誤字報告ありがとうございますm(_ _)m
新入生の歓迎会が終わり、私──レイ・エルバは案内された部屋で荷物の整理をしていた。
「にしても、二人部屋ってちょっとラッキーじゃない?他はみんな3,4人部屋だって言うし」
「…比例して部屋も小さめだと思うけど」
「でも人数が少ないと部屋が静かでいいわ。勉強に集中できるもの!」
同じく荷物の整理をしながら話しかけてきたハーマイオニーは、そう言って笑った。
…やっぱり運命なのだろうか。
どうしてこうも主人公達との繋がりができてしまうのだろう。
ハーマイオニーの言う通り、少人数部屋というのは嬉しいが…ルームメイトが君じゃあ話が違うんだわ。
思わずため息が出そうなのをぐっとこらえて、私は黙々と荷物を片付けていった。
その夜。ハーマイオニーが今日は疲れたと言ってだいぶ早く寝たので、私は小さなバルコニーに出てじっとあるものを待っていた。
お、来た。
その美しく大きな鳥は、綺麗に滑空しながらこちらに近づき、そしてバルコニーの手すりにとまる。
『おかえり、テオ』
『ただいま、ご主人。いや〜、思う存分飛び回れて気持ちよかったよ』
『よかったね』
テオには夜に私を探して来てもらうことにしていた。最悪、ルームメイトにテオの存在はバレてもよかったが、私が鷲語を操れるのは秘密にするつもりだ。
パーセルマウスが敬遠されるんだったら、鷲語使いもまあやばいだろうという考えだ。
でも、ハーマイオニーって生活が規則正しそうだし、これからもこうやって誰にも見られずにテオとお話できそうだ。
『とりあえず、部屋には入れてあげられないから…どうしよっか?』
『ご主人たら、俺の居場所考えてくれてなかったのかよ!?』
『うっ…でも、フクロウ小屋?も狭いだろうし…』
『ふむ…じゃああっちの方にでかい森が見えたから、そこでゆっくりのびのび過ごすことにしよう』
『森…まさか、禁じられた森…?』
おぉう、随分と物騒なところに身を置こうとするなぁ、テオ。
『禁じられた?確かにいろんな魔法生物の気配はするが、大したことはないだろう。お忘れかい?ご主人。俺は鷲。ハンターの頂点だぜ?』
『…たし、かに?』
相手は魔法生物なのに、自信満々だな。もしかして、私は思うよりも鷲って強いのかな。
『まあ、心配するようなことはないさ。…あ、でも…』
『…でも?』
『…毎日会いに来てくれよ?寂しいからさ』
…
今テオに、少女漫画にありがちのイケメンが重なって見えたんだが。
あの、かがんでからの上目遣いとビジュアルの暴力でヒロイン落としに来るやつ。犬系男子って言うんだっけか?
まあ、今はテオに見おろされてるんだけども。
『…いいけど、禁じられた森に入るのを見られでもしたら怒られるんだよね』
『近くまで来てくれれば、俺の方から飛んでいくよ』
『う〜ん…』
禁じられた森の入口には確かハグリッドが住んでいる。あれに見つかるのもまずいし、ハグリッドはハリーたちと仲がいいから最悪ハリーたちにも見られかねない。
少し悩んだ後、私はあることを思いついた。
『ねえテオ。私が指笛を吹いたら、来てくれる?』
『なるほど、お安い御用さ!ご主人がどこにいたとしても、すぐに駆けつけることを約束しよう』
『おん、ありがと』
どこにいても、は言いすぎな気がするが、とりあえずテオとのコンタクトは指笛でということになった。
しばらく私に羽を撫でられて満足したテオは、森の方へと飛び立っていった。
私もハーマイオニーを起こさないよう静かにベッドへと戻り、ホグワーツで初めての眠りにつくのだった。
★★★★★★
翌日から早速授業が始まった。
間違っても先生に目をつけられないように、まずは目立たないということを意識していこう。
そう決意しながら、私は変身術の教室へと向かった。
「本日は変身術の基礎である、マッチ棒を針に変える魔法を練習してもらいます」
ハリーとロンの遅刻イベントを挟んだ後、変身術担当のマクゴナガル先生が厳かにそう言い渡した。
そしてマクゴナガル先生は、黒板に変身術の理論を書いた後、それぞれ実践に移るよう促す。
(さてと…私はちゃんと魔法を使えるのかな?)
正直、黒板に書いてある理論はさっぱりだし、なにをどうイメージしたら変身術とやらが使えるかまったくわからない。
(ま、なるようになれ、だな。周りもみんな失敗してるし)
そう思いながら私は、目の前のマッチ棒に適当に杖を振った。
すると、マッチ棒はピクピクと動き出し、スルッと針に形を変えてしまった。
やっべ、と思った私は、さりげなく手で針を隠した。
…こんなに簡単にできるもんか?あのなんでもできるハーマイオニーですら苦戦してるんだぞ?
とりあえず、マッチ棒に戻れ戻れと祈りながらもう一度杖を振ると、針はスルッとマッチ棒に戻る。
「…」
よし、バレてなさそう。
みんな手元しか見てないし、マクゴナガル先生は遠くの方である生徒にアドバイスしているところだった。
にしても…めっちゃ簡単に出来ちまった。もしかして私、才能あるのかも…。
…いや、出来すぎるのも困るわ、マジで。こちとら目立たないようにって思ってるのに。
とりあえず、周りに合わせて出来ないふりをする練習をしたほうが良さそうだ。別に授業で出来なくたって、テストで出来りゃ問題はないだろう。
…とかいって、手を抜きすぎてテストでやらかしたらどうしよう。あんまりやばい成績取ったら先生達に目つけられそう…。
「…!見て、レイ!ようやく出来たわ!」
「…うん、おめでとう(棒)」
私が苦悩している間に、隣のガリ勉ちゃんは成功させたらしい。彼女の声を聞きつけたマクゴナガル先生が、成功者一人目として加点していった。
さて、こうなったら一人で誰にも見られずに魔法の練習ができるところないかな。
私は、マッチ棒のままでいろと念じて杖を振るというおかしなことを続けながら、そのような都合のいい場所を映画の知識から探し出そうとするのだった。
★★★★★★
お次の授業は魔法薬学。
今私は、ダイアゴン横丁での一件で私の中で上がっていたスネイプの好感度が、ストンと落ちていくのを感じている。
理由はもちろん、ハリーいびりである。
「ポッター。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になる?」
「…わかりません」
「有名なだけでは、どうにもならんらしいな。…ベゾアール石を見つけてこいと言われたらどこを探すかね?」
「…わかりません」
「ここに来る前に教科書を少しでも開こうとは思わなかったのかね」
ひえ〜。こうして目の前で見てると、やっぱり嫌味な先生だ。
教科書…前世からの癖で予習は少しやったが、魔法薬学の教科書はまるで暗号だった。なんだって雑草になんかの動物の内臓とかを混ぜると薬になるんだか。
杖魔法はなぜか才能を発揮したが、杖を使わない系はやばいかもしれないな。
気が済んだのか、ハリーいびりが一段落し、私達はおできを治す薬の調合をすることになった。二人一組で。
…はあ、そういやこうやって誰かと組まなきゃいけない授業だったな…。あーあ、彼女と組むのは避けたかったけど…
「レイ、一緒にやりましょ!」
…ま、そうなりますよね。ルームメイトだし、向こうからは多分友達って思われちゃってるし。
予想通りハーマイオニーから声をかけられた私は、渋々了承の意を示す。もちろん、顔には出さないが。
まあ、前向きに考えよう、私。ハーマイオニーがいなかったら私はボッチなのだ。
それに、この秀才ちゃんと組めば、魔法薬学の成績が安定するだろう。それは願ってもないことだ。
そんなふうに自分を納得させながら、私は材料を準備して彼女の隣に座った。
ありがたいことに、ハーマイオニーは積極的に仕切って私に指示をくれるので、言われたとおりに材料を切ったりすりつぶしたりしているだけの単調な作業ですんだ。
私が、鍋の中の角ナメクジの茹で加減をじっと伺っていたその時、後ろの方から悲鳴と破裂音が聞こえてきた。
「うわあっ!!」
「馬鹿者!!!」
どうやら、ネビル・ロングボトムが調合に失敗したようだ。体中がおできまみれになっている。
「大方、鍋を火から降ろさないうちにヤマアラシの針を入れたんだろう?」
スネイプが急いでネビルの近くにいき、爆発した鍋を魔法で片付ける。
そして、泣きじゃくるネビルを組んでいた生徒に医務室まで運ぶよう命じると、ハリーの方へ叱責を飛ばした。
「ポッター!なぜ針を入れるのを止めなかった?他のやつが失敗すれば、自分のがよく見えるとでも思ったか?グリフィンドールから一点減点」
出た。なんとまあ理不尽な。別にハリーがいくらいじられようが、グリフィンドールがいくら減点されようが、私の知ったことではない。ハリーも寮杯もどうでもいいからな。だが、私の中のスネイプの好感度はぐんぐん下がっていく。
やっぱり、私が最初に抱いた印象通り、嫌味なネチネチ教師だ。マジで関わらんとこ。ダイアゴン横丁でのあれはきっとたまたまちょっと機嫌良かったとか、そんなだろう。うん。
とばっちりで減点をくらい落ち込むハリーとそれに憤慨するロンを横目に、私は角ナメクジを鍋から引き上げるのだった。おえ、これきっも。
★★★★★★
私はボケっとしながら、大広間で食事を取っていた。ちなみに、何も考えていないわけではない。
私は先程の魔法薬学のスネイプの態度で頭を悩ませていた。
ハリーいびりのことではなく、私への態度。
スネイプは、私達が(というか、ほとんどハーマイオニーが)調合した薬をみて、
「まあ、いいだろう。さっさと提出して片付けたまえ」
と言った。もちろん、予想通りの反応だ。
だが、去り際にスネイプは、小声で耳を疑うようなことを言ったのだ。
「…初めてにしては、よく出来ている。グリフィンドールに五点」
…は?
ってなった。いやだって、スネイプってハリーはもちろんだけどグリフィンドールも嫌いでしょ??
なのにめっちゃ素直に褒めてきたんだけど。しかも、加点までしていった。五点も…。
それだけならまだ良かったのだが、問題はスネイプがそれを
その証拠に、ハーマイオニーがあの後、
「あの教授、ほんとスリザリン贔屓ね。マルフォイのことはあんなに褒めて加点までしてたのに、ちゃんと調合した私達にはなんもなしよ!」
と愚痴ってきたから間違いない。
なぜだ。おかしい。入学祝いをくれたり、こっそり点をくれたりと、私への態度がまじでスネイプらしくない。
どうなってるんだ…?それとも、私が深読みしてるだけか?
なんだか、私の知らないなにかがある気がして、私はずっと悶々としていた。
とはいえ、ずっと考えていても仕方がないな。
よし、これも前向きに捉えよう、私。スネイプがなぜか優しいということはつまり、私はスネイプに目をつけられているわけではないということだ。
うんうんと心のなかで頷きながら、私はサンドウィッチの最後の一欠片を口に放り込んだ。
午後の授業までまだまだ余裕があった私は、校庭に出て端の端まで歩いてきた。
そして、周りに誰もいないことを確認すると、私は指笛を鳴らした。
流石にここから森は遠いし、聞こえないかな?と思ったのも束の間、私の頭上に黒い影が出来た。
『…よく聞こえたね、テオ。しかも早い…』
『当然さ、ご主人。これくらいの距離、造作もない。前にも言っただろう?ご主人がどこにいたとしても、すぐに駆けつけるとね』
『…そうだったね』
…もしかして、まじでどこにいても来てくれるんか、この鷲は。
私はしばらくテオと雑談した。森の住心地は意外にもいいらしい。やっぱり、テオのことはよくわからないな。
『あそこに住む者たちは皆、分別があり話の通じるものばかりさ。まあ、たまによくない気配も感じるがね』
『ふうん…』
『俺と意思疎通できるご主人なら、彼らと話すこともできるかもな』
話が通じるって…君は魔法生物達と意思疎通できるのか??
テオの言う良くない気配とやらは、もしかしなくても森に潜んでる奴のことな気がするが、とりあえずは忘れとこう。()
テオが居心地良くホグワーツで過ごせているのを確認できた私は、また毎日ここに来ると約束し、授業へと向かったのだった。
あけましておめでとうございます。(二回目)
今年は卯年ですが、亀さんもびっくりののろのろ投稿で続けていこうと思います。どうぞよろしくです。
一応三月まで忙しいので、そこまで空くかもしれませんがご了承。
あ、ここまで読んでくださりありがとうございます。
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次回も期待しないでくださいね。