「これが列車のチケットだ。くれぐれもなくさないように…では我輩はもう行く」
今日はホグワーツ入学の日。私──レイ・エルバは、スネイプに連れられてキングス・クロス駅に来ていたが…スネイプのやつ、最後まで案内してくれないんかい。
まあでも私は映画の知識があるから「9と3/4番線??はにゃ??」とはならないんですが。
時間はまだ結構余裕があるが、人混みアンチなのでさっさと入り口の柱まで移動する。そして、ためらうことなく柱の中に身体を押し込んだ。
おお、これがホグワーツ特急…間近で見ると迫力があるな。すっごい赤いけど。
にしても、ここまで来てもハリポタキャラとは会わないとは…やはりこれは期待できるぞ…!
まだ人が少ないだけだろと私の中で囁く悪魔を追いやりながら、私はホグワーツ特急に乗り込んだ。コンパートメントを確保して一人で暇つぶしの読書をしているうちに、周りが騒がしくなる。しばらくして列車が発車した。
しかしまあ、どれくらいの時間乗っていることになるのだろうか。
ちなみに、テオはホグワーツまで飛んでいってもらうことにした。列車内なんて狭いだろうし、テオがそっちのほうがいいって言ってたからね。
私は本が退屈でうつらうつらしてきたが、突然のノック音で目が覚める。
「あの…ここ、座ってもいい?どこも空いてなくて…」
「…どうぞ」
ホッとしたような表情をしながら入ってきたのは男の子だった。
ふむ…黒髪にメガネ、そして額にチラリズムしている傷…君はもしかしなくてもハリー・ポッター君じゃないか。てことは、子世代だったのかぁ〜。
…って、ええええええハリー・ポッター!!!???
なぁにが子世代だったのかぁ〜だよ!!!
なんで私普通にどうぞとか言っちゃった!!!???
そんなぁ…よりによって君に会うなんて…
終わった、私の転生人生。
ああ…天から「フラグ回収乙wwww」って声が聞こえる気がする…。
と、驚いたり悲しんだり、忙しい感情の流れを表情には一切出さずにぐるんぐるんさせていると、ハリーが話しかけてくる。
「えっと、君は新入生?」
「…うん」
「僕もなんだ!僕、ハリー・ポッター」
「…知ってる」
「あーやっぱり?それで、君は?」
「…レイ・エルバ」
「よろしくね、レイ」
君さては陽キャか??初対面の、しかもこんなクソミニボイスでボソボソ応対してる私になぜそんな眩しい笑顔を向けられるんだ???
あー無理だ。陽キャと話すってのも無理なんだけど、それよりもこの世界の主人公と関わったら絶対ろくなことない…
…そうだ、そうだよ、関わらなければいいんだ。
出会ってしまったのは仕方がない。だがここからまだ挽回はできる!
おい、さっき笑った神様、見てるか??ここまでの運命はあなたの手の中だったかもしれないがなぁ…
ここからは私のターンだ。
自分の運命は自分で切り開くっっ!!!
そうと決まれば早速、狸寝入りをしよう。私は開いていた本を閉じ、さらに目を閉じた。
ハリーは私とおしゃべりしたそうにそわそわしていたが…すまんな少年よ。
でも大丈夫だろう。きっともうすぐ…
「あ〜ここ、入っていい?どこも満席で…」
「あ、うん!もちろんだよ」
そらきた。目を閉じているから見えないが、今入ってきたのは十中八九赤毛のロン・ウィーズリーだろう。
ほら、これでおしゃべり相手が出来たぞ。ぜひとも私のことは、空気だと思ってくれ。
私が祈ったとおり、ハリーとロンは二人だけでおしゃべりを始める。
「君、さっき駅で会ったよね。僕はロン・ウィーズリー。ちなみに、ロンって呼んで貰えると助かる。君も見たとおり、ウィーズリーはたくさんいるんだ」
「うん、わかったよロン。僕はハリー・ポッター」
「ハリー・ポッター?あのハリー・ポッターかい?すっげぇ…じゃ、じゃあ、あれあるの?額の…」
「ああ、うん。ほら」
「わあ…本物だ!…ところでその〜、この子は?」
おっと、流石に完全スルーはしてくれないか。ま、このまま寝たフリしとけば大丈夫でしょ。
「あーレイ・エルバって子なんだけど…寝ちゃったみたい」
「そうみたいだね…」
よしよし、さすがに起こしてはこないよな。レディの睡眠を邪魔するのは英国紳士のすることじゃないしね。
その後は、売店が来てハリーが大量にお菓子を買い込んだり、ハリー・ポッターの噂を聞きつけたドラコ・マルフォイと愉快な仲間たちが訪問したりした。ちなみに、お菓子を横取りしようとしたマルフォイと大喧嘩になりかけてたけど、寝てる(フリをした)私に遠慮したのか口論だけで終わっていた。
あとは…ロンがペットのスキャバーズの色を変えようとして失敗したのを、真面目ちゃんのハーマイオニー・グレンジャーに見られてたり。
「それ呪文あってるの?全然成功してないじゃない!私は非魔法族出身なんだけど、もう教科書を何回も読んだし簡単な魔法ならできるのよ。例えば…」
とまあ、コンパートメントをに入ってきてペラペラと…さすがハーマイオニー、映画の通り。
ロンがうんざりしてそうな気配がするぜ。
「…ってことが本に書いてあったのよ!…そういえば、この子も新入生?」
一通り語り終わったのか、ハーマイオニーは私に興味を持った。
「うん。レイ・エルバって子なんだ」
「そう。もうそろそろ起こしたほうがいいかもしれないわ。ホグワーツに着く前にローブに着替えないといけないもの。それじゃあ私は失礼するわね」
そう言ってハーマイオニーがコンパートメントを出ていく。嵐みたいな子だ。
「…何だったんだ?あいつ…僕疲れたよ」
「あ、あはは…。えっと、レイ?そろそろ起きたほうがいいって…」
…さて、起きますか。目を開けた私は、今起きましたよ感を出しながらグーッと伸びをする。
ロンに改めて自己紹介された後、二人は私が着替えるために一度通路に出てくれた。レディファーストとは、やるじゃないか、少年よ。
着替えてしばらくすると、列車が速度を落とし、やがて駅に着いた。
キングス・クロス駅よりかは小さく暗めの駅に降りると、2mは優に越しているだろう大男が出迎える。彼は確か…
「よぉ、ハリー」
「やぁ、ハグリッド!」
そうそう、ハグリッド。そのハグリッドに連れられて、私達新入生は湖まで来てボートに乗り込んだ。
そして…大きな城が見えてくる。
いやはや、雰囲気ありますなぁ。頭の中であの有名なBGMが流れる。…ちょっとワクワクするかも。ほんとにほんのちょっとだけ。
そんなことを考えながらホグワーツ城をじっと見ていると、同じボートに乗っているドラコ・マルフォイが話しかけてきた。チッ、ずっと取り巻きとおしゃべりしてろよ。
「ところで君、列車でポッターと同じコンパートメントにいなかったか?」
「…ええ」
「僕はドラコ・マルフォイだ。君は?」
「…レイ・エルバ」
「エルバ…か。聞いたことないな。でも君は純血だよな?」
「…マグル生まれだけど」
多分、と小声で呟いたのはおそらく聞こえていなかっただろう。マルフォイは一瞬驚いて固まったが、すぐになんだとでも言いたそうな顔をして目をそらした。
おそらく私はマグル生まれのはずだ。マグルの孤児院にいたし、スネイプが来た時、私が魔法について知らないということを前提に話を進めていた気がする。
まあ、ハリーみたいに魔法族だけど知らなかったという例外もあるが。
とりあえずこれで今後マルフォイと関わることはないだろう。マルフォイみたいな気取り屋、まさしく陽キャって感じで怖いんだよね〜。
というか…イギリスって陽キャしかいなさそうだし(ド偏見)、こんなとこで私は生きていけるのだろうか…。
私は徐々に近づいてくる岸のほうを見つめながら、新たに発生した問題である“陽キャ恐怖症”に頭を悩ませるのだった。
ダイアゴン横丁で建てまくったフラグを見事に回収したレイ。
果たして、望みどおりに平凡で平穏なぐうたら生活を送ることができるのでしょうか。
サブタイトル、いいもの思いつかないと今回みたいに普通になります。
なんかかっこよくて読みたくなるようなタイトル、つけたいよね。
あ、ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回も期待しないでくださいね。