モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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1日2話投稿の2本目です。…大丈夫ですか?先にこっちから読んでいませんか?
大丈夫であれば、このままどうぞ。

あと、作中に歌詞がでます。

〈第九・歓喜の歌〉の歌詞を知っておくとよく分かるかもしれません。
(尚、歌詞の繰り返しの部分は削除してます)…そのせいで盛り上がらない?そんなぁ…

では、どうぞ↓


〜歓喜の歌〜

 

 

 

 

 

始まりは唐突に思えた。

 

 

 

 

 

しかし、コレは最初から決まっていたのだ。

 

 

 

 

人類(あなたたち)が、気付かなかっただけで。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーピシッッッッ……

 

 

 

 

()()()、全ての人類は見た。

 

 

 世界の何処からでも見える〈アメノミハシラ〉に、大きな亀裂が走るのを。

 

そして、世界中に響き渡る()()()()()()()()

 

 

 

カラーーーーン…

 

 

ガラーーーーン…

 

 

カラーーーーン…

 

 

ガラーーーーン…

 

 

 

 世界各地に響き渡る、この世の全ての鐘が一斉に鳴り出したかの様な荘厳な音。

 

世界中の人々は、皆同じタイミングでこの音を聞いた。

 

 

「こ、この音は……」

「…なんだ?!ーーーー誰が鐘を鳴らしている!?」

 

驚く者。

 

「…ママ。何?この音……?怖いよ……」

「だ、大丈夫よ…。きっと…きっと大丈夫。」

 

怯える者。

 

「おお……神が鐘を鳴らしておる……。」

「神託じゃ…!神託が来るのじゃ…!!」

 

祈る者。

 

 

ーーーーーーーそして世界中の全ての人類が、北の空へ目を移した。

 

 いつの間にか、北の空に見える事が当たり前になっていた〈アメノミハシラ〉。

 

 その白く佇む神聖にして不可侵の柱は今、ひび割れ崩壊の時を迎えていた。

 

 

 

『ーーーーーーーーこ、こちら()()()()()()()-()O()-()N()-()5()6()ッッ!!!』

 

 

…場面は変わり、此処は連邦の首都でもある移動要塞〈アーク〉。

 

 

〈アーク〉の職員達は、北極にある星の花の監視を行う〈北極禁域監査局〉から、慌ただしい通信を受け取った。

 

「…どうした監査局?!何があった!!何が起きてる?!」

 

こちらからの問いかけに、ノイズだらけの通信が答える。

 

『何がーーーーなんだかーーーーアメノミハシラがーーーー壊。ーーーー星の花ーーーー白い光とーーーー甘い香りーーーーーーーー皆んな、塩にーーーーーーーー』

 

この言葉を最後に、通信は完全に途絶した。

 

 それと同時に、アメノミハシラは白い光と共に完全に崩壊する。

 

 そして、北の空には1年半ぶりに〈星の花〉が姿を見せた。

 

ーーーーまるで、巨大な樹にも見える〈星の花〉。

 

 

北の空に再び現れたソレはーーーー()()()()()

 

 

「ほ、星の花が……燃えているッッッ?!?!」

 

 

驚く人々。

 

 

 〈星の花〉は、その身に銀河の様に輝く炎を宿し、今までのどの瞬間よりも美しく煌めいて、北の空に聳え立っていた。

 

 

 そして、別の禁域監査局から〈アーク〉にまた連絡が入る。

 

 

『こ、此方は〈旧ロシア領禁域監査局H-S-24〉。……信じられない事が起きてるぞ…っ!』

「っ?!今度はなんだ!?」

 

……大地が揺れ出す。

 

ーーーー北極を中心に、大規模な地震が起きているのだ。

 

『北極に姿を見せた星の花が……北極海真下の地盤と共にーーーー()()()()()()()()()。』

 

「は?」

 

揺れ続ける大地。

 

 そして、〈星の花〉が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 地震の正体は、星の花が北極海の地盤を引き剥がして、空に浮かんでいく際の振動だったのだ。

 

 あっという間に北極の氷床は全て砕け散り、何万リットルもの海水を押し退けて、北極海の真下の地盤が〈星の花〉と共に空へ飛んでいく。

 

 

…この天変地異は、やはり世界の何処からでも見えた。

 

 

「星の花が…空へ…!?」

「あぁ…!何起こると言うのだっ?!」

 

 

 ついに始まった黙示録に、矮小なる人々はただ固唾を飲んで見守る事しか出来ない。

 

「星の花…上空10000メートルまで浮上…!!ーーーーコレじゃあまるで、浮遊大陸じゃないかっっ?!」

 

 〈アーク〉でその様子を見ていた連邦研究員の1人が、唖然と呟いた。

 

 北極の氷床とほぼ同等の大きさの岩盤を引き連れて、空に浮かび上がった〈星の花〉。

 

ーーーー確かに、巨大な浮遊大陸が姿を現した様にも見える。

 

 そして、〈星の花〉の浮上は其処で止まった。……しかし落ちる事はせず、北極の上空10000メートルで浮遊状態になる。

 

 

 その間も、星の花からは荘厳な光と、美しい鐘の音がひたすらに鳴り続けていた。

 

 

「おぉ……コレはーーーー」

 

 

ーーーー所変わって、アステールに停泊中の教会国家〈グローリー〉。

 

 

 午後の讃美歌を歌おうとしていたグローリーの聖歌隊は、突然始まった黙示録に、思わず外に飛び出して〈星の花〉を見上げていた。

 

 アステールは北極に近い故に、起こった異変がよく見える。

 

ーーーー空に浮かぶ大陸と、その上に根を張り、まるで翼を広げる様に枝葉を広げる巨大な樹。

 

溢れ出す神聖な光は、グローリーの人々の心を打った。

 

 

 

ーーーーアレは、アレこそが、神の偉業。この世の神秘。その具現なのだ。

 

 

 

「…………歌を……」

 

誰かが、うわごとの様に呟いた。

 

「歌を……歌いましょう……神に届く様に………」

 

聖歌隊のメンバーは顔を見合わせた。

 

 パラパラパラ…と、何処からともなく拭いた風に聖歌隊が持っている楽譜の本が捲られて、とある『歌』のページを勝手に開く。

 

 聖歌隊の隊長でもある男は、そのページを見てボソッと呟いた。

 

 

「……歓喜(フロイデ)。」

 

 

 互いに顔を見合わせる聖歌隊。そして、ぽつぽつと囁きの様な歌声が漏れる。

 

 

歓喜(フロイデ)……。」

 

 

囁きは寄り集まって『歌声』に。

 

 

歓喜(フロイデ)……!」

 

 

 彼らは歌い出した。歌わなければ、いけない様な気がした。

 

 そして、星の花が一際強く輝き、更なる異変が世界に起きる。

 

 熱に侵された様に響き渡る、聖歌隊の〈歓喜の歌〉と共に。

 

 

 

歓喜(フロイデ)

 

 

 

星の花が強く光り輝く。

そして、その光は全世界に広がった。

 

 

 

歓喜よ 神々の麗しき霊感よ

 

 

 

 空の蒼きは失われ、真昼の空なのにも関わらず、美しい宇宙の星々が無数に覗く。……朝と夜が同時に来た様だった。

 

 

 

天上の楽園の乙女よ

 

 

 

 燃えて輝かしい炎を噴き出す星の花が、朝と夜の世界でただ一つ光を放つ。

 

 

 

我ら 火のように酔いしれて

 

 

 

 星の花が光り輝く根を張った浮遊大陸は、今や何処からともなく溢れ出した〈星のセラム〉に包まれていた。

 

 

 

汝の崇高なる聖所に入る!

 

 

 

 そして、世界中の〈星のセラム〉が、一斉に光り輝きながら空へ舞い上がる。

 

 そして、幾つのもの光の柱となって空高く舞い上がった〈星のセラム〉は、空でブワッと枝分かれし、世界の空と言う空を覆い尽くしていった。

 

 ケテルが倒された時のように、獣神祭の時のように、旧東京で起きた〈奇跡〉のように……

 

 でも、ソレら3つの事例とは規模が違う。ーーーー今度は、この星の全ての空を覆い尽くしているのだ。

 

 

 

汝の魔力は再び結び合わせる

 

 

 

 舞い上がる〈星のセラム〉の光は、今あらゆる生命のカタチを形取っていた。

 

 魚、鳥、獣、恐竜に至るまで……。天地開闢以来、この星に生まれ、死んでいった全ての命が、霊体となって翼を得たように空へ飛んでいく。

 

 

 

時流が強く切り離した者を

 

 

 

そして、世界中の人々は見た。

 

 空へ舞う魂の残滓(星のセラム)の中に、嘗て別たれた家族の姿を。愛していた人の姿を。自分の友の姿を。

 

 

全ての人々は兄弟となる

 

 

舞い上がり、空に根のように広がった星のセラムは、無数の魂が流れる川となって、翼の様に枝葉を広げた〈星の花〉へと流れていく。

 

 

 

汝の柔らかな翼の止まる場所で!!

 

 

 

「……コレは……何なんだよ……。」

 

場所はアステール。

 

バサラは、外で空と星の花を見上げていた。

 側には、アルスラーンやアミダをはじめとしたイースターのメンバーが揃っている。

 

「…魂が、喜びと共に舞い上がる……。」

 

 アビスが空を覆う〈星のセラム〉の流れを見つめ、そっと呟いた。

 

「コレが〈最後の審判〉なのね。」

 

 

 

ひとりの友の中の友となるという

 

 

 

 移動要塞〈アーク〉では、連邦の首領デスアークが同じように空を見上げていた。

 

「……この世の終わりか。」

 

 彼の若干の諦めが混じったような声を聞く者は、誰も居ない。

 

……連邦政府として、彼は成功を収めてきた。首領と言う地位も手に入れた。しかし、ソレが何になろう??

 

 世界の滅びの前では、そんな物は意味を成さない。

 

 

 

大きな成功を勝ち取った者

 

 

 

「ダーリン……!」

 

 アステールのスターダスト本部では、空を見上げたヘラが普段の彼女とは思えない程の狼狽を見せていた。

 

「……大丈夫だヘラ。……きっと大丈夫だ。」

 

ゼウスは彼女を抱きしめながら、空を睨む。

 

(コレがネオが教えてくれた〈最後の審判〉か。……コレを止めるって事だよな……??)

 

 自分の腕が震えている事に気付いたゼウスは、根性でソレを止めた。

 

 やってやる。ーーーー彼は星の花を睨み、そう心の中で呟いたのだった。

 

 

 

心優しき妻を得た者は

 

 

 

「ニュウくん……。」

「ネオさん……?」

 

ーーーー空を見上げていたネオが、彼の腕にそっと寄り添ってくる。……その手が若干震えているのを見て、彼女も恐怖しているのだとニュウは理解した。

 

「ーーーー審判は始まった。力を……貸してくれる?」

 

ネオの瞳を見つめて、ニュウは強く頷いた。……この人の力になりたい。そう強く思って。

 

「何を今更そんな事……。勿論ですよ!一緒に行きましょう!」

 

 

 

自身の歓喜の声を合わせよ!!

 

 

 

「……魂が見える。」

 

ハレルヤが空を見上げて呟く。

 

今の彼には、無数の人々の魂が見えていた。

 

「暁…紅蓮……シュラさん……。また会えるって……これの事だったのか……??」

 

バサラも同じ様に空を見上げている。

 

「……トコヨ…コクウ……。俺たちを導いてくれるのか……?」

 

 

 

そうだ!この世で1人でも!

 

 

 

ーーーー世界を覆う星のセラムの根が、唐突に光り輝いた。全てが燃えている様だ。

 

そして、太陽と月がゆっくりと重なり始める。

 

 

 

心を分かち合う魂があると言える者は歓呼せよ!

 

 

 

次に、星のセラムから無数の光が舞い降りてくる。

 

ーーーー否、アレは光じゃない……

 

「警告!!警告!!ーーーー空に壊獣が出現ッッッ!!……凄い数ですッッッ!もう……数え切れないッッッ!!」

 

世界中で、そんな警報が鳴り響く。

 

 〈アーク〉でも、〈オールト〉でも、〈エッジワース〉でも。世界中に〈壊獣〉が姿を現したのだ。

 

 世界の空は、あっという間に漆黒の体を持つ壊獣に満たされる。

 

 その瞳も何も無い壊獣の顔が、地上に蠢き空を見上げる人々を見下ろした。

 

 

 

そして それがどうしても出来なかった者は

 

 

 

ーーーーその歌詞は、まるで壊獣から人に向かって放たれた言葉の様……

 

 

 

 

この輪から泣く泣く立ち去るが良い!!

 

 

 

「始まったのぉ。」

 

場面は変わり、天聖ダアトとビナーの住処に移る。

 

 ダアトとビナーは渓谷の高台で、今や宇宙と一体になったかの様な空を見上げていた。

そして、飛び交う壊獣の群れも。

 

「コレが……最後の審判なんですね……。」

「あぁ。」

 

ダアトは小さく頷く。

 

「神が我らを裁くのだ。……だが、その裁きを甘んじて受け入れるつもりは、ネオ達(あ奴ら)には無いらしい。……ふっふっふっ……ソレでこそだよ…!」

 

 ダアトは、此処にはもういないネオに向かって話しかける。

 

「征け。ネオ……!今のお主なら、世界を変えられる……!」

 

 

 

すべての存在は

 

 

 

 世界中の人々が見る中、光の根となって空を埋め尽くした星のセラムは、星の花がある浮遊大陸へと向かっていく。

 

 

 

自然の乳房から歓喜を飲み

 

 

 

そして、浮遊大陸に次々と光る根がつながった。

 

 まるで、空の星の花から伸びた根が、世界中を包み込んだかの様だ。

 

 

 

全ての善人も 全ての悪人も

 

 

 

 太陽と月は一つに重なり、天の川を背景に巨大な金環日食となって空に浮かんだ。そして、輪の下から光の筋が1つ、真っ直ぐな線となって地上に垂れる。

 

 

 

自然がつけた茨の道を辿る

 

 

 

 星の花とその真下の浮遊大陸に繋がった星のセラムは、あっという間にその魂の残滓を()()する。

 

 

 

自然は口づけと葡萄の木と

 

 

 

 解き放たれたこの世の全ての生き物は、浮遊大陸の上で再びの生を得た。

 蘇る古代の生き物。古代の植物。もちろん、ライオンやペンギンと言った、今もまだ生きている動物達まで。

 

 海の底から浮かび上がった岩だらけの浮遊大陸は、あっという間に全ての生命溢れる天空の楽園と化したのだ。

 

 

 

死の試練を受けた友を与えてくれた

 

 

 

「わぁ〜すっごい…♪あそこが、ネオの目指す場所ってわけぇ?」

 

ジャックがネオの側にやってきてそう言った。

 

「うん。……そうみたいだね。」

「あら、だとすれば、カミサマとやらは随分あそこを立派にしてくれたわね。」

 

 そういうのはアルセーヌだ。アステールの空に見える浮遊大陸を見つめ、彼女は面白そうに微笑む。

 

「ーーーーこの世界の運命は彼処で決まる。楽しくなってきたわ。」

 

 

 

快楽は虫ケラのような者にも与えられ

 

 

 

そして、世界はあっという間に混乱に包まれる。

 

 セラムから生まれ落ちた壊獣が、世界各地の地上都市と要塞都市を同時に襲撃し始めたのだ。

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

智天使は神の前に立つ!

 

 

 

アステールにも押し寄せる混乱。

 

 都市に集っていた移動要塞都市は、一斉に壊獣を倒すために動き始めた。

 

ネオ達も、混乱が始まる中動き始める。

 

そして、聖歌隊は歌い続けた。

 

コレより始まるは神の()()()なのだと。

 

 

ーーーーそして、地に蠢く人々を睥睨するかの様に、根本に楽園を抱いた〈星の花〉が北の空で光り輝き続ける。

 

 

 

神の前に!!

 

 

 

 金環日食と天の川を背にして、まるで神そのものであるかの様に………

 

 

 

神の御前に!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の審判は始まった







()セラム(魔力)は再び結び合わせる。


やはり世界の終わりには第九が似合いますよ。いやホント。

では、次回で〈最終章〉開始です。マタネ~
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