男は蒼輔である、しかしその表情は先程までのまったりしたものではなく殺意を感じるような眼差しをしていた。
「何だてめぇ、こっちの邪魔しないでくれるかな」
「それはこっちのセリフ、その2人さこっちの連れなんだよね。勝手な真似しないでくれるかな」
「舐めた口聞くじゃねぇか、さっさとやりたいからお前から潰してやるよ」
「ダメ!」
バチン!!
「!?」
皆信じられなかった、彼らが見た光景は殴りかかる右腕を蒼輔が片手で押さえていたためである。男もかなり強く殴ったであろうから相当な強さのはず。しかし、蒼輔の表情は全く臆する様子もなく、平然としているようだった。
「馬鹿な!?」
「お宅のパンチはその程度?殴って来たのはそっちだからな」
「うぐっ!?」
蒼輔は男の腹を一発殴った後、怯んだそのわずかな瞬間で顔面にも一発喰らわせた。殴られた男はたったそれだけで倒れてしまったのである。
「嘘……」
「まじかよ……ひっ!」
もう一人は相方を見捨て逃げようとしたがすぐさま左腕を掴み逆に引っ張り倒した。そして上に乗り腕を拘束して身動きが取れないように封じ込める。
「さっきまでの威勢はどうした、その程度で打ち負かせられると思ったお前たちの負けだ。今降参するならこれ以上手出しはしない」
「わ、分かったから降参だ!だから許してくれ!」
そうして僕は男の拘束を解き、別れ際に卑怯ではあるが腹蹴りを一発喰らわせ2人を連れて立ち去った。普段の鍛錬で得た力はこのように使っている、無害の人間に危害を加える者を掃討するために。まさか入学してすぐにこの力を発揮することになるとは……
「大丈夫2人とも?」
「うん、大丈夫」
「私も大丈夫よ」
2人とも少し服が乱れている様子ではあるが、最悪の状況までいかなかったようで少し安心した。顔を見てみると、少し瞳が潤っているようだ。ここで、あの時に離れてしまったことを後悔した。
「すまない、俺が変なところで待たせてしまったせいで」
「ううん大丈夫だよ、でも怖かったんだから!」
「ごめん、本当に」
赤沢さんは今にも泣きそうな顔でこっちに迫って来た。当然だろう、知らない男達に無理やり連れていかれて暴力行為をされそうになったのだから。嘸かし怖かったに違いない。
「うわっ!?」
「またあんな目に遭いたくないからこうして」
「私もそうして頂戴」
「両腕に絡みつくのか?」
「これだったら安心して歩けるから終わりまでこうして」
「はいはい……」
その後、両腕を絡まれた状態で観覧車に向かった。その際、係員が少しにやけながら案内していたが先程の件があったのでこれに関しては無視した。
「夜の観覧車ってドキドキするよね♪」
「そうだね、ロマンチックな雰囲気でいられるしね」
時間は7時を回っているだろうか、空は暗くなっていて照明やビルの光が夜空を照らすようになっていた。
「星空や月が照らしていたらもっと綺麗だろうね」
「そうだね」
「嘉義君」
「何?」
「さっきの嘉義君、とてもかっこよかった。初めて会ったときに言ってたこと、本当だったのね」
「阿呆、さっきのは一緒にいた人を放っておけなかったからだ。白露だから助けたとかではないからね」
「そんな強気なこと言って、でもありがとう」
そう言うと、冬美は蒼輔の隣に座り彼の手に自分の手を乗せた。
「これは一体?」
「綺麗ね……」
そう言うと、白露は目が少しトロンとして顔が少し赤くなっていた。一体何を考ええているというのか?
「嘉義君……」
ぎゅっ!!
「痛い!」
「ふふっ冗談よ、ごめんなさい」
顔を近づけてきたかと思えば、今度は置いていた手を思いっきり抓って来た。しかもまぁまぁ長い時間、すべすべで真っ白な手で。
「こういうの弱いでしょ?嘉義君、だからからかってみたくなって」
「完全に騙されたよ……」
「本当にキスしそうになったものね、それにさっき私の下着をガン見してたこと許してないから」
「それならこんなことをされても文句は言えない……」
先程のハプニングを覚えていたようでしかも見ていたこともわかっていた。そりゃ人の下着をガン見していたら気持ち悪さはあるだろう。
「ウチも怒ってるから、さっきパンツ見たの」
「ごめんなさい!さっきは悪かったから頬を抓らないで!」
結局赤沢もさっきのことを覚えていて2人にそれのお仕置きを喰らう羽目になってしまった、しかも思ったより強めで。わかっていないと思っていたけど、彼女たちはしっかり気が付いていたようだ。そう考えると、この仕打ちは当然の報いなのかもしれない。
「ウチも隣に座るから」
「もう好きにしてください……」
「今日は一緒に来てくれてありがとう!とっても楽しかったよ!」
その後、2人に遊ばれて観覧車での時間が終わった。しかも赤沢には写真を撮られ、d加工アプリで抓られた顔を編集されたりと色々遊ばれた……
「ねぇ嘉義くん」
「何かな?」
「ありがとう、さっきのこと」
「気にしないでよ、放っておくことが出来なかっただけ」
「それにしては「俺の女」とか決め台詞っぽく言ったよね」
「そんなこと言ってた?」
そう尋ねると2人揃ってうなずいたのでおそらく本当かもしれない。僕の悪いところで激情した状態にあるとその時の発を全く覚えていないことがあるので、冷静になったときに初めて気が付くこともある。なので、今回もまた何かおかしなことを言っていたという自覚があまりないのだ。
「女って言い方何か嫌だな、こっちが恥ずかしい……」
「なら今なってあげよっか?」
「冗談はやめて」
「まぁまぁそんなカッとならないでよ。でもお礼はしたいな」
「お礼?
「はい、これウチの連絡先」
そうスマホを出してきたのでよく見ると、赤沢の電話番号とメッセージアプリのアカウントだった。これをみて登録して良いよという意味なのだろうか?
「これ登録すればいいのか?」
「当たり前でしょ!そのためのものなんだから」
「じゃあ今やるよ」
「これで登録は完了だね」
「こっちも確認したよ!よろしくね嘉義くん、またね!」
登録できたことが分かると、赤沢は手を振って駅へ走っていった。その時は結構良い笑顔だったと思う。その後僕達も電車に乗り帰路についたのだが、その電車の車内ではこんなことがあった。
「嘉義君、私も」
「何のこと?」
「交換よ、連絡先の交換」
「そういうことか、ならこれだなよ」
「登録できたわ、今日はありがとう誘ってくれて」
「いや、赤沢に言ってくれ。元は彼女が誘ったからこうやって過ごせたわけだし」
「それもそうね。今日の一件で前のいやらしい目線、無しにしてあげる」
「やっぱり覚えてたか、今更だけどごめんなさい」
「少し残念だったけど、でも今日ので相殺されたわ」
「厳しい評価だな、仕方ないか」
先日の体力テストのやり取りで印象が悪く見えていたようで今日の行いでそれが清算されたということらしい。こうやって考えると何謝る前に遊びに誘っているのだと自分を少し責めた。
「今日はとても楽しかったわ。ありがとう、また一緒に行きましょう」
僕が電車を降りるときに、耳にこうささやいた白露。
「いつでも気が向いたら誘いますよ」
そう一言返し、僕は白露と別れた。
「嘉義くん、あんな一面があったなんてなー」
ウチは今、夕方に見た嘉義くんの一面に興味が芽生えていた。だって、普段ほのぼのとして怖そうな雰囲気なんて一切感じないのに、あの相手を本気で殺しにかかる目つきとそれを表すかのような彼を包むオーラが学校で見る彼を一変させるのだからただの男子とは思えない。その興味が彼女の頭を支配していた。
「(少し怖い一面もあったけど、何であそこまでしようとしたんだろう?)」
鈴奈は知らない、蒼輔の想いを。そしてそれを求めて追ってきた傷や痛みも
お分かりいただけたでしょうか?このタイトルの意味、蒼輔が普段見せない一面と力、冬美と鈴奈の下着を見てしまった蒼輔を意味していました。簡単に言えば魅了されるという意味でもあります。この一件により蒼輔の前回の鍛錬の意味が分かっていただけたと思います。
ここで以前の従兄弟達とのやり取りの成果が垣間見えたと思うでしょう。少しではありますが、蒼輔自身の想いも描けたと思っています