モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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しかし、良く考えなくても、ニュウ君のイースター加入経緯ガバガバやな()

アレでええんか。




53話 〈狂熱〉

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

場所:星屑の街〈アステール〉中心街ーーー〈コリントス宮殿〉。

 

 

 

「…世界を、変える…とは?」

 

 ヌアザの声が、〈コリントス〉の客間に木霊する。

 

 ゼウスは口を開いた。

 

「そのままの意味だ。ーーー立ち止まる時は、終わりを告げたという事だよ。」

 

 しん……と客間に静けさが満ちる。

 

「つまり…。」

 

 ルーが何か言いかけて、口を閉じた。ゼウスが両手を顔の前で組み、客間のテーブルに肘を置いて話し出す。

 

「ーーー俺はな。考えてたんだよ。…嘗て、俺は新人類の為に〈ティタノマキア事変〉を引き起こした。……だが、ソレで何か変わったか…?」

 

 目を合わせる他の人達。

 

 

 

 

 


 

ティタノマキア事変とは。

 

 

 星のセラムによって、世界が崩壊した混沌の数年間……この間に世界各地に誕生した『適応型新人類』達と、後から生まれてくる『生まれながらの新人類』達。ーーーソレに対する旧人類の差別意識改革を掲げ、当時の連邦政府副総帥であり、世界的企業〈オリンポスコーポレーション〉の取締役社長ゼウスが引き起こした、ある種のテロ事件である。

 

……その概要は、連邦が〈オリンポスコーポレーション〉に依託して製作していた『対他要塞都市制圧用移動要塞〈クロノス〉』を、ゼウス含めたコーポレーション関係者が建造途中で奪取。

 そのまま連邦から離反し、既に連邦による支配が始まっていた新人類を保護する…と言う名目の下、クロノスで受け入れ始めたーーーと、言うものだ。

 

…最初のうちの連邦による新人類支配は、今よりもずっと過激だった。

 

ーーー力を突然得た新人類達が引き起こした『混沌の数年間』は、旧人類の意識に新人類に対する恐怖と敵意を与えるのに、十分すぎる時間だった。

 

 そして最初の混沌の時代が一旦の収束を見せた時、新人類に待っていたのは旧人類からの恐怖の眼差しであったのだ。

 

 確かに、最初に混乱を引き起こしたのは新人類側だったのかも知れない。力を得た適応型新人類の中には、単独で国家転覆が可能となる程の力を得、実際に一国を傾かせてしまった者もいる。

 

 野心を宿し、暴走を始めた者も……。

 

 だか、新人類が皆そうでは無い。一部が暴走したからと言って、全てを悪く取る必要は無い。ーーーだが、そうあっさり全てを信じられないのが『人』だ。

 

 恐怖は、軽蔑へ。軽蔑は、支配へ。……彼らが力を持つのなら、その力を振るわない様抑圧すれば良い。

 

 こうして全ては始まった。

 

 新人類を旧人類の領域から引き離すための、地上に造られた〈新人類共同居住区〉。(地上では無く移動要塞内に作られた居住区も、基本境界は壁などで完全に隔たれており、新人類は旧人類と交流は出来ない。)

 

 連邦による抑圧。ーーーそして、貪欲なる科学者達による新人類の利用。実験。研究。

 

 ゼウスはコレを良しとしなかった。

 

 

ーーーーーー彼らも人間の1人。ある日突然力を与えられた、ある意味哀れな者達なのだと彼は思っていた。

 

 そんな彼らに居場所を与えるべく、あの日〈ティタノマキア事変〉を引き起こしたーーーーーーが…。

 

 

 

 


 

「いや…『何か変わったか?』…って、ゼウス殿よ。ーーー変わったに決まっているだろう??」

 

 ヌアザが手を広げる。

 

「貴方が起こしたあの事変から、新人類達は立ち上がり始めた。…連邦の非人道的な支配からの脱却を目指し、緩やかな反連邦団体が作られた…。あの獅子王ライオ・アルスラーンが創設した《反連邦団体ニュースター》や、ブリタニア、レシアルと言った大国が、新人類抑圧反対派側についた事然り………ゼウス殿が動かなければ生まれなかったモノは沢山ある。」

 

 フォローするかの様なヌアザの言葉。ーーーーーーしかし、ゼウスは暗い顔で呟いた。

 

「…だが、ソレも下火になってしまった。…まだ、記憶に新しいだろ?ライオ・アルスラーンが殺されたのは。」

 

 再び静まり返る室内。

 

……今度はルーが口を開く。

 

「だけど…アルスラーンの名は継がれて、〈イースター〉が生まれたじゃないか?ーーーブリタニアもまだ連邦内で新人類の為に動いている。…ちゃんとユーサー王の娘が、彼の意思を継いで……。無駄じゃなかった筈だ。」

 

「確かにそうかも知れん。…残った物もあった。ーーー連邦政府は、確かに非人道的な人体実験は中止すると言った。…半信半疑だがな。ーーーだが、世界は未だ変わっていない。新人類は自由を得てはいない。」

 

 ゼウスの声が響く。

 

「…今回で結論を出せ、なんて言わん。…ただ、考えては欲しかった。ーーーーーーそろそろ、立ち上がる時なのでは無いか?とな。」

 彼は続ける。

「俺も、正直立ち止まっていたのだ。…ライオ・アルスラーンが死んでから、大きな変革を恐れていた。…新人類達の為、変革の為に、あの日〈クロノス〉からその名を奪って、〈復活祭(オーステルン)〉の名を与えたと言うのに、最後までその責任を全うす事が出来ていない。」

 

 ポセイドンが小さく呟いた。

 

「…変革を引き起こした者の責任…か。」

「ああ。世界に一石を投じた者として、俺は最後まで戦い続けなければならない。……ソレを今一度、俺は思い直したのだ。再び、世界には変革が必要なのだよ。」

 

 ゼウスの眼差しは真剣そのものであった。

 

 

 

 

 世界を変える為には、大きな変革が必要である。その狂熱は、時として衝突と混乱を生む事になるかも知れない。ーーーーーーしかし、世界が変わる時に、何の衝突も混沌も生まれずに、静かに世界が変わった試しは無いのだ。

 

 何かを変える為には、時として何かが犠牲になる必要がある。

 

(嘗てライオは犠牲となった。そして、彼の火種は俺の元に微かに残った。…なら、次に犠牲となるのは俺で良い。ーーーそれで今度こそ世界が変わるなら…俺はソレを是としよう。)

 

ーーーーーーゼウスは心の中で、そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 変革の狂熱。それは思いもよらない所から噴き上がるのだが、それはまだ誰も知らない話………。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

ーーー星屑の街〈アステール〉《中心街》ーーー

 

 

 

『夕方』。

 

ーーーーーー太陽は地平線の隅まで傾き、少しずつ街に夜が訪れ始めていた。

 

…が、祭りは夜からが本番だ。

 

 普通なら人々は帰途に就き始める時間になっても、人の数は変わらず、寧ろ増えていく。

 薄暗くなった街には、提灯のカラフルな灯りが浮かび始め、空を照らしていた。

 

「いや〜、最光だね!発光しそう。」

「…ソレってどう言う事っすか。アミダさん。」

「最高って事だよ。」

 

 中心街の一角にニュウ達は座り込んでいた。…相変わらず、街は賑わっている。祭りの狂熱と言っても良い人の熱気が、通りに満ちていた。…今は街のどこに行っても同じだろう。

 

 この熱気に、多少ニュウはやられかけていた。

 

「…ニュウ君、疲れた?…ちょっとグデっとしてるけど。」

 アミダが顔を覗き込んでくる。

「…ん〜。そうかも知れないですね…。コレだけの人の中に長時間居るのは、あんまり経験ないので。」

 

 そう言って、彼は目を閉じる。…視界が暗くなると、代わりに沢山の音が耳に入ってくる様になった。

 祭囃子だ。…太鼓の音が微かに聞こえる。何処で鳴らしているのだろう?ドンドンとなる音が、心臓の鼓動とリンクする。

 

「疲れたのなら、休むと良いよニュウ。……俺も意外と疲れたし。」

 

 そう言うのはハレルヤだ。手に持ったペットボトルの水を飲んで、彼は一息つく。

 

「人の熱ってのは…体じゃなくて、心に伝わるモノさ…。お祭りだから熱気も凄い。蒸し焼きになっちゃうね。」

 

 そう言って、笑うハレルヤ。ニュウは静かに頷いた。

 

「そうですね…。ちょっと静かな所無いかな…?ーーーーーーいや、無いか。今は何処も祭り一色だしな……。」

 その時、隣からフェムトが話しかけてきた。

「じ、じゃあ、一旦屋敷に戻るのもアリ…じゃ無いかな?屋敷の中なら、静かに休めるし。…ちょっと歩く事になるけど。」

「ん〜…そうだな…そうしようか。」

 

 ニュウは呟いて立ち上がる。

 

「…アミダさん達はどうする予定です?」

 

…彼の問いに、元気な答えが返ってきた。

 

「私達はここにまだ居る予定だよ〜。だってコレからが本番なんだしね!」

「俺も此処に居るよ。…流石にオールはしないけど。」

「了解です。…じゃ、失礼しますね。」

 アミダが頷いた。

「オッケー。戻って来るなら言ってね?電話でもメッセでも、なんでも良いから!こっちの居場所が分からないと、戻ってこれないっしょ?」

「…ええ。また連絡します。」

 

 そう言って、ニュウはその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 祭りの熱狂は、アステールの支部近くまで及んでいたが、敷地内に入るとスッと遠ざかった様な気がした。

 

「…暗くなったな。」

 

 1人、屋敷に戻って来たニュウは、空を見上げて呟く。

 

 見上げた空は、既に闇に閉ざされていた。…今まで全く暗さを感じなかったのは、街全体が明るく照らし出されていたからだろう。

 

 地平線にズラリと並ぶ移動要塞都市達も、ピカピカと電飾の輝きに包まれている。アステールの街を取り囲む〈星のセラム〉の輝きでさえ、今だけは人の光に負けていた。

 

 

ーーーーーーソレら全てを見守る様に、地の彼方に〈星の花〉の幻像が見える。

 

 

「凄い景色だ…昼間みたいに明るい…。…でも、森の方は暗いままか。」

 

 『霧の森』と『星の森』の方を見ながら、ニュウは1人呟いた。…『夜の森』側には、オーステルン含めた3つの超弩級移動要塞都市が停泊しているので、光が満ちていて明るい。

 しかし、霧の森は移動要塞の包囲網からも外れ、闇に沈んでいる。

 

 星の森は言わずもながだ。

 

 

 

「…さて、屋敷は空いてるかな………ん??」

 

 遠くの山から視線を戻した時、ニュウは屋敷の屋根に何かの影を見た。

 

「誰だ……?」

 

 泥棒だろうか?…いや、でもなんとなく違うような気がする。

 

 ニュウはすぐ側に生えている庭木に跳び乗る。…ニュウだって新人類だ。ネオほどでは無いが、身体能力は高い。

 

 木の枝を2、3回踏んで屋根まで跳躍。…屋根に静かに着地する。

 

 屋根をそっと伝って反対側に顔を出すと、1番奥の屋根の縁に誰かが立っているのをニュウは見とめた。

 

(女性…?)

 

 それは、女性に見えた。…黄色から、徐々に若草の色へとグラデーションしていく長い髪。

 夜に溶け込む、黒くて動き易さを重視したかのような服。

 靴は…見ずらいが、ローラーシューズだろうか?

 

(マジで誰だ…?)

 

 ニュウは更に近づく。…足音を殺すのは得意分野だ。ーーーーーーしかし、思いもよらない所から邪魔が入った。

 

「ガァッ!!!」

 

「は?!(ーーーーーーカラス?!)」

 

 ニュウのすぐ横で、やけに細長いシルクハットを被った奇妙なカラスが、彼の接近に気づいて鳴いたのだ。

 

ーーー女性が振り向く。そのアメジストのような瞳がニュウを捉え………

 

「……ふっ。」

 

…小さく笑った。

 

 カラスが飛び立ち、女性の元へ向かう。彼女は黙って手の内に黒い〈セラムキューブ〉ーーーまるでダイヤモンドのような形をしているーーーを、浮かべた。

 

(……ッ。戦うつもりか…?)

 

 身構えながらも、ニュウは違和感を感じていた。

 

(なんだろ……。目の前の人からは…敵意を感じない。殺意も無い。ーーーこの感じ……。)

 

ーーーーーー試されている???

 

 

 

 次の瞬間、彼女が動いた。

 

「……ダンサー・イン・ザ・ダーク。」

 

 フッ……と、彼女が消える。否、消えてはいない。

 

(透明化?…いや、夜の闇に溶けて…一体化してる?!)

 

 カツン…と、靴が屋根を踏む音がする。…ニュウは動いていないから、この音は彼女が出したモノだ。

 

(姿が見えなくなっても……足音は消えていない!)

 

 ニュウは足音のする方へセラムキューブを構え、拳銃に変化させる。

 

(……一撃失神弾(ブラックバレット)!)

 

 属性弾では無く、殺傷能力のない〈一撃失神弾(ブラックバレット)〉を使ったのは、目の前の女性から全く敵意を感じ無いからだ。

 

 しかし放たれた漆黒の弾丸は、空を穿つ。…ギリギリで避けられたようだ。まぁ、弾丸の軌道は銃口の向きで予測出来る。…驚く事では無いが……。

 

カツン…!

 

 少し横にズレた足跡が一際大きくなった。…今の感じはーーーーーー

 

(多分…跳んで来た!)

 

 ニュウは再び一撃失神弾(ブラックバレット)を放つ。方向は勘だが、空中なら弾丸も避け難いだろう。

 

ーーーしかし、またもや弾丸は無を撃ち抜いた。

 

「……な。」

 

 すぐ背後に着地音。…予想より高く跳ばれたらしい。

 

 こうなった場合、近接戦になる事は必至。素早く背後の気配に向けて回し蹴りを放つニュウ。

 

バシッ!!

 

 放った蹴りが、空中で止まる。…一瞬、彼の前にぼんやりと女性の姿が揺らめいた。

 

…受け止められた…が、完全に受け切れては無いようだ。ーーーニュウはそう確信して足を振り抜くと、体勢を崩した揺らめく影に向かって接近。

 手刀で影を貫かんとするが、素早く避けられる。

 

「避けると思ってた!!」

 

 しかし、コレは予想の範囲内。振り下ろした手刀を、下から上に向かって跳ね上げるように動かし、追撃する。

 

ーーーーーーボッッ!!!…と、手刀が空を裂き、影の端を捉えた。手刀で切り落とされたであろう若草色の髪が、パッと夜空に舞う。

 

 攻撃を受けた事がトリガーとなったのか、闇に溶けていた彼女の姿が再び現れた。

 

 

ーーーーーー彼女は、微笑んで居た。アメジストの瞳が、至近距離からニュウの目を捉える。

 

 

「へぇ、やるわね。流石……。」

 

「……誰なんだ貴女は?!」

 

 ニュウは彼女に向かって叫ぶ。彼女は微笑んだまま、ニュウに迫った。

 

(疾い…!!)

 

 滑るように彼女はニュウの懐に入り込むと、彼の襟を掴んだ。

 

「フォール・イン・ザ・ダーク。ーーーーーー闇をすり抜け落ちなさい。」

 

 柔らかな囁き。……フッ、と足元の屋根の感触が消える。

 

(は…??屋根が抜け……違う!()()()()()()()()()()()()ーーーーーー?!)

 

 ニュウは音もなく屋根をすり抜け、4階へ落ちた。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

ドサッ!!!

 

 

 

「…ぐっ!」

 

 

 背中が4階の廊下の床にあたる。…今度は、床をすり抜けはしなかった様だ。

 

(どうなってんだ?…屋根が壊れたわけでも無いのに……。)

 

 動こうとしたが、両腕が何故か動かない。…そして腹部に重さを感じる。

 

ーーー何だ?と、思う間も無く、ユラリと自分の真上の景色が歪み、両足で自分の腕を押さえ付けて馬乗りになっている彼女の姿を露わにする。ーーーーーー自分を4階に落とした時、一緒に降りて来ていたらしい。

 

(拘束された…?)

 

 意外と力が強い。状況的には絶体絶命ってヤツなのだが、何故か危機感は無かった。……目の前の女性に殺意が無いからだろう。

 

「あー、なんだ……チェックメイト…的な?」

 

 そんな軽口が出る。…自分の上に馬乗りになっている女性が笑った。

 

「ふふふ…。そうね。確かにチェックメイトよ。…私がナイフを持っていれば、今頃貴方は生きていない……でしょ?」

「そーですね。」

 

 ニュウは彼女の顔から目を逸らしながら、そう相槌を打った。

 なんだろう…。どうも心の中を見透かされている気がしなくも無い。読心術にかけられている様な……そんな気がするのだ。

 

 そんなニュウに向かって、彼女は気さくに口を開いた。

 

「ねぇ、貴方『ニュウ』よね?ーーーバサラから少しだけ話は聞いてるわ。…最近イースターに加入したのだとか。」

 

「ぼ…俺の事の知ってーーーいや、バサラさんから?…誰なんですか貴女は??」

 

 ニュウの疑問に、彼女は微笑んで答えた。…ちょっと勿体ぶった口調で。

 

 

「…私ーーーいえ、我は自由の奪還者。ーーーーーー人は我の事をこう称す。『怪盗 アルセーヌ』…と。」

 

 

 

 

 

 







 やっと獣神祭キャラ全員揃いましたねー。ヤクモ?彼女はお留守番だよ。(今からキャラ設定追加はムリ)

ティタノマキア事変。ニュースター。ライオアルスラーン。…過去の話がチラッと出て来ましたね。
 因みに、バサラさんが言ってた事と矛盾が生じてると思うんすけど、まぁ…その時はこんな設定無かったってコトで…ハイ。
(ぶっちゃけ、全部その場のノリで決めてるし)
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