モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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もしも、ケテルがルシファーでは無くネオにご執心だったら?

…って考えたのが、全ての始まりでした。

色々変な所もあると思うけど、許してネ。



35話 〈セイ者の行進〉

 

 

◇◆◇

 

 

「ネオさーん。戻りましたよ〜。」

 

 やいのやいの言い合っているサテライトとカノープスを後ろに、ニュウは元いた場所に戻って来た。

 

彼女からの返事はない。

 

「…ん?ネオさん??」

 

 ついさっきまで、彼女がいた筈の場所を見渡しながら、ニュウは眉を顰める。……ネオの姿が見えない。周りを歩くのは、ただの通行人ばかりだ。

 

「なに?居ないの?ネオ先輩。」

 

横からサテライトが顔を出して来た。

 

「ええ…。ここで待ってるって言ってたんですけどね……。」

 

カノープスがピザを食いながら呟く。

 

「むしゃむしゃ……ネオの奴はふらっと何処かに行くからな。…どうせ、違う所にいるんじゃねーのか?知らねーが。…もぐもぐ…うめ。」

「確かにネオさんはどっか行きがちですけど、流石にこのタイミングでどっか行くわけないでしょう??」

 

 ニュウはそう言いながら、近くの路地を覗き込んだ。…もしかしたら、人の多い大通りでは無く、静かな路地の方で待ってるかも知れない…と考えたからだ。

 

 しかし、其処には彼女の姿は無かった。ーーーその代わり……

 

「あれ?…袋だ。」

 

 彼女が持っていた袋が1つ、石畳の上にポツンと落ちていたーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

ーーーアステール地下下水道ーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー相対するは、嘗ての亡霊。

 

 自分に手を伸ばし、死体のように色を失った顔に変わらぬ笑みを浮かべ、誘う様に近付いてくる。

 

「…さぁ、私と一緒に来るのです。星の森…我等の素晴らしき地に、貴方の()は用意してあるのですから。」

 

「…嫌。」

 

ネオは後退りながら首を振った。

 

「…貴方は連邦と同じで、私に自由はくれなかった。…私の力を利用して何をするつもりなの?」

 

ケテルは何を今更、と言った表情を浮かべた。

 

「……新人類の為ですよ。ネオ。ーーー今、この世は〈星のセラム〉…即ち、神の祝福に満ちています。…その祝福から力を得る事が出来る者こそ、神に祝福されこの星の上で栄える事を約束された『選ばれし者』ーーー新人類なのです。」

 

 ジリジリとケテルとネオの距離が埋まっていく。……後ろは下水の川だ。

 

「…しかし、今新人類は抑圧されています。…支配されています。ーーーーーーーーー我等は神に選ばれし者なのに、旧時代の古い人間…我等より劣る下等人類に支配され、自由に大地を踏み空を仰ぎ生命を謳歌する事すら儘ならない。」

 

 これ以上、後ろには下がれない。…ネオの背後で、流れる下水が滝のような音を立てている。

 

「だから、嘗て私は求めたのです。新人類の為の時代を。」

 

ケテルが嗤う。

 

「…しかし、道のりは険しかった。我等が一度は手に入れた貴方は、私の考えを理解せず姿を眩まし、未来を誓った同胞は皆死にました。……そして私も生死の境を彷徨い、未来は闇に閉ざされかけた……。ーーーーーーーーーしかし!!!!」

 

ケテルの笑みが深くなり、見開かれた目に狂気が宿った。

 

「〈星の花〉は……神は私を見捨てなかった!!!ーーーネオ!!私は死の淵より蘇り、〈覚醒〉したのですよッッ!!!そして、神の力の一部を手に入れました!」

 

彼は、血のように赤い〈セラムキューブ〉を天にかざす。

 

「……貴方には来て貰います。ネオ。貴方の完成された新人類としての力と、この私の力が新世界創世(ネオンジェネシス)の為に必要なのです!!」

 

…その言葉が終わるや否や、ケテルの後ろから影が2つ歩み出て来た。…さっきから感じていたナニかの気配は、この影だったのだ。

 

その影を見た瞬間、ネオの体に震えが走った。

 

「……!!何なの…()()姿()ッ。」

 

 目の前に現れた二つの影を一言で表すなら、『ノーマンと人間のハーフ』……と言ったところか。

 

 人の姿をしているが、身体はノーマンの様に真っ黒で、赤いラインが体表に血管のように走っている。顔に目や口は無く、ただ同心円状に連なる赤い線があるのみ。

 

……どう見ても、ノーマンだ。しかし人の姿をし、髪の毛があり、一丁前に服まで着ている。…そのミスマッチさが、何とも言い難い不気味さを与えていた。

 

「ーーー神ハ、我等ト共ニ。」

「ーーー星ハ、我等ニ導キヲ。」

 

 ネオの見る前で、2人のヒトガタがコチラに喋りかけた。

 

「…!!喋った!?」

 

「当たり前ですよ。彼らはかつての我々…新人類優生思想の残党。…神の生んだ使徒たる〈ノーマン〉と、私の力を持って一つになる事で神の眷属により一歩近付いたのです。元は人なのですから、喋りもします。」

 

「…コレが…人なの…ッ??」

 

 ネオの戦慄に、目の前のヒトガタは手を構える事で答えた。…ファイティングポーズだ。

 

「…さぁ、先ず貴方に見て貰いましょう。ーーー神の眷属に近づいた者と、この私の…神より授かりし力をッ!!!」

 

 次の瞬間、2人のヒトガタがネオに飛び掛かった。

 

 

「…ッ!!〈シールドモード〉ッッ!!」

 

 

ーーーーーーーーーガキィンッッ!!!

 

 

 ネオが展開した円形の青い盾と、ヒトガタが伸ばした鋭い爪の様な形の指が、ぶつかって耳障りな音を立てる。

 

「ーーーーーー余り傷をつけてはなりませんよ…〈聖者〉達。ネオはあくまでも、我等の賓客なのですから。」

 

 そうケテルの言う声が聞こえる。…〈聖者〉とは、おそらく目の前にいる元人間の〈ノーマン〉の事だろう。

 

「私はっ…貴方達と一緒になる気は無いッ!」

 

 ネオはそう叫んで、左手に盾を構えたまま右手に〈セラムキューブ〉を展開ーーーーーーーーー大きな青い戦斧を具現化させ、右手に持ったそれを大きく振りかぶり、目の前の〈聖者〉2人を横薙ぎに薙ぎ払う。

 

ーーーーーーーーーザシュッッ!!!

 

 

「「ーーーーーーーーーッッ!!」」

 

 

ーーー薙ぎ払われ、身体が上下に両断される〈聖者〉。断面から、赤い血と七色に輝く〈星のセラム〉が混ざった様な体液が飛び散った。

 

 そのまま、ケテルに駆け寄るネオ。ーーー薄らとした笑みを浮かべるその顔へ、戦斧を上段から振り下ろす。

 

しかしーーーーーーーーー…

 

「…だめですよ。ネオ。ーーーーーーその力()()じゃ、私には敵いませんから。」

 

ーーーーーーーーーガシッ…!

 

…振り下ろした戦斧が、ケテルのコートの裾から飛び出して来た3()()()()()に受け止められた。

 

「…っ?!ーーーー腕ッ!?」

 

驚くネオ。ケテルは笑みを消さない。

 

「神は私に力を与えました……。試練を乗り越えた者にのみ、与えられる神秘の力を………。」

 

 ケテルの呟きと共に、彼のフード付きのコートがビリビリと破れていく。そして、肩に掛かっている分を除いて、コートは完全に破れ落ちた。続いてコートの下の服も、破れていく。

 

「ふふふ……長い…永い雌伏の時でした。ーーーしかし、遂に今までの苦しみが報われる日が来たのです!!」

 

 彼の浅黒い、屍の様な肌色をした上半身が露わになる。彼の周りには、何処から流れ込んできたのか、〈星のセラム〉が靄の様に漂い始めて来た。

 

……いや、〈星のセラム〉が漂って来たんじゃ無い……コレはーーーーーー

 

 

「…〈星のセラム〉が、()()()()()()()()()()??」

 

 ネオがケテルを呆然と見つめながら、呟いた。それを聞いたケテルが満面の笑みを浮かべる。

 

「ーーーそうです!そうなのですよネオ!…コレが、コレこそが私が神から授かった2つ目の力…〈覚醒新人類〉としての力なのです!!」

 

 彼が叫ぶと、〈星のセラム〉がまるで彼の手足の延長であるかの様に広がった。…薄暗い下水道のトンネル内が、瞬く間に〈星のセラム〉の輝きで埋め尽くされる。…まるで、小宇宙ーーー或いはビックバン…。

 

「……まさか、〈星のセラム〉を自在に操っているとでも言うの…?!」

 

 荒れ狂う〈星のセラム〉の中心で、ケテルが叫び続ける。

 

「その通りですッッ!!ーーーーーー神は私に、〈祝福〉を他者に与え魂を意のままにする力を授けたのですよぉッ!!!」

「…!!そんなのーーー…。」

「ーーーーーーーーーそれより、良いのですか?ネオ?…まだ、〈聖者〉との戦いは終わってませんよ?」

「……は?」

 

ネオは後ろに気配を感じたーーーーーーーーー

 

「…嘘?!」

 

 振り向くと、さっき斧で斬り倒したはずの〈聖者〉が、何事も無かったかの様に立ち上がり、コチラに鋭い蹴りを放ってくる所だった。

 

「くっ!!」

 

 咄嗟に斧の柄で蹴りを受け止めるネオ。…だが、想像以上の威力に斧を持つ手に痺れが走る。

 

「…さっき、確実に倒した筈なのにッ?」

 

そう言うネオに、〈聖者〉が語りかける。

 

「我等ハ滅ビヌ。…祝福ト共ニアル限リ。」

「身体ガ分タレヨウガ、頭ガ落トサレヨウガ、祝福ト共ニアル限リ、何度デモ立チ上ガルノダ。」

 

「ーーーーーーどう言う事?!」

 

 ネオは聖者を振り払うと、斧を一本の刀に変形させ、今度は縦に〈聖者〉の1人を切り裂く。

…続いて後ろから貫手を放って来た2人目の〈聖者〉の手を、肘から先で斬り落とすと、下から上に刀を跳ね上げる様にして2人目の〈聖者〉を斬り倒した。

 

 それは一瞬の攻防。…しかし、ソレに終わりは来ない。

 

「無駄ダ。…祝福ハ我等ノ味方ナノダ。」

 

……斬られたはずの断面に、周りを漂う〈星のセラム〉が集まり、傷を覆い隠していく。ーーーそして〈星のセラム〉が消えた時、2人の〈聖者〉の体には傷など何一つとして残っていなかった。

 

「!!…〈星のセラム〉から…生命力まで得ているの…?」

 

ネオは驚愕する。ーーーーーーもし、そうなら…

 

(〈星のセラム〉がある限り……〈聖者〉は倒せない?!)

 

…ほぼ不死身……そんな生物、存在して良いのだろうか?

 

 

 〈聖者〉は再びネオに挑み掛かってくる。……正直、強くは無い。一撃一撃は重いが、耐久力は人間のソレだし、人外じみた身体能力も無い。

 

…しかし、倒せど倒せど回復して起き上がってくるその性質は、ネオを少しずつ追い詰めていた。

 

 一方、ケテルは動かない。…ただネオと〈聖者〉の戦いを眺めているのみだ。それが、ネオからして見れば不気味だった。

 

(……切っても斬っても〈星のセラム〉を吸収して起き上がってくる…。)

 

…そして、〈星のセラム〉は彼らの主であるケテルによって生み出されている。…コレはまさに永久機関………

 

(…あれ?〈星のセラム〉??)

 

剣戟を繰り返している時、ふとネオはある事に気付いた。

 

(…聖者が星のセラムを生命力とするのなら…星のセラムが無くなれば、聖者はどうなる?)

 

……さっき見た彼等の血には、星のセラムも混ざっている様だった。…もし、それらを消す事ができたらーーー

 

「……勝てるかも。」

 

 ネオは呟いた。そして、躊躇いなく自らの力を解き放つーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー()()()()()()()()()()()を。

 

 

 

「ーーー消えてッ!!!!」

 

 そうネオが叫んで手を〈聖者〉に翳すと、周りを漂う〈星のセラム〉が一気にその色を失った。トンネル内に満ちる偽りの星々が消え失せ、〈聖者〉もまた苦しむ様に身体を仰け反らせる。

 

「グオオッ!!??」

 

 そして彼等の身体の内側から、〈星のセラム〉が弾け飛ぶ様に放出された。

 

…体の全てが〈星のセラム〉から構成されている訳では無いが故に、消滅こそしないものの、糸の切れた操り人形の様にフラついて力無く地面に倒れ伏す。

 

そのまま、起き上がれない様だ。

 

「やっぱり…。私の《浄化する力》に弱いんだ。体の中に星のセラムが流れてるから……。」

 

 

ーーーーーパチパチパチパチ…

 

 

 ネオの呟きに、拍手が起こった。…拍手をしているのはケテルだ。

 

「…素晴らしい!素晴らしいですよネオ!!まだ覚醒すらしていないと言うのに、星のセラムに干渉する事が出来る……その力を求める人は、さぞかし多かったでしょうねぇ。」

 

ケテルは続ける。

 

「貴方が現れてから、誰しもが貴方の力を求めていました。……権力の為、未来の為、或いはただ己の為だけに。ーーーーーーーー所謂、ネオ神話です。」

「…………。」

「…しかし、そんな神話も今日で終わりですよ。ネオ。……何故なら、私が貴方を手に入れるのですから。」

 

 そうケテルが言った瞬間、彼の両手にそれぞれ浮かぶ〈セラムキューブ〉が、強い輝きを放った。

 

「ッ!?」

 

 輝きと共に、2つの〈セラムキューブ〉が剣の形に変形していく。…1つは七色の輝きに満ちた長剣に。もう1つは、1個目によく似た形の血に染まったような真っ赤な剣に。

 

2本の剣を構えて、ケテルは笑った。

 

「ーーーーーーーさて、聖者との戯れは如何でしたかな?ネオ。…やはり、聖者如きでは貴方に不釣り合いな様だ。ーーー私が…私こそが、貴方と並び立つに相応しい!!…この私からの招待状ーーー受け取って、下さいねぇッ?!」

 

その叫びと共に、ケテルはネオに斬りかかったーーーーーーーーー

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「はぁ?!ーーーーーーーーーネオが消えた??」

 

 

所変わって、地上ーーー〈アステール支部〉。

 

 

バサラは屋敷の中でニュウと電話越しに話をしていた。

 

『そうなんですよ。バサラさん!…買い物袋だけ残して、消えてしまったんです!…まさか、誘拐ーーー??』

「……んな事言ったってよぉ…。ーーーネオはそう簡単に攫われる様な奴じゃねぇぞ?……分かるだろ?ネオをこっそり誘拐するなんて芸当、出来る奴なんか居ねぇよ。」

 

 電話の向こうで、ニュウが頭を抱える気配がする。

 

『じ、じゃあ…一体何が…?流石に、買い物袋だけ残して居なくなってるのは、事件性があるじゃ無いですか!?』

 

 ニュウを宥めるように、バサラは手のひらを動かした。…勿論、電話の向こうのニュウに分かる筈も無いが。

 

「…あぁ、分かるよ。まず、普通じゃ無い。…だが、何が起きたのか見当もつかねぇんだ。ーーーてかよ、其処にカノープスとサテライト居るんだろ?街頭の監視カメラハックして過去の映像見れねぇのか?」

 

 それを聞いたであろうカノープスが、横から通話に割り込んで来た。

 

『だめだな。バサラ。…ノクス通りのカメラには、ネオが消えた路地を映してるモノが無い。流石に目の無い所は見れねぇんだよ。』

「…なるほどなぁ。じゃ、ムr……」

『…あ、いや。待って!!』

 

ーーーーーーーと、ココでサテライトが更に通話に割り込んで来た。

 

「……サテライト?」

『出来るかも!ネオ先輩見つけ!!』

「『ーーーーーーマジか!?』」

 

 電話の向こうのニュウの声と、こちら側のバサラの声が重なった。

 

「サテライト、因みに、それってどんなーーーーーー」

『やれるかどうか分からないから、後でまた電話かけるねバサラ先輩!』

 

そうサテライトが言って、電話がブチっと切られた。

 

「…サテライト…アイツもかなり焦ってんな。」

 

 バサラはボソリと呟いた。……場合によっては、自分も何かした方が良いかも知れない。

 

(一難さって、また一難かよ。……しかし、気になるな。無事だと良いがーーーーーーーーー)

 

……何故か、大事(おおごと)になりそうな予感がバサラにはあった。

 

 それが間違いでは無かったと分かるのは、もう少し先の話だ。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

場面は〈アステール ノクス通り〉へ変わるーーーーーーーーー

 

 

 

「コレを見て、ニュウ先輩!」

 

 サテライトがニュウに見せたのは、彼女のパソコンに映るアステールの街の俯瞰映像だった。たしか、新型ドローンのカメラの映像だった筈……。

 

「…ドローンの映像ですね。…コレがどうしたんですか?」

 

ニュウの疑問に、サテライトが答える。

 

「コレからネオ先輩を見つけ出せるの!」

「コ、コレから?」

 

 ニュウは画面を見つめた。…確かに、ノクス通りの方もカメラは収めているが……

 

「スケールデカすぎません?…カメラが地上から遠すぎて、特定の人の姿なんて分かりませんよ。」

「ふっふーん!ところがどっこいなんだよニュウ先輩!!…このドローンは周囲の空間情報を細かく認識出来るドローン…って言ったでしょ?…その認識力を舐めたらいけないよ、ニュウ先輩!コレはね、1キロ先の地面に落ちてる米粒すら認識出来るんだよー?」

「ほう!…それは凄い!それなら、ネオさんを見つける事も…?」

 

サテライトは見るからに鼻高々になっていた。

 

「容易いよ!!ーーーノクス通りの方の過去の映像を拡大して見てみるから、見ててね!………はい。どうぞ!」

 

 サテライトがパソコンを何度か軽く叩き、映像を表示する。

 

…画面にはノクス通りの方面が、かなり拡大されて表示されていた。丁度10分ぐらい前の映像だろうか?……ニュウ達が今居る路地の、ほぼ真上の映像が映し出されている。

 

 中心に、小さな丸のような人影が写っている。…朝焼け色の髪……間違いない、ネオだ。

 

「おお!!はっきり映ってる!…因みにこれ以上拡大は……。」

「拡大限界はコレだね。…でも、充分でしょ?」

 

ニュウはサテライトの肩に手を置いて頷いた。

 

「勿論ですよ、サテライトさん!貴方天才です!!ホントに!!」

「え……そんな…褒めすぎだよぅ///」

 

「俺様の方が天才だがな。」…と、横からカノープス。

 

「貴方は黙ってて下さいカノープスさん。」

「…ちょ、おま……ニュウ…お前、俺様と会うのは今日が初めてな筈なんだが、なんだか早速俺様に対して辛辣になってきてないか???」

 

 カノープスがそこそこショックを受けているが、そんな事今はどうでも良いのだ。

 

ーーーーーーー映し出されている映像は10分前の物。……まだ、ネオは通りに居る。

 

サテライトが映像を早送りして行く。

 

「…画像に動きが無いですけど、この間ドローンって止まってたんですか?」

「…ピザ買いに行ってた時に何か不具合があると対応出来ないから、上空で静止させてたんだよ。それが役に立ったね。」

「それは運の良い……。」

 

 3人が覗き込む先で、画像に変化が訪れた。……ネオが人気の少ない路地の方に、身を移したのだ。ーーーその後、殆ど間隔を置かずにネオの後ろから黒いフードを被った影が近づいて来る。

 

「誰か来た…!」

「ーーーホントですね。…ん?…黒いフード?」

 

 ニュウの脳裏に、ノクス通りに来る前に出会った、ネオの信者達のリーダー……テレケーが過ぎる。確か彼も黒いフードを被っていた筈…。

 

 そして、次の瞬間。……映像から、ネオと黒フードが消えた。ーーー霞のように、本当に一瞬で。

 

「ーーー!!消えちゃった!?」

 驚くサテライト。…カメラの異常ではないかと、確認し出すぐらいだ。

「一瞬、地面に黒い穴みたいなのが空きませんでしたか…??」

ニュウのつぶやきに、カノープスが頷いた。

「…《ワープ》だな。ーーーノーマンのアビリティを…何故、人が持ってる…?」

 

「………。」

 

 映像を見るニュウの頭の中に、何か形容し難いものが沸々と湧いて来た。……この感情は何なのだろう?自分はネオを拐ったと思われる相手ーーー十中八九テレケーだーーーに、何の感情を抱いている?

 

…その感情の正体を知らぬまま、ニュウは顔を上げた。

 

「画面を映ってた黒フードの奴は、間違いなくテレケーだ…。胡散臭いやつだと思っていたけど……。ーーーだとすると、この事件の裏にはネオの信者が??」

 

サテライトが首を傾げる。

 

「てれけー?…知り合い?」

 

「…ネオの信者達のリーダーです。ーーーなんか胡散臭いと思ってたんですが……。」

 

 ニュウはそう言いつつ、歩き出す。サテライトが後ろから声を掛けた。

 

「…ちょっと?何処行くの?」

「信者達に絡まれた所まで戻ります。……多分、信者の1人や2人には会えるでしょう。…テレケーの居場所を知っているのなら、聞き出さないと。」

 

 本人に自覚は無いかも知れないが、相当険しい顔を浮かべているニュウを見て、サテライトはカノープスと顔を見合わせた。

 

「私も行くよ、それ。証拠なら私が握ってるからね。……もちろん、カノープスも来るよね?」

「……また歩く事になるのか……。ーーー仕方ねぇな…行くよ。…ピザ食ったお陰で、失った分の気力は戻ったしな。」

 

「…感謝します。」

 

ニュウはただ頭を下げたーーーーーーーーー

 

 

 

 





最近の悩み ハレルヤくんが空気

…暫く登場しないキャラは空気化するからね、仕方ないね。

ーーーあと、〈聖者〉。…無限回復持ちのモブキャラですね。単体なら回復力があるだけの雑魚キャラですが、複数体集まると真価を発揮しそうです。
…ネオじゃ無くても、倒す方法はあるのでご安心を……

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