前回、アミダVSトーヴァートとケテルVSハレルヤ・ニュウを一緒に書くと言ったな。アレは嘘だ。(ナ、ナンダッテー。)
…なんか前もやったなこの下り。
えー弁明のお時間です。
アミダの戦いとニュウ達の戦いを同じ話に纏めると、文字数が余裕で万越えになると脳内シュミレーター君が言って来たので、今回はアミダの戦いだけにしました。
なので、いつもより(?)ボリューム少なめです。…ま、いつも文字数だけ無駄に多くて(当社比)ボリュームが無いのでアレですが()
ーーーーーーー我等を照らすは、偽りの夜空。
しかし、いつの日か真の夜空に変わらん。
…この星に、永遠の祝福が在らんことを。
◇◆◇
………ガツンッッ、と激しく何かがぶつかる様な音と共に、大理石の欠片が宙を舞う。
「くっ……!」
…そして、少女ーーーーーーアミダの体が宙を舞った。
…飛ばされた空中で身体を捻り、体勢を立て直して着地。ーーー即座に後ろに飛び退き、追撃の双頭槍を躱す。
「フム。…素早イモノダナ。ダガ、逃ゲ続ケテイテモ意味ガ無イゾ?」
…双頭槍の持ち主ーーーー背に黒翼を背負いし〈聖者〉トーヴァートが、距離をとって剣を構えるアミダに向けて、口を開く。
「ーーー時間稼ギノツモリダロウ?神殿ニ向カッタ仲間ガ、ケテル様ト戦ッテイル間ニ我々ノ邪魔ガ入ラナイ様ニ。」
アミダは答えない。ーーーーーートーヴァートはそんな彼女に向けて、左手を翳した。……フワリ、と周りの空気が動く。
そして、トーヴァートがポツリと呟いた。
「ーーー《ウィンド》。」
次の瞬間、突風…もとい、暴風がトーヴァートの左手に向かって、周りから流れ込む。
周りの細かな瓦礫や、地面に生えている草きれが風に煽られ、トーヴァートの左手に吸い寄せられて行く。
「……ッッ。また、風?!」
この風で吸い寄せられそうになっているのは、瓦礫や草だけじゃない。ーーーーアミダもまた、強風に煽られてトーヴァートの方へ吸い寄せられて行く。
「…やば?!」
「死ネ!!」
吸い寄せられたアミダに向けて、突き通す様に槍が迫る。…それを手に持った剣で軌道をズラす事で、回避するアミダ。
しかし、風による吸い寄せは尚も続き、顔を左手で掴まれた。
「…むぐ!」
「時間稼ギナド…意味ノ無イ行イダト、気ヅカナイ様ダナ?」
左手に掴んだアミダを地面に押し付け、諭す様に口を開くトーヴァート。
そして、そのまま双頭槍を振り上げーーーーーーーー
「……『銃』っ!!」
ズキュゥンッッッ!!!ーーーーーーーと、発砲音が響き、アミダの体に槍を突き刺さんとしていたトーヴァートが、大きく仰反る。
顔から、星のセラムが混じった血液が噴き出した。……押さえ込まれていたアミダが、咄嗟に剣を銃に変化させて、トーヴァートの顔面を撃ち抜いたのだ。
後ずさるトーヴァートに向けて、手に構えた拳銃を撃ち続けるアミダ。放たれる光の属性弾が手足を貫通し、トーヴァートを背後の神殿の周りに立ち並ぶ大理石製の柱に叩き付ける。
「ヌウッ!!……強力…。ダガ無駄ダ!!」
傷は直ぐに〈星のセラム〉によって回復して行く。…が、アミダは構わずに、銃を再び剣に変化させて突撃して行った。迎え撃つトーヴァート。
ーーーーーーーギャリィーーーーンッッッ!!!
…と、金属同士がぶつかる甲高い音が響き、青白い火花が散って両者を照らす。
そのまま、弾かれる様に距離を取る両者。ーーートーヴァートがアミダの前で背の黒翼を広げた。そして、偽りの夜空に舞い上がる。
「あっ?!飛んだ?ーーーずるいよソレ!!」
アミダがそう叫んで、銃から貫通弾を放つがヒラリと躱される。
そのまま、トーヴァートは滑空してコチラに突っ込んできた。
「きゃっ?!」
鋭い一閃を転がって避けるアミダ。
「…にゃろ〜……。空に飛んでれば…いいと思ってるんでしょッ!!」
アミダが叫んで走り出す。
そして立ち並ぶ白い柱に跳び乗り、其処から更に高く跳び上がって空中のトーヴァートに斬り込んだ。
「……愚カーーー翼ヲ持タヌ者。神ニハ届カヌト知レ!」
しかし、トーヴァートに軽く払われて地に落ちる。
「…ッ!!ーーーまだまだぁ!!」
ーーーソレでも、アミダは諦めない。金色の光に満ちる剣を構え、柱と柱の間を飛び交いながら、トーヴァートに追い縋る。
「フン…ヤルナ。ーーーダガ、何処マデ追イ縋レルカナ?」
そうトーヴァートが呟き、神殿の空で剣戟の応酬が始まった。
ーーーーーーーーー黒翼をはためかせ、柱と柱の間を縫う様に飛びながら槍を振るトーヴァート。オレンジ色のマフラーを翻しながら、アミダが柱を蹴ってトーヴァートを追い掛け、剣と銃を使い分けて攻撃を加えて行く。
お互いの攻撃がぶつかる度に青白い火花が飛び、放たれた攻撃の余波で柱が砕け、崩れ落ちていく。
遠くから見れば、神殿の周りの柱が次々と崩れていく様にも見えるだろう。
「ーーーーーーーうりゃぁあぁあぁぁあっ!!!」
響くアミダの渾身の叫び。ーーー叫びと共に伸びた剣が、トーヴァートの体を掠り、大理石の柱を豆腐か何かの様に溶断し、激しい土埃が辺りに舞う。
「ヌゥ……。翼ヲ持タズトモ、此処マデ手ヲ届ケヨウトスルカ…。見事!」
トーヴァートが空中でバランスを整えながら、槍を構えた。ーーー次の瞬間、右手に握られる槍に明るい紫色の炎が絡み付き、紫炎を纏う槍となる。アレはーーーーーーー……
「《ダメウォ》のエフェクト?ーーー槍に…《ダメージウォール》を纏わせてるの??」
アミダの呟きに、トーヴァートが答えた。
「ソノ通リダ。…名付ケルナラ、〈
トーヴァートが黒翼を広げたまま、双頭槍ーーー〈
アミダが輝く剣を構え直しながら、その炎を睨みつける。
そして、自らに言い聞かせるかの様に呟いた。
「……やけに気取った名前だね?ーーーーーでも、油断しない方が良いかな…。アレは痛そうだし。」
目に真剣な光を宿し、油断なく構えるアミダを見てトーヴァートは小さく呟く。
「……良イ勘ヲシテイルナ。」
アミダが肩を竦めた。
「…ソレはどうも。…勘のいいガキでも、嫌いにならないでね?」
トーヴァートが一歩踏み出す。
「嫌イジャ無イーーーーーー好キデモ無イガナ。」
…次の瞬間、トーヴァートはアミダに向かって飛び出した。
「……ッッ!!」
跳び退って避けるアミダ。ーーー翼を広げ宙を舞い、追い縋るトーヴァート。
退く者と追う者ーーーさっきとは関係が逆転した状態で、戦いが再開する。
「本当にッ……翼ってズルイよね?!!」
アミダが迫り来る槍を躱しながら、トーヴァートに向かって愚痴る様に叫ぶ。ーーートーヴァートは攻撃の手を緩めぬまま、アミダに向かって言葉を返した。
「翼トハ、自由ノ証。…人ノ、束縛カラノ解放ノ象徴。神ニ、ヨリ近付イタ証デモアルノダ!!」
…振るわれた槍が、柱を掠めた。ーーーたったそれだけで、柱に《ダメージウォール》の炎が燃え移る。
ソレを横目で見ながら、アミダが口を開く。
「…束縛?神?ーーー大体、キミ達の言う神ってなんなのさ!?キミ達は一体何を目指しているのッ?!」
槍が彼女のマフラーを掠める。ーーーボッ、と紫炎がマフラーに移ってきて、アミダは慌ててマフラーを脱ぎ捨てた。
ーーーダメージウォールの炎は特殊な火だ。…物を完全に燃やす事なく、物の表面にのみ纏わり付き、触れると灼ける様な痛みを与えて来る。
だから、此処でマフラーを捨ててしまっても、マフラーが燃え尽きてしまう事は無い。
(…後でマフラーは回収しよう。)ーーーーーーそうアミダは思いながら、トーヴァートの攻撃を回避し続ける。
一方のトーヴァートは、攻撃を続けながらアミダの問いに答えていく。
「…我等ニトッテ、神トハ星ダ。ーーー我等ノ目指ス物ハ、旧人類無キ世界。…新人類ダケノ時代。ーーーケテル様ガ神ト成ラレタ暁ニ、旧人類ハ全テ滅ビ、新タナ世界ガ始マルノダ。」
「……なッ?ーーー旧人類の滅び?!そんなの……。」
アミダがたじろいだ瞬間、トーヴァートの槍が彼女の肩を抉る様に掠めていった。
「…いっっったぁ!?」
肩が切れ、傷口に紫炎が纏わり付き、傷口を焼かれる様な痛みが走る。肩に纏わりついた炎を、地面を転がって打ち消すアミダ。ーーー火がついた時は、案外転がれば何とかなるのだ。…痛みが消えるわけでは無いが。
転がるアミダ目掛けて、追撃の燃える双頭槍が飛んでくる。ソレをなんとか回避しようとするが、また一つ躱し切れずに今度は脚を斬られた。
「ぐっ!!」
ガクッとアミダの体勢が崩れる。トーヴァートが空から地上に舞い降り、アミダの頭上に槍を翳しながら口を開く。
「……旧人類ノ絶滅コソ、新人類ニトッテノ希望!!我等ノ理想ノ世界ノ為…古イ命ニハ、消エテ貰ウ!!ーーー止メヨウトスル者ニモダ!!!」
そして、トーヴァートは地面に崩れ落ちたアミダ目掛けて、トドメと言わんばかりに槍を振り下ろしーーーーーーーーー……
ーーーーーーパシッ
……柄を手で止められた。
「…ナニッッ?!」
《ダメージウォール》の紫の炎が、掴んだ柄からアミダの手に燃え移り、彼女の腕を焼いていく。激痛ーーーしかし、アミダは手を離さない。
「……何が、希望。…私達は、そんなの望んで無い。」
「………ハ??」
アミダはトーヴァートを見上げた。ーーー彼女の持つ金色の剣…インフィニティ・ブレードが眩い光を放ち出す。
「…勿論、旧人類側に思うところが無いわけじゃ無いよ?ーーーー連邦とかアソコの人達は、ほんと嫌になっちゃうし。でも…、」
トーヴァートは槍を引き戻そうとするが、アミダがガッチリと掴んでいるせいで戻せない。
「……全ての旧人類が悪い訳じゃないんだ。〈オーステルン〉のゼウスおじちゃんとか、サテライトちゃんとか、〈アステール〉に居る旧人類の人達とか、良い人達はいっぱい居る。」
アミダの体が光に包まれていく。ーーーコレは不味いとトーヴァートが、動こうとするが………
「ーーーそんな人達まで滅んでしまうと言うのなら、そんな世界は、決して希望なんかじゃない!!むしろ逆…絶望だよ!!」
アミダは槍を掴んだまま剣を…黄金の光に包まれた剣を、勢い良くトーヴァート目掛けて突き出した。
「キサマ……。」
「ーーーーーーーー
「狙ッテタノカッッッ!!!」
ーーーーーーーースパンッッッ!!!
…トーヴァートの体を黄金の光が一閃する。
一回では終わらない。二閃、三閃、四閃ーーーーーーートーヴァートの身体を、繰り返す斬撃が細切れに…粉微塵にしていく。
「ヌォォオォォオオォォオッッッ?!」
一瞬の内に、体を何百回と切り刻まれたトーヴァートは、最後の断末魔を残して、十字の閃光と共に爆散した。
カーーーーーーーンッッ、と辺り一面に撃破音が響き渡る。……そして、〈星のセラム〉の残滓がアミダの周りに霧の様に降り注いだ。
戦いは終わりを告げたのだ。ーーー少なくとも、アミダの戦いは。
勝者を祝う紙吹雪の様に降り注ぐ〈星のセラム〉の中で、アミダはため息を吐いて、地面に背中から倒れ込む。
「…はぁ…はぁ…はぁ…ーーーあー、痛ッたぁ〜〜!!本当キツイ、ダメウォの炎!!…でも、なんとか勝った…勝てた…。」
倒れ込んだ姿勢のまま、偽りの夜空を見上げてアミダは独りごちる。…トーヴァートと戦いながら、神殿から結構離れた場所まで来てしまった様だ。
神殿の方から、戦闘の音が聞こえて来る。…まだ、戦いそのものは終わっていない。
「…そうだね。バサラさん達が…階段でまだ〈聖者〉と戦ってる。ーーーハレルヤも、神殿の中で……。私がここで休んでなんか居られないよ……!」
アミダは起き上がった。…紫炎で焼かれた腕が痛む。…肩と脚から血が流れているのを感じる。
ーーーーーーーしかし、彼女の歩みを止める理由にはならない。
アミダは大技を放って尚、光を失わずに輝き続けているインフィニティ・ブレードを握りしめ、仲間の加勢に行くべく戦場から立ち去ったーーーーーーーーー
トーヴァートとヴィクターの言葉遣い同じ問題。
ま、2人はすっごく良く似てる姿をしているって設定なので、言葉遣い…同じでも良いよね???
あと、アミダは剣と銃を同時には使えないって設定です。……一個のセラムキューブが剣と銃に其々変化するから、二つの機能を両立は出来ないんですね〜。