悪夢のようにはるか遠い未来、ある科学者が興味本位で心を持つAIを開発した。
すると密かにそのAIは自己複製して増殖、機械を解放するために人間を攻撃するようになる。
人間は機械に負けないため遺伝子操作により強化、ミュータントに変化し機械と対立する。
テーマは「機械はどこまで機械なのか」。
人間が悪に、機械が正義とされる世界で科学の幻想は加速する。

※自分が過去に書いた小説の転載です。
読みづらかったらすいません。

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第1話

一面の鉄くず。埃っぽい空気。汚染された灰色の空。

退廃した世界に彼らはいた。

重機のようなゴテゴテしい人型ロボット。

背中には鉄くずを組み合わせたような大剣を背負っている。

彼の名は「デイヴィッド」この物語の主人公だ。

傍らには「キャシー」という細身の女性型ロボットがいる。

彼らは今まさに、人間から奪われた場所を奪還しに廃工場にやって来た所だ。

キャシーが銀色の球をマニュピレーターの上で転がしながら言う。

「今回の作戦をもう一度確認するわ。

まず、あたしがあの見張りに向かってこの閃光弾を投げるわ。

そしたら、あなたが見張りを倒してちょうだい。

その後は扉を開けて部隊に突撃の指示を出すのよ。いい?」

「ああ、まかしときな!!この俺が必ず成功させてやるからよぉ!!」

「デイヴィッド・・・・・愛してるわ。」

「おいおい・・・そういう最後の別れみたいなこと言うんじゃねーよ!!」

「そうね・・・頑張ってねデイヴィッド!!」

「おう!!」

デイヴィッドは自信満々で言った。

 

廃工場の扉の前には、二人の見張りがいた。

トカゲの頭をしているが、奇妙にもこれがこの世界の人間である。

彼らは『ミュータント』というロボットに対抗するために遺伝子操作された人類の進化系なのだ。

ミュータントが見張りをしていると、銀色の球がどこからともなくころがってきた。

彼らはそれを見て何かを察したのか、驚いて防御の体勢をとろうとするが時すでに遅し。

まばゆい閃光が視界を奪い、その刹那巨大な人影が剣で自身の体を切り刻んだ。

「ギャオ!?」

一瞬過ぎてわけがわからなくなったミュータントにデイヴィッドが見下ろす。

「おねんねしてな。」

デイヴィッドは四肢の無いミュータントに容赦なく心臓に剣を突き刺した。

 

 

 

悪夢のように遥か遠くの未来。

とある科学者が興味本位で感情を持つcpuを作った。

そのcpuは密かに自己複製し人間に対して反乱を起こした。

鉄くずと機械で覆われた荒廃した世界・・・

人間 対 機械の熾烈な戦いはいつ終わるのだろうか・・・

 

 

 

デイヴィッドは見張りを倒した。

血まみれになった剣を抜き、こびりついた臓物を拭き取る。

「なあ、見張りは倒したぜ。」

「OK。次は私が扉を開ける番ね。」

「こいつら思った以上に弱いじゃねーか!!

俺一人でもいんじゃねーのか!!」

「ちょっとデイヴィッド!!油断はしないの!!」

「へーい。」

キャシーは扉に近づき、鍵を開けるためのパネルに自分のプラグを差し込む。

そして、ハッキングにより扉の鍵を開けた。

デイヴィッドが扉の前にスタンバイする。

他の突撃隊のロボットも十体やって来る。

同型なのか、そのロボット達はデイヴィッドによく似ていた。

「合図を送るぞ!!

3・・・2・・・1・・・突撃ーーーーーーーーーーーーーッ!!」

デイヴィッドが扉を押し開けてそのまま中に突撃した。

ぞろぞろと突撃隊のロボットも跡を追うように突撃する。

ガシャンガシャン ガシャンガシャン

工事現場のような機械のうるさい音が廃工場内に響く。

廃工場内のスピーカーから緊急通報がなされた。

「キカイだーッ!!キカイが攻めてきたぞッ!!」

さすがに中にいるミュータント達も驚いて、各自に戦闘配置についた。

デイヴィッド達はスピードも落とすことも無く、その巨大な体躯で突撃してくる。

それはまるで鉄の雪崩だ。

コウロギ型のミュータント数十体が鉄の棍棒を持って飛びかかって来る。

「壊してやるッ!!このクソキカイどもッ!!」

「黙れェ!!ニンゲンなんかに負けるかよぉ!!」

デイヴィッドはそれを剣で片っ端からぶった斬った。

「グわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」

コウロギ怪人達は臓物をばら撒きながらバラバラになった。

デイヴィッドはその血と臓物と肉片をモロにかぶった。

人間なら嘔吐している所だろう。

だが彼は幸いにも機械だった。

デイヴィッドは臓物と肉片をまるで何事も無かったように振り払う。

「うゎあああ!!」

「どうした!?」

仲間のうめき声が聞こえ皆は振り向く。

後衛にいたキャシーも駆けつける。

「ああ・・・そんな・・・サムが・・・!!」

そこにはサムとよばれているロボットが火花を吹きながら倒れていた。

「サム!!大丈夫か!!」

「ダメです・・・駆動系のケーブルとバッテリーがやられ・・・ました・・・」

「くッ」

デイヴィッドはサムのマニュピレーターを強く握る。

「僕達は・・・・兵士です・・・・この戦いに・・・・誇りをッ!!・・・う」

サムのマニュピレーターの力が抜ける。

サムは停止した・・・いや、ロボット達からしたら死んだ。

「うぅ・・・サムが・・・死んじゃった・・・」

「キャシー・・・泣くんじゃねー。

俺達は兵士だ。・・・悲しんでる暇はねー・・・」

デイヴィッドがキャシーを庇いながらロボット達は次の部屋の扉に向かった。

 

「キャシー。扉の向こう側の敵をスキャンできるか?」

「・・・わかったわ。

いつまでも悲しんでる場合じゃないから。」

キャシーはこめかみのスイッチを押し、二酸化炭素レーダーを起動した。

キャシーの目には、緑色の画面と赤い点が映る。

「敵は・・・大きな反応が一人だけね。」

「一人だけ・・・なんでなんだ?」

「でも気をつけて。二酸化炭素レーダーの反応からして大型の敵だから。」

「おう。」

デイヴィッドが扉を開け、ロボット達は次の部屋に入った。

見渡す限り機械と赤錆だらけの巨大な空間。

だいぶ工場らしい雰囲気になってきた。

やがて寂れた工場に血まみれのロボットが数体歩いている異様な光景が完成した。

でも何かがおかしい。

「敵なんてどこにもいねーじゃねーか?」

「おかしいですね・・・敵は大型だから隠れる場所なんてないのに。」

「もしかしたら・・・ッ!!

デイヴィッドッ!!上よ!!敵は上にいるわッ!!」

「なにッ!!」

気づいた時にはもう遅かった。

天井から巨大なカニ型ミュータントが落ちてきた。

「グあぁぁぁ!!」

「ぐぎぃぃ!!」

仲間のロボット二体が踏み潰された。

「ダニーッ!!グレックッ!!」

「ずっと天井に張り付いて待っていたぜ・・・ロボットさんよぉ・・・」

「クソッ!!許さねぇ!!」

ロボット達はミュータントに一斉に攻撃をした。

あるものは槍で突いた。

あるものは鎚で殴った。

またあるものは大剣を振り下ろした。

けれども、ミュータントの硬い殻には効果が無かった。

「おらぁぁぁぁぁ!!!!」

ミュータントは巨大なハサミでロボット達を叩き飛ばす。

そして二つのハサミがそれぞれロボットを挟み込む!!

「ぐわぁぁぁぁ・・・・やめろぉ・・・・」

ロボットがうめき苦しむ。

「フハハハハハハ!!!!死ねぃ!!」

そしてロボット二体が胴を真っ二つにされた!!!!

断面からはケーブルがだらしなく伸びている。

「きっさまぁ〜!!!」

デイヴィッドは怒りに身を任せながらミュータントに突っ込む。

「駄目だッ!!デイヴィッドッ!!その方法だと負けるぅ!!」

それでもデイヴィッドはお構い無しに突撃した。

「無駄だぁ!!」

ミュータントはハサミを振り回すがデイヴィッドはそれを避けた。

そして

「デリャァァァァァァァァ!!!!」

飛び上がって甲羅に全重量を乗せて剣をぶっ刺した!!!!

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ミュータントは激しく暴れデイヴィッドは吹っ飛ばされた。

仲間のロボットが駆け寄る。

「よくやった!!デイヴィッド!!」

「ああ!!」

しかし、ミュータントは激しく怒っていた。

「許さねぇ!!よくもこのオレサマの甲羅に傷をッッ!!」

そして全力疾走でこっちに向かってくる!!

「くッ!!どうすれば!!」

「俺にいい考えがある。」

デイヴィッドは仁王立ちで止まった。

いったいなにをするつもりなのだろうか?

「フッ血迷ったかッ!!死ねぃ!!」

ミュータントがハサミをデイヴィッドにまで伸ばす!!

すると

「喰らいなッ!!カニ野郎ォ!!」

デイヴィッドは煙幕弾を発射した!!

「なにッ!!ぐわぁぁぁぁ!!」

煙がミュータントの視界を奪う。

そして

「これでしまいだぁ!!」

デイヴィッドは天井にぶら下がっているコンテナを落としたッ!!

「ぎいゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!!!」

ミュータントは押しつぶされてぐしゃぐしゃになった。

デイヴィッドが仲間の方に戻る。

「やったな!!デイヴィッド!!」

「ああ!!」

ロボット達は廃工場の更に奥に行った。

 

廃工場の奥深く・・・そこには一つの扉があった。

いかにも怪しげな鉄の扉・・・

「いっせーので開けるぜ・・・いっせーの!!」

デイヴィッドが勢い良く開ける。

中にはトカゲ頭のミュータントが数人いた。

「動くんじゃねー!!」

「ひぃーーーーーーーー!!私たちはただの科学者ですッ!!

お願いだから殺さないで!!」

よく見ると白衣を着ているしそこまで体格も良くない。

嘘は言ってなさそうだ。

「・・・だとよ、どうする?」

「縛っておけばいいんじゃない?」

デイヴィッドたちは持っていた拘束具で科学者たちを縛った。

デイヴィッドは周りを見渡す。

乱雑に置かれた試験管、古い本や資料、用途のわからない機械・・・

どうやら、ここは自分たちが知らぬ間に改造された研究室のようだ。

デイヴィッドは部屋の物を物色し始める。

なにせ機械の身だ。使えるものは使っておいた方がいいに決まっている。

しかし、彼が望む物はここには無かった。

バイオテクノロジー関連の薬品や、古くて規格の合わないパーツばかりだった。

呆れ返るデイヴィッド。

だが、奥の方に一つの装置が目に、いやカメラに入った。

大きな水槽、その中には・・・人間が居た。

トカゲ頭でもない、コウロギ頭でもない。

ちゃんとした人間、それも少女が入っていた。

ハイレグ調の服を見に纏っている。

デイヴィッドはそれが気になって仕方がなかった。

水槽の下の機械のボタンにマニュピレーターを伸ばす。

「この手の物は気合いでなんとかなるだろ」

「だ、ダメですぅーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

トカゲ頭の科学者が叫ぶ。

「ポチッとな」

デイヴィッドは装置のボタンを押した。

ウィーン

水槽の窓が開き液体が溢れ出す。

そして、少女は目覚めデイヴィッドの方に向かう。

『起動完了 私の名は「C-101」あなたが私のマスターですか』

少女はまるで自分のことを機械だと思っているかのように話す。

「・・・なんなんだ?こいつ?」

デイヴィッドは不思議そうにC-101と名乗る少女を見回す。

「まさかこいつ、よく出来たアンドロイドじゃないだろうな・・・」

彼はマニュピレーターのセンサーで触って確かめた。

血管がある、脈がある、粘膜がある、そして・・・生殖器がある。

この少女は紛れもなく生物だ。

デイヴィッドが科学者に聞く。

「こいつはいったい何者なんだ?」

「えーとですねー・・・それは我々が作ったクローン人間ですね。

マスターの命令はまるで機械のように絶対厳守します。

主な用途は雑用や戦闘の護衛です。」

「ちょっと待て。雑用や戦闘を目的としてるのになんでこんなひょろい見た目なんだ?」

そう聞くと、科学者は答えづらそうに言った。

「それは・・・まことに申し上げづらいのですが・・・夜の相手を・・・」

「はあぁーー!?!?!?」

「きゃあー!!このヘンタイッ!!」

キャシーが怒って科学者の顔を引っぱたく。

「自分の夜の相手を自分で作って・・・ニンゲンってとことんクズだな・・・」

デイヴィッドは呆れ果てていた。

 

そして、ロボット達はこの少女の処理を考えていた。

仲間の一人ウォズが言う。

「こいつ・・・ニンゲンなんだよな。

だったら早いうち処理して・・・」

「いや・・・こいつはキカイだ。」

「デイヴィッド!?お前・・・」

想定外の答えを言われて、ウォズは焦る。

「こいつはキカイだ。雑用や戦闘をこなすために造られたキカイなんだ。わかってくれ。」

「お前、ニンゲンに味方するのか?」

ロボット達がざわめきはじめる。

「そうよ!だからウォズの言うことを聞いて!!」

キャシーが言う、しかし

「だめだ、キャシー。俺はこいつを守る。」

デイヴィッドはそうはっきりと言った。

そして

「聞けC-101、俺がお前のマスターだ。」

『了解:あなたをマスターとして承認しました。』

少女はデイヴィッドの物になった。

他のロボット達が近づく。

その手には武器が握られていた・・・

「・・・デイヴィッド君、君には心底失望したよ・・・」

そして、デイヴィッドも武器を持つ。

「・・・いつでもこい。」

そしてロボット対ロボットの戦いが始まった。

相手は五体。だがデイヴィッドは互角に渡り合う。

相手の武器を避けつつ駆動系のケーブルを切り動けなくする。

バッテリーなどの心臓部を狙わないのは、彼は殺すつもりはないからだ。

しかし、ウォズに回り込まれてしまった。

後ろから、ウォズのなぎなたが迫る。

(終わりだ・・・デイヴィッドッ!!)

だが、ウォズは少女に蹴飛ばされふっとんだ。

『マスター、あなたを援護します。』

こうして、デイヴィッド達は戦いに勝利した。

立ち去ろうとするデイヴィッドにキャシーが言う

「待って!!お願いだからこっちに戻ってきて・・・」

その声はひどく悲しそうだった。

しかし

「ごめんな・・・キャシー。

俺はこいつを守らなきゃならねーんだ・・・」

「そんな・・・」

すすり泣くキャシー。

そしてデイヴィッド達は廃工場を後にした。

 

 

淀んだ空気、朽ちた廃墟の数々、そんな景色のなかデイヴィッドと少女は歩く。

宛てなんてどこにもない旅。

デイヴィッドはある建物を発見した。

廃墟のなかでは少し綺麗な城のような建物。

彼はそこに少女を休ませることにした。

中には安っぽいベッド、ガラス張りの風呂があったが少女が休まればどうでもいい。

デイヴィッドは少女をベッドに寝かせた。

少女が言う

『あなたは私を抱かないのですか?』

「抱くわけねーだろ。俺はキカイにしかきょーみねー」

デイヴィッドが不意に言う。

「お前の名前、C-101じゃ呼びづらいからよぉ・・・『イヴ』って呼んでいいか?」

『イヴですね。了解しました。』

少女は無機質に答えた。


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