夢が叶えられなかった少女「馬飼ミツキ」は、帰宅の途中謎のトンボ怪人に襲われてしまう。
しかし、かつての同級生「ナターシャ」の手によりハツカネズミの耳を持つ怪人「被検体第三号」として蘇った。
困惑するミツキに彼女はこの世界の真実を告げる……

※自分の過去の小説の転載です。
読みづらかったらすいません。


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No,3

あなたには夢がありますか?

 

私にはありました。

 

あの頃までは・・・・

 

 

 

 

とある高校の卒業式。

二人の女子高校生が桜の下で話し合っていた。

片方は背が低くあどけない少女「馬飼ミツキ」、そしてもう片方はコーカソイドを思わせる金髪碧眼の美形の女子高生「ナターシャ=チェレンコフ」だ。

ミツキは涙を浮べながら頬を赤くして言う。

「ねぇ、本当に行っちゃうの?」

ナターシャは少し低めの中性的な声で答えた。

「ああ、私は北欧に留学するよ。

少し寂しくなるけどこれも両親との約束なんだ。

ごめんよ。」

それを聞くとミツキは余計に涙を流し始めた。

あふれる涙は雨のように止めどなく溢れ出ている。

「約束ってなに?

それって私のことよりも大事なの!?

ねぇ、答えてよッ!?」

ナターシャは返答に迷ったすえこう言った。

「聞いてくれミツキ。

科学者になって多くの動物たちを救いたいのは私の夢なんだ。

そのために両親の要求も多少は飲まなきゃいけない。

わかるかい?」

「でも・・・・」

ミツキは困惑する。

しかしナターシャは彼女に不意に顔を近づけ優しい声で言う。

「私は夢を叶えたいんだ。

君もそうだろう?」

「え?」

突然の彼女のアクションにミツキは赤面してしまう。

そして彼女の問いに対しての答えを考えた。

ミツキには夢が無かった。

ただその日暮らせるお金さえあれば幸せだと思っていた。

しかし今の自分は違う。

ミツキは答える。

「私、いっぱい勉強していつかナターシャさんと同じ仕事に就くよ!!

ナターシャさんに会いに行くよ!!」

それはミツキが初めて語った本当の夢だった。

それを聞くとナターシャは微笑んだ。

「じゃあ私と約束しようか。」

「うん!!」

二人は桜の木の下で指切りをした。

そして時は六年を経過する・・・・・

 

 

 

 

 

 

ミツキは深夜2時の電車の中で死んだ魚の目をしていた。

必死に勉強したが結局夢は叶わなかった。

卒業したあと、大学に行ったが結局成績がふるわずブラックな塗装会社に勤めるハメになった。

電車の中はほとんど人がおらず、今のミツキと同じような暗い顔をした中年の男性が一人だけ居た。

闇を駆ける電車の車内は淀んだ空気が満たしている。

ミツキはただただ自分の不甲斐なさに失望と絶望をしていた。

 

 

 

 

ミツキは終電を降りて駅の外に出ていた。

今は12月の中旬、冬真っ盛りなので空気が凍てつくように寒かった。

ミツキは白い息を吐きながらタクシーを待っている。

十分ほど待つと緑色のタクシーが来て、乗り込もうとした。

しかし、乗り込もうとした瞬間に耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。

「キャーーーー!!!!」

悲鳴がする場所に振り向くと、そこには女を抱えて飛ぶトンボのような怪人がいた。

「ギヘへへへへ・・・・・」

大きな複眼は周囲の人間の像を写していて、顎はグロテスクに蠢いていた。

それはまるで朝やる特撮番組でしか見たことない光景だった。

「え・・・・」

逃げ惑う人々の中、ミツキはただただ恐怖で動けず棒立ちしていた。

やがて謎のトンボ怪人はミツキの前まで来て、食い散らかした女性の体を投げた。

女性の胴は半分に裂け、落下の衝撃でピンクの肉片と血飛沫がミツキの顔に掛かる。

「おうぇぇぇ!!!」

彼女はあまりにもショッキングなできごとを目の当たりにして嘔吐してしまった。

ピシャピシャっと彼女の出した吐瀉物が地面を濡らす。

怪人はそれを見るとどことなくニヤけたような表情をした。

クズの極みである。

そして怪人はターゲットをミツキに変更し飛びかかった。

「キシャアアアアアア!!!!」

「いやあぁぁぁぁ!!!!」

ミツキは恐怖に顔を歪め涙を流していた。

怪人は大顎を開き、ミツキの首元に噛みつく。

直後、激痛が走り大量の鮮血が吹き出す。

「うぅっ・・・・!!」

次第に彼女の意識はだんだんと薄くなって来ていた。

あとは死を待つだけなのか。

そのときである。

どこの所属なのかわからない機動隊が駆けつけてきた。

隊長らしき人物がトランシーバー越しに言う。

『こちらアルファ小隊、被検体第一号を発見。

捕獲作業に入る』

すると機動隊たちはトンボ怪人が反応するよりも速くテーザー銃を発射した。

「ぐわあああぁぁ!!!」

トンボ怪人は感電して気絶し、そのまま拘束され機動隊に運ばれる。

隊員の一人がミツキを見て言う。

「被害者はどうします?」

「一応回収しておけ、実験に使える。」

薄れゆく意識のなか、ミツキは担架に載せられ謎の施設へと運ばれていった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・何時間経っただろうか、ミツキは目が覚めた。

気がつくと彼女は手術台の上に寝ていて、青緑色の手術着を着ていた。

それと彼女はあることに気づく。

(やだ・・・・私今ノーパンじゃん・・・・)

ミツキは下着の類いが全て脱がされていた。

彼女も女性の端くれなのでそこは恥ずかしかったのだ。

とにかくそんなこと考えてもラチが開かないのでミツキは起き上がることにした。

妙に頭が重い気がしたが、彼女は気にしないことにした。

手術台を降りて歩くとちょうど都合よく姿見があったのでミツキはそれを見る。

するとミツキは驚いた。

なぜか自分の頭の上からは大きなハツカネズミの耳が生えていて、髪も白く変色していたのだ。

(うそでしょ・・・・)

ミツキは自分のネズミの耳を触って確認する。

そのとき、誰かが扉を開けて部屋に入ってきた。

「誰ッ!?」

ミツキは怯える。

しかし扉から出てきた人物は見覚えがあった。

すらりと伸びた脚に金髪碧眼。

そう、それはミツキの元同級生ナターシャだった。

「お目覚めの気分はどうだい?

お嬢さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミツキはナターシャの隠れ家の部屋に案内されたあと、今の現状の話を聞いた。

ミツキは確かにあのとき死んだが、バイオテクノロジー研究所「プロメテウス」に所属するナターシャ博士が被検体三号として復活させたのだ。

ただしミツキの復活はナターシャが隠れ家に連れ去ってほぼ独断で行ったらしい。

そして博士とミツキはプロメテウスに追われる身になってしまったらしい。

「・・・・・え?」

ミツキはあまりにもSF映画じみた設定に困惑する。

しかし、ナターシャはそんな彼女などお構いなしに話を続ける。

「大学を卒業したあと、私はプロメテウスに入った。

私は最初動物たちを救うのに躍起になっていたが、現実は違かった。

私は気がつくとプロメテウスの恐ろしい人体実験に関与していたのだ。

ミツキ、実はあの襲ってきたトンボ怪人『被検体第一号』をつくったのは私だ。」

「うそ・・・・」

ミツキはナターシャの言っていることが信じられなかった。

あの優しかった彼女があんな殺人モンスターを生んだなど信じたくなかったのだ。

ミツキはうつむき、涙を流す。

(嘘だ・・・・・あんな優しいナターシャさんが人体実験の首謀者なんて、そんなの嘘だッ!!)

ナターシャはやや感情的になって話を進める。

「私は人と生物の尊厳を踏みねじるプロメテウスが許せない。

そこで私はある計画を建てた。

ミツキを被検体第三号として復活させ、プロメテウスを壊滅させるのだ。

全生物と人類のために私に強力してくれないか!?

ミツキ!!」

「えぇ・・・・」

ミツキはただただ困惑するしかなかった。

彼女はただの女の子である。

それでいきなり悪の組織と戦えと言われても承諾できるはずがないのだ。

「そんな急にめちゃくちゃなこと言わないでよ!!」

ミツキは震えながら怒鳴る。

そんな彼女を見てナターシャは少し冷静になったのか、話を切り上げた。

「すまない、急に変な頼み事をした私が悪かった。

それよりせっかく会えたんだ、お茶にしないか?」

ナターシャは紅茶を持ってくるために、ミツキに背を向け台所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ナターシャは慣れた手付きでアールグレイの紅茶を淹れる。

テーブルには紅茶味のクッキーが置かれていて、ミツキはそれを食べた。

(おいしい・・・・)

改造されて味蕾と嗅覚が鋭くなっていたのか、好物のクッキーがより美味しく感じられた。

一方ナターシャは猫舌のミツキのために紅茶を息で冷ましていた。

「ふっーふっー・・・・」

息を吐く唇はどことなく扇情的だった。

「さ、どうぞ。」

ナターシャは紅茶を手渡す。

ミツキはそれを受け取ろうとするが、その前にあることを思い出す。

さっきから妙に下半身がスースーするのだ。

ミツキは恥じらいながら言う。

「あの、いい加減私のパンツ返してくれない?

あれ無いと私、恥ずかしくて外歩けないんですけどっ!?」

ナターシャは頭に手を当て、苦悩する素振りを見せて言う。

「それなんだが・・・・

上も下もひどく汚れていたから捨ててしまったよ。

それに君、襲われているときちょっとだけ漏らしたんだな、かわいそうに・・・・」

「え・・・・」

ミツキはひどく赤面した。

状況が状況なので仕方がなかったが、一応ミツキは成人済みなので自分が失禁してしまったという事実が恥ずかしくてしょうがなかった。

彼女は涙目になって顔を覆う。

「もうやだ・・・・殺して・・・・」

小さくそう呟いた。

ナターシャもそういう時は換えの下着ぐらい用意すればよかったが、そこまでは気がまわらなかったようだ。

ナターシャは恥ずかしがるミツキを見ながら紅茶を啜る。

すると突然、警報が鳴る。

「敵襲だ。

奴ら、もうここを嗅ぎつけたのか。」

「えっ、敵襲ってなに!?」

ミツキが慌てる。

「プロメテウスの私兵だ。

ここを出るぞ!!」

ナターシャとミツキは隠し通路から隠れ家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

ミツキたちが外に出る頃にはもう、機動隊が先回りをしていた。

機動隊は盾を構え、テーザー銃をミツキヘ向けている。

隊長らしき人物がメガホンを取って警告する。

「被検体第三号と反逆者のチェレンコフ博士に告ぐ。

今すぐ武装を解除し投降しろ。

さもなくば、我々の実力を行使する。」

しかしチェレンコフ博士ことナターシャの答えはこうだった。

「貴様ら警察気取りの外道野郎どもに告ぐ。

プロメテウスなどクソ喰らえだ!!」

ナターシャは持っていたメガホンを隊員に向けて投げ捨てた。

メガホンが隊員の持っている盾に激突しバラバラに砕ける。

隊長らしき人物は激怒する。

「貴様ァッーーーーー!!!!

奴らを拘束しろッ!!!!」

隊員はテーザー銃を発射する。

「うわっ!!」

ミツキは本能的に軽い身のこなしでジャンプし回避する。

そして錐揉み回転しながら隊員の前に着地した。

ナターシャが叫ぶ。

「ぶっ飛ばせ、被検体第三号!!」

そのとき、ミツキの力が覚醒したのか叫びだし隊員を盾ごと蹴りで吹き飛ばした。

「うわああぁぁぁぁぁ!!!」

隊員が十人単位で吹き飛び壁に激突する。

「喰らえぇ!!」

他の隊員が電気の流れる警棒で襲いかかる。

しかし、ミツキは全て回避し隊員をチョップとキックで次々となぎ倒す。

それはまるでカンフー映画のワンシーンのようだった。

隊長が自分の部隊に指示を送る。

「距離を取れ!!接近戦では不利だ!!」

機動隊たちはミツキから距離を取り、散弾銃から非殺傷のゴム弾を乱射する。

「くッ!!」

ミツキは曲芸のような動きで弾丸を回避するが、弾幕により機動隊には近づくことができなかった。

そのとき、ミツキにナターシャは注射器を投げ渡した。

ラベルにはヘビのようなイラストが描いてあった。

「ミツキ!!これを使え!!」

「えっ!!わかった!!」

ミツキは一瞬困惑するが半ばヤケクソになって手首にその注射器を挿す。

すると左右の手首からそれぞれヘビの首と尾が生えた。

彼女はそれを本能的に鞭のように振り回し、ゴム弾ごと隊長を弾き飛ばす。

「ぐわああああァァ!!」

「なんだアレはぁ!?」

機動隊はミツキの攻撃方法が予想外だったので慌てふためいている。

隊長が言う。

「奴に慈悲など不要だ!!実弾を使え!!」

機動隊は武器をアサルトライフルに切り替え、ミツキに向かって斉射した。

しかし

「甘い!!」

彼女は壁の上を走りながら全ての弾丸を回避し、懐に飛び込む。

そしてヘビの鞭のなぎ払いで隊長の大半を戦闘不能にした。

それを見て隊長は慌てながら言った。

「ええい!!かくなる上は、被検体第二号を出せ!!」

すると装甲車両が来て後ろの扉から何やら黒光りする怪人が出てきた。

両腕にオオクワガタの顎のような刃が付いている。

ナターシャが言う。

「奴は『被検体第二号』、生半可な攻撃は効かないぞ!!気をつけろ!!」

「くッ!!」

ミツキは本能的に空手のようなファイティングポーズを取る。

被検体第二号は冷ややかで無機質な声で言う。

「マスター、被検体第三号を排除します。」

二号は腕の刃をミツキに向ける。

しかし、先に仕掛けたのはミツキのほうだった。

「うわああああぁぁぁ!!!」

ヘビの鞭で二号を攻撃する。

しかし、ヘビは二号の刃により切断されてしまう。

「痛ったあぁ!!!」

鞭の断面から緑色の血液が流れて、ミツキは苦しむ。

どうやらヘビの部分にも痛覚があるようだ。

それを見てナターシャが違う注射器を投げ渡す。

「この能力だと相性が悪い!!

こっちを試せ!」

ミツキはクモのラベルの貼られた注射器をうつ。

すると手首から勢いよく大きな蜘蛛の巣が発射された。

しかし、二号はそれを容易く切断する。

そしてそのままミツキに対して攻撃しようとしたが、そこに彼女はいなかった。

彼女は蜘蛛の糸にぶら下がって二号の後ろに周っていた。

ターザンロープのように勢いをつけて二号を蹴り飛ばす。

「たあぁッ!!!」

二号は大顎の刃でガードしようとするが、顎が砕け散り吹き飛んで壁に叩きつけられる。

二号の武器は無くなった。

ミツキは二号の首に蜘蛛糸を縛り付けて距離を縮める。

しかし二号は背中の翅を展開した。

「戦術的撤退をします。」

「えっ、ちょっと待って!!」

ミツキは飛び立つ二号を蜘蛛糸を手繰り寄せて止めようとするが、二号の飛ぶ力によってちぎれてしまう。

ナターシャが次の注射器を渡す。

「こいつで追え!!」

ミツキがそれを使うと両腕がコウモリの翼に変化した。

それで彼女は飛行し、逃げる二号を追う。

そして二号の上に来て蹴りを喰らわせる。

「てりゃあああ!!!」

二号の翅はもげて地面に叩きつけられる。

さらにミツキはそのまま急降下して、強力な飛び蹴りを食らわせた。

「死ねぇぇぇ!!!」

二号は飛び蹴りをくらい、バラバラな肉片となって弾け飛んだ。

緑色の血液が辺りを満たす。

こうしてミツキの初陣はみごと勝利に終わった。

 

 

 

 

人目につかない林の中でミツキとナターシャは身を隠していた。

ナターシャは簡易テントの中でタブレット端末をいじりながらトイレからミツキが戻るのを待っている。

やがて小用を足してきたミツキが戻って来た。

ナターシャが聞く。

「ミツキ、今の気分はどうだい?」

ミツキはひどい顔をして答える。

「もう最低。女の子に野ションやらせるとかあなたマジありえないですけど・・・・」

そう林の中に都合よくトイレがあるわけないのである。

ミツキはナターシャに完全に失望していた。

そんなことはまずさておき、ナターシャは研究所を襲撃する作戦会議をする。

彼女はさすが高学歴と言うべきか、作戦の指示は的確で頭が残念なミツキでもわかるように説明していた。

やがて会議が終わり、ミツキたちは早朝の襲撃に備え寝ることにする。

ナターシャがなかなか寝付けないミツキに言う。

「ごめんな、君にこんなことやらせるなんて。

失望しただろ?」

ミツキは即答する。

「うん、正直失望した。

だけど・・・・」

さらに彼女は言葉を続ける。

「あなたに会えたこと、それは本当に嬉しかったよ。」

「そうか、ならよかった。」

ミツキはそう言って目を閉じる。

するとナターシャは不意にミツキの頬にキスをした。

「えぇっ!?!!」

ミツキは赤面する。

そしてナターシャは優しいヴィスパーボイスで言う。

「明日もがんばってくれよ。」

ミツキは完全に彼女にキュンと来ていた。

真っ赤になった顔を伏せながら必死で寝ようとする。

(マジありえない・・・・あいつ何考えてるのよ!!!)

そんなことを心で言ったが、内心満更でもなかった。

やがて二人は寝て、深夜の二時には起きて出発した。

 

 

 

 

 

 

早朝の四時、研究所にはもう素手にナターシャが潜入していた。

清掃員の変装をしており、中のスタッフにあいさつされる。

「こんばんは。こんな朝早くからご苦労さまです。」

「こんばんは。

あなたこそ、徹夜作業ご苦労さまです。」

あいさつしたあとナターシャは何事もなく通り過ぎた。

スタッフが首をかしげる。

(あの人、どこかで見たことがあるような・・・・)

一方、ナターシャは彼から掠め取ったセキュリティーのカードキーを見つめてニヤついていた。

(ちょろいね♪)

そしてナターシャは何食わぬ顔でブレーカーのある部屋に向かっていった。

部屋の前に来てロックを解除し、ブレーカーを落とす。

そしてトランシーバーでミツキに指示を送った。

『施設の電源を落としたよ。

あとは君が襲撃するだけだ。』

『了解・・・・』

ミツキはコウモリの能力で飛翔し、屋上にたどり着く。

そして、屋上から内部に侵入した。

内部は研暗闇に包まれていて研究員たちがパニックになっている。

ミツキは超音波で内部を見て研究員たちを次々と鎮圧する。

やがてアラートが鳴り、オレンジ色の非常灯がついて機動隊たちが通路の前に立ちふさがっていた。

「侵入者だ!!撃てェ!!」

機動隊はサブマシンガンを乱射する。

しかしミツキは壁を走って避け、蜘蛛の巣で機動隊たちを行動不能にした。

「甘いね!!」

「くそっー!!」

彼女は機動隊たちを後にし、この研究所の最高責任者がいる部屋まで進んで行った。

 

 

 

 

 

やがてミツキは目的の部屋までたどり着いた。

最高責任者を脅して人体実験をやめさせればことが片付く。

ナターシャが提案したのはそういう作戦だった。

彼女は扉を開ける。

しかし、そこには衝撃的な光景が広がっていた。

まず非常灯に照らされたおびただしい数の血痕が見えた。

そして椅子には食い散らかされた最高責任者のおっさんとトンボ怪人こと『被検体第一号』が居たのだ。

「うそでしょ・・・・」

彼女は不意にそう呟いていた。

おそらく一号はブレーカーを落としたときに施設から脱走したのだろう。

もうこうなったら作戦失敗である。

ミツキは絶望する。

「グヘヘヘへへ・・・・」

一号は醜悪な顔を歪めて不気味に笑う。

そしてミツキに襲いかかり戦闘は開始された。

まず一号が圧倒的な力でミツキを押さえつける。

「うぅ!!」

そして一号はそのまま翅を動かしてミツキを床に引きずりまわした。

ミツキは抵抗したが、それでも一号の怪力の前では無力だった。

一号はミツキを持ったまま外に飛び出して、飛行して壁になすりつける。

「うわあぁぁぁぁ!!!!!」

ミツキが苦しみ喘ぐ。

彼女の背中は服が削れて肌が露出し、緑色の血液が流れていた。

そして一号は屋上の上まで来て、そこにミツキを思いっきり叩きつけた。

「ぐはぁ!!」

ミツキは緑色の血を吐く。

屋上の床に緑色の血痕が広がった。

動けなくなった彼女に一号がじわりじわりと迫りくる。

彼女の右腕は骨折してあらぬ方向に曲がっている。

あまりの戦力差と凄まじい痛みにミツキは子どものように泣いてしまった。

「ぐすっひぐっ

なんで私だけこんな目に会わなきゃいけないの・・・・」

そして一号は彼女の目の前まで迫っていた。

一号は勝利を確信する。

しかしミツキは一つだけこの状況を打破する方法を思いついた。

彼女はふともものホルスターから最後の注射器を取り出す。

それはナターシャにこれだけは本当にヤバイときしか使うなと念を押されたものだった。

その注射器にはティーレックスのイラストのラベルが貼られていた。

彼女はそれを使用する。

すると彼女はおもむろに立ち上がり、体中の全ての血管が浮き出てきた。

そして体はマッシブな形に変化し、尻尾は肉食恐竜のような見た目に変化した。

ニヤリと笑うと口からは禍々しい牙を覗かせていた。

「!?」

一号は本能的に驚愕する。

そしてとうとうミツキは全身筋肉の恐竜人間と化していた。

普段の彼女からは想像もできないほど恐ろしいドスの効いた声で言う。

「今からぶっ殺してやるよ虫ケラ野郎。」

彼女は一号に飛びかかり正拳突きを放つ。

「はあぁっ!!」

一号はそれを受け止めるも、相手の圧倒的なパワーによりダメージが入り手から血を流す。

ミツキは一号の手を振り払い、マシンガンよりも速い拳のラッシュを繰り出した。

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!」

一号も負けじとラッシュを繰り出すがスピードがあまりにも違いすぎたので腕がボロボロになってしまった。

「ぐげぇ!?」

一号は本能的に負けるのを察し、逃げるように後ずさりをした。

しかし、彼女がそんな相手を許すはずなどなかった。

「逃がすかよこのド外道ッ!!」

彼女は一号の首を鷲づかみにする。

そして

「死ねええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

一号の脊髄ごと首を引っこ抜いた。

そして首を床に転がし頭を足で踏みつけ砕いた。

そのあと彼女は虚ろな目をしていた。

「ナターシャ、私勝ったよ・・・・」

彼女は注射器の副作用により憔悴し、その場で倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・はっ!!ここは!?」

ミツキは目覚めた。

起きた場所は厳重に密閉された取り調べ室のような場所にいて目の前には見知らぬ黒髪の女性がいた。

女性が言う。

「お目覚めかな?『ナンバースリー』。」

「・・・・えっとあなたは?」

ミツキが困惑しながら聞く。

すると女性はネームプレートを見せながら答えた。

「私は国防省の職員『四葉黒羽』だ。

よろしくな。」

「あ、ええ・・・・」

ミツキは空返事をする。

そしてミツキはまず気になっていたことを聞いた。

「すみません。ナターシャ博士はあれからどうなったんですか?」

黒羽は答える。

「ああ、あいつは今刑務所にいるよ。

一応彼女も人体実験に加担したわけだし。

でも安心しろ、私の権限で死刑は免れている。」

「そう・・・・ですか。」

ミツキは暗い表情になった。

それを見て黒羽は話題を変えた。

「今日君を起こしたのは他でもない。

私は君に相談があるんだ。」

「相談・・・・ですか?」

ミツキが聞く。

いったい国防省の人間が自分になんの相談があるのだろうか。

黒羽が答える。

「単刀直入に言おう。

我々と手を組んで日本を守らないか?」

「え?」

突拍子もない話に彼女は混乱する。

しかし黒羽はお構いなしに話を進める。

「もちろん無理にとは言わない。

仮に君が拒否しても君の身は保証する。

私達の施設の中で何不自由ない暮らしを約束しよう。」

「・・・・・」

ミツキは考える。

もし協力せずに施設で暮らしたとしても、それはそれで彼女たちに飼い殺しにされるだけなので嫌な気がした。

それにミツキには黒羽を人質に取ってここを脱走する選択肢もあったが、今の彼女にはそんな気力も残っていなかった。

ならば答えは一つ。

「私、やります。」

黒羽は笑みを浮かべる。

「よし、そうとなれば君は対テロ部隊に配属決定だ。

明日から忙しくなるぞ。」

こうしてミツキは日本の治安維持に協力することになった。

しかし、ミツキはある違和感を覚える。

彼女は股をすり合わせてもじもじしていた。

「あの・・・・お手洗い行ってきていいですか?

私、さっきから丸三日出してないカンジでもう限界なんですっ!!」

それを聞いて黒羽は慌てる。

「それは大変だ!!私が案内するよ!!」

黒羽はミツキの手を取ってお手洗いを目指した。

「うぅ・・・・早くしないと漏れちゃいますよぉ〜!!」

ミツキは子どものように泣いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「強盗だ!!金を寄越せ!!」

ある日、強盗が銀行でサブマシンガンを乱射し銀行員を脅していた。

銀行員はすぐさま金を用意し、トンズラしようとしていた。

「うえ~ん!!!!」

親と一緒に銀行に来ていた女の子が泣く。

すると強盗の一人が女の子に拳銃を向けた。

「うるせえなぁ、そんなに殺されたいのか?」

「ひっ・・・・」

女の子はあまりの恐怖で絶句していた。

そのときである、誰かが強盗の腕を掴み銃を上に向けさせた。

強盗は抵抗しようとしたが、万力のような力で握られていたため手も足も出なかった。

腕を掴んだのは、ライダースーツを着た小柄な女性だった。

頭にはネズミの耳が生えていて、おしりからは長い尻尾が伸びている。

そう、彼女はミツキである。

彼女はイケメンボイスで言う。

「良くないなぁ、こういうのは。」

「なんだとぉ!?」

彼女は強盗を尻尾でなぎ倒し、地面に伏せさせた。

「野郎ども!!あいつを殺れっ!!」

強盗たちはマシンガンを連射したがすばしっこい動くミツキには全く当たらなかった。

そしてミツキはキックとパンチで強盗たちを次々と倒した。

それはまるで特撮ヒーローのワンシーンのようだった。

彼女は倒れた強盗たちを蜘蛛の糸で拘束する。

女の子がミツキに感謝する。

「ありがとうお姉ちゃん!!」

「どういたしまして。」

ミツキは笑顔でサムズアップをつくって見せた。


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