モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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 最近、頭の中でずっとノコノコがワァワァ言ってる。\ワァ、ワァ/





49話 〈冬の後に春の訪れが約束されている様に、〉

 

 

◇◆◇

 

 

 

12月 1日 AM8:01

 

 

場所:移動要塞都市〈オーステルン 中枢部 移動要塞操縦室〉

 

 

 

 

ーーーーーーカッッッ!!!

 

 

 

 操縦室中央の巨大なモニターに光が満ちる。

 

 

……ズドドドドドォーーーンッッ!!!

 

 

 一拍遅れて、激しい爆発音が部屋中に木霊した。

 

「〈ラピッドボム〉第一射、全弾命中!!ーーーーーー標的群、西へ動きます!!」

「第二射準備!!スピード(タイプ)の接近にも目を光らせろ!!防衛ラインは越えさせるな?!」

 

 爆発音と閃光がひっきりなしに発生する中、操縦室で人々の張り上げる声が響く。

 操縦室に浮かぶ無数のディスプレイが、全ての画面でありとあらゆる警告を出し続けている。

 

 

ーーーーーー今、移動要塞都市〈オーステルン〉は、〈壊獣ノーマン〉の群れによる襲撃を受けているのだ。

 

 

…もっとも、〈ノーマン〉の襲撃を受ける事自体は、余り珍しい話では無い。〈ノーマン〉達は、人の作った物を優先して狙うと言う、厄介極まりない特性を持っている。……巨大で目に付く移動要塞都市などは、奴らの標的になり易い。

 

 

 まるで、この星から人の生きた証を消し去ろうとするかの様に、()()を繰り返す〈ノーマン〉。……そんな〈ノーマン〉達に、人々はこんな名前を与えた。

 

 

ーーー〈()獣〉と。

 

 

「ーーーッ!!スピード(タイプ)来ました!!数、10!!真っ直ぐコチラに向かって来ます!!」

 

 操縦室の1人が叫ぶ。ーーー彼の目の前のモニターには、ノーマンを表す青い光点が10個浮かんでいて、ソレ等が〈オーステルン〉に接近中であると告げていた。

 

 

 

 

……此処でノーマンの〈(タイプ)〉について、軽く説明しておこう。

 

 ノーマンの分類には、個体の強さを表す〈等級〉以外にも、個体毎の特性を表す〈(タイプ)〉と呼ばれる物が存在する。

 

 〈(タイプ)〉は全部で4種類。

 

 高い破壊力を持ち合わせる〈パワー〉。

 攻守共に優れた〈バランス〉。

 マッハを超える速度で移動し、対処を間違えると忽ち追い詰められてしまう〈スピード〉。

 レーザーやホーミング弾などの、特殊攻撃が得意な〈砲撃〉。

 

……コレら4つの〈(タイプ)〉に、ノーマンは分けられるのである。

 

 

ーーーさて、今突っ込んで来たノーマンは〈スピード(タイプ)〉に分類される個体だ。……マッハを超える速度での突撃は、対処が遅れると防衛ラインが崩されかねない。

 

…故に、素早く対処する必要がある。

 

 

 

「チェイスビームユニットを稼働させろ。ーーー出来る限り引き付けてから撃て。」

 

 操縦室にて、本来なら艦長ゼウスが居る場所に立っている1人の男が、画面を見てそう言った。

 

「了解!ーーー射撃を開始する!!」

 

ーーータタタタタタタタタタッ………!!!

 

 画面中央に映る、まるで細長いトビウオか何かの様な形をした〈ノーマン〉に向かって、無数の光弾が緩やかな放物線を描いて飛翔する。

 

 それを避けながら突っ込んでくるノーマン。何体かは撃ち落とされたが、全てを撃墜は出来ていない。

 

「稼働数が足りねぇぞ。ーーー8基に増やせ。…西側の群れは如何とでもなる。街に〈スピード(タイプ)〉の侵入を許すな。」

 

 最初にユニットの可動を命じた男が、また口を開いた。

 

 彼の名は『ケラウノス』。ーーーこの要塞都市の艦長ゼウスの腹心にして、〈オーステルン〉が保有する軍隊や兵器類を管轄する〈防衛兵器管理官〉だ。…また、〈新人類〉でもある。

 

「了解です!!ケラウノス殿!!」

 

 彼の命令に従い、機器類を動かしていく操縦士達。そんな彼等に向かって、ケラウノスはニヤリと笑いながら発破を掛ける。

 

「……ゼウスの叔父貴に心配かけさせんなよ?街の平穏は、俺たちに掛かってるんだ。あの程度の数のノーマン共相手に、手こずるんじゃねぇぞ??」

 

『ーーーーーーはいッッッ!!』

 

 

戦いはまだ続く…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 〈ノーマン〉と〈オーステルン〉が戦闘を繰り広げている間、街は一体如何なっているのだろうか?

 

 

ーーーーーーーーー街の中を見れば、壊獣の襲撃を知らせる警報は鳴り響いているし、ラジオやTVをつければ、非常事態宣言発令中…などの物々しい単語を目にする事はできるだろう。

 

…しかし、街自体は至って穏やかなままだった。

 

 

 それもその筈。……彼等ーーーーーーと言うより、この世界の人々からすれば、壊獣の襲撃など日常茶飯事。いちいち騒ぎ立てる様な物では無くなっているのだ。

 

 故に人々は、いつもと変わらぬ日々を過ごす。…空を見上げれば、あっちこっちで爆発が起き、空に防衛兵器の放つ色とりどりの閃光が飛び交っているのにも関わらず、人々は何事もないかの様に過ごしていた。

 

ーーー寧ろ、朝からうるさいなぁ……なんて思っている始末だ。

 

 その余裕は、〈オーステルン〉への信頼から来る物でもあるのだろう。…事実、今まで〈オーステルン〉が壊獣の都市部への侵入を許した事は無い。

 

 時折、壊獣の攻撃の流れ弾が都市部に飛来する時もあるが、全て被害が出る前に防がれている。

 

 それを行うのは、『ビットン』や『シールドン』と呼ばれる自律稼働型の迎撃兵器だ。

 

 この2つの兵器はAI操作で空を飛び、たまに都市に降ってくる流れ弾を、極細レーザーや展開したバリアで打ち消し、無力化していく。

(ーーーコレ等の開発には、あのサテライトやカノープスが大きく関わっているそうだ。)

 

 

ーーーこの豊富な防衛設備のお陰で、この都市の人々は壊獣に恐れる事なく、平穏に生きる事が出来ているのである。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「お〜〜…かなりピカピカしてますね。ーーー本当に大丈夫なんですかね?俺達行かなくても。」

 

所変わって、〈イースター本部〉。

 

 本部2階のベランダから、空の彼方此方に舞う光を見詰めつつ、ニュウは呟いた。

 

「大丈夫でしょ〜。私等に出ろって命令無いし。…数は確かに多いっぽいけど、何とかなるって事なんじゃ無い??」

 

 部屋の中で寝転がってスマホを弄りつつ、アミダがそう答える。

 

「…なら良いんですけどね。」

 

 そう呟いたニュウは、ベランダから部屋の中に戻った。

 

ーーーそして、読みかけていた本を手に取って、また読み始めるニュウ。

 しかし、外から何度も戦闘音が木霊してくる所為か、あまり内容が身に入らない。

 

(……ダメだ。外が騒がしいせいで、内容が入って来ない。)

 

 本を置いて窓越しに空を見ると、幾筋もの白い尾を引いてミサイルが飛んでいく所だった。

 

 少し経ってから、遠くの方で爆発音が連続して響いてくる。

 

「…これだけドンパチやってるのに、皆んなすっごい冷静ですね…。ーーー落ち着けないのは俺だけなのか…?」

 

 そんなニュウの呟きに、絨毯の敷かれた床を転がりながら、アミダが答える。

 

「オーステルンの防衛設備は優秀だからね。ーーー文字通り、大船に乗った気持ちで居られるんだよ。…外縁部付近は、ちょっと危ない思いしてるかもだけどね。」

 

 

ーーーーーーーーー〈オーステルン〉は上から見ると、円形の構造をしている。

 外側から、防衛兵器が配備されている〈外縁部〉。次に、治安のあまり良く無い所謂スラム街。その内側が、工場や倉庫の有る〈工業区域〉。さらに、それに隣接している〈商業区域〉と続き、中心部には繁華街と居住区が存在する。

 

 1番中心には、高層ビルと〈オリンポスタワー〉と呼ばれる、艦長ゼウスの自宅があり、遠くからでも結構目立つ。

 

 また、〈オーステルン〉は横から見ると、なだらかな山の様に中心部が盛り上がっている。……首の様に前に突き出している〈移動要塞操縦室〉と、大地を踏み締める太くて頑丈な〈脚部〉と相まって、まるで亀の様な印象を見た者に与えるだろう。

 

 

 

「…外縁部…スラム街ですか。ーーー確かに、あそこは攻撃に良く晒されそうですね。」

 

 〈オーステルン〉の形状を頭で思い浮かべながら、ニュウは呟いた。

 

「ま、防衛ラインの構築はちゃんと出来てるし、そこまで接近を許す事は無いと思うけど。…だから落ち着いて居れば良いよニュウ君。どーんと構えて居れば良いのさ!」

 

 どーんと背中をアミダに叩かれて、ニュウは少しつんのめる。

 

「……っと。ーーーーーー分かりましたよ…どーんと構えてます。どーんと。」

「そーそー!どーんとね。」

 

…アミダはニコニコと笑った。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

ーーーーーーAM 8:35

 

 

 

 およそ30分程で、〈ノーマン〉との戦闘は終わりを告げた。……勿論、勝利したのは〈オーステルン〉だ。

 

 ひっきりなしに発生していた閃光も爆発も消え、再び街の空には静寂が戻り、何時もと変わらぬ景色となった。

 

 

 

「…うん。やっぱり静かな空が1番良いですね。」

 

 ベランダから小鳥が舞う空を見上げて、ニュウは心の底から呟いた。……外は寒いが、差し込む太陽の光は意外と暖かく、そして眩しい。ーーー真冬の季節とは思えない良い天気だ。

 

「……そうだね。」

 

 隣で一緒に空を見上げるネオがそう呟いた。ニュウがため息を吐く。ーーーそれは白い霧となって、空に消えていった。

 

「はぁ………もう12月とはなぁ…。時流と言うのは速いモノですね…。」

 

 少し懐かしむかの様なニュウの声に、ネオは頷いた。

 

「……貴方がここに来てから、3ヶ月が経つね。」

「ですね。…結構色んな事があった様な…無かった様な。」

「そうだね………。」

 

 暫く2人は、ただ冷たい青空を見上げていた。

 

「……あ。」

 

ーーーーーーふと、ネオが身じろぎして耳に軽く手を当てた。何となく何が起きたか分かったニュウは、彼女の方を見遣る。

 

「…『歌』ですか?」

 

 彼女は頷いた。

 

「うん。……最近聞こえてなかったけど、今また聞こえた。」

「…そう言えば、あのケテルも…歌が聞こえるって言ってましたね。ネオさんと同じなのかな…?」

 

 ニュウの呟きに、ネオが顔を顰めた。

 

「……え、アレと同じなんて嫌だ…。ーーーーーでもそれって、歌が聞こえるのは私だけじゃ無かった…って事だよね。」

「そうですね。ーーーアイツは神の声とか言ってましたけど。自分達を導いてくれるとか、何とか。」

 

 ネオは首を軽く振った。

 

「神の声なら、もっとハッキリ喋ってほしいな…。コレだと何言ってるか分からないよ。」

 

 それを聞いたニュウは、独り言の様に呟く。

 

「…理解出来ないからこそ、『神』なのかも知れませんね……。神って何なんだろ……。何が神を神たらしめて居るのだろうか…?」

 

ネオが小さく苦笑した気がする。

 

「…貴方ってオカルトっぽい事には興味無いと思ってたけど…今日はどうしたの?」

「…いやぁ…。小説の読みすぎですよ…多分。ーーー本を読むと色々考えが溢れて来て、普段考えない様な事も考え出してしまうんです。」

「……ふーん。」

「ネオさんも本読んでみます?面白いですよ?」

「止めとこうかな…。目が回る。」

 

 

 そうやってネオと喋りながら、ニュウは嘗て戦ったケテルの事を思い出していた。ーーー彼の言っていた事と、あの時に見た幾つかの不思議な現象も。

 

……彼等が神と崇める〈星の花〉。輪廻の輪。三位一体。魂の親子。金色に染まる卵。ーーー空に噴き上がり、一瞬木の根の様な姿に変わった〈星のセラム〉の柱。飛び込んだ閨(卵)の中の、不可解な広さ。

 

 

 

…アレ等は一体何だったのだろう?

 

 もしかして、自分…いや、人類にとって未知の領域が、世界にはまだ隠されていて、ケテルだけがソレを知っていたのだろうか??

 

 もしそうなら、ソレは何だ??〈星の花〉にまつわるモノなのか??ケテルの言っていた事は、只のカルト的な妄言では無かったのだろうか???

 

 少なくとも、謎に包まれた〈星の花〉と〈星のセラム〉がこの世にある以上、人に説明できない世界が存在する事は間違いない。

 

 魂の存在が〈星のセラム〉をもって証明された様に、〈星の花〉は人類の知らない世界を1つ明らかにした。

 コレからも、人々の前に隠された未知の領域が姿を現す時が、やって来るのだろうか???

 

 

 

……ソレはニュウには分からない事だった。







…ちょっとブツ切りですが、49話はコレで終わりとします。

 この話では、取り敢えずケラウノスさん及びノーマンのタイプの説明と、オーステルンの外見説明がしたかった。

 ノーマンのタイプなんか、1話でスピードタイプって単語が出てから、なんの説明も無かったからね……。

 オーステルンだって、散々〈商業区〉だの〈繁華街〉だの書いておいて、全体の外見説明ゼロだったし…。物語の舞台となる場所の説明がないまま進む話とは、これ如何に。

次回、3章終了。
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