良心と痛み、愛する気持ちがあるから   作:戦場を翔ける天使

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今度は愛と嫉妬が少し強めの妹です。こんな妹がいたら少し嬉しいかなと筆者自身も想っています。


少し重めの瑠璃色の二女

 

 

 くつろぎと安らぎの場である我が家のリビングなのだが、休んでいるのにも関わらず全く休まらない。理由は単純なもので……

 

「学校が終わってすぐに買い物に出かけている間にあなたは何をしていたのかしら?」

「別に蒼やんと駅で一緒になったからそれで帰って今日の話をしていただけだし」

「だからってそんなに密着する必要はあるかしら。いつも以上に近く感じたのだけど?」

「瑠璃だって同じだよ、よくくっついているじゃん。アタシはダメなの?」

 

 こんな様子ではあるけれど、普段の二人は仲が良い。僕が絡むとこういった小競り合いが起きることがある。

 

「藍奈、早くそこを離れなさい。兄さんに迷惑でしょ」

「蒼やんだって嫌がってないから別に構わないでしょ。普段から瑠璃だってしてることだからアタシの時も気にしないで良いよ」

「そう……随分生意気な口を利くようになったのね……」

 

 目をぎらつかせ、互いを威嚇しあう二人。このままでは穏やかなお昼が修羅場になりかねないので仲裁に入る。

 

「はいそこまで。平和な昼が血泥みの惨事にしたくないからこっちは」

「別にそんな物騒なマネは……」

「それはわかるけど、昔あっただろ?二人が大喧嘩して止めるのが大変だったの」

「あれは瑠璃が勝手にキレただけ……」

「何ですって!」

「だから、ここまで!これ以上やるなら飯抜きだよ」

「「……わかりました」」

 

 少し不服そうではあったが、喧嘩までに至らずに済んだ。2人が喧嘩したら、しばらく空気が最悪な感じになり居心地が悪くなるのでそこは止めなければならない。その後、藍奈は自室に戻ったが瑠璃乃と僕はリビングに残っていた。

 

「兄さん」

「どうした瑠璃乃」

「あまり藍奈ばかり甘やかさないでくださいね。あの子、スイッチが入ればそうそう止められないですから」

「そうだね。けれど、それを言うなら瑠璃乃も藍奈のことを言うことが出来ないんじゃないか?」

「えっ、それは……」

「だって瑠璃乃だって一緒に寝たり藍奈みたいにくっついたりしているじゃないか。注意してほしいと言うけれど瑠璃乃も一緒だ」

「……正直に言えば、羨ましかったです。前は私ほど甘えることはなかったのに、突然ああなってしまったのですから。驚きもありましたが、兄さんと一緒にいられる時間が減ってしまうように感じて……」

「馬鹿、藍奈も外ではあんな風に甘えはしないよ。別に藍奈が甘えることが増えたからって瑠璃乃が控えすぎることなんてない、ただ自重はしてね。けど、瑠璃乃が甘えたくなったらいつでもおいで、ちゃんと受け止めるから」

「は、はい……」

 

 ちょっと言いすぎてしまったかもしれない。今の発言によって瑠璃乃の顔は赤く染まっていっている。瑠璃乃も藍奈と同じように僕を信頼し、愛しているのだ。ただの好きといった感情ではなく、パートナーとしても想っているのかもしれない。僕も瑠璃乃を信頼し、愛している大切な人なのだ。

 

「今日は塾でしょ?大変だろうから昼は作るよ」

「大丈夫です兄さん!まだ時間はありますから私が……!」

「いや、瑠璃乃は今年受験だから下手に時間を奪う訳にはいかないからね」

「ご飯の用意ならそんなに時間を必要とはしませんから、兄さんは休んでいてください」

 

 瑠璃乃の尽くそうとする姿勢は昔からだ。大体が家族や限られた人間にしか見せないものではあるが、僕の時になるとその傾向が強いように感じる。無理はしないでほしいのだが……。今年は瑠璃乃の高校受験が控えているために、尽くそうとした結果無理をしてしまいマイナスの方向にことが進んでほしくないのだ。去年は僕と藍奈が受験だったために母がいないときは瑠璃乃に負担をかけてしまったため、僕や藍奈で支えていこうと決めたのだ。

 

「なら二人で作ろうか。そっちの方が早くできるかも」

「はい、兄さん!」

 

 どうやら僕の案に納得してくれたようで、二人で一緒に作ることになった。因みに、瑠璃乃は家事が出来るため、母が用事でいないときはこうやってこなしてくれる。僕も料理や掃除をやったりもしている。そのため僕と瑠璃乃は料理の腕は同年代に比べたらレベルは高いと思っている。

 

「それにしても、二人は料理が上手だねー」

「ありがとう。普段からやってるからね」

「そうね。藍奈も今年は兄さんの手伝いをしなさい。兄さんばかりに負担をかけさせるわけにはいかないわ。」

「わかってるって。でもアタシあんまり料理は出来ないよ、だから今度教えて♪」

「了解」

 

 穏やかなものだ。さっきまでの一触即発の修羅場がまるで最初からなかったかのようである。昼はパスタを作ったのだが、藍奈の評価も上々みたいだ。瑠璃乃は手伝うという目的で一緒にいられたことに満足しているようだ。その後藍奈はリビングでくつろぎ、僕は洗い物をこなす。瑠璃乃は塾のため自室に戻り、支度をはじめていた。

 

「瑠璃乃は今日帰り遅い?」

「いえ、いつも通りだと思います」

「そうか、気を付けてね」

 

 瑠璃乃は出ていきちょっとした静かな時間が訪れた。今日は朝から大変なことばかり起きたために少し疲れていた。なので、夕飯まで少し仮眠をとることにした。

 

「たっだいまー!」

 

 しばらく眠って目が覚めた瞬間、元気そうな声が聞こえた。どうやら母が帰ってきたようだ。リビングへ行き、母を見ると紙袋を掲げているのに気がついた。

「これどうしたの?」

「これ?今日はせっかくだし奮発して色々買ったの」

「ありがとう母さん、色々買ってきてくれて」

「良いのよ蒼ちゃん、藍ちゃん。普段私がいないときにみんなに助けてもらっているのだから」

「わーい、ありがとうお母さん!」

帰りにデパートに寄ったらしく、そこで色々と夕飯のものを買ってきてくれたようだ。そのため、今日の夜はご飯を炊くだけで済みそうである。

 

 この人が僕達の母親、嘉義みそら。基本は主婦なのだけど、一応働いている身でもある。父の稼ぎはとても多いけれど、子供達を大学へ進学できるようにするために自分も働いて負担を減らしたいと思っている。大変な身ではあるけれどとても明るく、勤め先でも評判は良いらしい。

 

「そういえば今日2人とも初日だったけどどうだった?」

「ウチは普通だったかな」

「僕は友達一人だけできたかな」

「嘘!どんな人どんな人?」

「近いってば!まぁ女の子だけどね」

「しかも白雪姫みたいに白いんだって」

「何と!遂に蒼ちゃんに春が……この一会、無駄にしちゃだめよ!」

「うるさい!まだ恋始まった訳じゃない!」

「えぇー、だって気になったから声掛けたんじゃないの?」

「それがさぁ、蒼やんがその子が痴漢に遭っているところを助けてから知り合ったらしいよ」

「かっこいい!昔からの教えがこう役に立つとは!一豊おじさんに感謝ね!」

「はぁ……」

 

 この二人に絡まれるとちょっと大変なのだ。母は陽気で結構グイグイ来る人だ。しかも同時期の少女よりも恋愛に興味があるため、中学の時もこんな感じで攻められた記憶がある。しかも藍奈もこれに便乗してくるのでより面倒なのだ。普通にしていればとても楽しいのだが……

 

 夕食を食べ終え自室でくつろいでいたわけだが、しばらくして瑠璃乃が帰宅した。瑠璃乃も夕食を済ませ、部屋で勉強を始めたようである。今日は難しかったようで要復習なのだそうだ。彼女も大変だと思っていると瑠璃乃が部屋に訪れた。

 

「どうした?今日言っていた分野のこと?」

「いえ、勉強の話ではありません」

「どういうこと?」

「兄さんに女性の友人が出来たと聞いたので、そのことについてです」

 

 彼女も気になっていたのか。今までの自分を見てきているからこそこのことは瑠璃乃にとっても驚きのものなのだろう。

 

「藍奈から聞きました。まるで雪の中から生まれたような白さで後ろ姿だけ見れば私そっくりだとも」

 

 淡々と言っているけれど、その中には少しつーんとしているような感情も含まれているようにも見えた。

 

「拗ねてるの?」

「別にそうでもないですよーだ」

「珍しいじゃん、その感じの言葉使うの」

 

 やっぱり拗ねてる。まず頬が少し膨れているし、それに語尾が敬語で終わっていない点で大体わかる。瑠璃乃のことだ。きっと異性関係で何か気に入らない点があったのだろう。

 

「何がご不満なのかな?いつも一緒にいる時間が長いうえに構ってあげているじゃない」

「不満は無いですよ、ただ兄さんがコロっと見ず知らずの女に尻尾を振る情けない姿を想像したら不機嫌になっただけですから」

「そんなことか……」

「そんなことなんかじゃありません!兄さんは特別カッコいい外見は持っていませんが、優しさ、良心、誠実さ、誰かに尽くそうとするところとか、色々良いところを持っているから、それがきっかけで私達以外の女性がすり寄ってくることが嫌なんです!」

 

 色々と拗らせているようだ。僕は誰にでも優しくしているわけではない、損得勘定やメンツ、打算で近づく人間にはその側面を見せていないだけだ。瑠璃乃はそこを勘違いしている。

 

「つまり、優しさやスペックが良いからそれで近づく女が嫌ってことだね?」

「……はい」

「わかった、それ」

「!?」

 

 瑠璃乃は色々と快く思っていないことがあるみたいなので、やり方的にはあまりよろしくないが彼女を強引にベッドに押し倒した。

 

「に、兄さん!?一体何をするつもりですか!!」

「ふふっ、何って言われても楽しいことだよ」

「だから、その、まだ心の準備が……」

「……?何言っているの?ただ一緒に寝るだけだよ?」

「へっ?」

「一体何を考えていたの?また忙しくなるから一緒にいられる時間も減っちゃうじゃない。もしかして……」

「も、もう大丈夫です!わかりましたから!」

「っで、どうするの?」

「……一緒に寝たいです!」

 

「待ちな、瑠璃」

「!?」

 

 甘い雰囲気を台無しにするような大声が部屋に響く。何と扉の所にはなぜか藍奈が怒り気味の顔で立っていた。

 

「あ、藍奈。どうして部屋の前に?」

「何か話してると思って覗いてた。けど瑠璃がベッドに押し倒されていたから見てられなくなって入ったって訳」

「ははっ、色々拗らせていたみたいだから少し落ち着かせようと思ってね」

「だからって押し倒す必要あるの?」

「少しやりすぎだったかもしれなかったね」

「それってもっとムードがあるシチュエーションにすることだよ……」

「いたずらが過ぎたよ。ここに来たってことは、藍奈も?」

「当たり前でしょ。瑠璃だけに美味しい思いさせてたまりますかって話だし」

「わかったよ。ほら、藍奈もおいで」

 

 そう言って僕はポンポンとベッドに手を当て藍奈を呼ぶ。

 

「瑠璃だけに一人占めさせないから。アタシだって受験であまり一緒にいられなかったから、その分を少し恵んでもらうし」

「ふんっ。今日は譲るわ」

 

 結局藍奈の参戦によって3人で寝ることになったのだが、みんな大きくなったので昔のようなゆったりさはない。しかし、2人が密着して寝るので以前より距離は近く、温かさを感じながら寝ることになる。どうしてなのか、これが愛おしく感じてしまうのであった。

 




いかがでしたでしょうか?妹たちの溺愛っぷりは。ですがただ理由もなく蒼輔をここまであいしているわけではないのです。そのこともいずれ触れていきます
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