モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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最近ハイテンションで書いてたけど、なんかテンション切れたんで今日の話はダレてるかも…ユルシテ。





37話 〈御身の閨を 星で満たせ〉

 

 

◇◆◇

 

 

 

星屑の街〈アステール〉郊外ーーー『星の森』付近。

 

 

 

 

 ノクス通りから更に奥へ進んだ所に、星の森への入り口はあった。

 

 最も、分かりやすい門があるとかそう言うのでは無く、ただ単に舗装された道がプツリと途切れて、そこから先は森ーーーと言った感じだ。

 

 やはり禁足地…と言うべきか、近くには錆び付いた立ち入り禁止の看板が、森の外縁に沿って等間隔で設置されている。あちこち破れているが、有刺鉄線も一応張られているようだ。

 

 そして、〈アステール〉の自動防衛設備である巨大なミサイル発射器が、森の方向を向いて鎮座していた。…周りに家など無く、静まり返っている。

 

「ここ入っていい所なのかな…。」

 

 地面に落ちているボロボロの、《関係者以外立ち入り禁止》と書いてある看板を見ながら、サテライトが呟く。

 

カノープスがそれに答えた。

 

「別に入る必要は無いだろサテライト。ーーー俺様達が此処に来たのは、テレケーの姿が星の森付近で目撃される事が多い…って話だったからだ。」

 

横からニュウが口を挟む。

 

「…ええ。そうなんですけどーーー星の森付近に、家なんて無いですよ?何も。」

「…だよね…ニュウ先輩。」

 

……そうやって3人が呆然と立ちすくんでいた時だった。

 

 

 

「ーーーーーーあの……墓参りに来たのなら…道を間違えてますよ。」

 

 

 

…突然後ろから、女の人の声が聞こえて来た。

 

「うぇ?」

「…誰だ?」

「わ!?びっくり!」

 

驚いて後ろを振り向く3人。

 

 振り返った先には、何処にでもいそうなご婦人…と言った感じの女性が立っていた。…つばの広い帽子を被り、手には綺麗な花束を持っている。

 

「……共同墓地なら、此処から少し西にズレた先にありますよ。もしかして、迷ってらっしゃいます?」

 

そう話しかけてくる女性に、ニュウは首を振る。

 

「あ…いえ…そう言うわけでは…。」

「…あら…そうでしたか。要らぬお節介を失礼しましたわ。」

 

 そう言って、女の人は立ち去ろうとしたが、去り際にサテライトの手の中に、先程グッズショップで買ったネオのキーホルダーが握られているのを見て、足を止めた。

 

「あら?…貴方()、ネオさんの信徒なんですか?」

 

目を瞬かせるサテライト。

 

「…ふぇ?ーーーあぁ……コレはお店で買わされたんですよ〜。良く出来てるし、悪くは無いんですけどね。」

 

 そう言って、サテライトは手に持っているキーホルダーを見せた。太陽の光を受けてキーホルダーがキラリと光る。

 

それを聞いた女の人が、困った様な顔を浮かべた。

 

「…それはそれは。ーーー信徒の中にも、押し付けがましい人が居ますからね…。テレケーさんがリーダーになる前は、そう言う事はしなかったのですが……。」

 

「…ッ!テレケー?今、テレケーって言いました??」

 

ーーーこの人から、まさかテレケーの話が出て来るとは思わなかった。3人は驚いて互いに顔を見合わせる。

 

一方で、女の人はキョトンとした顔を浮かべていた。

 

「…え?ええ。ーーーテレケーさんに何か?」

 

ニュウが説明に入る。

 

「俺達、テレケーを探しているんです。貴方はテレケーについて、何か知っているんですか?…と言うか、貴方は一体どちら様で……。」

 

…女の人の顔が少し真剣な表情になった。

 

 

「ーーーーーーー私は、()()()()()()()()()()()()()。……テレケー…あの男が、貴方達に何かしたのでしょうか?」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

…………微かに光を放つ草木の上に、数多の〈聖者〉達が力無く横たわっている。…全員、体内の〈星のセラム〉を失い、力尽きているのだ。

 

 

 辺りには〈星のセラム〉の残滓と土埃が漂い、激しい戦闘の跡を照らし出していた。

 

 

…崩れた建物、抉れた地面、割れた岩………戦いの激しさは至る所に爪痕を残している。

 

 

ーーーその中心に、立つ影が1つ。

 

 

「…はぁ、はぁ………ふふふふふふ…良くぞ此処まで耐えたモノですね。ーーーしかし、幾ら貴方といえども、此処が限界でしたか。」

 

 

ーーーーーーーーーケテルだ。

 

 

…彼は戦闘痕の中心に立ち、片手に人を抱え持っている。

 

足元には破れた黒いパーカー。砕けたヘッドホン。

 

 

「…ですが、安心して下さい、ネオ?ーーーその限界さえも、貴方は今日私と一緒に越えられる……。」

 

 

ーーーーーーそう語りかける様に呟くケテルの手に抱えられているのは、ネオだった。

 

 

 体のあちこちに無数の傷が入り、土に塗れ、着ている服もボロボロになり、完全に意識を手放している。…胸が微かに上下しているので、死んで居るわけでは無い様だ。

 

「…余り貴方を傷つけたくはなかったのですがね……。まぁ、貴方が中々素直にならなかったのが悪いのですが…。」

 

 そうネオの耳元で囁いたケテルは、彼女を抱いたまま歩き出す。そんな彼の後に、まだ力尽きていない〈聖者〉達が静々と続いて行く。

 

ーーーそのまま、ケテルと〈聖者〉達はアステール地下の大空洞ーーー彼らが1から造った人工の洞窟だーーーを進んで行く。

 

 

………まるで行進ーーーいや、凱旋の様だった。

 

 

…やがて目の前に、石造の階段と左右に並んだ裸体の男女像に屋根を支えられた神殿の様な建物が現れた。ーーー白い大理石を荒々しく切り出して、形だけ整えた様な屋根を持ち、外側に焚かれている焚き火の光と、頭上…洞窟の天井を埋め尽くす〈星のセラム〉の結晶が放つ光に照らされて、荘厳なその外見を浮かび上がらせている。

 

ケテルはその中にネオを抱えたまま入って行く。

 

 〈聖者〉達は中に入らずに、神殿の外で立ち止まった。…まるで、神聖な儀式の始まりを見届けるかの様に、黙ってーーー或いは(こうべ)を垂れて、階段を上がり神殿の中へ入って行くケテルを見守る。

 

 〈聖者〉に見守られながら、神殿の中に入るケテル。

 

 神殿の中には、幾つもの長椅子が置かれていて、純白の大理石の床には、真紅のカーペットが敷かれてある。

 

 壁に等間隔で設置された火のついた蝋燭の乗る燭台が、歩くケテルの影を全方位に投げかけた。

 

ーーーーーーそして、神殿の一番奥…雛壇の様に、床から少し高くなった場所に、『ソレ』は置いてあった……。

 

「ふふふ……。見て下さいネオ…!ーーーこれが、貴方を更に上の領域へと至らせ、私と共に神の道へと導くモノ。……高貴なる貴方の、()です!」

 

 気を失っているネオに、ソレが見えるはずも無いが、気にする事なくケテルは言葉を紡いでいく。

 

「さぁ……()()()へ…。ーーー大丈夫ですよ…?私も共に行きます。ーーーそして、私が新たな世界を創る為の礎となるのです……。」

 

 ケテルはそう言って、ネオを床に下ろした。そして、一歩身を引いて、横たわるネオの前に鎮座する『ソレ』を見上げる。

 

 

ーーーーーーーーーそれは()……そうとしか呼べぬモノだった。

 

 

 色は夜の様に黒く暗く、形は楕円形で、燭台の火の光を受けてぬらぬらと表面がテカっている。

 

 そしてその繭は、まるで何かが中から這い出して来たかの様に、パックリと縦に裂けていた。

 

 

 

…いや、中から何かが這い出して来たのでは無い。

 

 

ーーーーーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()???

 

 

 

「………さて、汗と土埃に塗れたままでは不潔でしょう。お色直しと行きましょうか…?」

 

 そうケテルが囁く様に呟いた時、彼の両隣ーーー神殿の柱の影から、2人の〈聖者〉が現れた。

 

 他の〈聖者〉とは違い、鎧を纏ったかの様な見た目で、背中に折り畳まれた天使の翼の様にも見える装飾を付けている。

 

………ザッ

 

 ケテルの前で跪く2人の翼を持つ〈聖者〉。そんな2人に対して、ケテルが口を開いて命令する。

 

「ーーーーーーさぁ…ヴィクター、トーヴァート。ーーー彼女の御衣(おんぞ)を取ってあげなさい。…そして、閨の中へ………。」

 

「「……畏マリマシタ。」」

 

 ケテルにヴィクターと呼ばれた〈聖者〉と、トーヴァートと呼ばれた〈聖者〉が、立ち上がるとネオに近付き、彼女のボロボロになった服を取り除く。

 

 そして、一糸纏わぬ姿となった彼女を両脇から抱える様に持ち上げ、2人の〈聖者〉は繭の方へ歩いて行く。

 

 

 

……やがて何処からか、歌が聞こえて来た。ケテルと、そしてネオにしか聴こえぬ、〈()()()〉が…………

 

 

 

ーーーーーー♬♫♩♬♩♪……

 

 

 

「…ッ!!ーーーーーーおぉ……。神よ…。」

 

 頭の中…若しくは、自分のずっと深いところで反響し、甘い音色を奏でる()()()を聞いたケテルは、何かを崇める様に手を天に翳す。

 

 彼の目に、この地下深き地からは決して見る事が出来ない筈の、〈星の花〉の幻視が映った。

 

…樹のように枝葉を広げ、中心に大輪の花を抱く彼等の〈神〉の姿がーーーーーーーーー………

 

 

「……神も私を祝福して下さっているのですね…!ふふふふ……!!えぇ、えぇ…そうでしょうとも!!遂に、私の(から)の律を満たす(ネオ)が現れ、そして私の()を持って、『三位一体』が為されるのですから!!」

 

……ケテルはいつ間にか上裸から全裸に変わっていた。

 

 彼の身体の内側から、大量の〈星のセラム〉が堪えきれぬかの様に溢れ出し、神殿に満ちて行く。

 

 そして、辺りに漂う偽りの星々の中で2人の〈聖者〉は、繭の中にネオの身体を安置した。

 

 そこにケテルが歩いて近付いて行く。そして、彼も又、繭の中へと足を踏み入れた………

 

「頼みますよ?ヴィクター、トーヴァート。…この閨が、星で満ちるのには、私の力をもってしても時間が少し掛かります。ーーーーーーその間、邪魔が来ない様に、しっかり見張っていて下さいね??」

 

「「…オ任セ下サイ、ケテル様。貴方ノ神ヘノ路…何人タリトモ邪魔サセマセン。」」

 

 2人の〈聖者〉は再びケテルの前に跪いて、同時に言葉を発した。

 

「なら、結構。……では、私が()()()となった暁に、また(まみ)えましょう。ーーーーふふふふふ………。」

 

 微笑みながら、ケテルはネオの眠る繭の中へ消えて行く。

 

 

………そして、繭が震え、表面の裂け目が閉じていきーーーーーーーーー

 

 

………コォォーーーーーーンッ…!!

 

 

 清らかな鐘の様な音と共に、繭の裂け目は完全に閉じた。…表面のてかりが消え、今度はまるで真っ黒な卵の様な外見になる。

 

 

 漆黒の卵は、その内にネオとケテルを呑み込んで、沈黙した………

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

場所:星屑の街〈アステール西区 《共同墓地》〉

 

 

 

 

 

パサリ…と四角い墓石の前に、花束が置かれる。

 

「………………。」

 

 それを置いた主は、静かに墓石に対して手を合わせ、黙祷を捧げた。

 

…辺りには同じ様な墓石が何個も並んでいる。ーーー何処からか、小鳥の囀りが聞こえて来た。

 

「…夫はーーー」

 

 黙祷を捧げていた女性ーーー嘗て、ネオの信徒のリーダーを務めていた男の妻ーーーは、墓石を見詰めながら、口を開いた。

 

 それを聞くのは後ろに立って、墓石を眺めているニュウ達3人組。

 

………3人とも、黙って彼女の話の続きを待っている。

 

「ーーーテレケーさんに殺されたのだと、私は思っています。」

 

「「「ーーー!!!」」」

 

…突然の独白に、目を見開く3人。

 

「…殺された??ーーーそれはまた…どうして?」

 

ニュウの問いに、彼女は首を弱々しく振った。

 

「…そう、思っているだけです。確証はありません。ーーーしかし、夫はテレケーさんに会ってから、彼には裏があると薄々感じ始めていた様です。それで、彼について調べていた………。」

 

鳥の囀りが遠くになっていく。

 

「ーーーそれである日、禁足地…誰も立ち入る事の出来なくなった『星の森』に、テレケーさんが入って行くのを見たそうです。」

「…!!星の森の中へ?」

「ーーーええ。それで、彼を追いかけようとしましたが見失い、私にその事を伝えてくれました。…『テレケーさんは何か隠している。…自分が、それを突き止めてやる。』………と。」

 

 そう言って、彼女は俯いた。…帽子の鍔で、顔が完全に隠れる。

 

「その矢先に病に…。そして、そのまま亡くなってしまったのです。ーーー一つ言っておきますが、私の夫は滅多に病になど罹らないし、罹ってもすぐ治ります。ーーーその時〈アステール〉に、流行病の様な類の物が流行っていたなんて話も無いし、周りの人は歳だからと言いましたが、夫は50代……まだ、病に倒れる様な老人じゃ無いんですよ??…それに、その後直ぐにテレケーさんが我が物顔で信徒達を纏め始めたのも、おかしな話です。まるで、そうなる事が分かっていたかの様に………。」

 

 悲壮さを感じるその呟きに、ニュウ達は顔を見合わせた。

 

「…コレは匂うな。…アンタの旦那が倒れたのが病にせよ違うにせよ、星の森に立ち入るテレケーを見た…って言うのは、かなり怪しいぞ?」

 

 カノープスが星の森………共同墓地からでも、大きく見える黒々とした森を見詰めながら、呟いた。頷くニュウとサテライト。

 

「……やはり星の森か…。何だか、あの森がテレケーに見えて来たな…。」

「探してみる?星の森の中。…私のドローンが有れば、立ち入らなくとも調査が可能だよ?」

 

サテライトの言葉に、ニュウは頷いた。

 

「…そうしよう。頼みます、サテライトさん。」

「りょーかい!じゃ、早速ドローンちゃん、飛ばしちゃうね!」

 

 そう言ったサテライトの背負うランドセルから、小型ドローンがぴょこっと飛び出して来る。続いてカノープスがサテライトのパソコンを立ち上げると、ドローンのカメラに接続、画面に映像が映し出された。

 

…そして、ドローンが青空を舞い…星の森の方へと飛び立って行く。

 

「さてと……星の森は案外広い。…怪しい所は素早く見ていかないと。夕方になっちゃう。」

 

 ドローンを飛ばしながらサテライトが呟いた時、横から元リーダーの妻が、口を挟んだ。

 

「ーーーーーでしたら、私の家に来ては如何でしょう?…そろそろ陽が落ちて来ます。今は寒い季節ですし、夜になれば更に厳しくなります。…貴方達が良かったら…ですが。」

 

ニュウが目を丸くする。

 

「え、良いんですか?…初対面の俺達に態々そんな事……。」

彼女は首を振った。

「いえ。貴方達の話を聞いて、今がチャンスなのだと私は思ったのです。ーーーテレケーが隠していた、『何か』を暴くチャンスなのだと。」

「……!」

「ーーー貴方達の話…テレケーがネオ様を誘拐した事が本当なら、ソレは信徒達を裏切る行いです。…決して許されないでしょう。だから、ハッキリさせておく必要があります。…テレケーは何を企んでいるのかを。」

 

 彼女は真剣な眼差しで、ニュウ達を見つめていた。カノープスがニヤリと笑いながら口を開く。

 

「なら、決まりだな。…コイツの家に行こうぜ?サテライト。俺様は『T』じゃねぇが、隠し事を暴くのも案外好きだ。…テレケーの秘密…暴いてやろうじゃ無いか。」

 

 

 その言葉に、サテライトとニュウは顔を見合わせると頷いたーーーーーーーー

 

 

 

 

 





…元妻の洞察力エグくない?

ネオの方だけじゃ無くて、ニュウ側の話もさっさと進めないとなんですが、私の筆がおっそいのよ()

…てかさ、ケテル!お前、やってる事がまんまエルデンのモーグなんよ!!閨とか言っちゃってさぁ!!お前如きがネオに勝てる筈無いだろうが!!解釈違いだよ、解釈違い!!どーせ、《重力バリア》で捕まえて、無限回復〈聖者〉でリンチしたんでしょ?!良くないよそう言うの!!

…ぜってー楽には死なせん。


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