入学編X
~早朝~
朝起床すると昨日貢殿から送られてきていたメールについて頭を悩ませる。そもそも今回の討論会自体も突然決まったにも関わらず決まった後の2時間後にはもう暴動の情報が出るなんていくらなんでも早すぎる。
いや、そもそもこのシチュエーションを作ることが目的と考えれば全て奴らの計画通りなのではないだろうか。……さすがに飛躍しすぎか?まあ相手は所詮テロリスト、何をするかわからないのがテロリストというものだ。
とりあえず自分は真由美さんを第一に考えよう。他の生徒はまあ余裕があれば助けよう。さて、もう家を出ないと真由美さんを待たせることになる。もし本当に事が起これば……
今日潰してしまおう。
いつも通り真由美さんと登校。教室に入ると深雪さんとほのか、雫は既に登校していたようだ。そういえば司波兄弟は今日のことを知っているのだろうか?
「おはよう3人とも」
「おはよう」
「おはようございます!」
「おはようございます」
挨拶がてら顔色を窺ってみるといつもよりも少しだけ不安そうな顔をして……いる気がする。うーんわからん達也ならわかりそうだが、というか達也に後から聞けばいいか。知らなかったら適当に指示も出しておこう。というか達也なら指示もいらない気はするが。
とりあえずいつも通り授業を受けるとしよう。今日は実技が多めとなっている。内容としては平たく言えば魔法の反復練習である。それで何を練習するのかといえばある程度自由となっている。ある程度というのは毎週の課題があるのだがそれを授業時間内に終わらせる必要がある。自分は既に今週の課題は終わらせてしまっているため課題で少し気になっていた魔法の発生速度の練習をする。
「夜瑠くんってすごく努力家ですよね」
一段落したところでほのかが褒めてくれたようだ。自分は簡潔に「ありがとう」と返すと続いて質問が来た
「どうしてそんなに努力ができるんですか?」
これまた難しい質問だ。自分にとって魔法における強さとは強すぎるくらいには人格と結びついてる。強いのが当たり前で、強くなければ四葉家次期当主としての価値は無い。そういう教育を今までされてきたのだ。今更この価値観を捨てるなんてことはそう出来ない。それに強くなければたった1人の守りたい人ですら守ることも出来ない。
「うーんそうだな。自分にとっては魔法の訓練をすする事はもはやライフワークと言っても過言じゃない。それに四葉とか関係なく守りたい人もいるしね。」
そういうと女子特有の黄色い悲鳴が聞こえてくる。真由美さんのことを想像したのだろう。
(やっぱり女子はこういう話題好きなんだなー)
――――――――――――――――――――――――
お昼休みは真由美さんと過ごそうかと思ったがやはり放課後の討論会の準備が忙しいようで邪魔をするわけにもいかず声を掛けなかった。。今日は初めて1人でお昼を食べたがゆっくり出来たので悪くはなかった。たまにはいいのかもしれない。
さて、肝心の討論会だが正直お話にもならなかった。討論会というより真由美さんの演説になっていた。30分を経過する頃には討論相手は反論する気概さえも失っていた。
「以上の事を私の最後の生徒会の仕事としま」
ドオオオオオオン
突然の轟音と共に会館が揺れた。
CADを待機させながら真由美さんのもとに駆け寄り、自分よりも小さな体躯をかばう。
まさか情報通り本当に来るとは。さてまずはこの会館に潜伏しているエガリテから制圧していこう。
カタン
窓ガラスが割れ地面に落ちる金属音がしそちらを見ると
(グレネード!障壁...間に合うか!?)
片手でCADを操作しながら真由美さんの体を抱きながら後退する。
しかし爆発はせず代わりに煙が舞い上がる。どうやら催涙弾のようだった。ハンカチを真由美さんの口元覆い真由美さんがハンカチを抑えたのを確認すると自分の口を制服で抑える。真由美さんの扱いが少し手荒になってしまったことは後から謝ろう。
しかし服部先輩が魔法で煙を抑え込み外に移動させる。
(流石の魔法操作ですね…。)
感心していると座っていた生徒の一部が立ち上がる。手元を見てみるとエガリテの証であるブレスレットをしている。外は銃声も聞こえてくる。とりあえず目の前の生徒を取り押さえよう。――――――
渡辺先輩が指揮をとりあっという間に制圧が完了してしまった。一般の生徒たちは生徒会と風紀委員が主導で避難させるようだ。お自分も風紀委員である以上こちらを手伝うことになるだろう。手早く打ち合わせをしていると
「委員長!俺は実技棟の方を見てきます」
そう言って達也と深雪さんが外に駆けて行くのが目に入った。追うか考えたが達也が負けることは無いだろうと思い。自分は職務を全うすることにした。
騒ぎは夕方になる頃には沈静化していた。
どうやら奴らの狙いは第一高校の図書館にある機密データベースだったらしく、そこには剣道部の壬生先輩もいた。彼女はブランシュに利用されていただけらしく、逃げようとしたところをエリカが捕らえたらしい。
そして今は保健室で事情聴取をしており真由美さんに渡辺先輩。更に克人さんと現場に居合わせたということで司波兄弟とエリカも同席している。話を要約すると渡辺先輩に関する記憶を操作、というより肥大化させることによって結果的に一科生に対する不満となっていったらしい。途中壬生先輩が泣き始めて正直焦ったが達也が慰めた。前々から思ってたけどこいつタラシの才能あるな?顔も良いし。なんなら達也の胸の中で壬生先輩泣いてたし。相変わらず奴らは気に食わない。話が一段落したところで達也がブランシュの連中はどこにいるのかと言い始めた。
「まさかブランシュに乗り込むつもりじゃ」
こう言った渡辺先輩を真っ向から否定するのが達也。
「違いますよ渡辺先輩。叩き潰すんですよ。」
「危険だ、学生の部を超えている。」
ポーカーフェイスを努めるが自分も叩き潰そうとしてるんですよ...なんなら過去潰したんですよ…。
「危険よ!私も反対だわ。」
こう言うのは真由美さん。
「そうして壬生先輩を家裁送りにするんですか?」
「なるほど警察の介入は好ましくないか。そしてこのまま放置も出来ない、か。」
納得してみせるのは克人さん。
「だがな司波相手はテロリストだ。俺たちは誰も当校の生徒に命をかけて欲しくは無い。」
……先輩達の言葉が心に効いてしまう。
「無論生徒会や部活連の力を借りる必要はありません。」
「一人で行くつもりか?」
「本来ならそうしたいつもりなのですが」
「お供します。」
いの一番に深雪さんが立候補するとエリカとレオもこれに続く。
「私のためならやめて!私は罰を受けるだけのことをしたんだから。それよりも司波君たちになにかある方が…」
「違いますよ壬生先輩。俺と深雪の生活空間がテロの標的にされたんです。安全の確保のためのテロリストの排除は俺の最優先事項です。」
そう言い捨てると皆が呆気に取られている。あ、でも深雪さん心無しか嬉しそう。
「ですがお兄様どうやってブランシュの拠点を見つければ良いのでしょうか?」
「それは知ってる人に聞けばいいんだよ。」
そう言ってこっちを見てくる。それに釣られ皆見てくる。あーなるほどな、達也最初からこのつもりだったのか。
「夜瑠くんまさか…」
すごい心配そうな顔で真由美さんがこちらを見てくる。
うーん罪悪感が凄い。諦めたように息を吐き、真由美さんの肩に手を置き達也の方に向き直る。
「ああ、知ってる。なんなら今日潰しに行くつもりだ。」
「夜瑠くん、まさか私のために?」
真由美さんがそう聞いてくる。
「まあ、その通りです。」
「お願い、危険なことはやめて。もうあなたにはあんなことして欲しくないの!」
彼女が言っているのは数年前に1度ブランシュのアジトから誘拐された彼女を救い出したの時のことである。
何せあの時は人を殺しに殺しまくった。正直あまり思い出したくはない。
「大丈夫です。今回自分はほとんど相手をするつもりはありません。既に四葉の部隊が周辺を封鎖、囲んでいます。それとエリカ、確か千葉家は警察と繋がりが強かったよな、今回の四葉が関わったことは出来れば喋らないで欲しい。」
「わ、わかったわ。」
突然声をかけられたので驚いたように返事をしてくれる。
そして再び真由美さんに向き直る。相変わらず不安そうな顔をしている。そしてガバッと抱き締める。
一同は驚愕している。
そして囁くように安心させるように声をかける。
「大丈夫です。絶対に無事に帰ります。」
更に声を潜めて続ける。
「そして良ければ家で待っててください。真由美さんの手料理が食べたいです。」
自分がそういうと真由美さんは驚いたように身を強ばらせる。
「いいですか?」
そう聞くと僅かに頷いてくれた。
「ありがとうございます。」
そういうともう一度強く抱き締め体を離す。
真由美さんは照れたような、不満そうな顔をしていたがやがて諦めたように
「無事に帰ってきてね」
と言ってくれた。
そして自分が立てていた作戦を話し始めるが皆
(いやこの流れでは無理だろ)
みたいな顔をしていた。耳だけ傾けてこっちみないでくれ。
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話終えると距離もあるから車で移動することにした。一応予備で2台分待機させていたため直ぐに移動を開始出来た。
場所は郊外の工場跡地。第一高校の裏門を出ると既に車が待機していて乗り込む。
「状況は?」
「はい、工場内には武装した構成員が建物内に配備されています。数は60です。ブランシュ日本支部リーダーの司一も確認済みです。また、既に工場の包囲は完了しています。」
「分かりました。」
待機していた構成員に状況を報告してもらい出発することになった。
自分の車に乗るのは自分、エリカ、桐原先輩。(桐原先輩は克人さんが連れてきた。)
もう一台が大きい車のため達也、深雪さん、克人さんレオの4人が乗ることになった。
そして、車に配備されている通信機を手に取り息を吐き出し意識を切り替え待機している四葉構成員に指示を出す。
「各員、傾聴。これよりブランシュ日本支部制圧作戦を行う。本作戦は拘束を目的としているが自らの命の危機があった場合はこの限りでは無い。また、諸君の任務は2つ。私が突入、制圧後の残党の捜索と逃亡者の確保である。各員それぞれの職務を全うすることを期待する。以上。」
言って一息つくと同乗している2人がなにやらニヤニヤしていた。
曰く
「七草先輩が今のを見たら惚れ直すわね」
との事。やかましいわ。
それはそれとして言うべきことは言った。第一高校からはかなり距離がある。後はCADの確認と到着まで集中するとしよう。
目を瞑って集中していると停車した。車から降り最後の確認を行う。正面から突入するのは自分、達也、深雪さんの3人。裏口は克人さんと桐原先輩。レオとエリカは逃走者の確保。そして貢を含む四葉構成員はさらに広い範囲を囲っている。
「それでは確認も済んだので突入しましょう。と、その前に突入の前にまずはこれからだよな。」
汎用型CADトールギスを取りだし魔法を起動する。
発動する魔法は精神干渉系魔法「ナイトフォール」
効果としては広範囲に、自分のサイオン波を流し込む。結果当たった対象は軽い恐慌状態となり視野狭窄に陥る。特に銃相手だと「構える▶︎撃つ」という訓練通りの動きの精度が落ちることも期待できるためこの魔法を開戦の狼煙とした。ついでに相手の居場所が何となく分かる。ちなみにこの魔法は対魔法師相手だとあまり効果がない。
さて、行くか。
柵を越えて扉を開けると目の前には早速ブランシュと思われる構成員らが居たが既に、銃先は震えている。このままスルーしても良いのだが後ろから打たれるのを防ぐため特化型CADリーヴァーを構える。発動する魔法は「スリープダーツ」本来この魔法は興奮している相手には効果は薄いが今回の場合効果覿面なのでいつも対非術師に対してはこのセットアップを使用している。
構成員を眠らせながらどんどん進んでいくとこれまでとは違いきちんと銃を構えることが出来ている部隊に出会う。中心部には眼鏡をかけた胡散臭そうな薄紫色の髪色のいかにも私が教祖ですみたいな服を纏った長身の男性が立っていた。
「ようこそ、君が四葉夜瑠君だね?そして後ろの君たちは司波達也君と深雪くんだね?」
「お前が司一だな。一応勧告しておく、銃を置いて即座に降伏しろ。」
言うと司一は突然笑い始めた。、
「ふはははは、これだから魔法を絶対的なモノだと勘違いしている馬鹿なり連中は。」
「馬鹿?馬鹿はそっちだろう。前支部を自分が潰したことを忘れたのか」
「確かに前支部はキミに潰されたさ、だがなんの備えもなくまた現れるわけないだろう!」
そう司一が言うと構えるように手首をこちらに向けてくる。
「くらえ!四葉……」
言い終える前に部屋に入る前に発動しておいた「ブレード・ストーム」を発射し、肩を撃ち抜く。
「ギャアアアアアァァァァァ!!!」
「やはり馬鹿はそっちだろう。なにかする前にみすみす見過ごすはずがないだろう。アニメの悪役じゃないんだ」
さて、周りをみると構成員は驚愕した顔をこちらに向けている。その中の一人が司一のように手首に着けた装置をこちらに向ける。
「貴様ァ!」
次の瞬間わずかに肉が焦げる匂いがした。
どうやら達也が「フォノン・メーザー」を使って助けてくれたらしい。
そして次々に周りの構成員達を制圧していく。
「う、うわあああああああ」
司一が逃げた。面倒だが追いかけるとしよう。この場は深雪さんに任せることになった。正直こういう汚れ仕事はあまりさせたくないのだが工場の地図がないため達也の「エレメンタルサイト」が必要なため仕方ないがない。
追いつくとちょうど克人さんと桐原先輩と挟み撃ちの形になった。
「そいつが司一です。」
とだけ言うと桐原先輩が露骨に反応して
「こいつか!壬生を誑かしたのはァァァァ!!!」
そう言いながら飛びかか理刀を振り下ろし、司一の右腕を切り落とした。血がとめどなく溢れるが克人さんの魔法によって止血された。
そして無事制圧作戦は成功した。
工場を出て警察を呼ぶと不満そうな顔をしたレオとエリカと合流した。どうやら暇だったようだ。そんなこと言われてもと心の中で思いつつ自分たち四葉も撤退する準備をする。とは言っても正直自分にやることは無い。強いて言えば皆を送り届けるくらいだ。今日は疲れた。愛おしい人が待つ家へ帰るとしよう。
思ったよりも入学編長引いちった。
どことは言わないけど深夜テンションて書いた所すごいな...
入学編9の最後のようにリアルの話題を落とし込むのはどう思いますか?自分は延長線上にある感じがして好きです。
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あり
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なし
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どうでもいい